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転生魔王の配信生活  作者: 白神 怜司
最終章 集大成
176/201

【配信】雑談配信




「――待たせたのう、皆のもの。妾じゃよー」


『陛下ばんわー!』

『かるww』

『初期の頃の挨拶なくなりがちww』

『Vあるある過ぎるw』

『まあいちいち言い続けるのも大変よなw』

『まってた!』


 次々と流れるコメントにちらりと目を向けてみれば、初手の挨拶と共に流れるツッコミの数々。


 同時接続人数は、ただの雑談なので1万人台後半というところ。

 これは普通のVtuberにしても尋常ではない程に多いけれど、だいぶ同業者やら映像関係の会社やらの数が占めていそうだな、と思う。


 数字が出るのは嬉しいんだけど、まあそういう背景がありそうだから相変わらず素直に喜びにくいというか。


「さて、今日は雑談なんじゃがのう。皆も知っておる通り、我が『魔王軍』の一期生メンバーである【Pioneer】の面々が、今度のイベントに参加する事になっておってな。最近レッスンに力が入っておるようでの」


『最近みんな忙しそうよねw』

『モノロジーで死にかけてるのは見たw』

『逆にハイテンションなのはリリシアちゃんだねw』

『テンション上がり過ぎて普段の配信でもエンジン全開になってるよw』


「あー、リリシアはのう……ステージに上がることが決まって、アクセル全開というところじゃからな。もっとも、ルチアやらノアやらもやる気はあるようで、妾としても安心しておるというところじゃが」


 リリシアちゃんは元アイドルグループの候補生止まりだったという事もあって、ステージに上がるという事に対して並々ならぬ気合いの入りようを見せてくれている。

 ただ、ああいう風に準備段階で気合いが入っていればいるほど、本番前のプレッシャーはかえって大きくなったりするんだけど、その辺りはレイネが担当マネージャーにもしっかりと気をつけるように指示してあったはず。


 歌詞とダンス、覚えることはたくさんある。

 それらをどれだけ頭の中に、身体に叩き込んだとしても、ふと本番になった途端に目の前が真っ白になる、なんて事もなくはないだろうし。


 まあ、初配信以降どんどんと自然体が出てきて、歌の素晴らしさだけじゃなくて天真爛漫な性格もあって、ファン層もかなり広がってはきているし、過剰な緊張に襲われるって事はなさそうだけどね。

 是非ともリラックスして本番に臨んでもらいたいところだ。


 そんな事を言っている私もステージには立って司会役をやったりもするから、それなりに分厚い台本を覚えるハメになってるんだけどね。


 とは言っても、こういうのとは違った形ではあるものの、前世で民衆の前での演説なんていくらでもやってきた。

 今さら台本を覚えて人前で喋ることに対して緊張なんてしないけれど。


「ちなみにジェムプロとクロクロの面々からオフショット風景という名目で画像やら色々出ておるが、皆見ておるのかの?」


『めっちゃ見てる!』

『今までのVじゃ考えられなかったねw』

『モデル姿でダンスレッスンしてる風の映像とかはあったけどなぁ』

『裏でみんなでお菓子食べてたり、くっちゃべってたりとかはないもんなw』

『ショート動画で休憩中のやり取りとか気軽にアップしてくれて助かるw』

『凄いよな、アレw』


「ふむ、割と好感触なんじゃな」


 スタジオにリハをしに来た面々には、基本的にカメラを自由に使えるように無料でレンタルしている。

 実のところ、これは色々な風景やら動きやらを撮ったものをアップしてもらって、〝新技術〟の凄さやらをアピールしてもらうというこちらの利益もあっての事だったりもする。


 そうしたこちらの思惑は別として、ジェムプロもクロクロもかなり積極的に普段の光景を撮ってアップしてくれているみたいだ。


「何やらエフィがウザいという話をリオとスーから聞いたんじゃがの。ちなみにクロクロからも似たような声が上がっておるぞ? サツキが自慢しまくる、とかなんとか」


『草』

『あーねw』

『水無月サツキ〆:ゑ』

『さっちんおるやんけw』

『被告人おったww』

『エフィール・ルオネット〆:なななななんんおことおかあなあ』

『エフィイ!w』

『動揺し過ぎてチャットが荒ぶりすぎww』

  

「ま、妾としては自由に使えば良いとしか言えぬのでな。リハの度に他の面々も色々撮っておるとスタッフからも報告はもらっておるし、どうせそろそろ他のメンバーたちも一気に投下し始めると思うしの」


『そ、マ!?』

『期待!』

『全裸待機してまってます!』

『この時期に全裸とか正気か……?』

『時期関係なく全裸待機すんなw』

『裏事情もっとバラしてこ!w』

『陛下には筒抜けな模様で草』


 いや、レイネから報告されてるからね。

 ウチとしても今後のレンタルを想定した時に、やっぱりどういう使い方をしたがるのかとかモニターしておきたいし。


「そういえばレイネよ」


「はっ」


「例の件の告知はしてしまって良かったんじゃったかの?」


「はい、問題はありません。ただし、あくまでも受付のみの開始ですが」


「ふむ……」


『レイネたそおるんかw』

『いつも一緒だもんなw』

『てぇてぇ』

『というか告知!?!?』

『いとも容易く行われる告知と告知せず告知する雑談!w』

『ヒャッハー! これだから陛下の配信は見逃せねぇぜ!』


「まあ、今日は告知配信する予定ではなかったからのう。また別の日に、じゃな」


「そうですね。いきなり告知してしまうと混乱もあるかもしれませんし」


「そうじゃな」


『ああああああ!?』

『そこまで言ったなら情報を!』

『うがあああ! 気になるううう!』

『気になって夜しか眠れないいいい!』

『エフィール・ルオネット〆:おらァ! 吐け! 吐いちまえ!』

『ジェムプロ公式〆:エフィさん、あとでお話があります』

『草』

『エフィ草』

『それはそうw』

『アホやんww』

『陛下も可哀想なものを見るような目しとるでww』


「……何をしておるんじゃ、エフィは。しっかり怒られてくるのじゃな。今後のためにも」


 うん、まあエフィはしょうがないよね。

 普通に考えて、同じVtuberの立場でそこで吐かせようとするっていうのはどうかと思うし、ジェムプロ的にもそれを推奨するような宣言を公式アカウントでやられちゃうと、今後ジェムプロ配信で引き合いに出される可能性も出てきちゃうし。


 ユズ姉さん、笑って怒ってそう。

 エフィ、なむなむ。


「まあ焦らずともいずれ告知はするからの。今しばらく待っておるのじゃな」


『はーい』

『エフィの勇姿、忘れねぇぜ……!』

『じゃあの、エフィ』

『エフィール・ルオネット〆:あの、あのあの、助けてくれちゃったりしませんかね??』

『無理だろw』

『エフィおまえwwww』


「無理じゃ。しっかり怒られて反省でもするんじゃなー」


『かっるw』

『草』

『陛下、エフィの扱いを分かってるぅww』

『まあこればっかりはねw』


 だって、そんなこと言ってる間にユズ姉さんからも『Connect』で「エフィは説教しておきます。ごめんなさい」ってマジレスが飛んできたもの。


 私には止められない。

 さらば、エフィ。


「ま、何処ぞの阿呆は放っておくとして、代わりに軽くイベントのスケジュールについて事前にまとめておいたものでも発表するかの」


『マ!?』

『待ってた!』

『さすが陛下!』

『●REC』


 このままエフィをいじり続けるとジェムプロの配信みたいになっちゃうし、エフィのやらかしの印象が大きすぎるからね。

 そんな訳で、仕方なくスケジュールについて軽く情報を出すことで上書きすることにした。




 ちなみにユズ姉さんには、レイネが私の代わりに「しっかりお説教お願いいたします」と送ってくれていて、それに対してユズ姉さんからサムズアップのリアクションが返ってきていた。

 きっと今頃通話中だと思われる。




 改めて、エフィなむなむ。





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