19 姉は今
「それではあなた達もラッジーンを打倒する為に、我々と一緒に戦うということでいいのですよね?」
私はネコ姉妹に対して、改めて確認する。
こんな今さっき出合ったばかりの人間と、共闘するというのも難しい話だからねぇ。
せめて覚悟くらいは、ちゃんと聞いておかないと。
その答えが本心かどうかは、アリゼのオーラを視るスキルで分かるから、答えさえ聞けば姉妹が何かを画策しているかどうかも見破ることができる。
「はい、恩義のあるあなた様に、付き従う所存であります。
ほら、マルガレテも」
「所存……です」
アリゼの反応も問題無さそうだ。
そんな訳で、姉妹が仲間になった!
まあ、妹の方は消極的だが……。
主体性が無く、姉に判断を色々と委ねている感じだな。
あ、姉妹と言えば……。
「このような子に見覚えは……?」
私はココアを指さす。
ラッジーンの配下には、私の姉さんがいるらしいので、確認しておこう。
尻尾の数以外は、ココアと姉さんの姿は大差ないはずだ。
まさかもう、人型になっているとも思えないし……。
で、ココアはというと……、
『あんた達、私が先輩だからね!
お姉様は勿論、私の言うこともよくきくのよ!』
コラコラ、先輩風を吹かすな。
ココアだって、先輩の言うことはきかないだろ。
特にシファは、ココアからナメられているよなぁ……。
王女なのに、威厳が一切無いからね……。
それはさておき、私の質問に対するセポネーテの答えはというと……。
「あ……赤い大きな獣ならば、ラッジーンの奥の手として使役されていますが……」
え、大きいの?
少なくとも姉妹達はココアを見て、「見覚えがある」というような反応をしなかった。
それってつまり、同族とはすぐに気付かないほど、体格に差があるということだよね……?
トラかライオンくらい大きいのか?
う~ん……私も尻尾が伸縮自在だから、やろうと思えば身体も大きくできるのだろうけど、巨大化は負けフラグだから使ったことはない。
姉さんは自ら巨大化したのか?
それとも何者かに強制されて……?
何があったのだ、マイシスター……。
実験動物として改造された──とかじゃなければいいけど……。
「その獣も、奴隷契約を……?」
「おそらく……そうだと思います。
ただラッジーンでも、あまり制御し切れていない感じではありましたが……」
……だろうな。
今の姉さんの実力は分からないけれど、相当強くなっているはずだ。
そんな姉さんを、ラッジーン程度の魔法の実力で、完全に支配できるとは思えない。
だけど奴隷契約の術式って、自力で打ち破ることは難しい。
あれは魂に作用するものだから、無理に抵抗すれば魂に傷が付き、異常な精神状態に陥る可能性もある。
姉さん、心配だな……。
とはいえ、みんなは戦闘直後だし、急ぐ訳にもいかない。
少し休んでいくか……。
それじゃあ……。
「マルガレテといいましたっけ?
毛並みが乱れているので、整えてあげますよ」
「え……嫌……」
何故、恐怖に満ちた顔で私を見る……?
「大丈夫ですよ。
毛繕いをするだけですから」
「マルガレテ、この御方のご厚意に甘えてはどうです?」
「え~……」
マルガレテは姉に促されて、嫌々という様子で私に近づいてきた。
それじゃあ、タップリと可愛がってあげるか。
サービスサービスぅ!
「ふなぁぁぁぁぁ~!
こんなの……こんなの駄目ぇぇぇ!」
はい、即堕ち2コマだ。
「駄目なのですか?
じゃあやめますよ?」
「やっ、やめないで……。
なんでもするからぁ……」
ん、今何でもするって言った?
「じゃあ、語尾に『にゃ』とつけてください」
「にゃ……?
これでいいか……にゃ?」
はううぅ可愛いよぉ。
お持ち帰りぃぃぃ!!
「ふにゃああああぁ!?
こんなの……こんなの……凄すぎにゃあああぁ!!」
「ま……マルガレテ……」
おや、セポネーテが、ちょっと引いた目でこちらを見ている。
たぶん初めて見る妹の状態に、面を食らっているのだろうな……。
大丈夫、すぐ慣れる。
実際、レイチェル達も、いつものことだという生暖かい目でこちらを見守っていた。
「セポネーテもどうです?」
私の手は2本ある。
尻尾だって使える。
2人同時にだって、可愛がることができる。
そして私は見逃さない。
セポネーテが少しだけ、妹を羨ましそうに見ていたことを。
だから──、
「~~っ。
よろしくお願いします……」
セポネーテは、私が差し出した手をとった。
ひゃっほー!
姉妹丼じゃー!!
いつも応援ありがとうございます。
ちょっと用事があるので、明後日の更新は間に合うかどうか……。




