意味がわからないんだが?
まずい……! このままだと避けられない……!
さっきまではそんなことを考えていた。だが今は違う、体は身動きが取れず、銃口すら向けられている。なおかつ相手は超人。勝てるわけない。だからもう、心の中で諦めるしかなかった。みんな、ごめん。
わかってる。マイナスな考えはよくないことくらい。だけど、もうどうしようも……ないんだ――
刹那。銃弾は僕の顔に向けられていたが、顔をかすりもせずに外れた。いや、違う。こいつ、打つ瞬間に少し角度を変えて、またわざと外した!?
「なーんてね、打たないよ」
斬賀はニコニコと笑い、銃を下ろした。いや打っただろ、今。
そして、パチンと指で音を鳴らし、体の身動きが取れるようになった。
「どういうつもりだ? 殺す気じゃなかったのか?」
「まっさかー。そんな風にみえた?」
「みえたよ! 明らかに今殺そうとしただろ!」
斬賀はポケットに銃をしまうと、頭を掻き始めてこう言った。
「実は、今日はただの任務で隆くんに会いにきただけ。これも投資議会の作戦さ。あ、単独で動いた鉦蓄とは一緒にしないでよ」
あの放火魔が単独だろうが、こいつらの仲間には変わりない。作戦だかなんだか知らんが。
「何のために?」
「さあ……何でだろうね……」
斬賀は指でまたパチンと鳴らした。すると、みるみるうちに元の空間へと戻っていく。不思議と最初にいた場所と同じ立ち位置だった。
「僕は任務を完了したから戻ることにするよ」
斬賀は後ろを向いてゆっくりと数歩歩く。
「楽しかったよ、隆くん。また遊ぼうね」
左手をあげ、こちらに挨拶をすると、紫色の空間が斬賀の前に現れ、その中へと入って行った。
わけのわからない。何だったんだ、あいつ。そもそも何しに僕に会いにきた?
ただ本当に遊びにきただけとか馬鹿らしい理由だとは思えない――って、スマホ!
僕は後ろを振り返り、さっき投げたスマホを取る。スマホは特に異常はなかった。ただ、1つ着信が入っていた。
僕はスマホを開く。
時刻は12時16分。あれから約5分しか経っていないようだった。絶対にもっと経ってただろ。
それともなんだ?あっちの時間では数時間経ったようが、こっちの時間では数十分だ、とかいうやつか?
そしてなんだこの着信。
「副業達成?そういえば、副業を出したとかあいつ言ってたな」
さらに内容を確認する。
「……なっ!?」
そこには(斬賀と勝負をする:10000000・副業達成)と、書かれていた。あいつの言っていた副業と違う?着信が来ているのは1件。あいつは確か、勝負に勝たないと死ぬと言っていたが、まさか。
「あ、でも、何も賭けないのはつまらないからこうしよう。君が勝てたら多額の投資資金が手に入り、生きることができる。だけど、負ければ……死ぬかもね」
「ということで、副業を失敗したペナルティにより、隆くんには死んでもらおうかな」
死ぬかもね。死んでもらおうかな。
結局、言っているだけで実際に死ぬわけではない。よくある「絶対とは言ってませ〜ん」とか小学生の時に言ってたあれかよ!
「あと、今回の利益……一、十、百……」
「一千万んんんんんんんんんっ!?」
おかしい。今のだけで一千万って!?
ただ勝負をしただけでそんなに貰えるのか!?
ってことは、今一千万がもどきの手にあるってことで、それで……それで……
「他の奴らに持っていることバレたら一貫の終わりだ!!」
「何がバレたらだって? こんなところでうろついてないで、さっさと部屋に戻れえええええ!!」
後ろから歩いてきた男性教師が怒鳴り始め、とっさに立ち上がる。
「はい! わかりました!」
僕は敬礼をして、部屋に戻ることにした。とりあえずもう寝よう。流石に頭を使って疲れた。あとは頼んだぞ、もどき。




