女教師佐川の念願の仲間3 *
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女教師佐川は再び一人ぼっちとなった。
レベル上げグループから追い出されたからだ。
仕方なく、部屋で引きこもりを続ける。
同室の生徒達が出掛けた後も部屋に残りベッドに横になり、出掛けていた生徒たちが狩りを終えて戻ってきた後も寝たふりをする。
レベル上げグループに参加する前と、追い出された後で一つだけ変わったことが有った。
それは同室の生徒達の会話だ。
今まではそれを聞くのが一日の中で唯一の楽しみで有ったが今はその話を聞くのが辛い。
明らかに佐川への悪意を持った噂話、いや陰口が聞こえてくるからだ。
「佐川って酷い奴らしいね」
「うんうん、聞いた聞いた。なんでも渕高君が死んだからパーティーに参加出来たって大笑いしたみたいね」
「ヒッキーの癖にサイテーよね」
「おいおい、聞いたか?」
「なにを?」
「佐川ってさ、女の子に手を出したらしいぜ? 血を流す程顔をぶん殴ったらしいよ」
「マジかよ! あの暴力教師最低だな!」
「おかげでその子の唇が切れて今でも跡が残ってるみたい」
「ひでーな。もしそんな事を俺にされたらあいつ切り殺すわ」
「俺もあいつの事、学校に居た頃から嫌いだったんだよな」
「俺も俺も」
「ねーねー! 聞いた? 佐川、パーティーを追い出されたらしいよ」
「あはは! またボッチに逆もどりね」
「一週間しないでパーティー追い出されるって、どんだけコミュ障なの?」
「いい歳してるのに、生徒のパーティーに混じろうとしても混じれる訳ないのにね。あははは」
「あははは、マジ超ウケる!」
「学校でも生徒にガン無視されてたもんね。この前パーティー追い出された隅田とパーティー組めばいいのに! その名もチーム『嫌われ者!』」
「あはは! それ傑作!」
聞こえるように大声で話す陰口を聞いてたらいたたまれなくなってきた佐川。
その日から佐川は食事の時間終了のギリギリまでダンジョンに籠り、ソロで弱い敵を狩り続けた。
僅かながらの経験値を稼いで食堂に戻り食事を取り寝る事を繰り返す毎日。
今日の食事はホワイトシチューとパンだった。
冷めたシチューを口に運ぶと違和感がある。
何か青臭い物と硬い物が入っていた。
口の中から出してみるとそれは青虫の様なものとゴキブリのような虫だった。
「ぎゃっ!」
胃の中の物を全て嘔吐する佐川。
食堂の隅で笑いを堪える3人の女生徒が見えた。
もうここには私の居場所は無いのね。
その日から佐川は部屋に戻る事を止めた。
食事を取る事も止めた。
ダンジョンの片隅に仮眠の出来る場所を見つけると、そこを拠点としてひたすら狩を続ける。
時々薬品系のアイテムや携行食を補充しに大聖堂に戻る以外はダンジョンに籠り続け、ダンジョンから出なくなった。
常に戦っているせいか少しづつ強くなってきた気がする。
もうこの階層では敵はいない。
そこで今日はいつもの第三階層ではなく、第五階層でのソロ狩りをする事にした。
いつもより遥かにキツい戦いだったが手順さえ間違えなければやられることは無い。
経験値はソロで戦っているせいかパーティで戦っていた時より多く得られた。
狩りを終え新たな拠点に戻って携行食を取り仮眠の準備をしていると、一人の侵入者が現れた。
佐川は短剣を構える。
「だれ!?」
「先客がいたか。ここは俺の住処なんだけどな」
「隅田君じゃないの」
「佐川先生か。噂話聞いてるよ。なんでもパーティ追い出されたらしいな」
「隅田君もね」
「あははは、似た者同士の嫌われ者って事か。ところで先生はこんなとこで何してるんだ?」
佐川の横に隅田が腰を降ろす。
こうやって他人に好意を持たれて話し掛けられるのは久しぶりの経験だった。
一回り以上歳の離れた生徒なのに異性という事も有ってなぜかドキドキしてしまう。
佐川は僅かに顔を赤らめた。
「私はレベル上げよ」
「レベル上げ? こんなとこでソロでか? よく死なないな!」
「立ち回りと敵の加勢だけ注意してれば十分いけるわ」
「ふーん。先生は強いな、さすが先生だ」
「隅田君はレベル上げじゃないの?」
「俺か? 俺はな、宝珠を探してるんだ」
「宝珠?」
「ここに住んでいるゴブリンビーストマスターのドロップする『モンスタートレーナー』の宝珠さ。それさえ有ればモンスターを操れるからソロでパーティ以上の火力を出せるらしいんだ」
「なにそれ! 欲しいわ!」
「なあ先生、俺と組んでその宝珠を取らないか? ソロじゃ倒すのが少し辛くてな」
それが佐川のパートナーとなる男の出会いだった。
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