表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/20

村道襲撃

3人に襲いかかる魔の手…しかしその時救世主が!


昼下がりの村道、普段なら小鳥の声でも聞こえてきそうなのどかな風景なのだが、今は動物の声など聞こえてこない。


聞こえてくるとしたら微かな魔物たちの息遣いだろう。


キングたち遠征部隊は村道の片側の草むらに潜み、獲物が来るのをジッと待ち伏せている。


地図でしか村道を確認できていなかったので、実際に見て場所が悪ければキングは襲撃の中止も考えていた。



(まぁこの場所なら特別問題はないだろう…)



実際に来て確認したところ地図で見た通りの場所だった。


道端は3〜4m程だろうか、両脇は人間の腰位まで草が生い茂っておりその奥は薄暗い森になっている。


村道だけ道を切り開いたので日光のあたる両脇だけ草が生えたのだろう。



(隠れるには好都合だな。)



キング達が隠れているのは一番近い村まで歩いて2日程かかる場所だ。


すぐに村から助けなんてこないような場所を選んでいた。


道は緩やかなS字になっている。


なぜこの様に道がクネッているのかキングも疑問だったが行ってみて分かった。


「コレ デカイ」



「あぁ、デカいな…」


大きな岩だった、大きさ幅共に小さな小屋くらいはあろうか。


それが道を遮るように地面から突出している。


地中に埋もれているいるであろう部分も含めると、相当な大きさだろう。


岩を削るにしてもこの世界に現代のような削岩機があるか分からないし、たかが村道である、特別問題がないのであれば大岩を避けて道を造るのは道理であろう。


ではもう一つのS字の曲がったとこには何があるのかとキングが見に行って見るとそこには小さな祠のようなものがあった。


雨風を防げるように木で建てられた小さな祠の中には、石で出来た女の像のようなものが奉られていた。


(…フン)


この世界の女神か何かのようだ、以前からあったものなのか、どうやら村道が出来る前からあったようだ。


神には会ったことがあったが特別信仰してるわけでもないので、目の前の女神像を見ても鼻で笑うくらいの感じにしか思っていなかった。


道がS字になっていた理由は分かったが元々の作戦に支障はないので計画通りに事を運ぶ事にする。


まず連れてきた狼モドキとゴブリンの中から2頭ずつ選びフォーマンセルにし道の前後に偵察に行かせている。


獲物発見の合図のためもあるが、襲っている最中に邪魔が入らないようにするための見張りの意味もある。


キングは村道襲撃のため場所以外にも幾つか準備はしてきていた。


その中の一つが単槍である。


相手が馬車の可能性も想定していたため、配下のゴブリン達全員に単槍を装備させ、まず馬車を牽引しているであろう馬もしくはそれに準ずる動物を殺すつもりでいた。


草むらの中のゴブリン達は3列に並ばせてあり、キングが合図するとまず1列目が単槍を投躑し、2列目が護衛ないし御者に槍を投躑、最後に3列目が混乱に乗じ先んじて敵に突っ込み殲滅するよう指示している。


リーチによって一方的に攻撃できる長槍も使いたかったのだが何分材質が木だけに槍を長くしても剣などで斬られる、また乱戦時味方同士の攻撃の邪魔になると判断し単槍にしていた。


ただ先は削り尖らせてあるので、ゴブリンの力でも投躑武器としても十二分に効果を発揮してくれるだろう。


それにもう一つは狼モドキと一緒に偵察に行かせたゴブリン達である、こちらは狼モドキの背に跨がり村道を駆け抜けていっている。


キングはゴブリンライダーと命名していた、ザンギのようにゴブリンの中にも個体差があるのだが、その中から小柄なゴブリンを選抜し狼モドキに乗る訓練をさせていたのだ。


さすがに大柄なザンギは乗ることが出来なかったが小柄なゴブリンならば訓練すれば乗せて走ることも可能だった。


これにより偵察時に会話が出来ない狼モドキの機動力を損なわず、騎乗しているゴブリンからより迅速な現状の把握が出来るようになっていた。


(にしても誰も来ないな…)


1時間程だろうか、草むらの中で待機しているが人など誰も通らず偵察も帰ってこない。


誰かしら待ち伏せ場所に近付けば偵察に出したゴブリンライダー達から報告があるであろうから帰ってこないイコール通行人の気配ナシなのであろうが待つしかないキングとしては暇である。



そう思っていると近くの村とは反対側の道からゴブリンライダーが一騎走ってきた。



「ギャーギャ―」



「ムコウ バシャ ニンゲン フタリ」



キングは思わずニヤリと笑い牙が覗く。


どうやら相手は2人のようだ、馬車も想定の範囲内であり対策もしているので問題ないであろう。


人数が多ければ一時後退してやり過ごすことも考えていたがこれならば殲滅出来る。


報告にきたゴブリンライダーを草むらの中に後退させ皆で獲物が来るのを息を潜めてジッと待つ。



馬車が近付いてくる。



御者には老人と隣りに青年が乗っている、まだこちらには気付いていないようだ。


ギリギリまで馬車を引き寄せる。



(いまだ!!)



キングが左手を上げた瞬間馬に向かって、草むらから無数の槍が馬目掛けて殺到する。



ーヒヒィーンー



馬の左側面の腹や首に槍が突き刺さり横倒れする。


すかさず2列目が御者に向けて槍を放ち、3列目が馬車へと突撃する。


キングは草むらの中で様子を窺っていた。


キングの側には完全武装したゴブリン精鋭部隊が守りを固めている。


馬車の方にも動きがあった。


御者に乗っていた青年が腰に差していた剣を抜き、近付いてきたゴブリン達と戦っている。


懸命に戦っている青年の左腕と太股には槍が刺さっていた。


左側を庇いながら剣を振り回しているが、バランスが崩れている。


ゴブリンの数に圧倒され、攻撃を防ぎきれず青年の身体に傷が増えていく。


馬車の後ろでは老人が入口の前に立ちはだかっていた。


どうやら馬車の荷台に何かあるようだ、老人も短剣で群がるゴブリン達を牽制している。


数分が過ぎたであろうか、青年が耐えきれず膝をついたところに槍で突かれ伏した上に棍棒が振り降ろされる。


青年は頭が潰れていた。


男の方も頑張っていたが、青年に向かっていたゴブリン達も男に群がり、結果体中を槍に突き刺さされ血を流し倒れた。


倒れた老人に更にゴブリン達が槍を突き刺し抉っている。


キングは辺りを警戒しながら草むらから出ると馬車を囲むようゴブリン達に指示し、精鋭部隊の2人に馬車の中を確認させる。



「いやぁぁ離してぇぇ」



(………)



馬車の中から少女が連れ出される、男が守っていたのはこれだろう。


それは美しい容姿の少女だった。


「ぁ…ぁ…おとぉぉさぁぁぁぁぁん」


どうやら倒れている男が目に入ったようだ、無数の槍に突き刺されズタボロになり死に絶えたそれに歩み寄ろうとするが、少女は2体のゴブリンに抑えられ振りほどくことができない。


あまりに少女がうるさいのでキングが殴り気絶させ、ゴブリンに蔓のようなもので手足を縛らせた上に口に布を噛ませザンギに担がせる。


加減はしたがキツく殴ったので当分起きないだろう。


他に隠れている人間はいなかったのでゴブリン達には馬車を壊させ残骸を林の中に捨てさせると、血の跡が残らないよう土を被せ襲撃の後が残らないようにする。


馬と死体は林に引きずり込んでから皆の食糧にした。


男2人の装備品もはぎ取り積み荷と一緒にゴブリン達に持たせ、最後に偵察部隊を呼び戻し森の中に消える。



キング達が去ったあとそこには鳥達の鳴き声だけが響いていた。



現れませんでした( ´_ゝ`)


前回久し振りに投稿したらPVが前日の20倍に跳ね上がってましたΣ(゜□゜(゜□゜*)

意外に読み続けてくれてる方いるんですねm(__)mアリガタヤー



今回の展開に関して、馬やられずに馬車逃走→S字のため最高速度が出せず偵察に出してたゴブリンライダーと追ってで挟み撃ち→途中青年死亡→父は娘を庇い死亡→娘泣きながら走るも追いつかれ奇跡を信じ女神像に手を伸ばすもキングに殴られ気絶というのも考えていたんですが結果アッサリした方にしました。


勿論祠に祭ってあった女神像は慈愛の神サラシリスです。

次回は集落へ撤収後のお話しになります。

でわでわ~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ