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ロリ巨乳狐娘叔父さんオンライン ‐ 美少女妖狐になったけど姪とゲームがしたい ‐  作者: 菌糸雀
第5章 立派なマツタケを前にしてロリ巨乳狐娘は何を想う
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7. カッコいい武器


 僕は姪に尻尾をモフられていた。

 流石に敵の出る場所ですぐにというわけにはいかなかったので安全地帯に移動してからとなったが、僕は今椅子に座った姪の膝の上に乗せられて思う存分に尻尾をモフられている。あとたまに狐耳もこねられる。


「んーっ、もふもふで幸せぇ……」


 僕の尻尾に頬ずりをしながら姪が幸せそうに零した。若干横向きに座っているので、振り返れば僕からもその至福の表情がよく見える。蕩けきった顔で尻尾を堪能する様子からは、見てるこっちまで幸せになるほどの幸せオーラが溢れ出ていた。まったく姪を喜ばせるのは最高だぜ。


 ちなみに僕たちが今いる安全地帯というのは、キノコの里の片隅の一角である。

 あの後マタゴンを撃破した勢いで、そのまま立ち塞がる敵を次々と撃破して里へと辿り着いたのだ。

 最初に6体と戦って以降は少数でしか敵が出現しなかったので、敵の行動パターンが分かったこともあって結構余裕で辿り着けた。まぁ睡眠とか初見殺しだしな。予め分かって複数人で対処すればどうとでもなる。


「やっぱりあんちゃんの毛並み柔らかくていいなぁ……あたしの尻尾、転生で生えてきたのはいいけどゴワゴワなんだよね」

「まぁ狐と狼で比べたらそりゃね」


 空を木々に覆われて日光のほとんど届かない森の中、自然と調和するかのように建てられたいくつものログハウスが点在する風景。

 そんなキノコの里の所々に生えた淡く発光するキノコにぼんやりと照らされながら、羨むようにうっとりと僕の尻尾を見つめる姪の横顔はそれはそれは綺麗だった。やっぱり姪は明るくても暗くても際立つ存在感があるな。流石は自慢の姪だ、かわいいだけある。


「あ~ホントふわふわぁ……綿菓子みたい……あむっ」

「ちょっ、るぅちゃんダメだよ食べないで」


 そして頬ずりから顔を埋めて最終的に尻尾にかぶりついた姪。歯を立てず(くちびる)で吸い付かれているだけのような状態なので、別に痛いわけではないのだが。ゲームだから今はいいけどこれまさかリアルでやられないよな? ちょっと尻尾の清潔さには気を遣った方が良いのかもしれない、と今後の事を少し考えさせられることになった。


「戻ったにゃ」

「あ、おかえりミィちゃん」


 そんなやり取りをしながらしばらくモフられていたら、ちょうど姪が満足してきた辺りでミィが戻って来たので終了となった。

 ミィがどこに行っていたかと言うと、この里のNPC店舗へのおつかいである。姪が僕をモフる間、1人だけ放置されて暇にならないよう仕事を与えておいたのだ。決して都合のいいパシリ扱いではない。


「どう? 調理器具あった?」

「バッチリ買えたにゃ。ほら、これだにゃ」

「おお」


 ミィがその手に取り出したのは、小さめのサイズの鍋だった。持ち手はフライパンのように棒状のものが1本であり、蓋もセットでついている。まさに注文通りの品だった。

 料理をするなら調理器具のバリエーションは多い方が良いに決まってはいるが、使ったことのない料理スキルにドカンと初期投資をするのは少し怖い。

 なので様子見で出費を抑えるために、とりあえず鍋を買ってきて貰った次第である。鍋は汎用性が最強なのだ。使い方次第で、煮たり揚げたり炒めたりも出来るのである。僕も普段から重宝している。


 ……まぁ男の1人暮らしの自炊なんて、大抵はフライパンで炒めて終わりなのだが。なんなら若干底の深いフライパンであれば、少量なら多少の煮炊きもできてしまうし。パスタだって1人分なら余裕よ余裕。最後に鍋使ったのいつだろう。


「僕が渡した買い物リストに書いてた他のやつは買えた? ていうかお金足りた?」

「一番高い鍋が20ゴルで、どれもそれより安かったから余裕で足りたのにゃ。これが菜箸で、これが初級調味料セット、あと適当に食器類にゃ」

「よし」


 無事におつかいを成し遂げたミィの戦利品を確認した僕は、満足気にそれらの品々をトレード機能で受け取った。料理には機材が必須なのでもっと高くつくかと思ったのだが、最低限なら思いのほか安かった。


 これならば余ったお金はやっぱり装備に……と、考えたところで気が付いた。

 さっきのトレードでお釣りも一緒に受け取っておけばよかったな、と。

 調理器具の値段が分からなかったためとりあえず全財産を預けたので、今の僕は無一文なのである。これだけ安かったなら、ミィに立て替えてもらっておいて後で払ってもよかったかもしれない。


 ともかくこのまま忘れていたらシャレにならない事態になるかもしれないところだった。ミィのことだ。最悪今回の貸し借りのことなんて忘れて、なんか知らない内に所持金が増えたと思って使い込んでしまうかもしれない。

 危ない危ない、忘れる前にさっさと返して貰ってしまおう。流石に今ならさっき貸した金額ぐらい覚えているだろう。


「ミィ、お釣り――」

「あっそうにゃ! アン、るぅ、見るのにゃ! ミィ遂に武器を手に入れたのにゃぁ!」

「おぉーすごい! なんかつよそう!」

「返し……え、なにこれカッケェ」


 だがちょうど思い出したかのようにミィが武器を取り出したことで、僕たちの興味はそちらに移ってしまった。……仕方ない、お釣りの話は後でいいだろう。

 だってしょうがないじゃん、こんなカッコいい鉤爪(かぎづめ)を見せられたら! こんな男心をくすぐるデザインの武器、喰い付かずにいられるわけがないじゃないか!


「鍋を探してる時に通りかかった武器屋に置いてたのにゃ。これなら握るだけだから不器用なミィでも使えるし、MP消費なしで斬撃属性の攻撃ができるのにゃ!」

「いいなー見せて見せて!」

「ぼ、僕も!」

「ハイハイにゃ、しょうがないから片方ずつ貸してやるにゃぁ」


 やれやれとばかりに武器を両手から外したミィから興奮気味に受け取ってまじまじと見てみると、それはやはり鉤爪であった。手の甲に合わせて湾曲させた金属板から伸びた3本の鉄の爪は鋭利なフック状になっており、引っ掻くような動作でのみ攻撃できる形状である。

 正直言って常人には使いづらいことこの上ない武器だということは容易に想像がつくが、だとしてもこのロマン溢れるフォルムはまさにカッコいいの一言(ひとこと)に尽きる。3本も刃がついているのに全て水平に同じ向きを向いている上に両刃ですらないのは非効率という他無いが、だがそれがいい。


 自分で使うとなれば絶対めんどくさいので嫌ではあるが、僕の中の少年のハートは見事にその武器の外見にキャッチされてしまっていた。思わず装備してポーズを決めたくなるほどだ。


「おぉー……このゲーム、こんな武器もあったのか」

「これなんていう武器なの?」

「これは『鉤爪』という武器種の『メタルクロー』なのにゃ」

「へー、鉤爪っていうんだ。いいねこれ、なんかカッコいい」

「にゃ、るぅもこの武器の良さが分かるにゃ? いい趣味してるにゃ!」


 目を輝かせながら鉤爪を眺める姪もまた、僕と同じようにすっかり魅入ってしまったようだった。

 女の子なんだからこういう如何にも男子向けな武器じゃなくて、カワイイだとかファンシーな装備を気に入ってほしいという気持ちはあるものの。いくらそんな感情があったところで、僕自身わかり過ぎてわかりみが深いので口に出すことはできなかった。


「えーっとここが持つとこだから……こうかな? どう? 似合ってる?」

「イカしてるのにゃ!」

「あぁー超かわいい! めっちゃ似合ってる、るぅちゃん超かわいい! ちょっとポーズ決めてみて!」

「アンにはこれがかわいく見えるのにゃ……?」

「か、かわいいかな? えへへ……こう?」

「はいこっち見て―! いいね! カッコいい! かわいい! 最高!」


 そんなロマン武器を右手に装備してみた姪の姿は、かわいい本体にカッコいい武器が合わさって最強の組み合わせであった。

 姪の防具は狼モチーフのデザインなので、鉤爪との親和性が高いのだ。二の腕まで覆う厚手の毛皮で作られた手袋には鉤爪がマッチする。普段からの活発な姪のイメージも相まって違和感なく似合いすぎていたため、思わず僕は反射的にいくつかポーズを要求してスクリーンショットを撮影していた。まぁこれは姪のかわいい姿があったら撮影したくなる叔父の習性だから仕方ない。


「折角だしあんちゃんも着けてみたら?」

「あ、そうだね」


 と、姪に言われてようやく僕が片方持っていることを思い出した。しまった、どうせ撮影するなら両方とも姪に渡すべきだったか。まぁいい、ミィの武器だし必要ならいくらでも借りればいい話だ。


 そんなことを考えながら僕も左手に鉤爪を着けてみれば、小さく柔らかな少女の手に無骨な金属の鉤爪というかなりのミスマッチ感。姪のようなゴツい手袋どころか、僕は素手なので尚更似合わなかった。

 だがそのギャップもそれはそれでいいものではあるので、この凶悪そうな武器を着けたロリ巨乳狐娘というのも中々に絵になる組み合わせではないだろうか。似合っていないからこそ似合っているというやつだ。

 そういう理由で逆に似合っていると自負した僕は、カッコいいポーズを決めながら得意気に言った。


「ふふふ……どう? 僕もなかなか似合ってるでしょ?」

「んー、似合ってる……のかなぁ?」

「似合ってはいないのにゃ」

「なんだと……?」


 だが女子小学生たちには不評だった。似合っていない自覚はあったが、逆にではなく普通に似合ってないと言われてしまった。

 くそっ完全に忘れてたけどロリと凶器の組み合わせとかはフェチズムな話だから女子供には理解されないのか……! まぁそうだよな大人の男の趣味だわ、思えば職場でもこの手の話題で後輩の小杉と盛り上がっててもサラさんは大して興味なさそうだったし。あの人は少女には大きなハートが付いたピンクの杖とかを持たせたいタイプである。


「やっぱりあんちゃんにはこういう武器は似合わないんじゃないかなぁ。本体がかわいすぎるっていうか」

「防具が合ってるるぅならともかく、お子様のアンには早かったのにゃ」

「ぐぬぬ……」


 悔しいが、かわいい見た目と凶悪な武器のギャップが理解されることはなかった。この辺の価値観の合わなさは本物の美少女と中身童貞のエセ美少女との違いである。理解されないということがこれほどにまで辛いとは。


「……まぁいいか。どうせこれミィの武器だし。はい、返すよ」

「ん、そだね。別にあんちゃんがこれから使う武器ってわけでもないもんね。似合わなくても気にする必要はないと思うよ?」

「うん……そうだよね。ありがとう、るぅちゃん」


 少し気落ちした僕であったが姪に慰められ、その優しさをしみじみと感じて多少は気を持ち直した。

 ただし引き換えに20歳年下の姪に慰められる情けない自分に若干の精神的ダメージを負ったが、差し引きでメンタルの耐久は微減という程度なのでまぁ良しとした。


「あ、そうだミィ」

「んにゃ?」


 そうして心を鷲掴みにしていたカッコいい武器を返したことで、ようやく僕は先程言おうとしていたことを思い出した。

 そうだ、僕は調理器具のお釣りを受け取らなければならないのだ。着服される前に回収しなければ。


「鍋代とかのお釣り、受け取り忘れてたなと思って」

「ああ、そういえば返してなかったのにゃ。危ないところだったにゃ、今返さなかったら今回の貸し借りのことなんて忘れてなんか知らない内に所持金が増えたと思って全部使うところだったのにゃ」

「本当にそうなるのかよ」


 僕の思い描いた最悪の事態がさも当然のように本人の口から未来予想として語られるのはどうかと思うが、まぁなんにせよそうはならなかったのだ。次からミィにお金を貸す時は気を付けようとは思ったが、今回のことはこれで解決である。少なくとも今回の最悪は回避できる。


「うにゃ……使った金額と貰った金額の差が……えっと……にゃあ……」

「まぁ計算めんどくさかったら大体でいいよ、端数は手間賃とでも思ってもらえば」

「あ、思い出したのにゃ。そういえばミィ、昨日の夜に高い焼肉食べたから今日は所持金ゼロからのスタートだったのにゃ」

「なんだそれなら簡単じゃん。今持ってるお金、全部僕が渡した分と道中でのドロップ程度ってことになるから……あれ?」


 確か道中で増えた分はどれぐらいだったか、などと思い返したところで僕はあることに気が付いた。気が付いてしまった。


「……なぁミィ、ちょっと質問なんだけど。その鉤爪って鉄製武器?」

「うにゃ? 確かそうだにゃ」


 そうか、鉄製か。実は初期武器はなんか謎の粗悪な金属を使っているらしいので、鉄というキチンとした金属が素材として確定している武器はワンランク上の品となるのだ。僕が貰った『アイアンダガー』もその括りであり、買うと結構な値が張る。


「武器屋で手に入れたって言ってたけど、買ったんだよな?」

「失礼にゃ、盗んだりしてないにゃ! ちゃんと代金は支払ったのにゃ!」


 おっと、確かにこれはだいぶ失礼な質問だったな。まぁいい、今はそんなことはどうでもいいのだ。


「じゃあ最後の質問だけど。そのお金どっから出した?」

「にゃ? そんなの当然、なんか知らない内に所持金が増えてたから使っ……にゃっ!?」


 そこでようやく本人も気が付いたようだった。

 そう、最悪の事態は回避などできていなかったのだ。もう既に手遅れなのである。


「……いくら残ってる?」

「ちょ、ちょっとは残ってるにゃ」


 ミィからトレード機能により、39ゴルが送られてきた。

 ははは、なるほどサンキューってわけね。ふざけんなゴラァ!


「いやいやいやなんかおかしいよなぁ!? 桁が違うだろ桁がァ!! ていうかこの20倍ぐらい渡したよなぁ!?」

「うにゃにゃっ……ご、ごめんにゃ。忘れてたのにゃ! これは不幸な事故なのにゃ!」

「ごめんで済んだら警察いらねぇんだよぉ! 悪いことしたら逮捕されるのが筋ってもんだろうが! 分かってんのかぁ!? おぉん!?」

「せ、説得力がすごいにゃ!」


 罪には罰を。理由は分からないが、今日の僕はその意識がすごく強かった。こちとら伊達に無差別破壊で逮捕されてないのである。

 だがフレンド間での金銭トラブルなどは運営としても対応が難しいところだ。通報することはできるが、そんなことで失った金は戻ってこない。仮に武器を店に売り直しても、武器はNPC店での売却額のレートが低いせいでほとんど戻ってこない。プレイヤーに売ろうにも、こんなただの店売り武器に需要があるとは思えない。詰んだわ。


 僕はやり場の無い怒りをぶつけるように、ミィの肩をしっかりと掴んで勢いよく前後に揺さぶった。


「返せよぉ! 僕の装備代よぉ!!」

「がにゃにゃっ……ゆ、揺らすなにゃ! 酔うのにゃあ! るぅ、助けてにゃぁ!」

「んー……流石にこれは、ミィちゃんが悪いかなって」

「そんにゃっ!?」


 ひたすらに揺さぶられるミィは姪へと助けを求めるが、しかし天使のように優しい姪をもってしても今回ばかりは擁護できなかった。

 僕は姪の返答次第待ちで一瞬だけ手を止めたが、すぐに再開して揺さぶり始めた。


「ああぁぁぁぁぁぁぁ……」

「にゃあぁぁぁぁぁぁ……」


 されど過ぎたことには何をしようと、決して事態が解決することはなく。揺すったところで気は晴れず、揺さぶられたところで意味は無く。

 ただただ暗い森の中に、僕たち2人の慟哭(どうこく)が無意味に響き渡ったのだった。


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