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クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱の商人に偽装中です。  作者: かわち乃梵天丸
第一部 クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱ランクの商人に偽装しました。
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ドワーフ商人の弟子6

 迅速を使ってやって来たキャンプ。


 三人娘は朝ごはんの最中だった。


 隠匿スキルを使って来たキャンプで俺は見てはいけないものを見てしまった。


「あーあ、やってらんない!」


 そう言ったのは香川ちゃん。


 顔は泥だらけで、髪は山姥(やまんば)のようにボサボサ。


 あぐらをかいているからホットパンツの隙間から大事なとこが見えそうに。


 おまけにシャツの襟から片乳が見えそうなぐらいだらしなく着ている。


 あの可愛らしかった香川ちゃんは何処に行った?って位の変わり様だった。


 口の中に泥でも入ったのか、愚痴を言いながらペッペと唾まではいてる。


 完全に野生化してる香川ちゃん。


 たった数日でここまで女は変わるんだなと、恐ろしくなる。


「朝食これだけぇ? しかも焼き蛙とか飽きたから食べたく無いですぅ!」


「いやなら僕が食べようか?」


 リリィさんが香川ちゃんから焼き蛙の串を取り上げようとすると必死な形相で死守する。


「た、食べないなんて誰も言ってないよぅ!」


「じゃあ、文句言ってないで食べる食べる。今日はあそこに見える山の頂上まで登るからね!」


「ちょっ! まってよ! あそこの山ってどう見てもここから20キロは有るよ? そんなとこまで行って、さらに山に登るとか頭おかしいんじゃないですぅ?」


「じゃあ、君だけここに残る? もうここには戻ってこないかもしれないけど?」


「行くよ! 行きます! 行くって! 誰も行かないなんて言ってないよぅ!?」


「じゃあ、あと15分で出発するから、川で体洗ってトイレも済ませて来てね」


「ふえーい」


 香川ちゃんを含む三人娘はだらしない声で返事をすると、旅の支度に出掛けた。


 そんな三人娘を見ていた俺にリリィさんが悪戯っぽく笑いながら声を掛けて来た。


「ふふふ。彼女たちの水浴びを見に行かなくていいのか? ふふふ」


「行くわけ無いだろ! 俺変態じゃねーし!」


 すいません。


 俺心の中でまた彼女達の裸見れると思ってラッキーと思ってました。


 着いていこうと思ってました。


 俺は心の内を誤魔化すために無理やりキリッとした表情を作る。


 自分でいうのもなんだがバレバレだな。


「ってか、俺が隠匿使ってるのに気が付いてたんですね」


「隠匿ぐらいじゃタカヤマの気配は消せないしな。前に頼んだ通り、姿を隠してくれてありがとう。彼女たちの様子を見に来たんだよね?」


「おう。彼女たちの様子はどうだ?」


「レベルは相変わらず殆ど上がって無くて全員LV4だけど、訓練は順調かな? 今日は山まで遠出して、迅速を重ね掛け出来るようにまで鍛えるつもりだよ」


「迅速の重ね掛けか。この短時間でそこまで覚えさせるとは凄いな」


「シーカーとしては必須のスキルだからね。ふふふ」


「彼女たちは僧侶なんだけどなー」


 リリィさんが笑うと俺もつられて笑ってしまう。


 ちなみにシーカーっていうのは日本語で言うと偵察みたいなもんだ。


 もふもふな葉っぱ服を纏って弓矢を背負って敵陣の偵察に行く感じのジョブ。


 敵に見つかったら全力で逃げるから、迅速の重ね掛けは必須なんだ。


 それにしても僧侶の彼女達をシーカーとして育てるとは意味不明で訳わからないんだが、丸投げで育成を任せてる以上細かいことを言うまい。


「タカヤマ、悪いんだが頼みがるんだが頼んでいいか?」


「俺に出来る事なら聞くぞ」


「ここを三日ほどあけるから、悪いんだがここに大工を呼んで来て小屋を建ててくれないか? さすがに野宿が続いたせいで彼女たちが精神的に参ってるみたいなんだ。特に石川さんが限界っぽいね。作るのは簡単なものでいいから、簡単なベッドを置けるだけの小屋でいいから作ってほしいんだ」


「香川ちゃんじゃなく石川が限界?」


「タカヤマが姿を見せなくなってから、急に言葉数減ってね。私が見た感じそろそろ限界に近いと思う。香川ちゃんは文句言ってるけど大丈夫だよ。あれは相当なタマだよ。あれは大物だね。あははは」


 二人して笑う。


 すると川で水浴びを済ませた三人娘が世間話をしながら戻って来た。


 髪を洗ったのかボサボサだった香川ちゃんの髪は綺麗にまとまっている。


 石川の表情も気持ち少し明るくなっていた。


 俺はポテチ入りのバケツをリリィさんに託すと小屋の建築費を受け取り三人娘に姿を見られる前に街へと戻った。


 *


 食堂に戻ると開店直後だった。


 ロココさんが客の呼び込みをしていた。


「やすいよ、やすいよ! 今日は大サービスだよ! 今日は特別におまけが一品つくよー! 新商品だよー!」


 通りを歩く人に人懐っこく話し掛けると半ば強引に食堂の中に客を連れ込む。


 おめーはキャッチセールスかよ!って感じに客を捕まえているが、捕まえられた方はそれ程嫌そうな顔をしていない。


 顔見知りなのかもしれないな。


「お、タカヤマ、戻ったか。それじゃ店の方を手伝ってくれ」


 そういうと呼び込みを辞めて店の中に戻る。


 ちょこまかと忙しそうに動き回るロココさん。


 店の中はロココさんの呼び込みのおかげか満席だった。


 俺は厨房に入るとシェリーさんの指示に従って四角いお盆の上に料理を載せる。


 この店は一品しか料理が無いらしい。


 今日は肉の入った白いシチューにパンがセットになっている料理。


 一人で切り盛りしてる食堂ならメニュー一品は妥当なとこだな。


 ただ大きな問題があった。


 シチューに刺身の小皿が付くのだ。


 食べ合わせは……最悪レベルだ。


 いいのかよこんな食べ合わせ。


 パンと刺身とか、シチューと刺身とか俺は金貰っても食いたくねーレベルなんだが。


 まあシェリーさんもロココさんも何にも言ってないんだから異世界人的には有りな食い合わせなのかもしれない。


 俺は食い合わせ最悪なお盆をロココさんに渡すと、席に着いた客に配膳する。


 客は真っ赤な刺身を見て、あからさまに警戒する。


「こりゃ一体何なんだ?」「オークの生肉か?」「気持ち悪いな」「これ本当に食えるのか?」


 それを聞いたロココさんが刺身を指先で刺身を摘まむと、文句を言う男の口の中に無理やり放り込んだ。


「むぐぐ!」 


「男が何ビビってるんだよ! 四の五の言わずに食いやがれ!」


 口の中に刺身を放り込まれた男。


 最初は吐き出そうとしたがロココさんに口を手で押さえられていたので観念して食べた。


 すると一瞬で表情が変わった。


「うめー! なんだこりゃ! 最初は辛さに驚いたが、その辛さは口の中で爽やかさに変わる。おまけにこの肉みたいなのがトロリと口の中でとろけたと思うと、まったりとした濃厚な味が口の中に広がる。それと添えられたソースの味が絡み合って何とも言えない味に! うめーよ! こりゃうめー!」


 最初は見た事のない食い物に警戒してた客。


 だが男のその言葉を聞いたら皆刺身に飛びついた!


「うめー!」「なんじゃこりゃ!」「食ったことない味だ!」「すげーよ! これ!」「こんな食べ物に出会えるとは! 生きててよかったー!」


 ロココさんの見立てどうり、異世界人の口に合ったのか大絶賛だ!


 客がロココさんに質問を始める。


 記者会見に現れた人気アイドルの様に取り囲まれて質問攻め。


 ロココさんは質問に淡々と答える。


「これは何の肉なんだ?」「マグロと言う魚の肉だ」「おー!」


 客から上がる歓声。


「このあおいのは?」「これは東方産のワサビと言う貴重な調味料だ」「おおー!」


 さらにテンションの上がる客。


「この赤黒いソースは?」「それも東方産の醤油と言う貴重な調味料だ」「おおおおー!」


 さらにさらにテンションアップ!


「もっと食わせてくれ!」「今は在庫が無いからもう無理だ」「あーあ」


 そしてどん底に落とされるテンション。


「大変貴重な魚だが、今再入荷の手配をしている。あと二日待ってくれ!」


 それを聞くとほっと胸を撫で下ろす客たち。


 客たちはうまいうまいと言って食堂を後にした。


 マグロの試食会は大成功だ。

 

 でもなんだろ?


 マグロの在庫は俺のアイテムボックスの中にまだまだあるのになんで出さないんだ?


 俺はロココさんの考えてる事が解らなかった。

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