お祝いの準備 前編
レイは小鳥を木の部屋に残して、森を駆け回っていた。
「まずは、ケーキの材料。」
小鳥の記憶によると卵、牛乳、小麦粉、砂糖が必要だった。
レイは小麦粉と砂糖はあてがあったので、卵と牛乳を探すことにした。
レイは装風を使い空を飛んだ。
「たーまーごーはー。」
そして、レイはある目の前を飛ぶ魔物を見つけた。
「いた!」
レイが見つけた魔物は鳥系中型の魔物トルコリアムだった。
トルコリアムは自身の背中に巣を作って、他の鳥系の魔物の卵を盗んで自分の巣で育て、自身の卵は他の魔物の巣に置いてくるという不思議な魔物だ。『気配遮断』のスキルを持ち、他の魔物の卵を盗むために使う。
レイが鳥系の魔物に転生した時、何度かトルコリアムの背中で生まれた時があった。
(透明化)
レイはトルコリアムの背中に気づかれないように乗った。
「どれかなー。」
トルコリアムは卵だったらなんでも盗むため、家畜の鳥系の魔物の卵を背負っていることがある。
「あった。」
レイは数個の卵をコートに入れた。そして、すぐにトルコリアムの背中から飛び去った。
次は牛乳を探すためレイは森を探索していた。その時、
「キャン」
獣系の魔物の悲鳴が聞こえた。
レイはなにかと思い悲鳴が聞こえた方に向かった。
レイは近づきながら、魔物の血の匂いが濃くなっていくのがわかった。
そして、レイか到着すると血が流れてボロボロの魔物と剣を持った骸骨の魔物が対峙していた。そして、近くに体が真っ二つになり血が流れ出している二匹の魔物の死骸があった。
血が流れてボロボロの魔物は獣系ウシ類の魔物ウンルスだった。ウンルスは常に群れで活動している。体が大きく逃げ足が遅いため、天敵から早く逃げれる『危険察知』のスキルを持っている。ちなみにレイはウンルスに転生した時があったが、レイにとっての天敵はほとんどいないため『危険察知』のスキルが発動せず、群れにおいてかれることが何回かあった。
骸骨の魔物は無機物系ヒト型の魔物スケルトンだった。スケルトンは魔物や人の骨に闇の魔力が反応して生まれた魔物だ。スキルは持っていないが、生前の時以上の力を持ち、骨が粉々になるまで襲ってくる厄介な魔物だ。特にドラゴンの骨から生まれたスケルトンは出会ったら最後と言われるほど強く怖れられている。
死骸になっていた魔物は獣系ネコ類の魔物ネニーニャスだった。ネニーニャスはネコ類の中でも大型で常に二匹で行動し獲物を挟み撃ちにしてとらえる。歯や爪が折れてもすぐにはえる『再生』のスキルを持つ。ちなみにレイはネニーニャスに転生しネニーニャスのリーダーになった時がある。
レイはその光景を見てラッキーと思った。普通の冒険者ならスケルトンを見たら、よほどの実力者でない限りは戦闘を避け逃げる。
だが、レイにはラッキーと思える理由があった。実はスケルトンの骨には魔物除けの効果があり小鳥が一人の時は必要だと思っていた。そしてウンルスのメスからは牛乳が取れて、ウンルス群れにはレイが会いたい別の魔物もいる。
「んじゃ、スケルトン倒しますか!」
レイは意気揚々とスケルトンに飛びかかった。
スケルトンはレイに気づき剣を構えた。レイは避けようともせず、スケルトンに向かった。スケルトンは剣をそのままレイの頭めがけて素早く振りおろした。
(鉄壁)
レイは剣を左手で受け止めた。レイの手は鋼のように固くなっていた。
「ふっ!」
そして、レイはいとも簡単に剣をへし折った。
『鉄壁』は獣系ネズミ類の魔物ネノヅミが使うスキルだ。ネノヅミは洞窟に生息しており、洞窟の鉄を食べてできた穴に巣を作っている。鉄を採取しようとして、ネノヅミを起こしてしまい鉄のように固い一撃を食らい骨が折れる冒険者が大勢いる。
スケルトンはレイに圧倒され一瞬たじろいだ。だが、すぐにスケルトンはレイから距離をとった。
(火着)
しかし、すでにスケルトンの体は火で燃え上がっていた。
「遅いよ。」
『火着』はフレーイフレームが使う『火気』に続く、二つ目のスキルだ。『火着』はどこにでも火を起こすことができ、強さ、規模も調節できる。
スケルトンはレイに向かってきたが、そのまま火に飲まれ灰になった。
レイは灰を拾おうとしたが入れ物がないのに気が付き、近くの木に手で触れた。
(変形、成長調整)
レイに触れた木の葉っぱの部分が大きく成長し、くるっと丸まり葉っぱの袋ができた。レイは灰を葉っぱの袋に入れた。
レイは先ほどから必死に背中は見せまいと、彼を威嚇するウンルスの目を見た。
(観測眼、催眠)
するとウンルスはゆっくりと目を閉じていき、横にドンと倒れた。
レイがウンルスを観測した記憶はこうだった。
ウンルスの群れがここで休んでいた時、ウンルスは『危険察知』によってネニーニャスとスケルトンが近づいてくると察知した。ネニーニャスは群れで立ち向かえば勝機はあったが、スケルトンは勝てないと思い、群れの中で一番強かったこのウンルスがおとりになった。そして、ネニーニャスが現れ体を噛まれながらも闘ったが、そこにスケルトンが現れネニーニャスを真っ二つに切り殺した。
そして、レイが到着した。
「おつかれ。」
レイは群れのために体を張ったウンルスに優しく声をかけた。
(火着)
レイは真っ二つになった二匹のネニーニャスを燃やした。
ネニーニャスに転生した時があるレイはネニーニャスの無残な姿に心が痛んだが、ウンルスに目がくらみスケルトンを見てもすぐに逃げなかった自身たちが悪いと割り切った。
(超嗅覚)
レイはウンルスの匂いを嗅いで群れの位置を特定した。
『超嗅覚』は獣系オオカミ類の魔物イナルが使うスキルだ。イナルはオオカミ類の中でも小型で、よく人間に飼われたり、『超嗅覚』を生かして事件の犯人を捜すなど人と共存してる魔物だ。
レイは自身とウンルスに装風をかけ、群れの方角へ飛んだ。




