はじめての道中
「んーーーーーーーーー」
「んーーーーー」
目を覚ました力也と誠は、レイにうるさいからと魔力でできたクモの糸のようなもので体と口をぐるぐるにまかれいた。
レイたちは木の国トゥール王国に向かう途中の道で休憩していた。
これは、虫系クモ類の魔物クモクレアのスキル『鎖糸』だ。クモクレアの吐く糸は鎖のような硬さがありながら、布のような軽さで魔法使いの防具の材料によく使われる。ちなみに、レイはクモクレアに転生したとき、膨大な魔力で鎖糸を吐きまくり、巨大なクモクレアの巣を作った。そして、その巣は『白き天城』と呼ばれ、自然遺産になっている。
「で、装風が使えたと」
「はい。私も装風が使えたらと思ったら突然、、、」
レイは必死で抵抗する力也と誠を無視して、小鳥がなぜ装風が使えたのか聞いていた。
小鳥はエルフの村に来た時、確かに装風を纏っていた。
(やっぱり、小鳥もオールが使えるのか)
レイは小鳥のオールの能力がなんなのか考えていた。
「まあ、今はいいか。それよりも!」
レイは力也と誠の方を向き、口の拘束を解いた。
「「てめ---」」
「えい」
しかし、口の拘束を解いたとたん力也と誠が騒ぎ出したので、レイはまた二人の口の拘束した。
「んんーーーー」
「んんーーーーー」
レイは二人にため息をつきながら口を開いた。
「二人はこれからトゥール王国に行ってもらう。そこには俺の知り合いがいるから、、、」
そしては二人を拘束したまま、レイは二人を装風で宙に浮かべた。
「いってらっしゃーーーーい!!!」
そして、思いっきりぶっ飛ばした。
「「ンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」」
二人は高速で飛んでいき、すぐに見えなくなった。
「えい」
そしてレイは『送風』を使った。『送風』はウィードウィールの三つのスキルの一つで、簡単に言えば風の手紙に様なもので、基本的にはウィードウィールしか受け取るとこも、送ることもできないが、レイが贈った相手は神獣アルタイル・ベータなので何の心配もなかった。
「よし」
「あははは、、、」
小鳥はレイの当然の凶行に苦笑いしかできなかった。
(まあ、レイさんの事ですし大丈夫です、、、よね。)
レイに多大な信頼をよせる小鳥だったが、多少の心配は残す小鳥だった。
二人を見送った?レイたちは再び歩き始めた。
小鳥は二人をぶっ飛ばしたレイに、先にトゥール王国に二人をぶっ飛ばした理由を聞いた。
「二人を先に行かせましたが、どこかに向かうんですか?」
「センタルドに向かおうっと思ってね。」
「センタルドってあのギルドの本部があるっていう町ですか?」
センタルドとは、全ての王国の丁度中心にある町でどこの王国のも属していない。ギルドと言われる冒険者たちが依頼をこなしお金を稼ぐ施設の本部がある。
「へー。小鳥は記憶力抜群だね。」
すべての前世の記憶を覚えているレイだったが、本で読んだ内容を完璧に覚えている小鳥に感心した。
そう言われた小鳥は何か考えるように俯き気味に眉をひそめた。
「そうなんですよね。この世界に来てから、いままで見てきたり、読んだり、聞いたりしたことが鮮明に記憶に残るようになって、、、」
「へー。」
小鳥自身もおかしいとは思っており、自分にもオールの力があるのではと思っていた。
力也と誠、他の召喚者は闇の国サタルニアでの訓練で自身のオールを確認していたため、小鳥の能力をすぐに知るすべはなかった。
(小鳥の能力も早く知りたいけど、他の召喚者たちのオールも気になるな。)
力也と誠の他にも何人かオール使いがいて、厄介で強力な能力ばかりだった。
(いやだなー。あの子たちとも戦う可能性があるのか。)
「はぁー。」
この先の最悪の展開をを考えて、レイはため息をついた。
「あのーレイさん。先ほどの話の続きなのですが?、、、大丈夫ですか?」
「あっ!ごめんごめん。」
小鳥は辛そうな表情をするレイを心配そうに見た。
小鳥は不安そうにしながらも、口を開いた。
「その町に何か用があるんですか?」
「うん。ギルドで働いてる人に知り合いがいてね。」
そう答えたレイに小鳥はある疑問を抱いた。
「あれ?でも、ギルドで働いてるということは・・・人間ですよね?」
魔物だったころのレイとはどうやって知り合ったのだろうと小鳥は思った。
「いや、獣人だよ。」
レイは何気なく答えた。
「獣人ですか?そういうことですか。」
小鳥はレイの答えに納得した。
獣人は、神人デネブ・アルファが強化魔法を使わせるために創造した種族。二本足で立つ、ヒト型の獣でさまざまな姿以外は人と変わらない。獣人は人の言葉を話せるだけでなく魔物とも話せる。
「ごめんね。小鳥を早くトゥール王国に連れて行きたいんだけど。調べたいことがあってね。」
レイは申し訳なさそうに小鳥に言った。
「大丈夫ですよ。私はレイさんについていきますから。」
小鳥は小さな両手を握りガッツポーズをした。
「ありがと。小鳥」
「はい////!!」
二人の旅は続く。




