26 これまでの姉さん
「美味い!
美味い!」
ネネ姉さんが炎柱・●獄さんみたいなとを言いながら、レイチェルが作った料理を頬張っていた。
ただでさえ食いしん坊の彼女にとっては、その美味しさは衝撃的だったようだ。
もう犬食いしそうな勢いだけど、さすがに人型でそれは下品なので、スプーンの使い方を教えた。
姉さんには奴隷契約を上書きして私に従うようにしているので、ちゃんと言うことは聞いている。
人型になる以上は、最低限の所作などの常識は身につけてもらう必要があるけど、この奴隷契約を活用すると、すぐに実行できるようになってくれる。
教えたことが命令として、頭にすり込まれるのだ。
何気に教育としてはかなり効率がいいけど、一歩間違えば性質の悪い洗脳のようなものでもあるので、運用には細心の注意を払わなければならない。
まあ、普通の教育にもそういう側面もあるから、結局は使い方次第だ。
実際姉さんは人型になったばかりで、人間の言葉の発音が上手くできない状態だったけど、命令込みで教えたらある程度はすぐに喋れるようになったし、結構便利だぞ。
それに別の目的もある。
「くっ……!?」
スプーンを口に運ぼうとしていた姉さんの手が止まる。
まだ食べたそうにしているのに、その手がどうしても動かないのだ。
「どうしたんだい、お嬢ちゃん?
お姉さんが食べさせてやろうか?
ほら、あーん」
「……いや、お前からはいい」
「そんな!?」
姉さんがリチアからの餌付けを拒否した。
さすがに彼女からは、邪な物を感じたようだ。
で、自分でなんとか食べようとしているが、どうにも手が動かない。
「はい、これ以上は食べ過ぎなので、ごちそうさまをしましょう」
「そんな……!?」
「また太るようなことは、許しませんよ?」
「ぐぬぅ……」
私に睨まれて、姉さんは食事を断念した。
そう、奴隷契約をダイエットにも活用しているのだ。
これで食べ過ぎないように命令を出しておけば、もう絶対に肥満体になることはない。
……一応ちゃんとした量は食べさせているので、虐待じゃないからね?
それにあまり食べさせて成長されると、私とキャラ被りをするから、当面は幼女の姿でいてもらおうと思う。
実際リチアじゃないけど、ケモ耳幼女は需要があるしね。
私も後でモフり倒す予定だ。
「さて、腹も八分目になったところですし、姉さんにはどうしてこうなったのか、それを話してもらいましょうか」
「あん?
こうって?」
「ブクブクと醜く太っていたことや、ラッジーン程度の雑魚に支配されていた件ですよ……!」
あれはちょっと、擁護できないほどの醜態だったなぁ。
「あ……ああ……それね……」
私の迫力に押されて、姉さんがたじろぐ。
う~ん、なんだかシファに似たものを感じる。
姉さんって、こんなにヘタレた感じだったっけ?
それとも私が勝ったから、群れの中での序列が上だと認識されるようになったのだろうか?
「それは……何処から話せばいいんかな……?」
「最初からでいいのでは?
時間はありますし」
「え~と……じゃあ、そうだな……。
暫くの間は、アーネ姉さんと旅していたんだけどね……。
姉さん、いつの間にかどっか行っちゃってさぁ……」
「……まあ、アーネ姉さんですし……」
天然だから、行動が読めないんだよね、あの姉……。
「捜したけど、結局見つからなくてさぁ。
あちこち歩き回っていたら、人間に出合ったんだ。
で、攻撃された」
「は?」
攻撃されたの?
我々は愛らしいキツネなのに。
あ~……でも、毛皮目的で狩ろうとする奴はいるかも……。
「その時は撃退したんだけど、それからも人間に出合う度に追いかけ回されてさー」
んん?
私、人間にそんなことされたことは、ほぼ無いけどなぁ……。
「で、ある時倒した人間に私を狙う理由を聞いたら、その理由が分かったんだ。
何故か私に、懸賞金がかけられているらしくてさぁ……」
「あ」
「ん、なに?」
「い、いや、なんでもないです……」
そういや私、人身売買組織とかの裏社会から、懸賞金をかけられていたわ。
姉さんは私と誤認されて、賞金稼ぎに追い回されていたってことなのか。
「だから根本から解決する為に、その賞金を懸けている組織に乗り込んで潰していた訳よ」
なるほど……。
裏社会の組織は、各地に点在するし、1つや2つを潰したところでは終わらない。
その戦いの繰り返しによって、あれだけレベルが上がったのか。
「で、潰した組織の奴隷達が囚われていたから、解放していたんだよね。
そして私を慕ってついてくる……って者もいてね」
「へえ……」
さすがは姉妹。
私も同じ立場なら、同じことをしただろう。
「で、その奴隷達の中に、ラッジーンもいた訳さ」
ああ、そういう繋がりなのか。
いつも応援ありがとうございます。
急病にて病院へ行くことになったので、次の更新がいつになるか分かりません。




