久々の終礼 *
久々の終礼に出る事になった俺達。
大聖堂に入った俺達を見て辺りがざわついた。
「あいつらまだ生きてたんだ!」「何あの格好! なんで石川達普段着きてるんだ?」「しかもへそ出してすごくエロイな」「ダンジョンで見かけなかったけど、街で遊び呆けてたのかな?」「凄い日焼けしてるし、思いっきり遊んでそうだな」「またグループのレベルが8だったら笑うわ」
そんな聞こえる陰口を無視して神官のとこにレベル報告に行く。
魔道具でレベルを測定すると、レベルは石川が4、長野さんが4、香川ちゃんが4、そして俺が2だった。
俺だけレベル2のままだ。
偽装のレベルを上げるの忘れてたぜ。
クラス最下位じゃねーか!
ヤベーなおい!
まあ、石川達が最下位になるよりは俺一人で最下位になった方がいいわな。
俺のレベルを見て嬉々とした顔をして隅田がやって来た。
俺をコケにしたいんだろう。
顔が語ってるわ。
「高山はレベル2なのかよ! あははは! 前から使えねー奴だとは思ってたが、そこまで出来ねー奴だとは思ってなかったわ」
「お前はどうなんだよ?」
「俺か? 俺はLV9だ! どうだ参ったか!」
「ま、い、り、ま、し、た。すごーい! 隅田君はすごーいんだね!」
「なんだよ、その超棒読みは?」
「素直に褒めてやったんだけど、ダメなのか?」
「なんか、スゲームカつくんだけど!」
「そうか。すまんすまん」
「あんた、高山をバカにしてるけど、高山は凄いんだからね!」
擁護してくれたのは石川だった。
別に擁護してくれなくてもいいのに。
こんな奴、軽くあしらっとけばいいんだよ。
「レベル2がかか? あははは!」
「高山は凄いんだから! 本当はレベル100だし、レアのゴブリンも倒したし、魔王様達だって従えてるんだから!」
ちょっ!
石川!
お前何を言い出す!
ここは大聖堂なんだぞ!
神官がいっぱいいるんだぞ!
それなのになんで俺の秘密をばらす!
俺が真の勇者だって事がバレるんじゃないかって言うか、完全にバレてしまったじゃないか!
「ぐわっははは! なんだよ! 何言い出すかと思ったら、レアゴブリンを倒した上に、魔王を従えてる? レアゴブリンみたいな雑魚はレベル2で倒すのは解るが、レベル2でどうやって魔王を従えるんだよ!」
「高山君は本当は凄くレベル高いのっ!」
「ちょっ! おまっ!」
「高山も言ってやりなさいよ! 本当はレベル10000だって!」
「レベルいちまん? ちょっ! 受けるわー! さっきから100倍に増えてるし! 冗談にしてももうちょっと信じられるレベルの嘘つけよ」
あ、俺のレベルはMAXなのでレベル6万は軽く超えてます。
「ほ、ほんとなんだから! 神官さん! ちょっと高山を再鑑定してみて!」
無理やり鑑定の神官の袖を引っ張って来て俺の前に連れてくる。神官さんは変なトラブルに巻き込まれたなーって感じで嫌々俺を再鑑定。
「どう見てもレベル2ですよ」
「そんな筈ないから! もっとちゃんと見てよ!」
「いや、何度鑑定結果を見てもレベル2です」
俺のステータス偽装はそう簡単にはバレる訳が無い。
魔王であるエリザベスには見破られたが偽装を見破るには結構時間が掛かった筈だ。
この神官みたいにさらっと調べるだけじゃ10000回再鑑定しても見破られない自信はある。
「ほらな、レベル2だったろ? 魔王とか超テキトーに嘘吐くんじゃねーよ!」
「うぐぐ」
「あんまりレベルが低すぎて知能指数迄低くなったんじゃねーの?」
「はあ?? こいつむかつく! ねー、高山! 隅田倒しちゃいなさいよ!」
「隅田強そうだから、俺には無理だよ」
レベル2の俺が隅田倒したら超ヤバいだろ!
「あんたなら倒せるから! 試合よ! 試合をするわ!」
「はぁ?」
「この場で隅田と決闘よ!」
「おい、まて! 試合から決闘にランクアップしてるし!」
「俺はいいぜ。高山とこの場で試合しても!」
「俺はやだから!」
「なんで臆病風に吹かれてるのよ! 高山はほんとは強いんでしょ!」
「強くない、強くない」
「散々煽っておいて逃げるのかよ?」
「いや、俺煽ってねーし!」
「ふん、今更おせーぞ!」
隅田は剣を抜く。
そして俺の喉元に短剣を突き付ける。
「この臆病者が! 決闘を受けないのなら俺の剣をお前の喉元に突き付けて先に日本に死に戻りさせ、ふげごげぐはっ!」
隅田は凄い勢いで転げながら遥か向こうにまで吹っ飛んでいった。
俺の横には拳を振り下ろした石川が居た。
「なんかあいつが話してるの聞いてたらムカついたからぶん殴ってやった」
「グッジョブだ! 石川。俺も殴りたかった。ところでお前どうやって隅田を殴ったんだ?」
「このゲンコツで殴ったわ!」
「見りゃわかるって」
「じゃあ聞かないでよ」
「俺が聞きたいのはそう言う事じゃ無くて、どんな技使ったんだよ?」
「何にも技は使ってないよ。普通のパンチ。ただスピード付けて走りながら殴っただけ」
「嘘だろ?」
今のはどう考えても格闘系の技なんだが?
そんな技有るのか?
俺が見た事無い技だった。
「この糞アマ!」
転げた隅田が起き上がって来た。
さすが勇者。
あんなに吹っ飛ばされても無事なのか。
いい防具着てるだけは有る。
立ち上がった瞬間に凄い勢いで石川に襲い掛かる隅田。
鼻から血が流れてた。
女の子に殴られて鼻血流してるとか超カッコ悪い。
しかも2本鼻だぜ。
笑うわ。
凄い勢いで切り掛かって来た隅田を石川はひょいひょいと避ける。
凄いスピードだった。
超早いネズミみたいにちょろちょろと避けまくる。
「糞アマ! ちょろちょろと逃げ回りやがって!」
「あんたが遅すぎるのよ!」
「ほざけ!」
隅田が何度切り掛かっても石川はひょいひょいとかわす。
でもおかしいな。
迅速じゃあんなスピードじゃ避けられないんだが?
石川の避けの素早さは迅速のスピードを超えていた。
俺は不思議に思って石川を鑑定する。
するとスキルに見た事のないスキルを覚えていた。
【神速】
何だこりゃ?
見た事無いスキルだ。
俺が呆然としていると、システムちゃんが答えてくれた。
『【迅速】の上位スキルですね』
『【迅速】の上位スキルなんて存在したのか。でも待てよ? 俺のスキルが【全能】で全部のスキルを覚えてるはずなんだが、まだ他にもスキルが有るのか?』
『はい。【全能】の上に【全知全能】スキルが有ります』
『なんだよそれ……』
『【全能】の上位スキルで、』
『いや、【全能】の上位スキルって事は解るんだけどさ、普通【全能】って言ったら何でもできるって事だろ? それ一つ持ってれば他のスキルは一切要らねーって事だよな?』
『そんな事ありませんよ。上位には【全知全能】スキルが有りますし、』
『俺はそんなこと聞きたいんじゃないんだよ! なんで【全能】でスキルを全部覚えたと喜ばしといて今更他にスキル有るとか、なんでシステムちゃんは俺を奈落の底に突き落とす鬼畜プレイをするわけ?』
『それは勇者様が【全能】を覚えた後、それで満足しちゃって残り8個のスキルを覚えなかったんじゃないですか。全部覚えないとスキルコンプにはなりませんよ』
『どうせまた覚えるのは大変なんだろ?』
『ええ。習得にはかなりの手間が掛かるスキルです』
『その取得の大変なスキルをなんで石川が持ってるかだよな?』
『どうやったんでしょうね? リリィさんに聞くのが手っ取り早いかと思います』
『仕方ない、あとで聞いてみるか。この【神速】ってスキルはとんでもないスピードだな。この速度で移動できるなら迅速の重ね掛けなんて要らないわな』
『迅速の六十四倍の速度です』
『うは! マジ欲しいぜ!』
『習得は大変ですよ?』
『死ぬ気で頑張って取ってみせるさ』
意識を石川の方に向けると隅田はいいようにやられていた。
石川に遊ばれた隅田は怒りで顔が真っ赤だ。
「本気で殺してやる!」
「出来るものならやってみなよ! 私はここから一歩も動かないから!」
「糞アマが!」
隅田は一気に距離を縮めると石川の首を短剣で薙いだ。
石川の首に赤い一条の線が描かれ、そこから血を噴出させ……て、ない!
石川は残像を残して消えていた。
石川の本体は?
足元だ!
足元に物凄く低い姿勢で身をかがめる石川。
そして石川はバネを弾くように立ち上がると、隅田のアゴにキツイ一発を放ってやった!
「お空の上まで飛んでけ!」
何ともマヌケな掛け声である。
でもパンチの方は間抜けでもなんでもなかった。
神速を載せた鋭い拳撃が隅田のアゴに決まり、打ち上げ花火の様に天高く舞い上げられた隅田。
錐もみで天井に叩きつけられた後に落下、シャンデリアに引っ掛かった。
当然、隅田は顎も砕けボロボロになり気絶。
これが後の『隅田ザマァ打ち上げ花火』と呼ばれた勝負だった。




