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【コミカライズ】絆の聖女は信じたい ~無個性の聖女は辺境の街から成り上がる~  作者: 日之影ソラ
第二章 絆の聖女

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40.離れていても

 ドラゴン襲来の後。

 しばらく混乱が続き、不安がる街の人たちのために、私たちは教会にみんなを集めた。

 戦闘の最中ラトラが街の人たちに呼びかけてくれたお陰で、スムーズに集めることは出来た。

 そこで彼らに説明した。

 すでにドラゴンは討伐したこと。

 怪我人はなく、今後の活動にも支障はないこと。

 それから――


「申し訳ありません皆さん。これまで私はどんな方でもご相談をお受けしてきました。ですが今後は、軽い怪我や病気の際は、一度お医者様に相談して頂きたいです」


 セレイラさんは街の人たちにお願いをした。

 全て一人で何とかしようとして、無理をしていたことも含めて。

 それを聞いた街の人たちはあっさり受け入れた。

 批判や中傷の声はない。

 みんなも知っているからだ。

 セレイラさんが頑張ってくれていたことを、近くで見ていたから。

 なら、責めることなんて出来ないだろう。

 

 その日の夜、彼女はぐっすり眠りについた。

 久しぶりに心から安心して眠れたのだろうか。

 

 ◇◇◇


 数日後。


「お大事になさってください」

「ありがとうございます。レナリタリー様」

「はい」


 私は今、セレイラさんの教会でお手伝いをしている最中だ。

 あの日以降、セレイラさんは体調を崩してしまった。

 今まで頑張り過ぎていたから、疲れが一気に押し寄せてしまったのだろう。

 セレイラさんほどの力を持った聖女なら、一生病気にかからないことも多い。

 彼女にとって初めての風邪は堪えたらしくて、丸一日寝込んでいた。

 ようやく回復したのが昨日で、今日からは朝と昼に交代でお仕事をすることになっている。

 朝はセレイラさん、昼は私が担当だ。


「聞いてください聖女様、女房が最近口をきいてくれなくて」

「それはお辛いですね。もし良ければ何があったのか教えて頂けませんか?」


 教会に来る人は減ってきている。

 それでも十分に多くて、私の街とは雲泥の差だ。

 人が多いから、悩みもバラバラで、相談を受ける度に頭を悩ませる。

 これを全て一人でこなしていたセレイラさんは、やっぱり凄い人だと改めて思った。


 同日の夜。

 私たちは同じ食卓を囲む。


「貴女たち、そろそろ自分たちの街に戻ったらどうです?」

「え、で、でもセレイラさん」

「私のことなら心配いりません。休んだお陰で元気になりました。それに以前より力も増しています。きっとこれもレナリタリーさんのお陰なのでしょう? ありがとう」

「そ、そんな。お礼なんて」


 セレイラさんにお礼を言われと照れてしまう。

 今までのことが嘘みたいに、セレイラさんは私に優しくなった。

 私にだけじゃない。

 ガリウスさんにも謝って、今は良く二人で話したりもしているみたい。

 それに私と二人で話す機会も増えていた。


「絆の聖女……ね。無個性じゃなかったのね」

「はい。私もこの間まで知りませんでした」


 私の個性についても、彼女が休んでいる間に話してある。

 アレスト様とミカエル様の秘密については話せないから、全てを教えたわけじゃないけど。

 今の私が持っていること、思っていることは素直に伝えたつもりだ。

 

「気づけたのは……彼のお陰かしら?」

「え、あ……だと思います」


 もちろん、ユーリのことも話している。

 女の子同士だから話しやすかったのかもしれない。

 私が彼のことを好きになったのも……伝えてしまった。

 今は少し恥ずかしい。


「互いに信じ合い、絆を深めることで強くなる……素敵なことね。私はずっと……それをしてこなかったわ」

「セレイラさん……」

「でもわかったの。一人じゃ出来ないことも、二人なら出来る。信じて支え合うほうが、ずっと強いんだって」


 そう言ったセレイラさんは清々しい表情で笑った。

 重荷から解放された笑顔は綺麗で、女の子らしくて、可愛かった。


「だからもう大丈夫よ。いつまでも他所の街の聖女に迷惑はかけられないわ」

「迷惑だなんて!」

「思ってないのは知っているわ。でもきっと、街の人たちは貴女のことを待っている。いつ帰ってきてくれるのかなって。貴女を信じている人たちを不安にさせては駄目よ」


 それはとても優しい助言だった。

 不安がる必要はないのだと教えてくれる。


 不安だったんだ。

 ようやく心を開いてくれて、話せるようになって。

 お友達になれた気がするのに、また離れたら終わってしまう気がした。

 途切れてしまう気がした。

 誰かと繋がるということは、何度も別れを経験するということもである。

 それがとても不安で……怖かった。


「大丈夫よ。今もまだ、貴女の力を感じている……いつでも、どこにいても感じる。これが絆の力なんでしょ?」

「……はい」


 そう。

 私たちは繋がっている。

 確かな絆で、聖女と聖女のつながりで。


「困ったらまた相談するわ。貴女も何かあったら私にいつでも相談しにきて」

「……はい!」


 だから大丈夫。

 私たちは聖女で、お友達だ。

 この先もずっと、離れていても。


 この繋がりは……途切れない。

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