5. ゲームで使ってみよう
ところ変わって、再び実家。
姪に抱かれながらペットショップとかいう魔境から生還した子狐姿の僕は、玄関でフローリングの床に降ろされた。姪が靴を脱ぐためである。
結局ずっと姪に抱かれたままだったので、僕は外では一歩も自分で歩いていない。それゆえ足の裏は汚れてないし、このまま床を歩いても問題ないのだ。
とはいえ、自分で歩いていないからといって疲れていないわけではない。むしろ精神的な疲労はとんでもなく溜まっていた。
それゆえ僕は、家に帰ってきたという安堵から、その場でペタンと床に寝そべった。
『はー……この姿で出掛けるのって、何気にすごい疲れる』
「あっ! あんちゃんが床にペタってなってる! かわいいー!」
「かわっ……いや司、寝そべるんやったらリビング行きーや。一応そこも掃除はしてあるけど、瑠奈が真似してもアカンし」
『……それはそっか』
確かに母の言う通りである。叔父である僕は、常に姪のお手本となるよう心掛けなければならないのだ。帰って来て早々、こんなところで寝そべるのは良くないだろう。
というわけで、まずはリビングに向かおう。
ていうかもう狐のままである必要もないなと気付いたので、ペタペタと4本足で数歩あるいた後に、≪獣化≫を解除してロリ巨乳狐娘の姿へと戻った。
「あ……あんちゃんが人間になっちゃった……」
「なったっていうか、戻っただけだからね?」
姪は時々僕のことを妹扱いしようとしたり、元から普通の女の子だったかのように接してくることはあったが……とうとうただの喋る子狐として認識するようになったのだろうか。ペット扱いも来るところまで来たな……
僕はただ元の姿に戻っただけなのだが、それだけで残念がられるとは。これはいよいよ僕が人間をやめなければならなくなる日も近いかもしれない。もう種族的には妖狐だから、実質的にはとっくにやめてるけど。
「ちょっと司、何してるん? とりあえず戻ってもらおか」
「えっ……母さんまで?」
だがそこに、姪の肩を持つ思わぬ伏兵が現れた。
そう、母さんである。何故か僕を狐の姿に戻させようとするのだ。意味が分からない。いや、母さんも度々僕の毛皮をモフってたわけだから全く気持ちが分からないわけでもないが……それでも僕はしばらく人間の姿でいたい気分だったので、その指示には反論した。
「でも僕ペットじゃないんだし、人間……のつもりだから、いつまでも狐の姿でいるつもりはないんだけど?」
「ん? ああいや、そっちやなくて。まぁ狐に戻ってくれてもいいんやけど、まずはここまで戻ってきてほしいんよ」
「うん? あ、荷物運べってこと?」
「そうやなくて、ほら足元」
「足元? ……あっ」
しかしよくよく話を聞いてみれば、こっちの勘違いだと気付かされた。
うん、まぁこのまま進んだら確かにダメだわ。そういえば、行きの車の中で≪獣化≫したんだもんな。そりゃこうなるか。
「あっ! ダメだよあんちゃん、靴はちゃんと脱がなきゃ」
「はい、すいませんでした」
というわけで、100%正しいことを言っている姪に謝りつつ。
僕は玄関のドア前まで戻り、この身体では履きっぱなしになっていた靴をようやく脱いだのであった。
何はともあれ買い物は終わったので、今日も今日とてLROを起動した。
買ってきた小型犬用ベッドの開封は夜までお預けだ。一度箱から出してしまったら、そのままそこで寝かせられそうな気がしてるので。
そんな事情もあるので、帰ってきて早々にゲームの世界に逃げ込んできたわけだ。
今は姪と2人でプリミスの街にログインし、本日の目的地へとやってきたところである。
「というわけで、今日はまず新スキルなんかの検証から始めたいと思います」
「おぉー新スキル! あんちゃんどんなの覚えたの!?」
やってきたのは訓練所。設置されたカカシを相手に、自由にスキルを試せる場所である。
別に冒険の中で戦闘中に試してもよかったのだが、今回は落ち着いて試したいことがいくつかあったのでこちらを選んだ次第だ。弱いファラビットあたりを相手に選べば多少のミスで負けることはないが、やはり動く敵と動かない的の違いは大きい。
「まずは……これ! ≪短剣キック≫!!」
早速カカシの前に立った僕は妖力で身体能力を強化し、両手に短剣を構えて――そのまま蹴りを放った。
これこそが昨日のチンピラとの戦いを通じて習得した新スキル、≪短剣キック≫である。
「えっと……それっていつもの蹴りとどう違うの?」
「……威力、とか?」
ただしこの新スキル、見た目は通常の蹴りと全く変わっていなかった。何かエフェクトが出るでもなく、姪の言う通り全くもって普通の蹴りである。
スキルを使った僕としても、普通の蹴りとの違いなど感じられないのだ。見ていた姪に見分けられないのも無理はないだろう。本当に何か変わってるんだよなこれ?
ただまぁスキルの説明文には、威力が変わってそうなことが書いてあるのだ。多分普通の蹴りとは違うのだろう。ちなみに説明文はこんな感じだった。
≪短剣キック≫
消費MP:2
短剣を装備している時のみ使用可能。
短剣スキルのレベルにのみ依存した、高威力の蹴りを繰り出す。
うん、情報が少ない。蹴りってことは名前で分かるから、発動条件と威力のことしか書いてないようなものである。
ていうかこれ蹴りなんだけど、本当に短剣スキルでいいのだろうか? 短剣を持たないと発動しないのは良いとしても、そこから出すのが蹴りってどういうことなんだ……? 短剣使ってないんだけど、そもそも短剣を手に持つ意味は?
「うーん、かなり意味不明なスキルではあるけど……とりあえず威力だけでも分かるようにして試してみよう。訓練所メニューの設定画面から、ダメージ表記をオンにして……あとはMP高速回復も有効にしとこう。≪剛体≫は残りMPが多いほど強化値上がるスキルだし、比べるなら一緒の条件の方がいいだろ」
というわけで僕は、姪に見守られながら新スキル≪短剣キック≫を色々な条件で試してみた。
まぁ後半は姪も飽きたらしく、剣でカカシに斬りかかって遊んでいたのだが。半分ぐらい見守られてたので良しとしよう。
「よしっと。≪短剣キック≫の検証はこんなもんかな」
「ん、終わった? どうだった?」
そんな途中で興味をなくした姪であるが、一応最後に結果だけは聞いてくれる優しさはありがたい。そのまま放置しないあたり、完璧な気遣いである。
せっかく姪が聞いてくれたので、僕としてもなるべく分かりやすいように結果を答えた。
「色々試してみたけど、やっぱり威力が短剣のスキルレベル依存ってところがミソだね。妖力で身体能力を強化しても威力は上がらなかったけど、代わりに≪剛体≫で最大強化した普通の蹴りよりちょっと弱いくらいの威力はあったよ」
「んー、それってどうなの? 普通に蹴るより威力低いなら使えないってこと?」
「逆だね、結構使えると思う。今まではMPが減ったら≪剛体≫の効果がガクッと下がってたところを、その状態でも固定威力の強い蹴りが出せるようになったわけだし」
「あ! そっかぁ! 強化なしでもいいんだ!」
そう、この≪短剣キック≫はふざけた名前の割にはなかなか使えるスキルであった。
決闘で戦ったモヒカンのチンピラ曰く、いくつかの候補から僕のプレイスタイルに合わせて発現した短剣スキルだろうとのことだが……それにしても、僕のスキル構成に見事に噛み合っているのだ。蹴り限定とはいえ、MPが少ない際の火力をカバーできるのは非常に助かる。
まぁ実際には蹴りだけで戦うわけにもいかないし、普段の僕の戦闘は短剣で斬る合間に打撃を挟む程度なのだが。あと≪剛体≫の強化値が心許なくなるほどMPが減った状態で、消費MP2を何度も払えるかと言えば微妙ではあるものの……それでも使い道はある方だと言えるだろう。
身体強化なしの短剣での通常攻撃と比べたら、軽く数倍の威力は出るし。そう考えるとこの蹴りヤケに強いな。
「さて、新しい短剣スキルの検証も終わったところで……ここからが本番なわけだけど」
「いよいよ冒険だよねっ!」
「いや、実はまだ新スキルがあるんだ」
「えっ?」
姪が驚くのも無理はない。
何を隠そう、昨日の決闘が終わった時点では≪短剣キック≫しか新しいスキルは習得していなかったのだ。その時点で新スキルの習得を姪にも教えたので、姪としても僕が覚えた新技は1つだと思っていたはずである。
だがしかし、今回ログインした際に新スキル習得のメッセージが流れたのだ。
それはつまり僕自身もついさっきまで知らなかったというわけで、この新スキルがゲーム外で習得した技術だということでもある。
「まぁまずは使ってみるかな。いくよ、≪アイテムフォックス≫」
「ん?」
とりあえず追加で覚えたスキルを使って見せるべく、僕は右手に持っていた短剣を≪アイテムフォックス≫の収納空間に仕舞い込んだ。
そう、今朝の夢の中でカナメから教わった≪アイテムフォックス≫がゲーム内でも使えるようになっていたのだ。リアルで使えることは起きてすぐに試したが、やはりこのゲームは現実で使えるスキルを持ち込むことが出来るらしい。
≪アイテムフォックス≫
消費MP:0
触れたものを異次元空間に収納する。
他人の所有物などには使用不可。
性能としては、そのまんま普通にアイテムボックス……もといアイテムフォックス。最大容量なんかは知らないが、≪獣化≫の応用によって使えることから消費MPはゼロなのだろう。
おそらくゲーム的な都合により自分の物にしか使えないので大したことは出来ないが、それでもこれは言うなれば空間魔法のようなもの。属性としてはかなりのレアスキルと言えるだろう。
「ふっふっふ……どう?」
「どうって……なにが? アイテム欄に入れたの?」
「いや、これはアイテム欄みたいなところに物を入れるスキルっていうか」
「それ何の意味があるの……? アイテム欄でよくない?」
「それは……まぁ、そうなんだけど」
だがしかし、姪にはこの凄さが伝わらなかったようである。ましてやアイテム欄でいいじゃんと正論を言われてしまった。その通りすぎる。
そうなのだ。ゲームの世界では、こんなの誰でもデフォルトでできるのだ。
まぁ仮にアイテム欄の容量が少ないタイプのゲームであれば、多くのアイテムを持ち運べるようになる収納スキルは重宝されたことだろう。だがこのLROでは、アイテム欄にはかなりの余裕を持たせてあるようなのだ。未だにアイテムが所持数上限になったことは無いし、下手すれば上限なく物を持てる可能性もある。
「んー……あっ! でもほら、そのスキル使えばさ、装備の変更とかは普通より早くできたりしないの?」
「言うほど早くは出来ないかな……慣れればもっと早く出来るようになるかもだけど」
「そっかぁ」
「ていうかシステムに標準搭載されてるアイテム欄が便利すぎるんだよ。それと比べたら≪アイテムフォックス≫なんて、リアルでも使えるってことぐらいしかメリットもないし」
「えっ、それは普通にすごくない?」
言われてみればそうである。なんだか妖狐になってから色々とありすぎて感覚が麻痺していたが、冷静に考えたら現実世界では特殊な能力なんて使えないのが普通だろう。
ゲーム内で勝てないのは悔しいが、リアルで使えるのは妖術である≪アイテムフォックス≫だけなので、その一点だけでも勝っているなら良しとした。
「……まぁそれはそうか。じゃあ後でログアウトしたら見せたげるね」
「やったー!」
というわけで、あとで姪にリアル版の≪アイテムフォックス≫を見せる約束をしつつ。
気を取り直して、僕は次の新スキルを試すべく、周囲の地面に沿って薄く妖力を広げた。
「よし。じゃあ次いくよ」
「えっ!? まだあるの!?」
「実はまだあるんだ。昨日の夜、一気に使える術が増えたからね」
「おぉー! あんちゃんすごい!!」
と、姪に褒められて僕の自尊心が一気に満たされる。
これだよこれ。やはり叔父としては、姪には尊敬されていたいものである。かわいい姪からの尊敬の眼差し、たまらないぜ。
ちなみにここで具体的にあと何個のスキルが増えているかを言わなかったのは、一応の保険である。
ログインした際にいくつかスキルとして習得はしたが、ここから試す妖術はゲーム内で使った時にはどうなるか予想がつかないのだ。
もし最初の1つで使えないと判断した場合、残りの新スキルはこれだけだったことにしてスキル検証を終えるつもりだ。無理だと分かった上で、何度も姪の前で無様な姿を晒すわけにはいかないからな。当然のリスクマネジメントである。
「それで次はどんなスキルなの?」
「次に試してみるのは≪空間転移≫。ちゃんと発動すれば、離れたところに瞬間移動できるはずだよ」
「なにそれすごい」
そんなわけで、次は≪空間転移≫を試してみることにした。
これも昨夜の夢でカナメから習った妖術であり、≪時間操作≫と共にまさかのスキル化に成功していたのだ。
こちらは効果が分かりやすい分、姪にも軽く説明しただけで凄さが伝わったらしい。そういう意味でも≪時間操作≫より先に見せるのは正解なのだろう。なにしろ結果が見た目で分かりやすいし。
≪空間転移≫
消費MP:???
2点の座標を繋ぐことで、空間を転移する。
「自分自身」「設置した結界の中」「結界を展開可能な場所」のいずれか同士の間で使用可能。
≪時間操作≫
消費MP:???
空間を支配して干渉し、時間を操作する。
結界の範囲内でのみ使用可能。
どちらもスキル説明に消費MPが書いてないのは不安だが……まぁそのために試してみようとしてるわけだしな。
いざ実戦で使おうとした時に、MP不足で発動できませんでしたでは話にならないのだ。もしかすると不発に終わるかもしれないが、いま試しておくに越したことはない。
ちなみにこの≪空間転移≫だが、スキル説明にもある通り、基本的には自分自身が「設置した結界の中」か「結界を展開可能な場所」のどちらかに移動するための術である。
結界を張っても張らなくてもいいというのは、ただ単に過程を省略可能というだけだ。結界を張れるというのは空間を結ぶ程度には干渉できるということでもあるので、その時点で自分の位置と座標を繋げることが可能なのだ。
つまり事前に周囲に妖力を広げて干渉可能エリアとしておけば、その中では自由に転移できるのだとかなんとか。詳細な説明は頭の中には書き込んであるが、感覚として理解して使ってるだけなので正直よく分かっていない。
「それじゃあ実際に使ってみるね。いくよ、≪空間転移≫!!」
なにはともあれ使ってみれば分かる話だ。僕は離れた位置の地面を対象に、自分の位置を移動させる形で≪空間転移≫を使用した。
結果、視界が暗転して僕は一瞬で別の場所へと移動した。すぐ近くには姪の気配を感じないし、場所の移動が発生したのは間違いないだろう。
『すごいよあんちゃん、ホントに瞬間移動だよ! どこいったの!? あんちゃんが光の粒になって消えちゃった!』
それを見ていた姪からも、個人会話機能を使って興奮した様子の声が届いた。どうやら傍から見ていても、僕は瞬間移動したように見えていたらしい。
ふむ、これはある意味成功と言えるかもしれないな。なにしろ姪をこれほど驚かせたのだ。結果だけ見れば、成功でいいだろう。
『ところでるぅちゃん、確か訓練所って端の方に教会の旗と女神像があったよね? あれって実は、敷地内での摸擬戦なんかで死んでもすぐに訓練を再開できるよう設置してある簡易の復活ポイントなんだけど』
『……? 急にそんな話してどしたの?』
『そこの近くにさ、棺桶か何かが置いてないかな?』
『あっ、1個あるよ。それがどうかした?』
『それね、たぶん僕』
『ん?』
姪は何のことだかよく分かっていないようだったが、とりあえず指示を出してその棺桶を開けさせる。
それと同時に頭上からガタッと音がしてフタがずれると、暗転してから真っ暗なままだった僕の視界に光が差した。
「あれ? なんかあんちゃん入ってた」
「コャーン」
そして前回と同様、死亡したことで何故か狐の姿になってしまった僕は、姪に持ち上げられて回収された。
うん、まぁ、死んだよね。≪狐火≫とかはMPが足りなかったら不発に終わるだけだったから油断してたわ。まさか発動時に足りないMPの分の反動がHPに来るタイプのスキルだったとは。
「えっと、もしかしてあれって瞬間移動じゃなくて死んだだけ……?」
『まぁそうなるね。死んだからここに転送されただけで、多分るぅちゃんが見たっていう光の粒はただの消滅エフェクトだね』
「えぇ……? なんで死んだの?」
『MP30じゃ足りなかったみたいで、足りない分がHPに反動ダメージとして入ったっぽいんだよね』
「消費MPが多いスキルだったってこと? レベル上げたらそのうち使えるようになるのかな?」
『無理じゃないかなぁ……だってこれ見てよ』
「ん?」
そして困惑する姪にネタばらしをしつつも。僕は半透明なメニュー画面を展開し、姪にも見えるようにしてシステムログを表示した。
そこには僕がスキル≪空間転移≫を発動したことが記録されており、それによる反動ダメージの数値もバッチリと明記されている。僕は前脚で該当部分を指差して……これを指差しと言っていいのかどうかは分からないが、とにかく見せたい部分に前脚を向けた。
「えーっと、いち、じゅう、ひゃく、せん……えっ? なにこれ?」
『30万711ダメージ。さっき僕がHPに受けた反動ダメージだね』
「30万」
システムログには、30万を超える反動ダメージがHPに入ったという履歴が残っていた。
MPの不足分がHPへのダメージに変換されるレートは分からないが、少なくとも1万倍とかではないはず。むしろ倍率なしで1:1だった方が厳しいが……まぁその場合はどうにもならないので置いておこう。
『僕の今のHPとMPがそれぞれ30ずつだから……なんていうか、装備とかで増やしたとしても普通に発動させるには確実に届かなさそうっていうか』
「じゃあなんでこんなスキル覚えたの……? 使えなくない?」
『これもリアルで使えるようになった術なんだけど、ゲームの方でもスキルになったのは謎だね。ゲームバランスとかを考慮しての調整なのかもしれないけど、こんな消費MPじゃ一生使えなさそうだし』
「えっ、これもリアルで使えるの?」
姪はまた驚いていたが、無理もないことだ。こんなの現実で使えたら魔法か超能力だしな。今までも炎を出したり狐になったりはしてたけど。
「あたし見てみたい!」
『うんいいよ、あとでログアウトしたら見せたげるね』
「やったー! じゃあ早速ログアウトしよっか!」
『あ、今?』
「うんっ!!」
僕としてはこのあとは検証を終えて一緒に冒険を楽しみたかったところだが、姪にこんなにも良い笑顔で言われては反対できるはずもない。
そもそもどうせ≪時間操作≫も結果は同じだろうから、最低限の検証は既に終わってると言えるしな。使えないのなら検証のやりようもないわけだし。別にリアルで遊ぶことに計画変更しても支障はない。
というわけで、まだログインしてからあまり時間が経っていないものの。僕たちはさっさとログアウトして、現実世界の方で≪空間転移≫を使って遊ぶことにしたのであった。
ゲーム内で使えないスキルだから現実世界で使う……正直あまり意味が分からないが、まぁ姪と遊べるなら細かいことは気にする必要はないだろう。僕は妖狐なので妖術ぐらい使うのは普通のことだし。
――なお、このあと僕は姪にすごいすごいと煽てられたことで調子に乗ってヒュンヒュンと高速で瞬間移動しまくるのだが。
当然の如くその場面を母さんに見つかり、危ないからゲーム内でやれと叱られることになるのは言うまでもない。




