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転生魔王の配信生活  作者: 白神 怜司
第五章 TURNING POINT
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【配信】変わらぬ魔王節 Ⅱ




 相変わらず政治がどうのなんて話をする羽目になったけれど、新規メンバーの発表に対するコメントの反応は上々。

 シルエットを背景に『魔王軍一期生デビュー』とデカデカと書かれている、私が描いた告知用の画像に、どんな見た目かを考察するかのようなコメントも散見される。


 その中には、3人という事もあってか、あの政治家騒動の動画に参加していた――つまりはトモとユイカ、このみんなのでは、なんて声もあがっているらしい。


 閃いた、みたいな感じ出されても違うんだけど。


「個人勢であった妾と、そんな妾を支えてくれたレイネ。そしてバックアップされる形で配信を始めたロココは、少々特殊な立ち位置と言えるであろう。故に、此度『魔王軍』として正式にプロデュースし、バックアップしていく事になった面々こそ、我が『魔王軍』所属の最初のメンバー、故に一期生という訳じゃな。いわば妾たちは番外――零期生といったところかの」


『なるなる』

『ほな一期生やなぁ』

『おー、なんか箱になったって改めて実感するw』

『一期生楽しみ!』

『バブルの子くるー!?』

『やっぱあの3人娘でしょ!』

『陛下の箱でデビューとか、大手より恵まれてるのでは?w』


 声は届かなくても、コメントの流れる速さで興奮度合いはひしひしと伝わってくる。

 同時接続人数も気がつけば18万人とかいう数字になってるし。


 ……いや、別に記念ライブとかやってるジェムプロのVじゃないんだから、こんなに増えるのホントなんでだろ……。


「デビュー配信については、次の日曜、20時からリレー形式で行う予定となっておる。一人あたり30分の配信予定となっておるのでな。是非応援してくれると嬉しい。ちなみに、以前の騒動の時に出た3人とは別じゃぞ」


『わかったー!』

『え、違うの!?』

『陛下の箱……。え、つまりしょっぱなからこの映像って、コトォ!?』

『他所様じゃ3Dモデルが完成するのに数万、数十万ってボーダーがあるのにw』

『ワンチャン2Dモデル用意するより楽だったりするのかな?』

『モデルのママ誰なんだろ?』


「あぁ、モデルのママについては妾じゃな」


『は?』

『マ?』

『現役JK魔王さん、一日何時間で動いてるって言うんです??w』

『そんなあっさり作れるわけないだろ、いい加減にしろ!』


「まあ、正確に言えば妾とレイネと言った方が正しいやもしれぬが」


『ほわあああ!?』

『キ、キマシ……!?』

『二人の娘!?』

『ここにでっかい百合の塔を!』


 モデルのイメージは私が作っているし、魔道具の方で移す幻影についてはレイネが刻印してるからね。

 間違ってはいない。


 というか百合ネタ好きだね、臣下諸君。

 私も嫌いじゃない。

 ただしVに限る。


「あぁ、最初に公式として言っておくが、今回は前世持ち――いわゆる、他所の箱で活動していたり、個人勢で活動していたような者はおらぬゆえ、前世警察みたいな中途半端な考察はいらんぞ」


『おぉー、そうなんだ』

『たまにあるよね、そういうのw』

『閲覧数乞食のネット記事とかなw』

『初手どころか出る前から公式公言で潰してて草』

『新人とかどうやって集めたの? 学校の友達?』

『モデルのコンセプトとかは?』

『ロココちゃんが先輩ヅラして泣かされるの楽しみにしてますw』


 臣下のみんなも色々気になっているみたいだけれど、今回デビューしてもらうメンバーについては、まあ今後彼女たちの配信で細かく自分から話してもらうだろうし、私からあまりデビューの経緯や情報を出すつもりはない。


 なので少々話の方向性を変えさせてもらう。


「一期生については本人らが語ってくれるじゃろうし、まあ楽しみにしておれ。あと、ロココが泣かされるのが楽しみというのは、アレじゃな、妾も楽しみじゃ。ちなみに、二期生からはオーディションで集める予定じゃ」


『ロココちゃん逃げてww』

『地味に陛下も楽しみとか草』

『え』

『オーディションマジ!?』

『いや、いやいやいやww』

『もう二期生も集めるって公言してて草』

『オーディション!?』

『フットワーク軽すぎわろたw』


「うむ。詳しくはSNS告知やホームページ、動画でも告知する予定じゃがの。まずは一期生のフォローを優先するのでな、そちらが実際に動き出すにはもう少し時間がかかるであろう。気長に待っておれ」


『へーい』

『そういえば、陛下のトコは女性限定?』

『新しい男性Vを……』

『男性Vは伸びにくいしなぁ』

『是非落ち着きのある男性Vを!!』


「男性Vについては、特に考えておらんな。まぁ別に毛嫌いしておる訳でもない、どっちでも構わん。女性限定となると、ジェムプロなんかはそうじゃな。まああそこはアイドル系Vとして売って……おった、よな? エフィとかも」


『エフィは芸人でしょ?』

『ステージ上ではアイドル、配信は芸人』

『芸人が8割を占める。アイドルは行方不明』

『エフィール・ルオネット〆:はぁーー? アイドルなんだがー? きゃぴっとしとるがー? 目に☆とか入ってるんだがー?』

『エフィおるやんけ』

『おまえそういうとこやぞw』


「……エフィおるんじゃな。まあお家芸的なプロレスは放っておくとして、じゃな。ともかく、ガチ恋勢なんぞがいると異性との絡みがダメという話になったりと思うんじゃが……そもそもガチ恋勢なんて妾のトコにおるのかの?」


『あっ』

『すぅーー……』

『陛下は……ほら、恐れ多いといいますか、その……』

『ぶっちゃけリアル見た目もつよつよだし、モテそうではあるけど、ガチ恋できるかっていうと……』

『高嶺の花現象ある』

『ぶっちゃけアホな俺らじゃ粛清されそう』

『臣下軒並み目そらし感あって草』


「いや、妾、ガチ恋勢が欲しいと思ったことはないんじゃが? なのにそういう憐れまれるような感じ、どうかと思うんじゃが?」


 いや、臣下(キミ)らね。

 草じゃないが。

 そもそも私、ガチ恋営業なんてしてないんだからいなくていいんだけど?

 そんな反応されるとなるとちょっとほら、言いたいことぐらいあるんだが?


『だって、陛下って恋とか興味なさそうだしw』

『そもそも女を武器にしてないでしょw』

『他の女の配信いかないでー、とかもないじゃんw』

『むしろそういう女がいいならそっち観てこい、たわけって言いそうw』


「む、それはそうじゃな」


『女性リスナー多そうよねw』

『アナリティクス公開してくれてもええんやで?』

『ちなワイ女』

『私も』

『お、ドコ住み? てかConnectやってる?』

『出会い厨botみたいなのやめいw』

『ごめんなさい、ガチで答えられても何もできないです』


 うん、どうやら私にそういうのは求められてないみたいだね。

 いや、ぶっちゃけ私自身が恋愛どーのこーのなんてものに興味がある訳じゃないんだけどさ。




「――ちなみに、陛下に近寄る下半身で物事を考えるような輩は……消します」




『ひぇ』

『ぞわっとしたわ』

『レイネたそこっわ』

『最後の一言で本気でぶるっとした』

『キマシタワーとかフザけられるレベルじゃねぇw』

『(心臓い)てぇ(い)てぇ』


 ……レイネ、地味に魔力乗せて威圧してたよね、今。

 多分だけど画面越しに届いているはずなのに、割りと普通にコメントしてられるあたり、視聴者の心臓強すぎない?


「レイネ、大丈夫じゃぞ。そんなのそうそうおらんじゃろ」


「陛下。十代半ばの男なんて、猿のようなものです」


「偏見がすごい」


「実体験に基づいてそう判断しております」


「……そっか」


『そそそそんなことあらへん!』

『まあ露骨に視線とか感じるよね』

『バレてないと思ってるのかもしれないけど、さすがにね』

『ちょっとはね』

『生々しいコメントがちらほら出てきて草なんよ』

『え、バレてるの……?』


 微妙に爆弾を落として、その日の配信は終了した。





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