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一度崩れた信頼は元には戻らない~今更何を言われようと俺の心には響かない~  作者: 日野 冬夜


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私はちゃんと笑えていますか?

 蓮夜が目を覚ました。すごく心配したし、考えたくないけどもうずっと目を覚さないんじゃないかって怖かった。だから目を覚ましてくれたのは嬉しいし、安心もした。


 だけど目を覚ました蓮夜の第一声を聞いて戸惑ってしまった。


「瑠璃…?」


 かつては毎日のように呼ばれていた自分の名前。でも今は呼ばれなくなって久しい。またいつか呼んで欲しいと思っていたけど思ってもないタイミングで呼ばれたことに嬉しさよりも戸惑いが勝ってしまった。その後にここ二年見ていなかった笑顔で挨拶されたのだから尚更。


 様子がおかしいと思ったら蓮夜は記憶を失っていた。全部ではなくここ二年程の。


 自分に同じことが起こったらと思うとゾッとする。気付いたら二年の月日が経っていたとか戸惑うし、自分もその間ちゃんと生活していたと言われたら恐怖すら感じる。


 蓮夜は恐怖を感じているようには見えない。記憶を失っていると聞いてもそんな事もあるのかと驚いているだけだった。それでも戸惑いはあるだろうし少しでも普通に生活できるように力になってあげたい。


 蓮夜が記憶を失ってしまった原因は私達にあるのだから支えてあげるのは当然だ。陽菜や巧真も私と同じように蓮夜の力になろうとするだろう。


 助けてくれたのは嬉しいけど蓮夜が怪我をして記憶を失ってしまったのは悲しい、辛い、苦しい。飲酒運転をしていた人に対する怒りもある。いろんな感情が混ざり合って嫌になる。だが何よりも…








 このまま蓮夜の記憶が戻らなければいいのにと少しでも考えてしまう自分が嫌になる。


 今の蓮夜にはここ二年の記憶がない。だから痴漢冤罪の記憶もなく、それが原因で変わってしまう前の性格になっている。蓮夜はあの頃のノリで話してくるので昔と同じように話せている。幼馴染四人で話していると昔に戻ったみたいに感じる。


 ここ二年欲しくて堪らなかったものがここにある。それがとても嬉しくて……同時にとても苦しい。


 私は四人で過ごすのは本心から楽しめているし、陽菜や巧真も同じだろう。そして多分蓮夜も。だがこの関係は嘘っぱちだ。蓮夜の記憶がないから今の関係がある訳で本来なら蓮夜はそうそう四人で集まろうとしない。


 誰かが嘘をついている訳でもないのにこの関係が偽物とかどんな冗談だ。これが私達に与えられた罰なのか。


 もし今蓮夜の記憶が戻ったらどう思うのだろう?ぬけぬけと何事もなかったかのように接する私達に怒るだろうか?でも蓮夜の方から誘ってくるのに私達は疎遠になっていると言って断るのもどうなのか。だからといってわざわざ事件のことを説明するのも…。


 いつか今のように四人で笑い合える日が来るのを待ち望んでいたのにいざその日が来てみるとそれは偽物で、でも完全に偽物という訳でもない。どうするのが正解なのか分からない。そもそも正解なんてあるのだろうか?


 今はまだ四人でいることを楽しめている。だがそのうち罪悪感から今の関係でいることが心苦しくなって私達の方から蓮夜から離れてしまうかもしれない。


 あの頃に戻りたいと祈り続け、神頼みもした。その願いは確かに叶った。この願いを神様が叶えてくれたのだとしたらその神は私達を嘲笑う邪神の類いだろうか?それとも私達を罰する裁きの神か。望まぬ形で願いを叶える猿の手かもしれない。


 いつかのように四人で笑い合える日を夢見ていた。そして今は内心はともかく四人で笑い合えている。




 ………本当に?




 私はちゃんと笑えていますか?



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― 新着の感想 ―
今更新に気付いた。 再開嬉しいです。ずいぶんブランクあったのに、違和感なく続いていてちょっと驚嘆してます。 続きお待ちしてます。
ずっと待ってました!!!!!!!!
続きがメチャクチャ気になってたので更新嬉しいです、 是非このまま完結までお願いします。
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