ライラ・クローバーのお話 その1
これは現在サンドル王国のメイドであり、過去に最強の冒険者と言われたライラ・クローバー、彼女の話である。
ライラ・クローバーはの外れの田舎町で生まれた。一人っ子で今では考えられないほど気弱で引っ込み思案だった。そして、幼馴染であるレイナ・ハートの後ろにいつも隠れていた。
ある日のことだった、村の子供たちで冒険に行こうという話になり、みんなで近くの森に行くことになった。
「みんな親に言った方が!」
レイナは親に内緒で魔物のいる危険な森に行こうとするみんなに言った。
「大丈夫だって。危険な魔物が出るのは夜だけだし。」
子供のリーダ的存在の男の子が言った。
他の子たちも「そーだ!そーだ!」と男の子に賛成した。
しかし、ライラは森に入るのが怖くて立ち止まっていた。
「なんだ、ライラは行かないのか?じゃーお前は仲間じゃないな!」
男の子はライラをからかうように言った。
「行くよ!」
ライラは仲間外れにされるのが方が怖く、痩せ我慢をしてしまった。
レイナは心配そうにライラの顔を覗き込んだ。
「ライラ。大丈夫だから、村に戻ってて。」
レイナはライラに他の子に気づかれないように小声で言った。
「大丈夫だもん!」
ライラは意地をはって、他の子供たちについて行ってしまった。
「今から戻ったら、みんなを見失う、、、、」
レイナは不安そうな表情をした。そして、森の入り口にある木にナイフで「森に行きます。子供たちより」と文字を刻んだあと、木の実で文字をなぞり赤い果汁で文字を目立たせた。
「ないよりはましかな。」
レイナは小さくなった子供たちの後ろを急いでついて行った。
森の奥に進むにつれ、草木が茂って暗くなっていた。
「うっ、、う、、」
負けじと意地を張ったライラだったが、恐怖から目を赤くして、なんとか涙をこらえている状態だった。
そんなライラをレイナは優しく抱きしめた。
「大丈夫。わたしがライラを守るから。」
レイナはライラに優しく笑顔で言った。
「あり、、がと。」
泣きべそをかきながらもライラは頑張って笑顔を作り、レイナに微笑えんだ。
「つまんねーな。」
男の子がはぁーとため息をついて言った。
他の子たちもつまらなそうにしていたが。さすがに、怖くなってきたのか数人の子たちが「帰ろうよ。」と言いだしていた。
「んじゃ、帰るかー」
男の子がそう言ったその時だった。
「みんな待って!!」
レイナはみんなに聞こえる最低限の声で叫んだ。
「んっ!?」
ライラは急に聞こえたレイナの声に今の状況も相まって驚いた。
「どうしたんだよ?」
急に叫んだレイナにみんなの視線が集まった。
レイナは何かに気づいたのか神妙な面持ちになり、ライラから離れゆっくりと膝をついた。そして、地面を何かを確かめるように探った。
そして、いつものレイナからは想像できない程に気むずかし顔をした。
「みんな、うつ伏せになって、近くの草に隠れて。」
レイナは何かを探すように周りをキョロキョロと見渡すように言った。
「おいなんだよ?どういう----」
男の子が言おうとした瞬間、少し離れた茂みから何かがごそごそと音を立て現れた。
「ググォォオ」
何かはうなり声をあげ、ゆっくりと子供たちに近づいてきた。
その正体は獣系クマ類の魔物ベアトリクスだった。レイナが見つけたのはこの森にいるはずのないベアトリクスの足跡だった。
獣系クマ類の魔物ベアトリクスは肉食の獰猛な魔物で大きいもので人間四倍はあり、熟練の冒険者でも一対一の肉弾戦での戦いは避けるくらいの強さを誇る。スキルは『超視覚』で千里眼ほど遠くは視れないが、どんな細かい小さな色の違いを見分けることができる。現にいま、草木が生い茂る、森の中で子供たちを見つけ出した。
ベアトリクスを見た子供たちは一瞬だけ氷の様に固まった。
そして、状況を理解した子供たちの体が一気に動き出した。
「にげろーーーーーーー!!!!!!!」
みんな誰が言ったかわからなかった、誰が言ったか考えるより逃げることに必死だったからだ。
そして、たった一人だけ反応が遅れ、逃げ遅れた子がいた。
ライラだった。




