23 姉妹対決(ダイエット)
「おい、何をやっている!?
はやく邪魔者を、片付けんかいっ!!」
ラッジーンがネネ姉さんに対して、がなりたてる。
もう姉さんしか味方が残っていないから、彼も必死だ。
しかし姉さんは、その命令に対して不満顔だ。
『え~?
無理じゃん。
あの妹の強さ、ちょっとおかしいもん。
子ギツネの時に、グリフォンを倒す化け物だよ?』
化け物言うなし。
太りすぎた今の姉さんの姿の方が、余っ程化け物だよ。
その状態でもしも人化したら、マシュ●ロマンが爆誕するよ。
それでも姉さんは、ラッジーンによる奴隷契約の支配に抵抗している。
これなら戦闘は、回避できるかな?
しかし──、
「いいからやりやがれっ!!
飯抜くぞ!?」
「…………!?」
ラッジーンの言葉に、姉さんの目の色が変わった。
奴隷契約に抵抗し続けると、精神バランスを崩して暴走することがある。
だけどこれは、「飯抜き」が効いたような……。
これはもう奴隷契約ではなく、食欲に支配されているのでは……?
そして次の瞬間──、
「おおっ!?」
「熱っ!?」
姉さんが全身から炎を吹き上げ、こちらに突進してくる。
あかん、このままじゃみんなを巻き込む。
それどころか、炎が広がって城や王都の街が全部燃やされかねない。
「ええぃ、バシ●ーラ!!」
私は姉さんを城の上空に「転移」させた。
続いて、私も──。
……空中に投げ出された姉さんは、そのまま墜落──ということにはならないか。
半分正気を失っていても、空を飛ぶことくらいはできるようだ。
飛行できるのは私もそうだが、ふむ……それだけじゃ、姉さんは翻弄できないな。
『ふんっ!』
私はキツネの姿に戻る。
こっちの方が、素早く動けるからね。
それから私は、足の裏に圧縮した空気の層を形成した。
風属性魔法の応用だ。
それを任意の場所に連続で形成し、そして踏み台にすることで、空中を走る。
これならば踏み台を蹴ることで直角に曲がることも、急降下や急上昇することも可能だ。
このトリッキーな動きに、姉さんはついていくことができないだろう。
実際、私に向けて口から熱線を撃ち出しているけど、どれも外れている。
なお、その外した熱線が王都の街中に着弾したら大惨事になるので、姉さんが熱線を撃ちそうな時は、その目線よりも上に移動して、上空へ向けて撃つように誘導しているぞ。
『くうぅぅ……!!』
攻撃が当たらないことに姉さんは苛立ち、更に苛烈に攻撃をしかけてくる。
いいぞ。
そうやって無駄弾を撃ち続ければ、消耗して痩せるかもしれない。
そして勿論私も、ただ攻撃の回避をしているばかりではない。
『ほっ!!』
『ギャウッ!?』
私は姉さんの死角に回り込み、体当たりを仕掛ける。
体当たりとはいっても、速度と威力は砲弾のごとし。
……まあ、姉さんなら直撃しても死なないだろう。
いや、実際のところ、脂肪がクッションになって、大したダメージにはなっていないようだ。
ハ●ト様かよ!?
というか、何気に尻尾が8本もあるんだよなぁ。
ちょっと前の私と同格だ。
一体どんな修羅場をくぐって、そんなに経験値を稼いだのか……。
とにかくシスとかよりも、強いことは間違い無い。
じゃあ、手加減しなくてもいいかな。
脂肪を叩きまくれば、ダイエット効果が得られるかもしれないし。
はあっ、空中殺法だ!!
あらゆる角度から、私の体当たりが姉さんを襲う。
「ギャウゥゥ!!
ギャウウゥゥゥ!!」
私の連続攻撃を受けて姉さんは悲鳴を上げるが、実際には大したダメージを受けてはいないな……。
もっと消耗させないと大人しくならないだろうし、もうちょっと派手にいくか。
『よっ!』
『!?』
私の9つの尾が、姉さんの身体巻き取り、そして全力で振り回す。
フォックス・ジャイアントスイング!!
これにより、姉さんが全身から炎を吹き上げている為、炎のリングを空に描くことになった。
地上から見たら、UFOに見えるのかもしれないねぇ。
こういうのが、後に神話へとなるのだろう。
「ギュウウゥゥン!?」
姉さんが目を回している。
だけどまだ、抵抗を続けているなぁ。
『ご……』
ん? なんか言おうとしている?
ごめんなさい?
『ゴハン抜きは嫌ぁぁぁぁぁ~っ!!』
そう叫ぶなり、姉さんの内部で巨大なエネルギーが生じた。
溜め込んだ脂肪を燃焼させて、エネルギーに変換した!?
そしてそのエネルギーは──、
「はあっ!?
そんなの有りっ!?」
お尻から放出されたかにみえたエネルギーは、9本目の尻尾になった。
この姉……食い意地だけで、無理矢理レベルアップしたぞ……!?
週末には法事があるので、いつ更新できるのか分かりません。




