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初めての『オール(すべて)』 前編

 レイは大きな火の反応があるエルフの村に向かって飛んでいた。

 レイは向かっている途中で村で三人分の強い魔力を感じ取った。

 (『千里眼』)

 レイは村で、金髪の長い髪の美しいエルフの女性、この世界では見たことがない派手な色の服を着て、鎖がじゃらじゃらついたズボンをはいた、むきむきの男とがりがりの男2人を見つけた。どうやら、つよい魔力の持ち主はこの三人らしかった。

 

 『千里眼』はトドルクイナが使う観測眼に続く二つ目のスキルで、遠く先を見ることができる。


 エルフの女性が謎の男二人と闘っているようだった。

 「なんて魔力だ。」

 レイが驚いていたのは男二人の魔力の量だった。その量は一週間ずっと上級魔法を放ち続けても平気の量だった。特にむきむきの男が放っている魔力の一撃は、レイが今まで見たどんな攻撃よりもはるかに上だった。それに、対抗するエルフの女性も凄い技術だった。高速で動いて攻撃をかわし、風、土、火、水と4属性の現象魔法と強化魔法を使っていた。しかし、がりがりの男がエルフの女性の攻撃を予測しているかのように、エルフの女性の魔法を風属性の攻撃で打ち消していた。

 しかし、レイは違和感を感じていた。エルフの女性の高速移動はなんらかのスキルだとしても、逃げる範囲が狭すぎていた。

 スキルとは、生物が何らかの危機か変化に陥った時に発現するもので、少ないが人間や亜人などもスキルを持っているものがいる。だが、スキルは己を助けるための力なので、逃げる範囲が狭くなるなんて制限はない。

 「やばい!」

 それを疑問に思い、レイは村全体を見た。そして、レイはエルフの女性がなにをしているか理解し、急いで村に向かった。        

                 ・

                 ・

                 ・

 これはエルフの村が襲われる少し前の事だ。


 

 エルフたちのほとんどが寝静まった夜、この村の住民で村一番の魔法の使い手のモエギ・ガイヤはいつもの様に村の見回りをしていた。


 この村は住民のほとんどのエルフが金の王国フライルの奴隷だった。

 今はもう滅んだ金の王国フライルは金がよくとれたため経済力が高く、金持ちの貴族の嗜みとして多くの奴隷が売買されていた。

そして、モエギも幼いころは奴隷だった。しかし、あるときモエギが奴隷として売られそうになった時、金の王国フライルを一匹のドラゴンが襲った。そのドラゴンは黄金に輝く金色の鱗を持ち、どんな攻撃も魔法も聞かなかった。ドラゴンは奴隷たちを解放し、野菜がよく育ち、暖かいサンドル国に送ってくれた。エルフたちはドラゴンに感謝をするためここに村を作り、村の中心にはドラゴンの像を建てた。

 

 モエギは毎日の日課で、今日もドラゴンの像の前でお祈りをした。

 「できることなら、もう一度あなた様の背中に乗りたい。」

 モエギは奴隷から解放された時にドラゴンの背中に乗った。その思い出がモエギにとって一番の思い出だった。

 「明日も、私たちをどうか見守ってください。」

 もうドラゴンの寿命では死んでいるとわかっていても、モエギはもう一度だけ会いたかった。

 そして、モエギが立ち上がった時だった。

 村の近くで、強い魔力の反応をモエギは感じ取った。そして、最悪なことに邪悪な魔力も。

 モエギはあわてて叫んだ。

 「みなさん!逃げてください!」

 モエギのあわてた声に村中のエルフたちが反応した。なかには、その魔力に気づいていたエルフがモエギを見て頷き住民を避難させた。

 「強化魔法・視力強化Ⅴ」

 モエギは強化魔法を使い、強い魔力のする方向をみた。


 強化魔法はレベルがⅠからⅦまであり、基本的に獣人と魔獣がうまく使える。しかし、レベルⅢが一般では限界なのに、モエギはレベルⅤまで使える。


 モエギが見えたのは男二人組だった。そして、体格の大きい男は腕を振りかぶっていた。

 そして、その腕に大量の黒い魔力がこめられてるのがわかった。

 「みなさん。伏せて!!!」

 モエギがそういった直後だった。

 その男の腕から大量の魔力が放たれ、砲台の玉のような大きく速いスピードで村に向かってきた。

 住民たちはあわてて伏せた。

 その時、ビューーーンと何かか村を通過していった。そのあと、ドゴーーーンと大きな爆発音が聞こえた。

 モエギが顔をあげると、自分の左の少し先の部分がまるで、何かにすくわれたかのように地面がえぐられ、きれいさっぱり何もなくなっていた。

 そう、そこにあった家も、畑も、エルフも消えていた。残っていたのは大量の炎だった。

 「えっ、、、、」

 モエギは目の前で起きたことが理解できなかった。しかし、他のエルフたちも理解できず、固まっていた。

 「はやく逃げて、私がのこるから!!」

 モエギは今にでも逃げ出したい恐怖を抑え、声を張り上げた。

 「いや、私が残る」

 そう言ってモエギの横から白髪の髭が生えた老人のエルフが現れた。

 「ですが、村長、、、、」

 「この村で一番強いのはおぬしだ。おぬしが死んでは、子供たちは誰が守る!!」

 「すみません、、、、」

 モエギは村長の言葉に辛そうにうなずき、走った。

 「逃げるわよ。みんな!」

 「村長は?」

 一人の子供のエルフがモエギに尋ねた。

 モエギは精いっぱいの笑顔を作って子供に向けた。

 「大丈夫すぐに来るわ。」

 しかし、モエギは不安でいっぱいだった。

 

 「あれー。力だしすぎちまったかな?」

 「やめてよー。俺のエルフちゃんが死んだらどうすんのー?」

 「ちげーよ。全部俺のもんだよ!」

 「少しはわけるって約束じゃん!」

 そう会話しながら、二人の男が村に姿を現した。

 「おぬしたちは何者だ。」

 村長は怒りを抑えながら、二人に聞いた。

 「あん!なんだ、じじい!!」

 「かわいこちゃんはどこ?」

 村長は時間を稼ぐために会話を続けた。

 「じじいにようはないぜ!女はどこだ!」

 「女たちに何の用だ!」

 村長の質問に、がりがりの男はにたにたといやらしい笑みを浮かべた。

 「俺たちのおもちゃになってもらうんだよ。性なるエルフっていうだろ!」

 村長は今にでもこの二人を殺したかったが、なんとか平常心を保った。

 そして、二人に土下座した。

 「頼む。村の者たちには手を出さないでくれ。」

 むきむきの男は村長の頭を足でぐりぐりと押しつぶした。

 そして、がりがりの男はしゃがんで村長の耳元につぶやいた。

 「ちゃーんと返すよ。ボロボロだろうけどね。」

 「外道が!フレイム・・・」

 村長はがりがりの男だけでも自身の命と引き換えに死のうと魔法を唱えた。

 「ソード」

 しかし、それはよまれていたかのように、村長が唱えきる前にがりがりの男の風魔法によって止められた。術者を殺すといった方法で。

 村長の首がすぱっと切れて、首からは大量の血が噴き出した。

 「残念でしたーすべてお見通しでーーーす!!」

 その時、一つの魔力が消えた。


 「あっ、、、、」

 それに気づいたのは、モエギだけだった。

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