8. 姪の戦い
僕たちとチンピラの釣り場所を賭けた決闘3本勝負、第2回戦。
相手はロン毛で目付きの鋭い、不敵な笑みを浮かべる長身の男ことカース。対するは狼の耳と尻尾がついていて、麦わら帽子と水色のマントを水着の上から身に着けたかわいい姪。
まさに本日の大一番、僕の愛しの姪が戦うメインイベントが今始まろうとしていた。
「がんばえー! るぅちゃんがんばえー!!」
「やっぱりアンって精神状態ヤバくないにゃ……?」
「なんかもう、幼児退行してるんよ」
姪の出番を目前にして、応援の僕は否が応でもテンションが上がってしまい呂律が回らなくなる。
だってそりゃそうだろう。かわいい姪がこれから戦うともなれば、おのずと応援に力も入るというもの。こちとら姪の小学校の運動会を見に行って周りの保護者の方々にドン引きされるのは慣れっこなのだ。
ましてや今の僕はロリ巨乳狐娘。多少応援に力が入ったところで、元気な子供だなくらいにしか思われないだろうし何の問題もありはしない。とはいえ身体の勝手が幼く変わりすぎた弊害として、あまり張り切りすぎると若干舌足らずになってしまうという少々の問題は出ているが。
「ん、まかせて! がんばるねー!」
と、そんな僕の必死の声援に気付いたのか、姪は笑顔でこちらに手を振って応えてくれた。
なんだよその仕草、かわいすぎるわ。僕は思わず頬が緩み、尻尾がブンブンと左右に激しく振れてしまう。こんなのもっと応援頑張るしかないじゃん。
「応援するロリ巨乳狐娘ちゃんかわいすぎだろ……」
「なんだよあのかわいい生き物」
「まない……狼ちゃんもかわいいんだけど、それを健気に応援する狐ちゃんが合わさって相乗効果がスゴイな」
「尊い……」
「キマシ」
「応援してるだけでかわいすぎでは?」
「俺も応援されてぇ……」
今の僕は意識のほとんどを姪に集中しているので周囲の様子はあまり感じられないが、他の観客たちも何となくほっこりしているように感じられる。
おそらく決闘の開始を目前にして、ワクワクしている姪の姿がかわいいからなのだろう。当然である。ウチの姪はメチャクチャかわいいからな。
ちなみに僕は、当然ながらこの戦闘で全てを出し切る所存だ。
もしも僕の出番があるとすればそれは姪が負けた場合なので、そのまま僕まで負けるわけにはいかないが……まぁそれを考慮したとしても、この戦いよりも大事なものなどありはしない。全てを出し切ったあとの残りカスで勝てばいいだけの話である。
とはいえ実際には、姪の応援さえあれば僕はいくらでも戦える。姪はとても良い子なので、僕の番には必ず応援してくれるはずなのだ。そうなれば姪ガチ勢である僕は、気力充実元気ハツラツのフルチャージ状態にまで余裕で回復することだろう。なのでいま全力で応援することには何の問題も無いのだ。
『3、2、1……ファイッ!!』
「クフフフ……さて、どこからでもどうぞ」
「いっくよー!」
そして謎のレフェリーボイスが響き渡り、遂に戦いが始まった。
勢いよく長剣を抜く姪に対し、敵のロン毛……カースも腰のベルトに着けた鞘から細身の刀を抜いた。
「えいっ! やあっ!」
「おや、なかなか良い太刀筋ですねぇ」
開戦と同時、姪はマントと長い黒髪を靡かせて迷いなく斬りかかった。
カースはそれを涼しい顔で受け流しているが、その動作からは手加減など感じられない。あくまで余裕の表情を見せているだけで、油断せずに本気で動いて攻撃を捌いているのだろう。
その様子は、あたかも力に技で対抗しているような……レベルの低さを技量でカバーしている感じか? プレイヤースキルはともかく、ステータス面では姪の方が上なように思える。これなら勝てない相手というわけでもなさそうだ。
「クフフ、≪ウォークライ≫は使えないのですか? それとも忘れているだけ? もしまだ習得できていないのだとすれば、私も使えないので助かりますねぇ」
「あっ忘れてた! ≪ウォークライ≫!」
「おっと、これは藪蛇ですねぇ。こういう1対1の戦闘では≪ウォークライ≫の効果にある、敵に狙われやすくなるというデメリットも無いようなものなので積極的に使っていくといいでしょう」
「ん、わかった! ありがと! ていっ!」
そう指摘されたことで、自己強化スキルの存在を思い出した姪が≪ウォークライ≫を使った。ちゃんとお礼も言えてえらい。
カースは一応やってしまったというようなリアクションを取ったが、どうにもわざとらしいというか……これ確実にアドバイス目的で言ってるよな? 後半部分のセリフとか完全に要らなかったはずだし。
僕が同じ立場なら確かにそうするとは思うが、それはあくまで僕が叔父だからである。姪とは無関係なカースがそうするのは道理が通らない。やはりただ単に良いヤツだからなのだろうか。
「クフフフ、力負けしている状態で更に強化スキルまで使われると流石に厳しいですねぇ」
「≪ソードスラッシュ≫!」
「くっ……しかしそこ、隙アリですよ」
「あっ!?」
「るぅちゃん!!」
姪が底上げしたステータスから放った攻撃スキルはなかなかの威力があり、カースも受け流しきれずに僅かに傷を負ったものの。しかし反撃で振るわれた刀で、姪もまた少なくないダメージを受けてしまっていた。
くそっ、やっぱアイツとんでもないゴミクズじゃねぇか……! ウチのかわいい姪に斬りつけるなんてクソ野郎にもほどがあるぞ! いくらゲームのアバターの身体だからって、傷跡が残ったらどうしてくれるつもりだぁ!? おぉん!?
「大技はちゃんと相手の隙を突いて使わなければ、こんな風にカウンターを貰ってしまいますからねぇ。クフフ、スキルを使うタイミングは考えなければならないわけですよ」
「うー、難しい……」
それでもすぐに助言をくれるあたり、悪意があって姪を傷つけているわけではないのだろう。そもそもこれは真剣勝負の決闘なのだから、お互いに攻撃するのは当たり前である。
が、それはそれとしてだ。姪に刃を向けることを叔父である僕が許すかと言えば、答えは否である。僕は姪が有利になるよう、見抜いた敵の弱点を大声で教えた。
「るぅちゃん! 相手が動きを止めて喋ってる隙を狙うんだ!」
「えっ!? あんちゃんそれって……いいの?」
「アンがとんでもないこと言い出したのにゃ」
「人の心とか無いん?」
そんなわけで、僕が戦うならまずやるだろうという攻略法を提案してみたのだが。あまりに容赦が無さ過ぎたからなのか、良い子な姪はもちろん他の仲間たちからも賛同は得られなかった。なんなら周囲のギャラリーたちも若干表情がひきつっている。
いやまぁ確かに、ちょっと攻防を繰り広げたあとにペラペラとアドバイスをくれるっていうのはある意味では指導的な感じだし? そのタイミングで不意打ちするのが恩を仇で返すような行為だというのは分かってるんだけども。でもさ、そこは明確な弱点なわけだし……あとこれ決闘だし? 勝ち負けが最優先でいいのでは?
「それは出来れば……やめてほしいですねぇ。それとなく助言しながら戦うのは私の芸風……げふんげふん、手慣れた戦闘スタイルでしてねぇ」
「オイオイあの狐の嬢ちゃん、見かけによらずとんでもねェ外道だぜェ……!」
「グェヘヘヘ、かわいい顔して作戦がクズすぎるだろ」
更には見るからに悪どい手段や汚いやり口も使い慣れてそうなチンピラたちでさえ、僕の立てた作戦にはドン引きであった。そこまで言わなくてもよくない?
いやまぁあくまで見た目のイメージがチンピラっぽいってだけで、これまでの言動を見る限りではコイツら実際にはそういう卑怯な手なんか使わなさそうだけど。なんなら紳士的ですらあるし。
ていうかあのロン毛、いま芸風って言わなかった? やっぱりあの如何にもチンピラって感じの雰囲気、ただの演技なのでは? とはいえむしろ、逆にこれが素だったら怖いが。
「まあいいや、えいっ!」
「クフフ、踏み込みが甘いですよ」
「んー、こう!?」
「そうそう、そんな感じです、くっ! 呑み込みが早いですねぇっ……!」
「やあっ、それっ!」
そんなやり取りが挟まったものの、今は決闘の最中である。
とりあえず目の前の敵に集中し直した姪は、再び距離を詰めながら斬り込んだ。
その初撃は軽く防がれてしまったが、ウチの姪はかわいくて強いのだ。戦闘中に的確な助言なんてしてしまえば、どんどん強くなることだろう。叔父としての贔屓目を抜きにしても、小学生としては剣のセンスはある方である。
「クッ……フフ、なかなかに筋が良い。このままでは私は負けてしまいますねぇ」
「いけー! るぅちゃんいいぞー!」
そうしてしばらく姪が果敢に攻め続け、カースのHPを残り3割ほどにまで削ることができた。
大抵の攻撃は刀でいなされていたが、≪ウォークライ≫によって強化したステータスのお陰もあって終始優勢に立ち回れている。なんなら未強化でも、パワーは姪の方が上っぽかったしな。相手のガードを弾いたり出来るのはデカい。
一方で姪のHPはまだまだ6割近く残っている。
何度か反撃を貰ってしまったが、この分なら姪の勝ちは確実だろう。僕はもちろん、周囲にもそんなムードができた時だった。
「では、そろそろ私も本気を出すとしましょうかねぇ」
「えっ!?」
「なっ……!?」
「そうだぜカースよォ、そろそろ遊びの時間は終わりだァ! ギャハハハハァッ!!」
確かにカースが本気を出していないというのは、ある意味では分かりきったことではあった。
まず戦闘中に助言をしてくる辺りが明らかに勝負を舐めてるし、刀のスキルだって使っていない。とはいえこれだけリードがあれば、スキルを使ってきても押し勝てる……そう思って油断していたのだ。
だがしかし、僕たちが驚いたのは敵が本気を出すと宣言したからではない。
カースが広げた左の手のひら、そこの上に出現した一冊の本。魔力を纏って浮かぶその本は、明らかに魔導書か何かのようで――これまで刀で戦っていた相手が実は魔法系の職業なのだと、今更ながらに気付かされたからであった。
「≪召喚:透明マントヒヒ≫」
「え、どこ!?」
「消えたのにゃ!?」
「こっちですよ」
「あうっ!?」
「るぅちゃん!!」
そして魔導書が光って魔方陣が出てきたかと思うと、次の瞬間にはカースの姿が消えていた。そのままいつの間にか背後に移動していたらしく、半分ほど姿が見えた時にはもう姪に斬りかかっていたところだった。
あれは透明化の補助魔法か何かか? それとも召喚って言ってたから、透明化の能力を持った召喚獣……? いや、透明化という現象自体を召喚したのか? あるいは何らかの方法で異次元に隠れてるとか?
詳しいことは分からないが、いずれにしてもこれはマズい。いくら攻撃の瞬間にはある程度解除されるといっても、現状では姪の反応が間に合っていない。それにまた背後の死角に突然現れたなら、見えても見えなくても防御することは出来ないだろう。
「なにこれ、どうやって消えてるの……?」
「クフフフ、残念ながら私はもう本気なのでねぇ。ここからは解説なしで行かせてもらいますよ」
「えー、そんなぁ」
くそっ、僕も全く見当が付かないから助言のしようがない。こんなことなら攻略wikiで職業やスキルの一覧ぐらい見とけばよかった。
そんな後悔を抱きながら焦っていたところ、周囲のギャラリーが一気に騒ぎ出した。本音を言えば引き続き姪の戦いに全神経を集中したいところだが、これほどのピンチとなればそうも言っていられない。
もしかしたら周りの会話から、何か攻略のヒントを得られるかもしれない。その一縷の希望に賭けた僕は、急いで狐耳をピコピコと動かして情報を集めることにした。
「あれはまさか透明マントヒヒ!?」
「ああ、メアリー姐さんがよく盗撮に使ってるあの……」
「ってことはあのロン毛、侍じゃなくて召喚師だったのか」
「どうすんだよ!? このままじゃやられる一方だし、るなちーちゃん負けちまうぞ!」
「音だ! 音で察知するんだァ!」
「それだ! 狼ちゃん、耳を澄まして足音か何かで敵の位置を見つけるんだ!」
「頭の上に透明な召喚獣が乗ってるはずだ! ソイツを狙えー!」
「敵の音を……」
「後ろだ! 多分また後ろから来るぞ、気を付けろー!」
「お前らうるせぇぞ! 狼ちゃんが音で索敵できねぇだろうが!!」
「お前が一番うるせー!!」
「正論やめろォ!!」
……うん、余分な情報は多かったけど大体分かった。どうやら透明化の能力を持った召喚獣を出しているようだ。
まぁそれが分かったところでどうしようもない部分はあるが、それでも何も情報が無いよりはマシである。とにかく僕はこの騒がしさの中でも確実に情報を共有するべく、姪に個人会話機能からテレパシー的なメッセージを送った。
『るぅちゃん、相手は透明になれる召喚獣を使ってるみたいだ! そいつを倒せば透明化は解除できるかも!』
『なるほど?』
よし、とりあえず敵の情報は伝わった。あとは……あとはどうすればいいんだ? ていうかそもそも、相手が透明だから対処が難しいって話なんだから、別に何も解決してなくない? なに仕事した気になってるんだ僕は。
かといって他に僕に出来ることと言えば、もう応援ぐらいである。一応僕の狐耳なら音での索敵も出来なくもないが、それはあくまで自分が狙われている場合の話である。この雑踏の中、決闘フィールドによって区切られているせいで離れた位置にいる姪の周囲の足音ともなれば流石に聞き分けることは難しいだろう。
「クフフフ……さぁ、次はどこから仕掛けましょうかねぇ?」
「あっそこ! ≪ソニックエッジ≫!」
「おおっと、危ないところでした」
そんな手詰まりとも言える状況で姪は、咄嗟に声がした方に衝撃波の斬撃を飛ばしたものの。流石に音だけでは狙いが甘かったらしく、高速で飛んで行った空間の揺らぎは標的に命中することなく壁にぶつかって四散した。
「おしいにゃ! るぅ、今のもう1発いくのにゃ!」
「うー、でもあんまり撃ちすぎるとMPなくなっちゃうし……あっそうだ!」
「なんだァ~!? 何か思いついたみてェだが、無駄無駄ァ! カースの透明マントヒヒは、攻撃や防御をするか素早く動いたりでもしない限り完全な透明を維持できるからなァ! 簡単には見破れねェぜェ~! ギャハハハッ!!」
あ、カースからの助言は出なくなった代わりにそっちからヒント出るの? 姪が苦戦し始めた途端に饒舌になったぞ、なんという気が利くモヒカンだ。
とはいえ姪もただ手をこまねいているだけではない。何か思いついたようなので、まずはそれに期待だ。姪の自由な発想力は、時に素晴らしい冴えを見せるからな。案外たった今入ったヒントも無視して、自力で攻略できるかもしれない。
「えいっ!」
「むっ……!?」
そして姪は僕の期待を裏切ることなく、見事にその手でやってのけた。
姪が左手に取り出したのは、昨日砂浜でアイテム欄に直接かき入れて集めた砂。それを1掴み周囲に投げつけて、前方の広範囲にバラ撒いたのだ。
「見つけた! ≪ソニックエッジ≫!」
「おおっ! るぅちゃんすごい!!」
「やったにゃ!」
「ぐっ、やりますねぇ!」
散らばった砂粒が微弱な攻撃という判定になったのか、透明化がほとんど解除されてしまってカースの姿が現れた。
そしてその頭の上にしがみ付いていた、明らかに怪しいマントヒヒ。姪もその正体が召喚獣だと気付いたようで、素早く斬撃を飛ばして倒してみせた。一撃で倒せたあたり、どうやら耐久は無いらしい。再び隠れられる前に倒せたのはナイス判断だ。
「グェヘヘヘ、あの嬢ちゃんなかなかやるじゃねぇか。透明マントヒヒは一度倒されるとクールタイム期間中は再召喚できないタイプの召喚獣だからな。これでカースの奴はもうこの決闘が終わるまでぐらいの間は透明化できねぇか」
それに合わせてクッズから代理の解説が入る。結局そんな感じのローテーションで解説していくなら、カースが解説やめた意味ないんじゃないかな? いやまぁ本人が戦闘に集中できるっていうのはあるかもしれないけど。
「いけー! るぅちゃん、トドメだー!」
「やっちまえにゃー!!」
「ん、わかった!」
「クフフ……まさか透明マントヒヒが破られるとは。しかし私のMPはまだまだ残っていますよ?」
「えー、あたしもう結構使っちゃったのに……」
「次はこれです。≪召喚:騎士熊≫」
僕としては姪のMP残量も気になるので、ここでさっさと片付けさせてしまいたかったものの。カースもまたそれを分かっているのか、バックステップで距離を取りながら新たな召喚を行った。
そうして出てきた魔方陣は、先ほどの透明マントヒヒよりも遥かに大きく禍々しいものだった。マズいな、大物が来そうな気配がする。名前も騎士熊とかいう、ナイトメアみたいな強そうな語感だし……序盤の接近戦で削られたダメージが無ければまだ大丈夫だったかもしれないが、透明化状態から受けた不意打ちの分もあって姪のHPは半分を切っている。これはいよいよ厳しいかもしれない。
「クフフフ……さぁ、私の最強の召喚獣を倒せますか?」
「え……!?」
かくして召喚の演出が終わって現れたのは――圧倒的な存在感を放つ、武装したクマだった。
鉄の兜を被り、両腕に手甲を着け、槍を持ち、胴体には鉄のベルトのようなものを巻いている。しかも右目には歴戦の猛者を彷彿とさせる古傷があり、そのあまりの迫力に姪が気圧されて言葉を失くすのも無理はない。
なにしろそのクマは、えーと……いや……まぁ分かってる。分かってるよ。姪が驚きのあまり言葉が出なくなってるのは、なんていうか……そっちの意味じゃないっていうのは。
「なにそのクマ! かわいいー!」
「がおっ」
カースの最強の召喚獣、騎士熊。確かにその武装は騎士そのものであったが、クマはクマでもテディベア的なゆるふわマスコット系のクマだったのだ。右目の古傷もつぶらな瞳を引き立てるアクセントになってるし、厳つさなどはどこにもない。ちなみに身長は1メートルほどである。抱き心地が良さそうなサイズ感だ。
「ギャハハッハァ!! カースのやつ、マジで遠慮せずやっちまったなァ!! そのクマは女子供じゃまともに相手になんねェぜェ~!?」
「グェヘヘヘ、やっぱりアイツは俺たちの中でも飛び抜けて容赦ねぇや……敵じゃなくて本当に良かったぜ」
チンピラたちは真剣な空気を演じ続けているが、出てきた召喚獣がコレでは緊張の糸も切れるというもの。
さっきの召喚演出の禍々しくてデカい魔方陣はどこいったんだよ、途中までは完全に普通のデカいクマが出て来る感じだっただろ。いや本当に出てこられても困るけど。
とはいえこれはゲームである。見た目のファンシーさと強さは直結しないわけで、かわいいからと見くびるのは危険だろう。あまり考えたくはないが、姪の敗北も充分あり得る。
そんなわけで気を取り直して、自分の中の慢心を排除する。姪にも見た目で油断しないようしっかり伝えなければ。
なにはともあれ、まずは応援だ。姪の勝利をより盤石なものにするためには、エールを送るより他ない。
かくして僕は再び全力で姪を応援するためにも、自身の気合いを入れ直したのであった。




