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4月11日(1) お見舞い品って何を送ればいいの?の巻


「納得がいかない」


 4月11日土曜日。

 俺は啓太郎が入院している病室で、彼に出された入院食を食べながら、彼の話に耳を傾ける。


「何であんな大怪我を負った司がすぐに完治して、僕は2週間入院しなきゃいけないんだ!?不公平だ!!」


「そりゃ治っちまったもんは仕方ないだろ」


 啓太郎の口を軽く聞き流しながら、俺は鮭の皮を口に入れる。


「にしても、半日寝ているだけで全治6ヶ月の傷を完治させるとは。アイギスの籠手を褒めるべきか、それとも、貴方を褒めるべきか………」


 啓太郎の隣のベッドにいるキマイラ津奈木は複雑そうな表情で俺を見つめる。

 彼と鎌娘は魔女だった男から出てきた変な奴に重傷を負わされたらしく、啓太郎同様2週間入院しなきゃいけないらしい。


「お前らは回復魔法みたいなので傷を治さないのか?」


「回復魔術を使った結果、2週間の入院で済んでるんですよ。本来なら貴方同様全治6カ月の傷を負ってたんですから」


 どうやらキマイラ津奈木の怪我も俺が考えている以上に重いらしい。

 屋根から飛び降りて複雑骨折した啓太郎と大違いだ。


「で、司。君は何しにここに来たんだ?君の事だ。僕の病院食を食べに来た訳じゃないんだろ?さっさと寝たいから、手短に要件を済ませてくれ」


「俺が気絶した後の事を教えて貰おうかなと思って。あの後、四季咲達はどうなったんだ?」


「君が天使ラファエルをワンパンしてくれたお陰で、彼女達は元の姿に戻れたよ。聖十字女学園の生徒会メンバー以外の生徒は無事に家に帰れたそうだ」


「生徒会メンバーって、……四季咲や蛇女達の事だよな?あいつらは家に帰れてないのか」


「天使ラファエルによって、彼女達はキマイラ津奈木達程ではないが、傷を負ってしまってね。現在、ここ──桑原病院で療養中だよ」


「そうか。なら、お見舞いに行かねえとな」


「彼女達はともかく酷いのは魔力搾取に遭った日暮市の人々だ。強引に搾取された後遺症により、彼等は今も尚、高熱に苛まされているらしい。エリの見解によると、あと数日で完治するとされているが、どうなる事か。その影響で日暮市の小中高の入学式は延期になったそうだ」


「え!?入学式延期って事は休みが増えるって事か!?よっしゃああああ!!!」


「被害者にタコ殴りされてしまえ、不謹慎野郎」


 啓太郎はシンプルな罵倒を俺に浴びせる。


「で、魔女だった男はどうなったんだ?」


「彼は今意識不明の重態だ。天使の力を長く使った代償なのか、身体中ズタボロらしくてね。魔術による治療でもすぐには治らない傷を負っているらしい。美鈴ちゃんのように神器としての適正があったのなら、話は別だったらしいが。まあ、治らない傷じゃないみたいだし、時間はかかるが、元の生活に戻る事ができるだろう」


「……そっか」

 複雑な気持ちに陥る。

 こう言っちゃなんだけど、あいつの重態は自業自得だ。

 善行が巡り巡って自分に返ってくるように、悪行も巡り巡って自分に返ってきたんだろう。

 まあ、何はともあれ、治る傷で良かった。

 ここで死なれたら後味悪いし。


 啓太郎に用意された病院食を食べ終わった俺はハンカチで口元を拭う。


「さて、聞きたい事も聞いた事だし、四季咲達のお見舞いに行かないとな。なあ、キマイラ津奈木、女子高生に喜ばれるお見舞い品って何持って行けば良いんだ?」


「果物を持って行けばよろしいんじゃないんですか?」


「えー、でも、あいつらお嬢様だぜ。そこら辺で買える果物持って行った所で食って貰えるのか?」


「ならば、花はどうだ?花は良いぞ、手軽に女心を掴める」


「全女性に謝罪しろ。ていうか、何の花渡せば良いか分からねえよ、菊の花か?」


「何故、君は的確に地雷を踏み抜けるんだ?

菊の花は葬式や墓に供える花であって、生きている人に渡す花ではない」


「へえ、そうなのか。じゃあ、スノードロップっていうオシャレそうな名前の花を渡したらいいのか?」


「スノードロップの花言葉は"あなたの死を望みます"だ。君は彼女に喧嘩を売りたいのか?」


 尽く地雷を踏み抜いてしまうので、花を送るのは止める事にする。

 そもそも、花を渡すとかいうキザっぽいのは俺の趣味じゃないし。


「貴方のお勧めの本とかはどうでしょう?彼女達も入院生活に飽きていると思うので、ちょうど良いのでは?」


「キマイラ津奈木、その提案は彼にしない方が良い。健気な女子高生達の手に男性向けのエロ本が渡ってしまう」


「お前は俺を何だと思ってんだよ!?」


「歩く性衝動」


「聞き覚えのある2つ名が飛び出て来やがった!?」


「食べ物と花が駄目となると、…….残りはメッセージギフトしか思いつきませんねえ」


「ん?メッセージギフト?」


「寄せ書きみたいなものです。最近はバルーンフラワーやオルゴールみたいなものでメッセージを送っているそうですよ」


「ああ、それは良さそうだな。裏紙に書けば金もかからないし」


「裏紙を使ったメッセージギフトなんて聞いた事ないんだが」


「黙れ、啓太郎。こういうのはな、気持ちさえ伝われば良いんだよ」


「裏紙に気持ちもクソも込めらないと思うんだが」


 そう言って、俺はメッセージの内容を考える。

 だが、四季咲の事を全然知らないので、何も思いつかなかった。


「神宮さん。こういうのは、色々気取った言葉で着飾るよりも、思った事をそのまま書いた方が伝わるんです」


「それもそうだな。んじゃ、思った事をそのまま書くか」


 病室に置いてあったメモ用紙とペンを手に取った俺は四季咲のメッセージを書いていく。


「とりあえず、……"おっぱい揉みたい"と」


「「落ち着け性衝動」」


「ん?気持ち篭ってるだろ?」


「メッセージギフトで込めたらいけない類の気持ちがな」


「でも、他に込めたい気持ちがなきんだよなあ。あいつらとの付き合いが長いって訳じゃないし」


「100歩譲って、おっぱい揉みたいは止めといた方が良いと思います。助けた弱みに漬け込む変態になりたくなければ」


「何でわざわざあいつらの貧相な胸を揉まなきゃいけないんだよ。俺はGカップおっぱいを揉みたいんだけなんだ。決してあいつらのおっぱいを揉みたい訳じゃない」


「なら、何でメッセージギフトにおっぱい揉みたいって書いているんですか!?」


「いや、お前が思った事をそのまま書けって言うから……」


「そういう意味で言ったのではありません!!」


 メッセージギフトも俺の柄じゃなかったので、素直に諦める。


「仕方ねえ。近くの商店街でお見舞い品探して来るか」


「おい、窓から出るな。僕らがお医者さんに怒られるだろうが」


 啓太郎の言い分を無視して、俺は病室の窓を開けると、3階から飛び降りる。

 着地するや否や桑原病院近くにある商店街に向かい始めた。



 新しくブックマークしてくれた人、そして、評価してくれた人、そして、いつも読んでくださる人、過去にブックマークしてくれた人にこの場を借りて厚くお礼を申し上げます。

 これからも皆さんが楽しめる物語を提供できるように頑張ります。

 

 まだ具体的な日時は決まっていませんが、来週辺りに一万PV達成記念用の短編と魔女騒動編と人狼騒動編を繋ぐエピソードを投稿する予定です。

 また、新章である人狼騒動編は2月27日から更新を予定しております。

 新章に入ってからも毎日更新し続けるのでよろしくお願い致します。

 

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