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初めてのエルフの涙

 (さて。)

 「あとは君だけだよ?」

 レイはさきほどから逃げないように見張っていた、がれきの裏の隠れている人物に声をかけた。

 その人物は怖くて動けないのか、動きもせず隠れたままだった。

 (魔力でバレバレだけど)

レイは仕方ないと思い、がれきに近づいて行った。


 「ソード」

 その時、レイに向かって風の刃が飛んできた。

 (鉄壁)

 レイは手で風の刃を薙ぎ払った。

 (さっきの攻撃のすごさがよくわかるなー。)

 レイはオール・ブレイカーとソードの威力の差にあきれていた。

 ソードは魔法の初級中の初級魔法だ。初級魔法は名前が全属性一緒だか、属性によって効果が違う例えば風属性なら遠距離攻撃特化、土属性なら防御特化だったりする。中級魔法になるとモエギが使っていた魔法のようにウォーターやグランドなどの属性の名前が入る。

 「くそっ。ソード!」

 「ソード!」

 「ソード!」

 レイは次々に放たれる風の刃を次々薙ぎ払った。

 実のところ、誠は風属性の魔法に才能があったが自身のオールを過信して初級魔法までしか使えなかった。

 (仕方ない。催眠)

 レイは自身の魔力を誠に放出したが、誠は眠らず魔法をうち続けた。

 (魔力が強いからかな?)

 レイは先ほどより、多くの魔力を放出した。

 「くそったれ、、がっ、、」

 誠はその場に倒れ眠りに落ちた。

 「はあ。」

 レイはため息をつき、倒れている誠に近づいた。

 「こんなでも、召喚者なんだなー。」

 レイは誠が寝てるか確かめるためと個人的な恨みを込めて、ぺちぺちと誠の頬を叩いた。

 「眠らせたのですか?」

 「うん。」

 レイの後ろに先ほどまで呆然としていたモエギと彼女に支えらたアサが現れた。

 「あっ!じっとしてて。」

 「え?」

 レイはアサの怪我している足に手をあてた。

 (再生)

 アサの怪我はレイから発せられる魔力に触れ、どんどん治っていった。

 「これで動けるでしょ」

 「あっ。ホントだすごい!ありがとうございます!」

 アサは支えられていたモエギの肩から離れ、一人で歩いた。

 「私はモエギ。あの子はアサ。あなたたちは何者ですか?」

 モエギは鋭い視線を向け、質問をレイに投げかけた。モエギは先ほどからの異常な力の数々を理解できなかった。

 「俺はレイ。すこし、特殊なスキルを持っててね。」

 「スキルですか?あんなにさまざまな力を使えるスキルがあるのですか?」

 レイはどうにかごまかそうとしたが、モエギの鋭い疑問のレイは答えに困った。

 (さあ、なんて説明しよう。)

 レイが自身の説明に困っていると、遠くから悲鳴が聞こえた。

 「キャアああああああ」

 「アサ!どうしたの!?」

 アサの悲鳴を聞きモエギはすぐにアサの方に向かった。


 「モエギ、、あの、、、」

 アサの声は震えていた。そして、アサの指差した先には首と体がばらばらになっている死体があった。

 「村長!!!、、やっぱり、、、」

 「村長、、、」

 死体の正体は村長だった。目が大きく開かれ、最後の最後まで抵抗しようとしていたのがよくわかった。

 アサは村長の無残な姿に涙が止まらなくなかった。

 「ファイヤーストーム、、、、」

 モエギは魔法陣から大きな炎の玉を出現させ、村長の死体を燃やした。

 「モエギ!なんで!?」

 「子供たちには見せるわけにはいきません。大人たちには私から説明しておきます!」

 「それは、、そうだけど、、、、」

 モエギはアサにそう言って、後ろで見ていたレイの方を見た。

 「・・・・・」

 レイは無表情だった。モエギは村長の無残な姿を見ても、なぜなにも感じないのと思った。

 「どうして、人間はこんなことができるのですか!?なぜ、何もしていない私たちから全て奪おうとするのですか!?」

 「・・・・・」

 レイは何も答えなかった。そんなレイの姿にモエギは怒りを抑えきれなかった。

 「なにか答えたらどうなんですか!?」

 モエギは怒りと悔しさで涙が抑えきれなくなり、顔を赤くして涙を流した。

 「モエギやめようよ。この人は私たちを助けてくれたんだよ!!」

 アサはモエギをなだめるために止めに入ったが、モエギと同じく悔しさのあまり涙が止まらなかった。

 「わかってます、、、わかってますけど、、、人間のせいで村長は、、うぅぅ」

 モエギもレイが悪いわけではないと、レイに怒りをぶつけるのは筋違いとわかっていた。しかし、何度も何度も自身から大切なものを奪っていく人間たちに対する怒りで自分の感情が抑えきれなかった。

 「わかってる!わかってるよ!モエギ、、、、」

 アサもモエギと同じく、奴隷として辛い目に合っていた。そのためアサにもモエギの気持ちは痛いほどわかっていた。二人はその場に座り込み泣き出してしまった。

 レイはその様子を見てることが辛くなり、二人から目を背けることしかできなかった。


 レイはなにも感じていなかったわけではない。もしも、自分がもっと早く気づいていればと悔しく思っていた。しかし、レイはエルフの二人よりも、死んだエルフの村長よりも遥かに昔から生きてきた。そのため、何度も多くの人と魔物を殺しては、何度も多くの大切な存在を失ってきた。

 レイは慣れすぎてしまった。

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