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ロリ巨乳狐娘叔父さんオンライン ‐ 美少女妖狐になったけど姪とゲームがしたい ‐  作者: 菌糸雀
第5章 立派なマツタケを前にしてロリ巨乳狐娘は何を想う
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6. 寝た姪を起こす


 睡眠キノコの影響で急激に襲い来る眠気、重くなる(まぶた)、立っていられず崩れる脚。

 そんな意識が朦朧とする中で、眠りに落ちる寸前に僕の本能的な思考が脳裏を()ぎった。


 ――すぐそこで姪が寝てるのに寝顔を見れないとか、拷問では?


 そう思った瞬間、僕は今にも取り落としそうになっていた短剣を咄嗟に現状への怒りと共に握り直して。

 自らの脇腹へと、突き立てた。


「あああああああああ!!」

「マッ!?」

「マ!?」

「マ?」

「マァァ!?」


 自傷ダメージにより眠気状態を解除した僕はそのまま気合いを入れる咆哮、それに驚く4体のマタゴンたち。

 やべっ、ちょっと大声出し過ぎたか? 姪起きてないよな? よかった、まだ寝てる。僕はとりあえず森の中の大地という大自然のベッドで眠る姪の様子をスクリーンショットに収めた。


 あとは残りのマタゴンを倒した後にゆっくりと寝顔を鑑賞すれば完璧な……あっやっぱ無理、一瞬持ち堪えたけど足のキノコがまだ生えてるせいで再び眠気が……


「≪狐火≫ッ!」


 だが突然の眠気でどうにもならなかった先程とは違い、事前に分かってさえいればなんとでもなる。僕は右脚に妖力を集めて≪狐火≫を発動し、寄生した睡眠キノコを灰に変えた。これでもう眠くはならない。

 普段は主に右手から出すことが多い≪狐火≫だが、左手から出す場合には当然左手に妖力を集めて発動する。逆に言えばその発動プロセスさえ踏めば、理論上は身体のどこからでも撃てるのだ。ぶっつけ本番で足から出せるかどうかは一種の賭けだったが、無事に発動してよかった。


「≪狐火・(まとい)≫」


 そしてついでとばかりにダメ元で、余剰の炎を体に引き寄せて全身に纏ってみると意外と上手く行った。僅かに火の粉を散らせる程度の薄い炎のベールには威力こそほとんど無いが、飛んできた粘菌を焼くぐらいのことは出来るはずだ。

 このスキルは姪の剣に炎属性付与エンチャント・ファイアするぐらいにしか使ったことはなかったが、どうやら自分の身体や武器にも使えるようだ。ていうか姪の武器に使ってる時ほどの無理矢理感を感じないし、もしかしなくてもこれが本来の使い方なのかもしれない。


 ともあれこれで対処と対策は済んだ。万全の態勢を整えた僕は……あれ? これ万全か? 結構使った覚えのあるMPはともかく、HPまで一桁しか残ってないんだけどいつの間に……もしかしてさっきの自傷ダメージか? たった1回刺しただけでダメージ高すぎない? いつも敵への攻撃に使う時はそんな強くないのに? マジかよ。


「……うおおおお!!」

「マッ!」

「マァァ!」


 そんなことを気にしていても仕方ないので、とりあえず雄叫びを上げながら敵へと走って突っ込んだ。目指すはミィの傍にいる方、2体の手負いのマタゴンたちである。

 走って距離を詰める僕に目掛けて、あるいは行く手を阻むようにマタゴンたちは白い粘菌を飛ばす。それらを僕は華麗に回避……しようとして若干避けられなかったものの、被弾して身体に付着した菌はキノコに成長する前に燃え尽きた。実質フル回避成功だ。


「はぁっ!」

「マ゛ッ!?」


 距離を詰めたら片方の敵に狙いを絞り、左右の手に握りしめた短剣で勢いよく斬りつける。

 残りMPが少なすぎて≪剛体≫を使うことはできないが、それでも刀身にまで炎を纏わせた短剣は充分な威力を発揮して巨大なキノコを討伐エフェクトの光の粒子へと変えた。

 まぁ実際はミィがあと少しのところまで削っていただけなのだが、それでも与えるダメージは確かに高い。これなら勝てると僕は確かな手応えを感じた。


「マー!」

「うおっ!?」


 この調子で敵の攻撃を無効化しつつ、効果的な炎の刃で斬りつければ余裕で勝てる……と、思っていたのだが。しかし予想外なことに、なんとマタゴンが短い腕で殴りかかってきたのだ。

 予期せぬ不意打ちを食らってしまった僕はただでさえ残り少なかったHPを更に削られ、いよいよ後が無くなる。殴りの威力は低いのでガードすれば1発は耐えられるかもしれないが、最早それすらも微妙なラインだ。極力殴られない立ち回りを心がけるべきだろう。


「このっ! せいっ!」

「マ゛!」


 お返しにと何度か斬りつけてそのままもう1体も倒しきり、残るは数メートルの距離を置いた場所にいる2体。片方は無傷だが、もう片方は開幕に僕の≪狐火≫で焼いたのでHPは結構削れているはずだ。

 このまま全て倒す、そう思って次のターゲットへと距離を詰めようとした瞬間だった。


「よし次……えっ!? ちょ、なんで消え……しまった時間切れか!」

「マッ!」

「マーッ!」

「くそっ!」


 一度殴られてからというもの、攻撃を受けないようにと気を付ける余り時間をかけ過ぎた。不意にMP切れで身を包む炎を維持できなくなってしまい、無防備な状態で敵の射線に晒される。

 マタゴンたちもその隙を見逃すことなく粘菌を飛ばしてきたため、僕は死に物狂いで横に転がって回避する。今回はなんとか回避に成功したが、≪剛体≫無しでの素のスピードではやはり全てを避けきるのは厳しい。


 だが問題ない、これまで戦って来た感じあの遠距離攻撃にはインターバルがあるはずだ。猶予は数秒ではあるが、今の内に近くの木の陰なんかに隠れればひとまずはやり過ごせる。

 それまでの時間は余裕が無いが、しかしこのままHPもMPも残っていない僕が隠れてもジリ貧だ。MPが回復するまで逃げ回ることは出来るが、そこまで時間をかけると無防備に寝ている姪が危ない。

 なのでここはイチかバチか、戦力を一気に増強するため頼れる仲間の復活に全てを賭ける。僕はすぐ傍の地面に倒れているミィへと駆け寄り、頭から睡眠キノコを引き抜いた。


「起きろ、ミィ!」

「ふにゃ? 終わったにゃ?」

「すぐに次の攻撃が来るぞ、こっちだ!」

「にゃっ!? なんてタイミングで起こすのにゃ!」

「マー!!」

「っぶな!」

「セーフにゃ!」


 僕はギリギリのところで次の攻撃が来るまでにミィを回収し、近くの木の陰へと退避した。僕たちが木の裏に隠れた直後に粘菌が飛んできたあたり、あと少しでも遅れていたらヤバかっただろう。

 まぁとにかくこれで2人だ、出来ることは一気に広がった。僕たちは手短に作戦会議を行う。


「今どういう状況なのにゃ?」

「敵はあと2体。ただ僕のHPとMPがもうほとんど残ってない」

「なるほどにゃぁ、それでミィの出番というわけかにゃ」

「うん。ミィ、できるだけ時間を稼いでくれ。その間に僕はるぅちゃんを」

「るぅは……あそこで寝てるのにゃ? わかったにゃ。 そういうことならちょっとの間ぐらい、アイツらはミィが相手してやるのにゃ」

「さっきは1体も倒せてなかったけどいけるか?」

「アレは妖力のペース配分をミスっただけだにゃ。爪に頼らず殴って戦えば、さっきみたいに妖力が底をついて強化が切れることもなかったにゃ」

「ああそっか、あの斬撃スキルMP使うんだっけか……あれ? じゃあもしかしてミィもMP空っぽ? それってマズくない?」

「心配いらないにゃ、寝たら少しぐらいは回復したにゃ。何なら時間稼ぎと言わず、そのまま倒してやるのにゃ」

「それは……いや、それでもやるしかないか。頼んだぞ。よし、いけっミィ!」

「任せるにゃ!」


 ミィのMP残量は気になるところではあったが、それを懸念したところでどうにもならない。今ある手札で戦うしかないのだから、覚悟を決めて囮兼足止め要員としてミィを送り込んだ。

 その隙に僕は、未だ地面に倒れて眠る姪の元へと駆け出す。

 聞こえてくる声から察するに、ミィも2体のマタゴンと交戦を開始したようだ。任せたぞ、お前の犠牲は無駄にはしない。


「オマエたちの相手はミィだにゃぁ! かかってこいにゃあー!」

「マー!」

「マッ!」


 姪のところに辿り着くと、僕はミィが時間を稼いでいる内に手早くこの姪を取り巻く現状をなんとかすることにした。


 まず一番に気になったのは、地面の寝心地である。軽く落ち葉が積もった地面はそう固くはないだろうが、やはり枕も無しに地面で寝ているのはどうかと思う。

 とりあえず僕は姪の頭をそっと持ち上げ、その隙間に自らの右腕をすっと差し込んだ。

 必然的に僕も地面に這わざるを得なくなってしまったので、やむを得ず隣に添い寝する。姪に腕枕しながら添い寝とか最高だぜ。かわいい寝顔がこんなにも近くで見られる特等席だ。


 次に僕は、姪がウルフシリーズ防具とかいう露出の多い服装で寝ていることが気になった。ヘソ出しスタイルはパンクだが寝るには無防備すぎる。

 寒くならないだろうか、風邪をひかないか心配だ。何か毛布でもあればいいのだが……あいにく僕はちょうどいいものを持っていなかった。

 仕方がないので、僕は自分の狐の尻尾を姪のお腹に乗せた。全身を包み込む布団代わりにはならないが、このモフモフでフワフワな尻尾であれば多少は温かくなるだろう。気分はさながら人間毛布である。毛布に使っているのは人間部分ではないが。


 そんな風に毛布になりきっていたところ、不意に姪が寝返りのようにもぞりと動いた。


「ん……えへへ……」

「うぉぉぉ……!」


 一瞬起こしてしまったかと不安になったが、すぐにまた寝息を立て始めた辺りそんなことはなかったので安心した。素肌に尻尾の感触は少しくすぐったいかなとも思ったが、どうやら肌触りが気持ちよかったようで無意識にギュッと尻尾を抱きしめられた。こんなに幸せそうに使ってもらったのなら毛布として冥利に尽きるというものだ。もうこれからは毛布として生きて行こう。


「うにゃっ、ダメだにゃもう長くはもたないにゃ……! アン! るぅはまだ起きないのにゃ!? アン!?」

「アンじゃねぇ! 毛布だ! 人の名前間違えてんじゃねー!」

「どういうことにゃ!?」


 しまった、毛布ライフをエンジョイしすぎるあまり間違えてしまった。そうだ、僕は毛布なんかじゃない。あくまで尻尾を姪の毛布として使っているだけの人間だった。姪に毛布として使われるのが幸せすぎて危うく人間性を失ってしまうところだった。危ない危ない。


「この際なんでもいいにゃ! モーフ、早くるぅを起こすにゃ!」

「誰が毛布だ! 人のこと毛布扱いしてんじゃねー!」

「ちょっと理不尽すぎないにゃ!? あっ、ヤバにゃっ……」


 と、そんなコントを繰り広げていたら遂にミィがしくじった。マタゴンの粘菌に当たってしまったのだ。ロクに動けなくなってしまっているあの状態は麻痺だろうか。

 威力が低いとはいえ2体がかりで殴られ始めたし、もう長くはもたないだろう。流石に早く助けなければ。こんなに気持ちよさそうに眠っている姪を起こすのは忍びないが、緊急事態だし仕方ない。僕だけで助けに入っても返り討ちにされるのが目に見えてるし、姪の力はこの状況を打破するのに必須である。


 そいうわけで渋々姪の足に生えたキノコを引き抜こうと思ったのだが、僕はふとあることに気付いた。気のせいか姪に生えているキノコが少し(しな)びているのである。

 睡眠とかかなり強力な状態異常だし、長くはもたなかったりするのだろうか。これワンチャン、もうちょっと待ってたら勝手に枯れたりしないかな? ぶっちゃけ腕枕と毛布としての仕事で忙しいから手が離せないのだが。枯れろ……枯れろッ……! 枯れ……いややっぱもう少し添い寝してたいな。まだ枯れるな……! あっ枯れた。チッ。


「んんっ……ふぁあ……あれ? あんちゃん?」

「おはよう、るぅちゃん」


 そして僕の隣で目を覚ます姪。森の中なのでたまに小鳥のさえずりも聞こえるし、気分はまさに朝チュンである。無事に寝具としての役割を成し遂げた僕は満足感で満たされた。


「んー、戦い終わったの? あっ尻尾モフい」


 起きるなり最初に戦況の確認をするあたりは流石である。この歳で既に危機管理能力がバッチリだ。

 その直後に僕の尻尾を抱いていることに気付いてモフり始めるのも流石である。今やゲームの中であれば自分にも生えているというのに、これほどにまで隙あらばモフろうとするとは。僕は感服して気持ちよくモフられた。


「るぅ~! 早く来てくれにゃあ~!」

「ん? あれっ!? まだ戦い終わってないじゃん!」

「あっ」


 僕は寝起きの姪の様子を観察するのに夢中すぎてすっかり頭から抜け落ちていたが、まだミィが戦っていたのだと思い出した。

 1人で足止めを任せてからもう結構経っている。流石にそろそろ加勢しなければマズいだろう。先程の麻痺は自力で解除したようだが、HPがもう残り少ない。MPだってほとんど残ってはいないだろう。


「手伝わないと!」

「あっ……」


 そう分かってはいたのだが、姪が尻尾を手放したことでつい物欲しげな声が出てしまう。

 いや、ダメだ。僕の個人的な欲望で姪を振り回すことはできない。ましてや今から仲間を助けにいこうとしている姪を邪魔することなんて、とてもではないが許されることではない。最も尊重するべきは姪自身の意志なのである。


 そんな僕の小さく漏らした声などいっそ聞こえていなければ良かったのだが、しかし姪には聞こえていた。聞こえてしまったようだった。僕の何気ない声が、姪に迷いを生じさせてしまっていた。狐の尻尾を手放したことに迷いが見える。恐らくミィを助けるため咄嗟に動こうとしたものの、まだまだモフりたいというのが本音なのだろう。

 だがそんな気持ちを我慢するかのように。ギュッと唇を噛み締めて決意したような表情に一瞬なってから、優しい顔で諭すように僕へと言った。


「待っててね、あんちゃん。続きは後で、ね?」

「……ッ!? は、ひゃい!」


 そのかわいらしい容姿から出てきた蠱惑(こわく)的なセリフは、まるで大人の女性を思わせるようで。思わず僕の中の童貞がアナフィラキシーショックを起こしかけて、返事がぎこちなくなってしまうほどだった。

 まだまだ子供だと思っていた姪が、まるで少女から大人に変わっていく瞬間に立ち会ったかのようなドキドキ感。もしかしてこれが恋? だとしたら昔、大きくなったらあんちゃんと結婚するって言ってくれてたし相思相愛では?


「ミィちゃん、お待たせっ! あとは任せて!」

「任せるにゃ! もう限界だから下がるにゃあ!」

「いくよ、あんちゃん! あたしたち2人の力でさっさと片付けちゃお!」

「……うんっ!」


 まぁ実際のところは、特別深い意味のある言葉などではなく。ただ単にあとでモフらせてねというだけの単純な話を、童貞の僕が過剰反応してしまっただけに過ぎないのだが。

 だとしてもあとで姪に尻尾をモフられるのだと考えると、ついついテンションが上がってしまう。姪はただでさえかわいいが、幸せそうに尻尾をモフる姪は更にかわいいからな。今からそれが楽しみである。

 そんな風にこれからの展開に期待で胸を膨らませながら、僕は姪と協力して可能な限り迅速に残った敵を倒したのであった。


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― 新着の感想 ―
[一言] もうこいつ駄目かもしれんな┓(*´゜ω`)┏ 可愛がるどころか下手すりゃ通報ものだぞw よかったなぁ、同じ見た目ょぅι゛ょでw
[一言] なにやってんだか
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