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一度崩れた信頼は元には戻らない~今更何を言われようと俺の心には響かない~  作者: 日野 冬夜


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どちら様ですか?

「蓮夜!夏休みの課題を片付ける為に勉強会しようぜ!」


 自分の部屋でゴロゴロしている時にかかってきた電話に出ると相手は開口一番そんなことを言ってきた。 


「どちら様ですか?」


「西条だよ⁉︎冗談でも傷付くからそういうこと言うのやめろよ⁉︎」


 ディスプレイに表示されていた名前は今の俺には覚えがない名前だったが、この様子だと高校の友達みたいだな。いや、確か瑠璃がクラスメイトって言ってたっけ?


「すまん、冗談じゃないんだ。事故に遭ってここ二年くらいの記憶がないんだ」


「またまたー。そんなことある訳ないだろ?」


「………」


「……えっ⁈マジ?」


「いや、冗談に決まってるだろ」


「冗談かよ!一瞬本気にしちまったじゃねぇか!」


 冗談じゃないけどな。


 まあ馬鹿正直に記憶喪失と伝えてもそう簡単に信じられないだろうし、頭がおかしくなったと思われて距離を取られて孤立するようになったら困る。


 一学期程度じゃまだ互いのことをよく分かってないだろうし、疑問に思われても誤魔化せるだろ。一学期は猫を被ってたとか適当なこといえば。バレたらバレたでその時また考えよう(思考放棄)。


「それで何の用だ?」


「何事もなかったように…。まあいいや、最初に言ったろ?夏休みの課題を終わらせる為に勉強会をしようって」


「そういや言ってたな」


 電話相手が誰かってことを気にしていて何て言っていたかについては気にしていなかったわ。


 夏休みも後半で課題を片付けたい気持ちは分かる。誰かに教われば楽なことも。だが勉強会に参加するには問題が一つ。


「俺もう課題終わってるんだが?」


 終わらせたのは記憶を失う前の俺だが。勉強会に参加する意味がないんですけど。


「知ってる」


「知ってんのかよ」


「だって前に言っていたからな」


 ならなんで電話してきたんだよ。


「勉強会ってのは名目で実際はみんなで集まって遊ぼうってことだな。課題が終わってない奴も多いから多少は勉強もするけど」


「それでも多少なのか…」


 勉強会って名目なんだからせめて勉強の比率を多くしろよ。


「進捗状況を聞いてみるとみんな結構真面目で夏休み最終日前に問題なく終わりそうだからな。多めに遊んだっていいだろ」


「まあ本人達がいいなら好きにしてもいいと思うが」


 ちゃんと課題を終わらすなんてみんなスゲーな。そういやそれなりに学力の高い高校だったか?勉強会って聞いた時は巧真みたいに課題が終わりそうにない奴が泣きついたのかと思ったがそんなことはなかったな。


 課題を終わらすなんて当たり前のことではあるんだけど。


「それで?蓮夜は参加するよな?」


 巧真は何度ちゃんと課題をやれと言っても毎年俺達に泣きついてきたなと過去を振り返っていると参加するか聞かれた。


 課題を終わらせる為の勉強会って訳じゃないしな。それに夏休みが終わる前にクラスメイトと交流しとくと新学期になった時に楽だろう。


「参加するわ」


「………?」


「どうした?」


「いや、いつもなら最初は参加しないって言って俺がしつこく頼んでから渋々参加するって言うのに今日は最初から参加するって言ったからな」


「……偶にはいいだろ。暇だったんだ」


「そうなのか?」


 早速違和感を持たれてしまった。どうやら記憶を失う前の俺はなかなか面倒くさい性格をしているらしい。


 そのことを踏まえつつ雑談を少々。


「それじゃあ日時や場所が決まったらまた連絡するな!」


「ああ、よろしく頼むわ」


 ボロがでないようにしないとな。いや、記憶喪失って打ち明けて色々サポートしてもらったほうがいいのか?まあ様子を見て臨機応変に対応すればいいか(思考放棄再び)。





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