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クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱の商人に偽装中です。  作者: かわち乃梵天丸
第一部 クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱ランクの商人に偽装しました。
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ドワーフ商人の弟子7

 昼の書き入れ時の混雑が終わると、店の営業が終了になった。


 食堂は昼だけの営業で、飲食店としては随分と早い閉店だ。


 聞くところによると、この店は酒場の閉店となっている昼間だけ場所を借りて営業しているのであって、夕方になると別の店主が仕込みにやって来て酒場として営業するらしい。


 ロココさんの口添えで、店主のシェリーが昼間に掃除をしっかりとすることで格安に貸してもらってるとの事だ。


 客の居なくなった店で座席に座りながら賄いを食べる。


 ちなみに今日の賄いは昼の定食と同じくシチューとパンと刺身だ。


 罰ゲーム並みの食い合わせを食べながら、ロココさんに刺身の事を聞いてみた。


「お客さんに刺身が大好評でマグロがまだ残ってるのにも係わらず、なんでお客さんに追加で刺身を出さなかったんです?」


「そりゃお前。金を貰ってもないのに山ほど食わせたら大損するだろ? マグロ代もワサビ代も醤油代もタダじゃないんだぞ。タカヤマはそんな事も解らないのかよ?」


 得意げな顔をしてそう言い切ったロココさん。


 そう言われるとその通りだった。


 そして思った。


 ロココさんはセコイと。


 そんな俺の考えも知らずロココさんは熱弁を続ける。


「今日はあくまでも宣伝さ。あれだけ刺身が評判良くて、受けたんだからあとは口コミで評判が広がるのを待つだけさ」


「翌日から有料販売をしなかったのも口コミが広がるのを待つためなんです?」


「解ってるじゃないか! 少し間を置く事で噂が広がるし渇望感も大きくなるしな。商売ってのはタイミングを見計らって最適なタイミングに勝負を賭けるのが重要なのさ」


「なるほどねー」


「この店の立ち上げでも色々とやったんだよな。な、シェリー!」


「ええ、ロココさんに色々とアドバイスをしてもらって、ここまでお店の営業を立ち上げてもらいました。ロココさん様々です」


「ロココさんはただの行商人かと思ったら、アドバイザーみたいなこともしてるんだな」


「アドバイザーってなんだ? 初めて聞く言葉なんだが?」


「助言をして仕事や商売がうまく行くように相談を受けたり指導をする人さ。そういう商売をしてる人が俺の世界には居たんだ」


「ほお、面白いな」


 ロココさんは俺の話に興味を持ったのか目を輝かしていた。


「ロココさんは色々な国を渡り歩いてるので結構物知りですからね。私も頼りにしています」


「そこまで褒められると、次から『アドバイザ-』の相談料を増額せねばなるまいな」


「え? ちょっと! ちょっと待ってください! 相談料の値上げって本当なんですか!??」


「冗談だよ。冗談。あははは」


「ちょっと焦りましたよ。ふふふふ」


 そういえばリリィさんから頼み事されてたんだな。


 キャンプ場に小屋を建てるから大工を連れて来いって。


 大工に知り合いがいるかちょと聞いてみるか。


 ロココさんの顔の広さなら、大工の一人や二人の知り合いぐらいいるだろう。


 俺はキャンプに小屋を建てるのを頼まれてる事を話してみた。


 それを聞いたロココさんは難しそうな顔をする。


「小屋を作る大工か。うーん、居る事は居るが結構高い代物になるぞ。何しろそのキャンプは街から馬車で三時間と、町からかなり離れてるだろ? 小屋が1日で建つとしても、そこまでの移動に時間掛かるはずだ。それに建材の運搬にも金が掛かる。おまけに小屋を建てるなら一人って訳にもいかないからな。予算の100万じゃ、わらぶき小屋レベルの物しか建てられないと思うぞ」


「そうですか。そうなると自分で建てるしかないのかな?」


「もしくは、既に建っているものを持って行くかだな」


「既に建っている物?」


「街の郊外に行けばいくらでも空き家が有る。それをタカヤマのアイテムボックスに入れて持って行けばいいじゃないか?」


「そんな事できるんです?」


「さあ? 私には無理だが、ジャガイモや木の棒を山ほど出せる、タカヤマの規格外のアイテムボックスなら出来るんじゃないかな?」


「試しにやってみるか」と言ってやって来た街の郊外。


 一応、街を覆う城壁の中ではあるが街の中心部から大きく外れているせいか人は住んでいない。


 辺りは野原の様になっていて所々に空き家が点在していた。


 その中から比較的状態のいい空き家を見つけた。


 一階建ての白塗りの平屋。


 床は板張りで間取りはキッチン、リビング、寝室のある空き家だ。


 穴の開いている屋根の修理は必要みたいだが、壁に穴が開いてないので簡単な修理で使えそうだ。


 俺は気合を入れてその空き家をアイテムボックスの中にしまう。


 かなり気合が必要だったが、家一軒が吸い込まれるように俺の手の中に納まった。


 自分でしまって言うのもなんだが、こんなデカい物がアイテムボックスに入るとは思ってもなかった。


 やろうと思えば出来るじゃないか、俺!


 スゲーよ、俺!


 ロココさんも俺が小屋を吸い込むのを見て目を丸くして驚いていた。


「タカヤマ、お前凄いな! お前のアイテムボックスにはこんなデカい物までしまえるんだな」


「俺もビックリですよ。やってみるまで出来るとは思いもしませんでした」


「あとは現地に行ってこの小屋を出すだけだな。家具の類はどうするんだ?」


「ベッドぐらいなら自分で作れますから、とりあえず向こうに家を建ててみて足りないものが有ったら街に戻って来て買いそろえます」


「そうか。じゃあ行ってこい。私は商業ギルドにワサビや醤油の輸入の手配とかの用事が有るから一緒に行けなくてすまん」


「では行ってきます」


 俺は小屋を建てに、キャンプ地へと戻る事にした。

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