冷蔵庫作り4 *
大きなベッドで寝る事になった俺達。
寝相が悪いと言うセーレは寝返りした時にロココさんを蹴ったら大怪我になるから床で寝るといいいだす。
何とかセーレをなだめすかせた。
それも有って自動的にロココさん、俺、セーレの順で川の字になって寝る事になった。
セーレは疲れているのかすぐに寝てしまったが、こんな可愛い子の横で心穏やかに寝るのは無理ゲーだ。
肌がはじける程ピッチピチなかわいい女の子が俺のすぐ横で寝ている。
ほのかに海のいい香りのする吐息が鼻孔をまさぐる。
そして大きなお胸のてっぺんの突起が俺の腕にぴとっと付いてる。
そんな状況で俺が寝れるわけが無かった。
反対側にはセーレほどセクシーじゃ無いが見た目幼女のロココさんが寝ている。
普段は商売の師匠として敬意を払っているが異種族のドワーフの女の子ってだけでポイントが高い。
ドワーフなんて街中じゃ滅多に見かけないからドワーフ娘との添い寝はかなりのレアものだ。
それを言うならセーレもかなりのレアものだ。
リバイアサンだもんな。
疲れているはずなのにこんな状況で眠れる訳が無かった。
俺が女の子に挟まれて悶々として眠れない夜を過ごしているとロココさんから声が掛かった。
「タカヤマも眠れないのか?」
「はい。女の人のすぐ横で寝れるわけもなく……」
「そうか。ちょっと二階のキッチンでミルクでも飲んで気を落ち着けてみるか?」
「ぜひ」
俺がキッチンのテーブルで座って待っているとロココさんは鍋で温めたミルクをカップに入れて持って来てくれた。
テーブルで向かい合って座りながらミルクを飲む。
口に運ぶととても落ち着く香りがした。
「なんかいい匂いがしますね」
「わかるのか?」
「ええ、まあ」
「そうか! 解るのか! 私の故郷でよく飲まれるツミレカの花を煎じた茶を混ぜて有るんだ。タカヤマがツミレカを知ってるとはな!」
え?
ちょっと待ってくれ。
俺は「牛乳の中に何か入ってるのか?」と聞かれたつもりでハイと答えたつもりなんだが、いつの間にかツミレカとかいう物を知ってる事になってるんだが?
笑顔で喜ぶロココさんを見てると知らないと言えないしツミレカが何なのか聞くに聞けない。
なんだろうな?
ツミレカって?
『システム!』
『はい、何でしょうか?』
『ツミレカってなにか知ってるか?』
『日本でいうカモミールですね。和名ではカミツレとも言われています』
『カミツレね』
なんかツミレカと微妙に語感が名前が似てるな。
『ハーブの一種で飲むと体が温まってよく寝れる安眠効果が有ります』
『ホットミルクとは相性良さそうだな』
俺は得た知識を早速披露する。
「安眠効果のあるハーブですね」
「お前詳しいな」
今知ったばかりだけどな。
ロココさんはミルクをすすりながら伏し目がちになる。
「私の家に男を入れたのも初めてだし、ベットで一緒に寝るなんて初めての経験だったから気が落ち着かなくて目が覚めてしまったんだ」
「俺も美人の横で横になってたんで、目が覚めてしまいました」
「美人だと! このドワーフの私がか?」
あ、美人はセーレの事なんだけど変に勘違いされてしまった。
今更訂正するわけにもいかないし、ここはテキトーに誤魔化すしかないな。
「ドワーフの事は正直よく解りませんが、ロココさんは商売の師匠として尊敬していますし、女性として魅力的で素敵な方だと思っています」
「ドワーフの私が魅力的だと!?」
「ええ。かなり気になる存在です」
「そうかー。人間の中でもドワーフの事を嫌わない奴がいるんだな」
「ドワーフって人間に嫌われているんですか?」
「金にガメついから嫌われてるんだ。あははは」
「へー。今日もダンジョンの入場料払ってくれましたし、前も馬車で身代金払ってくれましたし、ロココさんはあんまりそんな風には見えないですけどね」
「お前に嫌われないようにするために、極力お金にガメついとこを見せない様に振る舞ってるからな。本当の私は酷いぞ。あははは」
「そうなんです?」
「あんまりガメついとこを見せて、せっかく出来た弟子を失いたくない」
「なるほどです。でも、俺はいつまでこの世界に居られるか解りませんよ」
「召喚者だからだよな?」
「ええ。俺、異世界から召喚された勇者なんです」
「お前って、魔王を倒す為に異世界から呼ばれた勇者なんだろ? 魔王を倒せなければ召喚者の願いを叶えられず、元の世界にも帰れない。そうらしいな」
「ええ。そういう事らしいです」
「で、魔王がエリザベスだろ? タカヤマはあの女を倒せないだろ?」
「ですねぇ。戦力的には戦えば倒すことは出来ますが、彼女を知ってしまった今では殺すなんてことは考えられませんね」
「魔王を倒せないならば、この地で生きていくしかないだろ?」
「そうなってしまうんですよね。でも、クラスメイト達はそれを望んでいない人も居るみたいですし、簡単な事では無いと思いますが帰してやりたいとも思います」
「色々と難しそうな話だな」
「ええ」
「こういう難しい話は止めておくか。また寝れなくなりそうだな。あはは」
「ですね。あはは」
ロココさんは冷めたホットミルクを飲み干す。
「何か商売で聞きたい事でも有るか? 私にはそれしか教えられないんだが?」
「そうですね。商売の話とは違うんですがよろしいですか?」
「私に答えられることなら聞いてくれ」
「ロココさんはなんで人間の街に来て商人を始めたんですか? 街中でエルフ達は結構見かけるんですが、ドワーフはあんまり街中で見かけないですよね? 普通ドワーフは村などのコロニーから出てくる事は無いと聞いた事が有るんですが、村から出て来るにはよっぽどの理由が有ったんじゃないかと思うんですが、教えて貰えないですか?」
「その話か。やはり聞きたいよな?」
「よろしければ聞かせて貰えませんか? 無理にとは言いませんが差し支えなければでよろしいので」
「解った。いずれお前には話さないといけない事なので話しておこう。私が商人になったのは村を襲った仇を追う為なんだ。奴は見た事もない魔法具でも剣でもない不思議な武器を使って私の村を襲い、私の父も母も兄も妹も殺したんだ。その仇の足跡を行商の先で探してるんだが手掛かりは見つかって無い。唯一、村に残した手掛かりがこれだ」
ロココさんはアイテムバッグから黒光りする武器を机の上に置いた。
それはゴトリと重い音を立てた。
俺が見た事のある武器だった。
SMG、サブマシンガン。
日本ではそう呼ばれていた武器であった。




