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12 どこから来てどこへ行く

 その後ルヴェリクは、マオちゃんを見ても大きな反応を示さなかった。

 いや、さすがに魔族ということには驚いていたけど、別人格のように魔族との関連性を疑わせるような反応ではない。


 で、今晩はルヴェリクをこの領事館に泊めて、休ませることにする。

 おそらく彼女の精神を安定させることが、人格統合の近道だろう。

 ならば私との信頼関係を、構築する必要がある。

 その為にも触れ合いは大事だ。


「それでは、一緒に寝ましょうか!!」


「いけません、お姉様!!

 そんな破廉恥なことを!!」


「添い寝をするだけです。

 なにもやましいことはありません」


 破廉恥なのはてめーだ、クオ!!

 脳内ピンク色か!


『大体、この姿で何も起こるはずも無く……』


 私は仔ギツネの姿へと変化した。


「あああぁ!!

 相変わらず愛らしいお姿っ!!

 ──あうっ!?」


 クオが私に跳びかかろうとしたので、尻尾で顔面を引っ叩いておいた。

 この姿に興奮するなよ……。

 ケモナーも大概にね?


 だが一方で──、


「ふわぁぁぁぁ……」


 ルヴェリクも胸のときめきを、抑え切れない様子だった。

 あ~……私の可愛らしさが、クリティカルしちゃったかぁ。

 カワイイは正義だなぁ。


『特別に私を抱きしめて眠ってもいいですよ?』


「いいのですか!?」


 お、おう……。

 ルヴェリクはめっちゃ乗り気だった。


 なお、彼女の寝相は結構酷い物だったよ……。

 次は無いな……。




 翌日、クラリスに会う為に、王城へと向かう。

 で、女王クラリスを前にして、ルヴェリクはというと──、


「お初にお目にかかります、女王陛下。

 私はクバート帝国アシュライ伯爵が長女、ルヴェリクです。

 (ゆえ)あってアイ様に、同行させていただきました」


 第三の人格が挨拶をしていた。

 どうやら女王と対面する緊張感に耐えかねて、人格が交替してしまったらしい。

 ねえ、皇帝であるアーネ姉さんや私にはそんな反応しなかったんだけど、もしかして私達姉妹(しまい)はナメられてない?


「ああ、遠くからようこそ。

 私に何か要件でも?」


「いいえ、アイ様の麻薬捜査に協力することになったので、事後承諾となりますが、その許可を……と」


「そういうこと……。

 それはいいけど、捜査に関して皇帝との間で、何か取り決めでもあったのかしら?」


「いえ、それは特に……。

 ただ私は、帝国内でも自由に動いてもいい……って感じでしたね」


 と、クラリスに報告すると、彼女は意外そうな顔をした。


「随分と信頼されているわね。

 皇帝に何かしたのかしら?」


「いえ、行方不明になっていた1番上の姉が、皇帝になっていただけですよ」


「は?」


「姉が帝国を乗っ取っていました」


 私の言葉を受けて、クラリスは頭痛を堪えるように、(ひたい)へと手を当てた。


「またなの!?

 あなた達姉妹は、国家の政変に関わりすぎじゃない!?」


 まあ……近隣三カ国のトップは、私の関係者だからねぇ……。

 

「というか、魔族の国に囲まれて、うちまで魔族の国になってしまいそうよ!?」


 リバーシかな?

 でも、魔族がトップの国に挟まれて、不安なのは分からないでもない。


「帝国で魔族なのは姉さんだけだと思うので、大丈夫だと思いますよ?

 それよりも麻薬事件の調査報告は、上がってきていますか?」


「ああ、それね……。

 事件の発生現場を地図にまとめたものが、ここにあるわ……」


「ありがとうございます。

 関係者には報酬をはずんでください」


 広い国内各地から情報を集める為には、「転移魔法」を駆使しなければ難しかっただろう。

 私達姉妹以外だと、「転移魔法」を使える者は数えるほどしかいない。

 しかも魔力の関係で、私達ほど長距離は跳べないから何度も繰り返す必要があるし、結構大変だったはずだ。

 それを数週間でやってくれたのだから、本当にご苦労様……と、(ねぎら)いたい。


 で、事件が発生した現場が書き込まれた地図を見る。

 これを参考にすれば、ある程度麻薬の流通経路が分かるはずだ。

 すると──、


「これは……!」


 王国の西に向かって流れ、帝国にもまたがっている大河ラフシア──その沿岸の町々に事件は集中していた。


「船で麻薬を運んでいる……?

 いえ、それもあるかもしれないけど……」


「ええ、凶暴化した魔物の襲撃も増えているわ」

 

 河に麻薬を流している……!?

 そしてその汚染された水を飲料とした人や動物……そして魔物が、暴れている……!?

 ヤバイじゃん!?


「正直言って私には即応できないわ。

 騎士団の準備は終わっているから、彼らを連れて現地へ行ってくれないかしら?」


 なるほど……数百人単位の人間を1度に「転移」させることができるのは、私くらいだもんなぁ……。

 普通にウマなどで移動していては、何週間かかるか分からないから、クラリスは私が帰ってくるのを待っていたのだろう。


「そうですね……。

 そうしましょう!」


 麻薬で凶暴化した者達の対処しつつ、おそらく河の上流にあるであろう麻薬の製造拠点を見つけ出して叩き潰す。

 可能なら河を──いや、せめて人々の飲料水や農業用水として必要な分だけでも、浄化する必要もある。


 これは大仕事だぞ……。

 姉妹や弟子達にも協力を求めた方が、良さそうだな……。

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