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というわけで今回から白ゴス聖女系美少女にイメチェンしましたレインちゃんです。
レインちゃんは白でも黒でも清らかだけどね!
「やだ可愛い!」
そう言ってくれるのはアンリシアだけです。アンリシア可愛い!
工房でのお仕事?
ああ、あれはとても簡単です。薬草が育ちやすいように魔力を注いだり魔女の鍋で決まったレシピの治療薬を作るだけです。
一日のノルマが決まっていてそれさえこなせばいつ上がったって自由。
教育係なんていりません。あれはちゃんと教育を受けていない野良魔女用です。
ならジェライラはなんで付けられたんだろうって?
そんなことは知らない。
きっと本人だってわかっていない。だってずっと頭抱えていたから。
レインちゃんが天才で可愛すぎるからだね、きっと!
ていうか植物園なんて精霊王たちに管理させればいいのに。もっともしゃもしゃ生えてくるよ!
でもそんなことは教えてやらない。ていうかサンドラストリートの魔女たちなら精霊を使った温室の作り方なんて常識。ジェライラたち先輩連中が教えていないはずもないのだからそれを使わないということにはそれなりの理由があるのだろうと勝手に決めつける。
まぁもうあそこのことはいいのです。
「というわけでアンリ、デートしよう。デート大事」
「ええ!?」
アンリシアは城の一隅に部屋を与えられ今後はそこで暮らすことになった。私の部屋も隣にある。一緒でいいのにね。
「デートってどこに?」
「城の外だよ」
「城の外?」
「食料を手に入れないとね」
「食料?」
アンリシアが首を傾げる。
そうだよね、わかるはずがないよね。
「帰国できるまでの世話はしてくれるという話になっているわよ?」
「そうだけど、予防もしないとね」
よくわからないという顔を続行中だけど私を止めたり付いて来ないということを選ぶ気はなさそうだった。
出かけるというと護衛という名の見張りの兵士が一人付いてきたけど仕方ない。
「わぁ……意外に活気があるわね」
城に入る前の馬車でしか王都の光景を見ていなかったアンリシアがその光景に声を漏らした。
彼女の言う通り、王都には活気がある。
疫病が流行っていたり、国外との繋がりが断たれてはいるものの国内の交流まで禁じているわけではない。だからこの国は内需だけでこれぐらいの活気を保つだけの地力を持っているということになる。
そんな国がなんで……?
いや、そんな国だからこそ……なのかもね。
「この国は昔から国内の団結力が強いですからな」
「そのようですね」
護衛の兵士が見せるドヤ顔をさらりと流し、私たちは乗合馬車で王都の門まで向かい、外に出た。
「ええと……たしかこっちの方角に……ああ、あったあった」
ゲームの記憶を思い出し素材採取用の森へと向かっていく。
「ここは!」
森の前に到着したところで護衛くんが顔色を変えた。
「この森はいま危険なモンスターが住み着いているため立ち入り禁止になっています!」
「立ち入り禁止ですって」
「モンスターって、なに?」
「デモリウータです」
デモリウータ。REBMレベル8だっけ? ライノロードと同じ格だね。
外見は角が生えた性格悪そうなオランウータン。体を覆う長い体毛が意外に硬いのか高い防御力に猿っぽい素早さを兼ね備えている。
そこらの兵士じゃ倒すのに苦労しそうだね。
「森から出ないから放置してるってこと?」
「そうです」
「ふうん」
「って! なんで入ろうとしてるんですか?」
「森から出ないなら気にしなくていいじゃん」
「なら入らないでくださいよ!」
「大丈夫だから」
「なにが!?」
「ほら、アンリ行こう」
「無視すんなや! ていうか、そちらの貴族のお嬢さん! 危険ですって!」
「でも、レインがいますから、大丈夫ですよ?」
「大丈夫じゃないですってば!」
「大丈夫だって、たとえこの辺りを焦土に変えてもアンリは守るから」
「それ大丈夫言わない!!」
「もううるさい」
「へ?」
ぺこぽん。
デコピンしたら面白い音が出た。あいつの頭は一体どうなっていたんだろうか? 研究の価値があるのかもしれない。暇になったら考えてみよう。
「きゅ~」
と声を上げて気絶するところも面白い。あれは本当に人間だろうか?
そのまま放置もかわいそうだから簡易ゴーレムを召喚して護衛に付けさせておく。
「さあ、行こうか」
「ええ。でも、予防ってなに?」
「いまの聖女たちのやり方じゃ。疫病を治すなんてむりむりむうさんだからね。アンリに移ったら大変だから、足りない材料をここで集めるの」
ていうかデモリウータがいるのか。
むしろラッキーかもね。
「無理……なの?」
「そう。無理だよ~」
サンガルシア王国で採れる素材は……うん、ここの森で全部賄えるね。第二部はレベルが上がった状態でのスタートだし、外で自主採取ができるようになるのが後半だから王都の近くでもいいものが採れるからね。
「……ねぇ、聞いてもいい?」
「ん~?」
「どうして、レインはそんなことがわかるの?」
おっと。ちょっと考え事に浸り過ぎたか。
「どういうこと?」
「まだここに来たばかりなのに、レインは疫病のことがよくわかっているみたいだし」
「う~ん、そりゃ、この国のことを気にしない魔女はいないよ?」
「そうかしら? サンガルシア王と口喧嘩をしているあなたを見た時、こう思ったのよ」
「ん、ん、ん~?」
「どうしてレインはこの国が嫌いなのかしらって」
アンリシアは可愛い。
そして聡い。
まいったなぁ、見抜かれちゃってるなぁ。
レインちゃんは感情を隠すのが下手なのかもしれない。
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