班決めなんだが?
班決め。
それは仲間。
短期間のギルドのようなものであり、そいつらとともに熱き友情を繰り広げる青春ストーリー。
だが、それは世間一般常識というだけであり、僕は違う。
ネッ友の連中ならまだしも、どうしてこいつらと組まなければいけない。
しかも、最低5人班だと?
多すぎる。
「隆。僕と班一緒にな〜ろお」
案の定、声をかけてきたのは上条だった。
ほんと、何でこいつは僕なんかに懐いているんだか。
「やだね、僕は僕と組んで1人班になる」
「何訳のわからないことを言ってるんだか」
ただでさえうるさいのは嫌いなのに上条がいたら何されるかわからない。
他に組む相手もいないし、僕は席にずっと座っていればいいだろ。
「私も班に入れてください!」
隣から声がする。
そこにはもどきがいた。
もどきはすごい目を見開いて僕にお願いをしてくる。
「いーよー!シャルロットちゃん可愛いし!」
「ありがとうございます!」
上条は勝手に返事をして、もどきはなぜかお礼を言う。
何でこいつらだけで話を進めているのか。
僕には人権はないのだろうか。
僕には将来、投票権すら与えられないのだろうか。
「勝手に話を進めるな。もどきは他の奴がいるだろ。ていうか、上条を入れるなんて一言も言ってない」
上条の方を向き言った。
上条は絶対に入れたくない。
班の中から男子は男子、女子は女子で区切られて泊まることになる。
こいつと泊まることになれば何をされるかわからない。
前の病院の件があるからな。
「私は隆さんと一緒がいいんです!」
必死に僕の目を見て訴えてくる。
何で僕と一緒がいいんだよ。
本当によくわからないやつだな。
まあいいや。
「勝手にしろ」
こいつが他の男の班に入るのが嫌だ。
変なことをされないか心配だからだ。
いつからもどきにこんな感情を抱くようになったのだろう。
別にこれは恋愛感情ではない。
ただ、守ってやりたい。
それだけだ。
「よーし!これで3人集まったね!」
「これで2人か。となると、あと3人集めないとな」
「僕は!?」
あとの人数はどうするか。
できればもどきのためにリアル女を1人入れたい。
もちろん、僕はリアル女が嫌いだから反対だ。
けど、班を決めたとしてもどき一人で他男っていうのもかわいそうじゃないか。
だが、キモオタと噂されているこの僕にリアル女が入ってくれるのか?
僕は席を立ち、リアル女を探しに行くことにした。
もどきと上条はついてくる。
「団長!俺らも入れてください!」
この声、聞いたことあるぞ。
馴染みのある低いイケボ。
どこか、懐かしい感じのするこの声。
僕はその顔を見た。
「ムキムキ!お前、無事だったのか!」
「はい!包帯ぐるぐるまきの時期もありましたが、おかげさまで治りました!」
ムキムキ。
以前、天空城の下着の匂いを嗅ぐ副業で僕のサポートをしてくれた男。
最終的には昇龍によってボコボコにされたが無事でよかった。
僕はムキムキに手を差し出した。
「よろしく、ムキムキ」
「はい!」
ムキムキの目はどこか張り切っている感じがした。
お前も僕と班一緒になりたかったのかよ。
ムキムキの手はゴツゴツしていて、たくましく感じた。
こいつ、結構体鍛えているんだな。
「いや僕の時と反応が違うけど!?」
「あの……僕もいいかな?」
ムキムキの後ろには一人の男子生徒がいた。
身長は平均くらいで大人しそうな男子生徒。
こんなやつクラスメイトにいたんだな。
クラスメイトのことなんて興味ないからわからなかった。
「成績、身長、体重……全てにおいてうちの男子学年の平均数字ジャストの男、山田太郎。平均すぎることが特徴だから覚えやすいんだ」
横にいる上条が紹介をしてくれた。
全てにおいて平均?
平均というのは学年生徒の◯◯÷その分の人数=平均ということになるが、その数全てを持っているだと?
「さすがに嘘だろ」
「どうだろ。僕も噂に聞いた程度だから」
山田太郎……名前まで普通だな。
まあ、悪いやつじゃなさそうだし。
ていうか、なんで転校生の上条がこいつのこと知ってるんだよ。
「いいぞ、お前も入れ」
「わあ!ありがとう!東條くん!」
山田は笑顔で微笑んだ。
その笑顔が少しあどけなく、可愛く見える。
こいつ、ムキムキとここに来たということはムキムキと仲がいいのか。
なんというか、ガタイの差がありすぎて。
「いやだから僕の時と反応が違うんですけど!?」
「これで4人か。あと1人集めないとな」
集めたメンバーは僕、もどき、ムキムキ、山田の四人。
あと一人はもどきのためにもリアル女を入れたいところ。
あれ?
ムキムキってなんて名前だ?
今までムキムキって呼んでいたが……まあ、なんでもいいか。
「もしかして僕忘れられてる!?」
上条は自分を指差して言った。
こいつ、さっきからうるさいんだが。
「あれ?君、うちの班だっけ?」
僕は冗談っぽく上条に向かって言う。
顔が真顔なのがポイントが高い。
「僕らの仲はもはや他人の仲ですか!?」
「だってお前、絶対僕に変なことするだろ」
まあなんせ、前科のある上条くんですから。
前科というのはさっきの僕の心の声を遡ってみればわかるよ!
とにかく、こんな奴を入れるわけにはいかない。
「あの時は冗談でやったんだよ!もうしないって!」
「本当か?」
まあ、これで本当と答えてくれたら入れてやるか。
さすがにからかいすぎてかわいそうに思えてきたところだし。
僕は心を改めることにした。
「ホモに二言はない」
前言撤回。
「やっぱダメだ」
「た〜か〜し〜!お〜ね〜が〜い〜!」
上条は僕の腕に絡みつき、顔を腕に擦り付ける。
周りから誤解されるからやめてもらいたいものだ。
「離れろ!気色悪い!」
「いやだいやだいやだ!隆が僕を入れてくれるまで離れない!」
うっわ。
めんどくさい条件をつけてきやがったな。
だが、このままだと身動きが取れないまま終わる。
そして気持ち悪い。
「わかった!わかったから離れろ!」
って、入れちゃったし。
まあいいか。
別に僕はこいつのことが嫌いではない。
これからもつるんでもいいかなとも思ってる。
だから別にいいんだがな。
「よし、5人目決定!じゃあみんな座ろうか」
なぜか仕切り出す上条。
僕らは床に座り、5人班は決定した。
ちなみに6人班というのもあるが、5人班で十分だ。
むしろ多すぎるぐらいだ。
決まったのはいいが、やはりこういうのでは余っている奴が案の定出てきた。
僕は教室を見渡した。
そこには一人のメガネをかけた高身長の男が後ろのロッカーにもたれかかって腕を組んで笑っていた。




