初めての温泉
ケーキを食べ終わった二人は夜の森を歩いていた。
「さきほどはお見苦しい姿を~~///」
小鳥は顔を真っ赤にして俯いてた。
「いいよ、いいよ。泣いてないならよかった。」
レイは気にするなと首を振った。
「でも、ケーキまでダメにして。」
「大丈夫だよ。」
小鳥はでもでもと申し訳なさそうだった。
ケーキは小鳥がつぶしてしまい、小鳥の服にはべったりクリームがついていた。
「今から洗いに行くし。」
「洗いにですか?」
「あれ、そういえば」
「ん?どうかしたんですか?」
レイはそういって、近くの樹液が垂れている木をドンっ殴った。
レイの行動に小鳥は驚き近づいた。
「どうしたんですか?」
「あっ。小鳥、近づかないほうがいいよ。」
とレイが小鳥に言った瞬間、木から何かがぼっとぼっとと小鳥の上の落ちてきた。
「いたっ!なんですかこれ?」
小鳥は落ちてきた片手より大きめの白い何かを拾った。
「魔物の繭だよ。」
「ま・・・ゆ・・・」
小鳥は自分の持っているものを理解した。そして、彼女の手がプルプルと震え始めた。
「小鳥、大丈夫?」
小鳥の異常な雰囲気に気づきレイは彼女に声をかけた。
それに対して、小鳥は無理だとゆっくり首を振った。
「でも、それ早く離さないと・・・」
レイが小鳥に言おうとした瞬間、バリッと繭が破れた。
「あっ」
レイが気づいた時には小鳥の手のひらの繭と足元の繭から虫系毛虫類の魔物ムルムーが出てきた。
「い、い、いやーーーーー」
小鳥は固まったまま悲鳴をあげて、その場で気絶した。
虫系ケムシ類の魔物ムルムーは常に繭に入って木にぶら下がっている魔物だ。繭は木の樹液を食べて作ってるため甘い香りがする。小さな体で一度にたくさんの樹液を食べるために『消化促進』というスキルを持つ。
「小鳥!小鳥!まあ、いいか。」
レイは繭を集めた後、小鳥を背負って先を急いだ。
「小鳥ーー。起きてーー。」
「んん。レイさん?・・・は!毛虫は!」
レイに起こされた小鳥は先ほどのことがよほど怖かったのか、ぶるぶると震えていた。
「大丈夫だよ。繭が欲しかっただけなんだけど。」
「え?その繭、何に使うんですか?」
「タオルだよ。体を洗うための。」
「タオル?」
レイは小鳥を起き上がらせて、目の前にあるものを指差した。
その瞬間、小鳥はさっきまでの震えがなくなり目を輝かせた。
「温泉!!」
「小鳥よく温泉に入ってたから。」
小鳥はあれと首をかしげて、レイの方を見た。
「レイさん、あのー?」
「なに?」
小鳥はもぞもぞと体をくねらせていた。
「どうしたの小鳥?トイレ??」
「ち、違います!えっと、その、温泉に入ってたっていうのは、、その、、見たということですか?」
小鳥は徐々に顔を真っ赤にさせていった。
「まあ、観測眼で見たから・・・」
レイは何かを考えた後、なにかはっとして開いた。
「そうか。小鳥は裸を俺に見られて恥ずかしいと」
「は、ふぇ、は、はだ、は」
小鳥は顔を真っ赤にして口をパクパクと動かした。
「それとも、最近胸が大きくなって下着がまた着れなくなったってほう?」
小鳥は顔を真っ赤にしたまま立ち上がった。
「・・・」
「どうしたの小鳥?」
小鳥は無言でゆっくりと歩いていき、そのまま温泉に飛び込んだ。
「こ、小鳥!」
小鳥の唐突な行動にレイは焦った。
小鳥は温泉の中心に座り込んで俯き口を開いた。
「もうお嫁にいけません。」
それを聞いたレイはよく理解できないと首をかしげた。
「でも小鳥は元の世界に帰るんだから、この世界の住人の俺に見られても大丈夫じゃないの?」
レイはなにげなくそう発言した。それを聞いた小鳥は急に水しぶきをあげながら立ち上がった。
「もう会えないんですか!?」
小鳥はレイが今まで見た中で一番つらそうな顔をした。
「だって、俺はこの世界の住人だし。」
「そう、、ですよね。」
そういいながら、小鳥はゆっくりと俯いた。
「ふうー」
そんな小鳥の姿を見て少しでも励まそうとレイは息を吐き口を開いた。
「俺はね小鳥。小鳥と会えたのが何かの運命だと思ってる。」
「運命ですか?」
「うん。俺は小鳥に会った瞬間、なんか胸がドキッとした気がしたんだよ。何かが始まる予感っていうのかな。俺は小鳥に出会えてすごくうれしいよ。」
レイがそういうと小鳥もレイをまっすぐ見て口を開いた。
「わ、私もです、私もレイさんにあえてすごくうれしいです。」
小鳥は顔を真っ赤にしながら精いっぱい声を出していった。
「ん?、、、小鳥、、、」
レイは真剣な顔をして、温泉の中に入りゆっくりと小鳥に近づいて言った。
「レイさん、、、」
小鳥はこの先何をされるかを想像し、ドキドキしながら目を閉じた。
レイは小鳥の顔にゆっくり顔を近づけた。
「んん」
小鳥はレイの顔が近づいてくるのを感じてぎゅと目を瞑った。
「服とタオルと石鹸はそこにおいてある。魔物除けはしといたから。小鳥ここで待ってて。」
レイは小鳥の耳元でそう呟いた。
「えっ?」
小鳥はレイの言っていることが理解できず呆然とした。
(装風)
レイは風をまとって宙に浮いた。
「すぐに戻るから。あと、その石鹸は髪も洗えるからー」
「待ってください!レイさーーーん!」
レイは空を飛び、森の奥に飛び去って行った。
レイにはあるスキルが発動していた。『火気』というスキルで精霊系ケモノ型の魔物フレーイフレームが使うスキルだ。フレーイフレームはウィードウィールが火の魔力で変化した魔物で火のスキルを三つ持っている。ちなみに一番初めにフレーイフレームになったウィードウィールはレイだったりする。
そして、『火気』のスキルは近くに火があったりすると強さ、大きさが直感でわかる。
レイは空を飛びながら考えていた。
「この先は確かエルフの村があったはず。でも、なんでこんなに火の力が、、、」
この先にはエルフの村の中でも大きめの村がある。
この村のエルフはほとんどが奴隷だったエルフたちだった。
今はなくなっているが昔は奴隷が存在していた。さまざまな種族の奴隷が、さまざまな理由で奴隷になっていた。だが、奴隷のいる国や、奴隷を売る商人などはことごとく、とある魔物に滅ぼされた。
そのため、七つのうち一つの国が滅んだ。そして、とある魔物は奴隷たちを救った神様として奴隷たちに今もまつられている。
レイが飛び去った後、小鳥は急いで体を洗っていた。
「この石鹸はどこで売っているのかな?」
小鳥は石鹸のすごさに感動していた。
この石鹸で洗うと髪はつやつやのさらさらになり、体はすべすべになった。
そして、体と髪を拭いて小鳥は用意されていた服を着た。
「ピッタリ!、、、下着もピッタリ、、、」
白いセーターと黒いミニスカートで成長期の小鳥でも難なくきれた。そして、用意されていた白い下着も平均より大きめのバストを持つ小鳥にピッタリだった。
小鳥はすこし顔を赤くし、恥ずかしがりながら着替えた。そして、レイが去った方を見た。
「私にも力があったら。」
小鳥はレイの助けに慣れないことが悔しかった。小鳥はレイが先ほど使っていた装風が自分も使えたらと思った。その時、
「わ!わ!」
小鳥の体が宙に浮いた。
「これって!」
小鳥は風をまとい、間違いなく装風を使っていた。
「なんで?でも、これなら!」
なぜ使うことができたのか疑問に思ったが、今はレイを助けに行きたいと思い、小鳥はレイのとんだ方向に飛んだ。




