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5 帝都の闇

 さて、私は目立たないように仔ギツネへと姿を変え、隠密スキルを使いながら夜の帝都へと出掛けた。


 麻薬組織を潰す為には、まずは末端の構成員から捕捉しなければならない。

 麻薬の取り引きをしているといったら、繁華街かな?

 夜になっても人通りが多く、活気に満ちているから、犯罪者も紛れ込みやすい。


 ここを中心に調べてみよう。

 方法は麻薬の臭いを、追うだけでいい。

 私はイヌくらい鼻が良いから、少しでも臭いが残っていれば、追尾は可能なはずだ。


 ただ、私の鼻でカバーできる範囲にも限界があるから、この繁華街で見つからなければ、帝都中を調べなければならなくなるが……。

 ……その時は分身を作って作業を分担するか、弟妹(ていまい)達を呼び寄せるか……。


 それにしても繁華街は人が多い所為か、酒やら化粧やらの臭いが混じって、そこから麻薬の臭いだけを嗅ぎ分けるのは、ちょっと大変だなぁ……。

 できるだけ臭いに接近しないと……。

 

 う~ん……じゃあ「影属性魔法」を使って、私の影を広げてみるか。

 数百mはいけるかな?

 その影と私の感覚を、同調させる。

 魔法はイメージの力が物を言うので、可能だと思う。

 

 私と帝都の闇は一心同体──闇が感知した臭いは、私にも分かる──はず。


 ……お、反応があった。


 私は臭いがする方へと進む。

 繁華街の裏路地の方か……。

 

 しかし人影は無い。

 誰かが持ち歩いた、麻薬の残り香だけが漂っている……?

 それを辿っていくと、唐突に臭いが途絶えた。

 

 そこは誰も通りそうに無い、袋小路だ。

 あからさまに怪しい……。


 だけど周囲に、人の気配は無かった。

 麻薬の臭いを残して、何処に消えた?

 まさか「転移魔法」で?

 いや──、


「地下に……空間がありますね?」


 ここが組織の拠点かな?

 私は「転移」で地下へと侵入する。


 ふむ……結構広いな……。

 まるでダンジョンみたいだ。

 人造の地下迷宮といったところか。


 そして地下だけに、麻薬の臭いが充満している。

 組織の人間は、ここに長居して大丈夫なのか?

 構成員を見つけたら、無力化して連れ出した方がいいかもしれないね。

 

 で、彼らには奴隷契約術式を(ほどこ)して、農業にでも従事してもらうことにしよう。

 食糧の自給率は国家にとって重要なことだから、犯罪奴隷を駆使してでも充実させなきゃ、いざという時に国民が飢えるからね……。


 そう、罪を犯した者は、多少人権を制限してでも、公益に資する形で償ってもらうよ。

 更生だ社会復帰だということは、被害者の救済とか、諸々を償った後で考える話だ。

 麻薬の蔓延は社会を不安定にし、しかもそれを製造した反社会的組織やならず者国家の資金源になるのだから、それに関わることは間接的に平和を(おびや)かしているという、決して軽くない罪だ。

 簡単に償いが終わるとは、思わないでもらいたい。


 さあ、戦闘をするのなら、人型に戻って着替えるかな。


「な……なんだ、お前は!?」


 あ、組織の人間に見つかった。


「着替えを覗くなんて、失礼な人ですね……」


 そんな私の言葉を無視して、男は剣を抜いて斬りかかってきた。

 いきなり殺意が高いなぁ。

 だけどその(やいば)は、何者も傷つけない。


「なっ!?」


 男の手の中から、剣が消えていた。

 その剣は、私の「空間収納」の中だ。

 使いこなすと、敵の武器を直接収納して奪い取るのも、そんなに難しくはないのよ。


「ほい」


「ぐおっ!?」


 私の尻尾の一撃で、男はあっさりと意識を手放した。

 じゃあ奴隷術式を施して……え~と、取りあえずリーザのところへ「転移」で送っておこうかな?


『リーザさん、これから捕らえた麻薬組織の構成員を城へ送っていきますので、対処をお願いします』


『えっ、はっ!?

 ちょっ──』


 よし、「念話」で報告しておいたから、これでいいだろう。


 それからも私は、組織の人間と遭遇する度に無力化して、城へと送っていった。

 

 おっ、麻薬が入った箱を発見。

 結構な数があるなぁ……。

 何処から運び込んだんだろう?

 大量の物資を搬入できる出入り口が、何処かにあるのかな?


 まあともかく、これらの麻薬も「空間収納」へ没収。

 これを繰り返していけば、いずれこの地下拠点は、完全にもぬけの殻となるだろう。

 その後は「地属性魔法」で埋めてもいいんだけど、防空壕とかに使えそうだから、帝国に管理してもらおうか。


 ん……?

 私を迎撃しようという構成員がこちらへと集まってくる一方で、私から離れていく気配もあるな……。

 組織の重鎮が、逃げようとしてるのかな?


 だけど私の「索敵」で捕捉された時点で、逃げ切れる訳がないじゃない。

 さっさと雑魚を片付けて、捕まえてしまおう。

 雑魚なら何人来ようと秒で無力化できるから、数十秒もあれば追いつくだろう。


「そこの人、止まりなさい!

 床に伏せて、手を頭の後ろに組み、そのまま動かない!

 大人しく従えば、この場での命の安全は保証します!」


 私は逃げている存在に追いつくと、その背中に呼びかけた。


「くっ……!!」


 その呼びかけを受けて振り返ったのは、身なりの良い14~15歳くらいの少年だった。

 ん~? 貴族の子かな?

 

 組織に捕まっていた、人質とかではないよね?

 となると、また麻薬の背後に貴族が関わっているのか?

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