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転生魔王の配信生活  作者: 白神 怜司
第五章 TURNING POINT
169/201

【配信】久々の雑談&告知配信 Ⅰ




「――さて、待たせたのう。ヴェルチェラ・メリシスじゃ」


『待ってた!』

『なんか久々?』

『最近忙しかったっぽいししゃーなし』

『一期生の配信めっちゃ観てるよー!』

『JK社長陛下、お疲れ様です!』

『JK社長陛下とか肩書き多いなwwww』


 久々の配信という事もあってか、コメントの流れが激しい。

 というかJK社長陛下って何それ。


「うむ、何かと忙しくてのー。まあ、妾の代わりにという訳ではないが、我が軍の新入りたちの配信も盛り上がっているようじゃし、別に妾が無理に配信せんでもよかろ?」


『何を仰っているのです!』

『陛下からしか摂れない栄養があるというに!』

『陛下が配信をしないなんてとんでもない!』

『もっと頻度増やしてほしい』


「妾から摂れる栄養ってなんじゃ……? んん、まぁ良い。少々こちらも落ち着いたのでな。前回も告知が入っておったから申し訳ないんじゃが、何せスケジュールに余裕がなくてのう。すまぬが、今回も告知を含めさせてもらっての雑談予定じゃ」


 若干の呆れを含みつつ、今日の配信予定について説明すれば、再びコメントが次々に投げられてくる。

 嬉しい限りではあるけれど、ちょいちょいネタに走ったようなコメントが散見されるというか……うん、元気だね。


「ではまず、一期生の話でもするかのう。一期生については同期コラボもそれなりに多くやっておるであろう? で、外部コラボについても近々解禁する予定なんじゃが……」


『おぉ、きちゃ!』

『ん?』

『なんか問題ある感じ??』

『クロクロのサツキたそとルチア姐さんのコラボが見たい!』


「うむ、期待してくれるのは有り難いんじゃが、あやつら、最近体力が限界でのう……。外部とのコラボだと気が休まらず、疲労を蓄積させてしまいそうなんじゃよなぁ」


『あー……』

『確かに、最近ルチア姐さんとノアちゃそがたまに死にかけてる』

『この前、ノアちゃん思いっきり寝坊しとったしなww』

『あれはもう一種のVの伝統芸能だわww』

『寝坊後の謝罪会見が爆笑だったw』

『ルチア姐さんが記者の役で、リリシアちゃんが何故か効果音役してたしなw』

『テロップに「※このためにシャッター音とか録ってミックスしました」とか書いてたしww』

『ノアちゃんも最初は泣き顔だったのに、ルチア姐のお笑い質問のせいで途中途中どう見ても笑いを耐えてたからな』

『あれはもう一種の笑ってはいけない記者会見なんよww』



 一期生の面々は最近、スタジオのオープンイベントに向けての体力作り、簡単なダンスレッスンや筋トレなど、体作りに励んでいて、体力的に余裕がない。


 いくらマンション内にジムやらプールがあると言っても、マネージャーとは別に、色々な芸能人なんかの体作りやダイエットサポートを行っているインストラクターもついてくれているから、これがなかなかにハードみたいだ。


 食事制限とかも頑張ってるみたいだしね。

 ダイエットというよりは筋力作りのメニューらしいけど。


 そんな状態で外部コラボとかで無理をさせてしまうのは忍びないというか、さすがにねぇ……。


 というか何その笑ってはいけない記者会見て。

 私知らないんだけど。

 あとで観てみよ。


「うむ。貴様らもだいたい予想がついておるようじゃが、あの有り様ではのう……。という訳で、なかなか踏み切れないと言えば踏み切れないところじゃな。まあ気長に待っておれ」


『待ってる!』

『エフィール・ルオネット〆:まってる!』

『エフィおって草』

『お前にゃ言ってねぇんだよ、エフィィッ!』


「ん? なんじゃ、エフィがおるようじゃな。少なくともお主には言っておらんぞ」


『エフィール・ルオネット〆:えぇーっ、なんでよーっ』

『草』

『エフィ、ハウス!』

『すみません、陛下。ウチの駄エルフが』

『なんか関係者っぽいのおって草』


「なんでって、お主とコラボさせたら妾の可愛い一期生たちが困惑するじゃろ。芸人といきなりコラボなんて、ハードル高すぎるであろ?」


『草』

『さすが陛下、エフィの扱いわかってるww』

『エフィール・ルオネット〆:芸人じゃないが!? アイドルなんだが!?!?』

『芸人やなぁ』

『そらそうよ』

『あい、ど、る?』

『あいどるってなんだっけ』


 ジェムプロ、クロクロの面々が配信でコメントすると、やっぱりVtuber視聴者層はある程度固まっている事もあって、その視聴者が一定数存在する。

 そのため、どうしても身内ノリみたいなコメントが投稿されてしまう風潮にあるから、普通は他の箱の配信でそう気軽にコメントはできなかったりするのが一般的というか、暗黙の了解になっていたりする。


 ただ、私の場合、箱になる前から――というか、箱になってからもその辺りは私については特に迷惑じゃないし、勝手にさせて構わない、という方向で両事務所にはとっくに伝えてあったりする。


 もちろん、そういう身内ネタで配信の流れが阻害されてしまったりすると厄介なのは確かだし、ジェムプロもクロクロも、スタッフさんとかがその辺りは心配していたけれど、そういうのは正直、実際にVtuberとして活動している以上、理解はしているし自重もしてくれるからね。


 むしろ私も積極的にイジるからね。

 ネタ提供サンクス、ぐらいの気持ちで対応させてもらってるよ。


「まあ、エフィが芸人であるという事実はともかくとして、妾も少しリアルの都合が落ち着いてきたからの。もうちょっとぐらい配信の頻度はあげられそうなんじゃよ」


『草』

『もはや事実扱い』

『お、マジ?』

『あんま無理しないでー』

『学校に会社にと忙しいだろうから、ホント無理はあかんww』


「うむ、無理をするという程のことでもないからの。気持ちは受け取っておくが、心配は無用じゃ。さすがに久しぶりの配信で、やっと配信したと思ったらまた告知、というのも如何なものかと思っておったんじゃが」


『告知があるとどうなる?』

『知らんのか?』

『リスナーが歓喜する』

『↑失望しました』

『ネタが成立しなかった』

『さすがにコメントで掲示板ノリはやめーやw』


「……なんというか、貴様ら、まったく気にしておらんようじゃの」


『実際、イベント打ってるってことだしなぁ』

『配信頻度が低くなるのは悲しいけど、その分充実したイベントとかあるならしゃーなし』

『#もっと休め陛下』

『おや、まさか陛下、ハッシュタグになってるのご存知ない??』

『イラストとか結構あがってるよw』

『だいたい陛下が忙しそうにしてるヤツだけどw』


「なんじゃそれ……? レイネよ」


「はい。確認したところ、かなりの数のイラストが上がっていますね」


 レイネがこちらにやってきてスマホを見せてくれる。

 そこには確かに『#もっと休め陛下』と書かれたタグ付けのSNS投稿が何故か大量に投稿されているらしかった。

 デフォルメした私が机に倒れ込んで書類に埋もれていたり、学校で授業中に寝ていて先生に指されて起きているものだったり、なんだか疲れ切ってる私がテーマになって、視聴者内でちょっとしたイラストコンテストみたいになっているらしい。


「……ふふっ、かわいい」


『あっあっ』

『ワイ女、無事死亡を確認』

『何今のかわいいやったー!』

『あーいけませんへいかー!』

『ギャップえぐ』

『そんな柔らかい笑顔見せてもろていいんですか!?』

『エフィール・ルオネット〆:はい、ヴェルちゃんは私の嫁決定!』

『調子乗んな駄エルフ』

『テメェ、戦争だぞ……?』

『そういうギャップいきなり見せてくるのは心臓にくるんよ……!』


 投稿されてるイラストを見ていたら、ついつい零れてしまった言葉と表情。

 それを見たコメント欄が何故か阿鼻叫喚と化していたことに、私は気付いていなかった。







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