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旧:竹林華は俺だけを嫌っている  作者: 宇佐美ゆーすけ
第3話 友達師匠と馬鹿正直
16/30

3話 友達師匠と馬鹿正直 ① 



挿絵(By みてみん)



************** Tomonori.S



「「ラララ~ン・ラララ~ン・ラララルラ~」」



 その日の放課後。

 功績を上げ上機嫌な僕と万里は、スキップしながら校門を出た。

 横目に映る見慣れた家々はオーディエンス、歩き尽くしたアスファルトはレッドカーペットだ。

 自然と道をあける通行人たちなんて気にしない気にしない。


 今回はなかなか大変だった。

 でも、まずは一番の功労者を称えよう。 


「いやぁ~、お見事だったね万里。ヘタレ政希を動かすなんて」

「トモくんの協力あってこそだよ~。ありがとねぇトモくん!」


 返された賛辞で僕にも笑顔が生まれる。嬉しい。

 今なら僕の笑顔も万里の笑顔に引けを取らないだろう。

 すれ違う人から視線が刺さる。


 もちろん僕らは正常だ。

 こうなったのにも理由がある。

 

 前に一度告白したが、僕は真面目に授業なんて受けていない。

 それは万里も同じだ。

 説明するより、見てもらう方がわかりやすいかな。



 以下、2時限目中のトーク履歴を開示しよう。








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 のり:どうしたの? お腹減った?


 ばんばんばんBanRi:ちっがーう! 

 ばんばんばんBanRi:マッキーがなんか隠してるっぽいっぽい?

 ばんばんばんBanRi:昼休みに話すっぽいっぽいっぽい?

 

 のり:そうなの? 僕呼ばれてないし、何も知らないんだけど。

 のり:……忘れられてる?


 ばんばんばんBanRi:っぽい?

 ばんばんばんBanRi:2人に話があるんだぜぃって朝言ってたよ!


 のり:“っぽい”付けなくていいの?


 ばんばんばんBanRi:言ってたっぽい!!

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 のり:ごめんごめん、怒らないでよ

 のりがスタンプを送信しました。


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 ばんばんばんBanRi:でねでね。

 ばんばんばんBanRi:たぶん、マッキーの考え過ぎな話だとおもうの。

 ばんばんばんBanRi:っぽい。


 のり:直感系の話、だよね。竹林さんについてかな

 のり:隠し事だけじゃなくて、そこに推測が含まれてるってこと?


 ばんばんばんBanRi:いえすいえす


 のり:どこまで分かってるんだい?


 ばんばんばんBanRi:隠し事で悩んでるってとこまでっぽい

 ばんばんばんBanRi:内容はぜんぜんっぽい


 のり:たぶんだけど

 のり:竹林さん、嘘ついてたんじゃないかな


 ばんばんばんBanRi:あり得そう!

 ばんばんばんBanRi:でも、マッキーが華ちゃんは嘘つかないっていってたような?


 のり:正しくは()()嘘つかないだね

 のり:僕もその言い方は気になってたんだ

 のり:つまり、本当は竹林さんがどこかで嘘をついていて

 のり:その嘘から生まれた推測が、政希を苦しめてるんじゃないかな


 ばんばんばんBanRi:それ!! それっぽい!!

 ばんばんばんBanRi:きっとそうだよ! っぽい!

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 のり:わかった、わかったから(笑)

 のり:そうだとして、万里はどうしたいんだい?


 ばんばんばんBanRi:マッキーにも華ちゃんと話してもらって、確かめてほしいの

 ばんばんばんBanRi:悩んでも正解を知ってるのは、華ちゃんだから。

 ばんばんばんBanRi:わたしは華ちゃんが考えてる事わからないから。

 ばんばんばんBanRi:力になれない。

 ばんばんばんBanRi:だけど、マッキーなら嘘は見破れるでしょ?


 のり:うんうん


 ばんばんばんBanRi:だから確かめてほしいの

 ばんばんばんBanRi:でも、マッキーに「確かめてこい!」って言っても動いてくれないじゃん?


 のり:動かないだろうね。肝心な時はヘタレだから。


 ばんばんばんBanRi:だから、わたしたちでマッキーの背中押そう!

 ばんばんばんBanRi:マッキーの説を一緒に否定してほしいの!

 ばんばんばんBanRi:名付けて、集卵心理大作戦っぽい!!!


 のり:集団心理のこと?


 ばんばんばんBanRi:それ!


 のり:万里と一緒に政希の説を否定すれば、2対1で優勢にはなるけど……

 のり:まだ弱いとおもう。


 ばんばんばんBanRi:トモくんきらい!!

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 のり:ちょっと聞いて(笑)

 のり:政希の説を否定するなら、別の説も用意しないと。


 ばんばんばんBanRi:あ


 のり:別の仮説を立てて、そっちが正しいって僕と万里が言えば

 のり:政希が折れるとは思わないけど、真相を確かめに行かせる、くらいは出来るかもね

 のり:ああ見えて意地っ張りだから。


 ばんばんばんBanRi:それそれ! それでいこう!


 のり:問題は、誰が仮説を立てるかなんだけど……


 ばんばんばんBanRi:わたしばか!!  ムリ! トモくんおねがい!!

 ばんばんばんBanRi:おねがい!!

 ばんばんばんBanRi:トモくん!

 ばんばんばんBanRi:既読無視しないで!

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 のり:あんまり得意じゃないんだけどなぁ

 のり:わかったよ、頑張ってみるけど


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 のり:あんまり期待しないでよ?


 ばんばんばんBanRi:ありがとう!!

 ばんばんばんBanRi:でも、ゼッタイ嘘まじりの説はダメだよ。

 ばんばんばんBanRi:嘘ついたらすぐバレちゃう。


 のり:見ても無い事を「見た」なんて言ったら。

 のり:政希の場合、即破綻だもんね。


 ばんばんばんBanRi:「友則、何故嘘の証言をするんだ?」(ジト目)


 のり:言いそう(笑)

 のり:強敵だなぁ。

 のり:突拍子もない、穴だらけの説だったらツッコミ入れて終わりなんだけどな……

 のり:僕に出来るかな。


 ばんばんばんBanRi:わたしもいるよぉ!!

 ばんばんばんBanRi:たぶん、散々笑えばなんとかなる!!


 のり:頼りにしてるよ(笑)

 のり:でも、政希の説がどんなものか分からない以上、ぶっつけ本番勝負だね。

 

 ばんばんばんBanRi:がんばろう!!

 ばんばんばんBanRi:あと、華ちゃんが「今日これないかもー」って言ってたんだけど

 ばんばんばんBanRi:来るとしたら午後からって昨日言ってたの


 のり:そうなの?


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 のり:なら、屋上からだと校庭は見えないけど、校門は見えるから

 のり:一応校門も見ておくね


 ばんばんばんBanRi:さすがトモくん!

 ばんばんばんBanRi:お昼に昨日の華ちゃんとことも話すね!


 のり:了解だよ。楽しみにしてるね。


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 のりがスタンプを送信しました。




 ここまで。

 以上の事を実践した結果、政希は動いたのだ。


「でも驚いたなぁ。まさか『嘘を付かずに散々笑えばなんとかなる』なんて」

「えっへへー。でも、なんとかなったでしょ?」

「なんとかなっちゃったね!」


 集団心理主義者だからね。あの天才は。

 2対1、なんて集団と呼べない数でも政希を動かすのには十分だった。


 笑う演技というのも、ある種『嘘』となる危険があった。

 だが、政希の説は予想以上にヘンテコなものだった。

 おかげで僕たちは本気で笑い転げる事ができた。


「トモくんの説も凄かったなぁ! あれ、思いつきでしょ?」

「さすが万里、よくわかったね。我ながらよく思いついたとおもうよ」


 目には目を歯には歯を。突拍子もない説には突拍子もない説を。

 

 新境地を開拓できた気がする僕らは、上機嫌のまま進む。

 あとは政希から結果を聞くだけ。


「「楽しみだなぁああああー!」」


 沈みかけの太陽よりも、僕らの笑顔は明るかった。



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