第10話 快進
スライム~
スライムはいね~が~
…いねぇか。
あれから50匹近いスライムを狩り続けて、1階層内では絶滅しつつある模様だ。
魔法についても色々検証できた。
まずダンジョン内では地形を変える『アースウォール』は使えなかった。残念。
『サンダー』は殺傷力はあるが、短時間スタンさせる効果のほうが実用的なようだ。
『フリーズ』はより顕著で、スライム程度なら長時間氷に閉じ込めておける。
『エアリアル』はやや広範囲に作用するのが特徴だ。ファイア程ではないが、そこそこの殺傷力もあるし、上手く操れば敵を集めたり行動を阻害したりもできそうで、使い勝手が良い魔法だ。
『ドレインタッチ』は相手に直接触れる必要があるので使い易いという訳ではないが、その分、十分な殺傷力をもって相手の体力・魔力を奪うことが可能だ。格下相手には発動しやすいので、レベル上げにはもってこいだろう。
『超魔導』は、もう少し魔力に余裕が出てきた頃に使ってみたい。
『念動力』は…まだ実用の段階にはないようだ。
現在のレベルは8に達しており、体筋敏運はF、魔力は早くもEとなっている。
レベル6あたりから、スライムは身体強化なしで一撃で倒せるようになった。
先程試しにスライムタックルをわざと食らってみたが、殆ど痛みも感じなかった。
…そろそろ次の階層に進んでも良いだろう。
外界も安全なのか分からないし、行けるところまで行っておきたい。
ただし、一応休憩はとっておこう。
ハイテンションの時は、身体の疲労に気づきにくいしね。
次のフロアからは人型の魔物が出てもおかしくない。
コンディションはバッチリにしておこう。
地下へと進む階段があるフロアは、少し他よりも広く作られているようだ。
よく冷えたポコリスエットを取り出し、腰に手を当ててぐいぐいと飲み干す。
「ぷはぁ。うまい!いやぁ、アイテムボックスさまさまだなぁ」
空のペットボトルは今後貴重かもしれないので、アイテムボックスに回収しておく。
気配察知を発動したまま、少しの間横になり、仮眠をとった。
30分ほど眠っただろうか。
特にモンスターに襲われることはなかったようだ。
気分爽快、体力魔力ともに全開である。
よし、次の階層に向かおう。
カツーン、カツーンと
階段を降りる自分の足音は大きく響いて聞こえた。
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2階層も、特に1階層と大きく見た目は変わらない。
ただ、1階層がほぼ1本道だったのに対し、2階層は幾つか脇道に分かれている。
迷わないようにマッピングしなきゃな。
ダンジョン攻略用にダウンロードしておいた携帯のペイントソフトを使い、地図を描きながら進む。
早速気配察知に反応があった。
スライムより大きな反応が…2体か。行ってみよう。
気配を殺しながら近づくと、80cm大ほどの人型のモンスターを発見した。
ゴブリンだな。ステータスは…筋力と敏捷がF、他はGか。スキルもなしと。
よし。
まずは察知される前に『エアリアル』を放つ。
突然の突風は、2体のバランスを崩し、節々を流血させる。
その隙をみて『身体強化』し接近。
背後から渾身の棒撃で1体の脳天を叩き割った。
『グギャァ!』
残る1体はすぐに姿勢を立て直し、手に持った石斧のようなものをぶんぶん振り回してくる。
当たったら痛そうだ。目で追えないこともないが…。
『超集中』を発動した。
大ぶりな攻撃は非常にスローモーションだ。
横に避ける。
隙だらけになったので、『サンダー』を当てて無力化。
側面に2ステップで回り込み、回転運動を加えた棒撃が確実に相手の頚椎を刈り取った。
ふぅ。
あ、あいててて。ちょっとだけ頭痛い…。
かき氷のキーンみたいなやつ…。
『超集中』の最中に魔法を発動するのは、負担になるみたいだな。
慣れないうちはあんまりやらないようにしよう。
レベルが上がったみたいだ。
なんと、8から一気に12になった。
スライムとはもらえる経験値が桁違いだな。
力が漲ってくる。
これは美味しいな。次はゴブリン狩りといこう。
『身体強化』のみの格闘で圧倒できるようになるまでは、魔法メインで狩るとするか。
あいつら体力低いしな。
気配察知で次のゴブリンを探した。
近くに3体の集団がいるようだ。グゲグゲと汚い声が聞こえてくる。
どうやらあいつら群れ易いみたいだな。
ここは、初の『超魔導』を使ってみるか。
中級魔法のない俺には有り難いスキルだ。
3匹全員を視野に収めたところで『超魔導』を発動した。
行け!『エアリアル!』
ゴウ と。
今までとは桁違いに切れ味のある風の塊がゴブリンたちを包み、錐揉みにした。
『グギャァー』『ギャギャ』『ギャギャァ』
レベルが上がったこともあり、風の刃に近い威力だ。
1体は絶命しており、残る2体も手足が千切れとんでいる。虫の息だ。
これは…なかなかエグいな!
でもこれ、わるいけど戦争なのよね。
たぶん。人間と…誰とのだろう。今は知らんでいい。
すぐ楽にしてやろう。
生き残った2匹に近づくと『ドレインタッチ』で止めを刺した。
レベルは14に上がった。
いやぁ、『超エアリアル』。なんて使える子…!
すまんが、ここからはこのコンボで無双させてもらおう。
と思ったが
魔力が上がりすぎて『超エアリアル』で全員一撃となり、ドレインできなくなった。
ちょこちょこ『超魔導』なしで調整したり、休憩を入れたり、格闘を再トライしたり。
第2階層を制覇する頃、ちょうどレベルは20に上がった。
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渡瀬太一(30)レベル:20(EXP+300%)
種族:人間
加護:魔神, 龍神, 八百万神
性能:体力E, 筋力E, 魔力D, 敏捷E, 運F
装備:金剛棒、アンダーアーマー、ウィンドシューズ, 幸運のタリスマン
【スキル】
戦技:火事場の真剛力, 韋駄天, 隠形, 金剛, 超集中, 威圧
魔法:ファイア, フリーズ, サンダー, エアリアル, アースウォール, ヒール, キュア, ドレインタッチ, バリアー, 念動力, 身体強化, 超魔導, 簡易錬成
技能:ステータス閲覧, アイテムボックス, テイム, 消費魔力半減, 起死回生, 超回復, 状態異常耐性, 念話, 意思疎通
【インベントリ】
アイテムクーポン(下×40/上×28/特上×4), 装備クーポン(下×11/上×6/特上×2)
製造くん(食糧/飲料水/快適空間/ユニットバス), 何でも修理くん, カプセル(ハウス/バイク/カー),
ポーション×3
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