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クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱の商人に偽装中です。  作者: かわち乃梵天丸
第一部 クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱ランクの商人に偽装しました。
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女教師佐川の念願の仲間5 *

 隅田と佐川は今日も宝珠を求めて狩りをする。


 敵を隅田が山のような大群のゴブリンを集めて佐川が石を落とし一網打尽に。


 取りこぼした敵は佐川が倒し、隅田が補助をする。


 非常に安定した戦闘であっという間にゴブリンの大群が倒される。


「今回もうまくいったな」


「そうだね」


「それにしても宝珠をサッパリ落とさないな」


「いったい何匹倒せばいいんだろうね」


 佐川は隅田との戦闘後の会話が楽しかった。


 年下とは言え普段異性と話す機会のあまりない佐川は隅田とこうして話していると楽しくてたまらなかった。


 自分には無かった青春時代を疑似体験してるような感覚に浸れるからだった。


 永遠に続いて欲しいこの楽しい時。


 多分この隅田との楽しい合同の狩りの時間は宝珠が取れるまで。


 宝珠が取れれば彼とも別れる事になるだろう。


 宝珠を取る迄はこの青春のひと時を何も考えずに満喫しよう。


 そう佐川は考えていた。


「俺一人で狩ってた時はあんまりゴブリンを狩れてなかったから宝珠なんて取れなくて当然と半ば諦めていたけど、先生と一緒にこれだけの数を狩りまくってるのに出ないとなると、ゴブリン装備の屑鉄で儲けたお金で宝珠を買った方が早いんじゃないかと思えてくるな」


「宝珠って買えるの?」


「モンスタートレーナーの宝珠で百万ゴルダぐらいらしいからけっして安い額じゃないんだけど、冒険者が手に入れた宝珠が街の道具屋で売ってるらしいんだ」


「確かにここでレアゴブリン倒して宝珠を取るよりも、屑鉄集めてお金で宝珠を買った方が早いかもしれないわね。でも大神殿から街の外へは出られないわよね? 私暇だったから、前にこの国の歴史でも調べようと思って本を買いに大神殿から街の外に出ようとしたら守衛の神官さんに止められた事有るの」


 すると隅田は神妙な面持ちをする。


「大神殿からは行けないな。でも、このダンジョンから外に繋がっているらしい」


「それ、本当なの?」


「騎士から聞いたから間違いない。このダンジョンの七層から外の野獣の巣へと洞窟で繋がっているらしいんだ。魔獣の巣の敵は物凄く強いらしくて、はぐれても絶対に洞窟の奥には行くな!命は無いぞ!と聞いたことが有る」


「そうなんだ。でも七層はここから二層も下でしょ? 敵が強いから今の私達にはかなりキツイわよね?」


「今の俺達には無理だろうな。七層に行く為にはモンスタートレーナーの宝珠が欲しいんだが、その宝珠を買いに行くわけだしな。卵が先か鶏が先かの、どっちも手に入らずに完全に詰んでる状態さ。まいったぜ、あははは!」


「そうね。時間が掛かるかもしれないけど、ここで頑張って宝珠を手に入れるしか無いわね。頑張りましょう!」


「ああ、頑張ろう!」


 それから三日。ひたすらゴブリンを狩り続ける二人の前に幸運が訪れた!

 ゴブリンの轢死体の中に光るものが!


「でた! ついに出た!」


「ついに出たわね!」


 間違いなくスキルの宝珠だった。


 隅田はその宝珠を手に取る。


「この宝珠だけど俺に貰えないかな? 俺、先生より弱いからこれ貰えれば少しは強くなれると思うんだ」


「解った。いいわよ!」


「ありがとう。先生の分も頑張って取ろう!」


 よかった!


 宝珠を取っても隅田君は私と別れないでくれるんだ。


 私の分の宝珠が取れるまで一緒に居てくれるんだ。


 まだまだ、この楽しい時が続くんだ!


 そう一安心する佐川であった。


 でも、そう言った隅田が翌日の狩りの後、寝ていた佐川の前から姿を消した。


 しかも全てのお金を持ち逃げして……。


「やっぱり、別れの時が訪れたのね……」


 予想していた隅田との別れが来たことで泣きぬれる佐川。


 別れるならせめて一声掛けて欲しかった。


 信じていた人に裏切られた。


 頑張って取ろうと言ってくれたのに……。


 信じていたのに……。


 好きだったのに……。


 心の中に隅田の形の大きな隙間がポッカリと開いたのが解る。


 これが失恋ってモノなのかな?


 すごく悲しい……。


 佐川は生まれて初めて味わう失恋と言う心の痛みに、迷宮の片隅にうずくまり一人で泣きぬれた。


 やる気も起きず、ただただ迷宮の隅でうずくまるだけの日々。


 このまま根が張ってしまうんじゃないかと思うほどの時が過ぎた。


「なに泣いてるんだよ! 先生らしくない」


 それは聞き覚えのある優しい声だった。


「隅田君!」


「先生は佐川先生なんだから、いつでもキリッとしてないとダメだろ!」


 その声の主は隅田だった。


 とても優しい声だった。


「先生の約束の宝珠手に入れて来たぞ! 遅れてすまなかった」


「どうやって手に入れたの?


「街まで行って買って来たのさ!」


「どうやって?」


「七層超えて買って来たんだよ。このまま宝珠取り続けててもダンジョン踏破コンテストに間に合うか解らないからな。だから、ちょっと無理して街まで行って来た」


「なんで私を置いていったのよ!」


「そりゃ、先生を危ない目に遭わせるわけにはいかないからな。七層を超えると言ったら絶対についてきただろ?」


「うん。でもあんな危ないとこ超えるなんて……しかも一人だけで行くなんて! なんて無茶するのよ!」


「正直俺もこうしてここに戻ってこれたのが奇跡としか思えないぐらいの道中だったわ」


「バカ……どんなに私が寂しかったのか」


「いいじゃないか。ここまでちゃんと戻ってこれたんだから」


 安堵からか佐川は涙が止まらなくなった。


 ボロ泣きしながら隅田のシャツを掴み胸に顔を埋める佐川。


 その頭を隅田は優しく抱き抱えた。


 しばらく泣き続け涙が枯れる頃に隅田が優しい言葉を掛ける。


「さ、先生。いつまでも泣いてないでせっかく苦労して買って来た宝珠を使ってくれよ」


「うん!」


 笑顔でうなずく佐川。


 宝珠を使うと佐川の身体がわずかに光り輝いた。


 それはダンジョン踏破コンテストで、凄まじい火力で他のグループに恐れられたモンスタートレーナコンビが生まれた瞬間だった。

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