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17 魔に堕ちる

 麻薬密売組織の者達が、麻薬の原液を飲んだら魔物化してしまった。

 私はこれで人間をやめました……ってか?


 変化した男達の姿は、身長3m以上まで膨れ上がり、皮膚も紫色に変色している。

 その皮膚の質感は、岩のように硬質化している部分もあって、まさに怪物だ。

 おいおい、ドーピングコン●メスープかよ。


 これはどう見ても、普通の麻薬ではない。

 こんな物を作れるとしたら、やっぱりクジュラウスかなぁ……?

 クオの時のように、魔物を人間にする技術があるのなら、その逆も不可能ではないはずだ。


 あいつ……正面から戦っても勝てないからって、国の治安を悪化させるような形で、嫌がらせを仕掛けてきたのか?


 ともかく只の人間が、オーガやムーミn……いや、トロールのような怪物へと姿を変えている。

 便宜上、「人造オーガ」とでも呼ぼうか。

 まずはこいつらへの対応が先だ。

 クジュラウスのことは、後で考えよう。

 

 で、対応についてだが、ぶっちゃけ危険を冒して赤の他人──しかも死罪がほぼ確定している犯罪者を、魔物から人間へ戻す必要性は感じていないし、ここはすみやかに倒すべきだろう。

 ただ、能力くらいは見極めておいた方が、今後の対応にも活かせると思うんだよねぇ……。

 だから私の「狐火」によって、瞬殺するというのはまず無いな……。


『ナユタ、アカネ。

 武器を通常の物に持ち替えて、本気でやってください』


「おう!」


「はい!」


 人造オーガの能力は、素体となった人間から比べれば格段に強くなっているように見える。

 おそらくその辺の騎士や冒険者では、苦戦は必至だろうね。

 だけどナユタとアカネの実力ならば、余裕で倒せる範囲だろう。

 ただし、私が用意した麻痺ナイフでは、さすがに魔物化した連中を倒すのは難しいので、武器は持ち替えさせる。

 

 その結果、ナユタの持つ爪付きの戦槌「熊手(ベアークロー)」は、人造オーガの強靱な肉体をあっさりと斬り裂いた。

 こちらは問題無し。

 

 一方アカネには、ドワーフ達に作らせた刀を与えてある。

 彼女はその刀に、私がいくつか()げた名前の候補の中から「黒鉄(くろがね)」と名付けて、喜んでいた。

 ちなみに他の候補は、「髭切」とか「正宗」とか「雛」とか「ラグナロク」とか「ちゅん●ゅん丸」……等々。


 見たところ、アカネによる刀の扱いは、なかなかの物だった。

 刀は切れ味こそ鋭いが、繊細な武器だ。

 ドワーフの技術と私の魔法付与でで強靱な作りになっているとはいえ、力任せに振ればいずれ刃は欠け、刀身も曲がるだろう。

 しかし彼女の刀を扱う技術は高く、人造オーガの肉体を斬り裂いても、血で汚れてすらいない。

 彼女は初代勇者である日本人の血を受け継いでいるらしいから、相性がいいのかもしれないね。


 ただ、人造オーガも一筋縄ではいかない。

 ナユタとアカネの攻撃は、確実に効いている。

 しかし彼らは倒れない。

 負った傷が、あっという間に回復していくのだ。

 -1.0ゴ●ラかよ!?


 しかも性質(たち)の悪いことに──、


「グウゥ……イタイ、イタイ」


「くっ……!」

 

 人間の意識が半端に残っているのと、再生はしても痛覚はそのままらしく、ダメージを受ける度にやたらと苦しむリアクションをするんだよなぁ……。

 これはやりにくい。

 いっそ完全な怪物になってくれていた方が、攻撃する方も躊躇(ためら)わなくて済むんだが……。


『これは即死させることを狙った方が、良さそうですね。

 さすがに頭部を失えば、活動を停止するでしょう』


「そうだな、師匠」


「分かりました」


 方針が決まれば、2人の行動は早い。

 あっという間に、2体の人造オーガの首を撥ね飛ばした。

 ……うん、狙い通り、頭部を失ったら活動は停止するね。


 残るはあと4体。

 制圧はそんなに難しくない──が、


「時間、稼ゲ」


 ここの責任者だったと思われる個体が、指令を出した。

 その直後、3体の人造オーガが跳びかかってきた。

 あんな姿になっても、上下関係は崩れないのか……。

 悲しいなぁ……。


 そして指令を出した当人はというと、首を落とされ、活動を停止した仲間へと食らいついた。


「「!?」」


『意表を突かれたのは分かるけど、油断しない』


 ナユタとアカネの動きが一瞬止まったので、私は注意する。

 ただ、私も驚いたのは事実だ。

 あれは仲間を食って……いや、血を飲んでいるようだね……。


 目的はエネルギー……ではないな。

 たぶん麻薬の成分を得ようとしている……のか?

 あの原液で人間をこれだけ変化させるのだから、その成分を更に吸収したら──?


 おそらく更なる変化が生じるのは、当然の帰結であろう。

 その身体(からだ)は再び膨張を始め、より異形な姿へと変じていった。

 今日も読んでいただき、ありがとうございます。

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