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はじめてのセンタルド

 レイと小鳥はセンタルドのサンドル王国側の門の前に来ていた。

 「どうしましょ?」

 小鳥はレイに不安げに言った。

 門の前で、兵士がなにやら検問のようなものが行われていた。

 「何かあったんですかね?」

 「最近まではこんなことなかったんだけど」

 「どれくらい前なんですか?」

 「100年位前だけど、、、」

 レイは自分の言っていることが、一般人からすればおかしいと理解したのか、言葉が尻すぼみになっていった。

 「それは・・・・」

 小鳥はなんと言えばいいのかわからず、反応に困った。

 「、、、ごめん」

 レイは自分の基準で言ってしまったことを反省した。

 そして、レイはごそごそとなにか準備し始めた。


 そして、レイと小鳥の番になった。兵士は門の前にたちを厳しい表情のまま二人に話しかけた。

 「身分を証明できるものはあるか?」

 兵士の言葉に小鳥ははっとした。

 「そう言えば、なにも身分を証明できるものありません!」

 小鳥はひそひそとレイに小さな声で言った。

 「大丈夫。」

 レイはひそひそと小鳥に小さな声で返した。

 二人の行動が怪しく見えたのか、兵士は二人を睨むように凝視した。

 「お前たち。身分を証明できないならここはとうせん!」

 兵士が目をレイに合わせた瞬間、レイは目に魔力をためた。

 (観測眼)

 レイは観測眼により、兵士の記憶を観測した。その結果、この兵士が火の王国チュウズリアの兵士で、チュウズリアで起こった或る事件によりセンタルドに何人かの兵士が来ていることが分かった。


 火の王国チュウズリアは、周りが火山で囲わてるうえ、危険な魔物が多く生息している国である。そのため、軍事力が高く、自然災害、魔物に対する防衛技術が他の王国より優れている。


 (召喚者か、、)

 この事件には召喚者がかかわっており、ややこしいことになるかもとレイは不安になった。

 (まあ、なるようになるか)

 レイは開き直り、そのあとどこに隠し持っていたのか、一枚の紙を兵士に突き出した。

 「これでどう!」

 「んー」

 兵士はレイが突き出した紙をまじまじと見た。

 「その年で冒険者、、、そして上級とは、、、、」

 兵士は紙を見ながらぶつぶつとつぶやいた。

 「大丈夫なんですか?」

 小鳥は心配そうに小声でレイに言った。

 レイは紙を突き出したまま、小鳥に向かって大丈夫と口を動かした。

 兵士は少し唸っていたが、よしっと頷いた。

 「通ってよし、疑って悪かった。」

 兵士は横にずれ、二人に道をつくった。

 「どうも。」

 レイは小さくお辞儀をして、門を通った。小鳥も続いて小さくお辞儀をして、不安そうにしながら門を通った。


 門を通り抜けると、そこには整備された道、さまざまな作物が実った畑が広がっていた。そして、少し先には大小さまざまな建物が見えた。

 少し歩いた後、歩きながら小鳥が先ほどから気になっていたことをレイに聞いた。

 「さっきの紙は、いつ用意したんですか?」

 「あー。これのこと。」

 そう言って、突き出したレイの手には一枚の枯れかけの葉っぱがあった。

 小鳥はレイの言っていることが理解できなく、きょとんとしたまま止まってしまった。

 (『偽装』)

 レイがスキルを使ったとたん、一枚の葉っぱが先ほどの紙に変わった。


 『偽装』とは、獣系タヌキ類の魔物タヌルデルのスキルだ。タヌルデルはある特定の葉っぱを使って、自身の記憶したものに葉っぱを変化させることができる。しかし、自身が触れているときしか能力が続かなく、離してしまったりすると葉っぱに戻る。この葉っぱは、とある魔物の体に生える木の葉っぱが枯れ落ちたもので、土の魔力を豊富に含んでいるため希少価値が高い。そのため、葉っぱを見つけるのがうまいタヌルデルから奪った葉っぱで、生計を立てているものもいる。


 「わー。すごいです!!確か、、、偽装でしたっけ?」

 驚いた小鳥だったが、すぐにレイの使ったスキルを分析し思い出した。

 「そう正解。はい。」

 「えっ!?あっ!戻りました。」

 レイが小鳥に紙を渡して離した瞬間、紙は葉っぱに戻った。

 小鳥は葉っぱを凝視しながら、レイに尋ねた。

 「これが『歩く森』カルデナモルツの葉っぱですか?」


 混合系大型の魔物カルデナモルツは、神獣プリストトルが初めに生み出した魔物の中の一匹で、亀の形をした巨体に巨大な大木が生えた魔物だ。その大きな巨体と見た目から、歩く森といわれている。カルデナモルツは『吸収』と『噴出』のスキルを持つ。背中の大木で光の魔力、大地に根を張り、土の魔力を吸収して生きている。そして、そのたまった魔力を一年に一度、空に噴出する。ちなみに、その時に余分な土の魔力が葉っぱに吸い取られ、枯れ落ちる。その行動には、吸収した光の魔力を大地に流し、余分な大地の土の魔力を吸収して噴出し、森の魔力のバランスを整える意味がある。


 「あっ!。それ貸して。」

 「あ、はい。」

 レイは突然、立ち止まり、小鳥に葉っぱを渡してくれと言ってきた。小鳥は突然のことに驚いたが、別に渋る理由もないのでレイに渡した。

 (『固形化』)

 レイがスキルを使い葉っぱに魔力を込めた。


 『固形化』は無機物系固形型の魔物スララのスキルだ。スララは水の魔力と雪が反応して、固形化した冬限定のスライムだ。スララは自身の魔力を固形化して、四角、三角、丸、それに、楕円、円柱、三角錐など様々な形をしている。そして冬には、さまざまな形のスララを積み上げて、高さを競う大きな大会も開催されている。


 そして、レイが葉っぱの側面を手で払うと、葉脈のところが橙色、周りが肌色のきれいな葉っぱ型の結晶が出てきた。

 「きれー。」

 それを見た小鳥が思わず、目を輝かせ、言葉を漏らした。

 (鎖糸、変形)

 さらに、レイはその結晶に糸を通し、糸を変形させ留め具を作り、ペンダントが完成した。

 そして、レイはそのペンダントを小鳥に向けた。

 「もっとかわいくできればよかったんだけど、よかったらもらってくれない?」

 レイは照れ臭そうに小鳥に言った。

 レイの言葉を理解した小鳥の顔が、一秒もかからずとたんに赤くなった。

 「十分です!ありがとうございます。」

 小鳥は嬉しそうに笑い、受け取ろうとしたが、途中で手を引っ込めた。そして、ちらちらとレイを見らがら口を開いた。

 「あの!、、できれば、、、その、、レイさんに、、、、その、、、、」

 もごもごと、言いたいとこが言えずに、さらに顔を赤くしていく小鳥だったが、小鳥が何が言いたいのかわかったレイはわかったと頷き、小鳥の首に丁寧にペンダントつけた。

 「うぅ~、、うぅ~~~」

 お礼を言いたかった小鳥だったが、うれしさと恥ずかしさで変なうなり声をあげることしかできなかった。

 そんな、小鳥の姿を見たレイは自身の心が温まるのを感じた。


 そんなやり取りをする二人を、すれ違う人たちがほほえましく見ていることに小鳥は気づかず、レイは小鳥をこれ以上、恥ずかしがらない様に知らないふりをした。

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