扉が開かないんだが?
芳月学園二年A組東條隆。
彼は一年生の3学期の後半にとある事件を起こし、不登校になる。
しかし、二年生の5月のとある日に彼がハマっていたネットゲーム、ロジカルファンタジーから出てきたシャルロットにより、投資家としてデビューした。
その後、投資のために行う副業により、学校にしぶしぶ登校。
あと1日で留年のところを回避した。
さらに、同級生で風紀委員の天空城空の下着の匂いを嗅いだり、火災の火元に一人で立ち向かい、犯人と激闘を繰り広げたりと問題ばかり起こしている。
そして彼は今、ナースステーションでラップを歌っていた。
「HEY!HEY!HEY!HEY!いくぜ!!君たちに届け、愛の歌!これは俺からの合言葉!愛で繋ぐ、Iとyourの物語!3!2!1!」
隆は自分の才能に気づいていなかった。
元引きこもりの隆が持っていた類い稀なる才能。
そう、彼には――
「俺の名前は東條隆!近くにものがあったよそれは灯台下暮らし!シャルロットたんを愛し続けて3年と5ヶ月目!その愛いい加減観念しろよ、ござる野郎め!」
ラップの才能があったのだ。
隆のラップを聞き入る看護師6人。
隆のラップを邪魔しようとするものは誰一人としていなかった。
その頃、隆をおとりにすることで無事エレベーターに乗ることができた3人。
エレベーターは屋上に向かって上昇しつつあった。
「隆さん、大丈夫でしょうか……また変なことしてないといいんですけど……」
「お兄ちゃんのことだから、ないとは言い切れないね」
「お兄さんなら大丈夫だよ!変なことをしてるかもしれないけど、一緒に見るって約束したからきっと来てくれるよ!」
不安そうにしているシャルロット。
それを気にかけ、黒崎はシャルロットに大丈夫と言った。
たしかに2人の言うとおり、隆は変なことをしている。
「そうですよね!なんせ、隆さんですものね!」
シャルロットは笑顔でそう言った。
しばらくするとエレベーターは止まり、チーンと止まる音が鳴る。
そして、エレベーターの扉が開かれた。
だが、そこに待っていたのは鍵のかかった扉だった。
「えっ……!?」
「どう……して……これじゃあ……流星群が……!!」
黒崎はショックを受けていた。
ここまで来て扉が開かない。
それは流星群が見られないことを意味していた。
このまま希望が散ってしまうのだろうか?
黒崎の願いは叶わないのか?
――そう思った時だった。
「よし、ようやく私の出番だね!」
美沙は腕をまくり、しゃがみ始めた。
しゃがんだ美沙の高さとドアノブの高さはちょうど同じぐらい。
一体、何をしようというのか。
「美沙さん、何してるんですか?」
「シャルロットちゃん、その頭に付いてる髪飾り貸してくれる?」
「いいですけど……」
美沙の手にシャルロットの髪飾りが渡される。
美沙は髪飾りに付いているリボンを抜き、ヘアピンを取る。
そのヘアピンを扉のドラノブの鍵穴に差し込んだ。
それをカチャカチャと音を鳴らし続ける。
「この扉を今から開けるんだよ」
「え!?そんなことができるの!?」
「まあね。うちのお父さん、鍵屋さんで働いてるからそれを見て覚えたんだよ」
そう、美沙はピッキングを行っていた。
16歳でピッキングが行える女子高校生。
これもまた、才能なのかもしれない。
というか、ピッキングを仕事以外で使うことは犯罪です。
「開いた!!」
ピッキングを始めて約2分。
扉からはガチャリと音が鳴った。
美沙は立ち上がり、笑顔でこう言った。
「行こっか!」
3人は扉を開け、空が見える屋上へと進むのであった。
一方そのころ、隆は――
「俺の愛は純情!俺の人生も順調!ここで君らを恋に落とすぜ、準備はいいかい?美少女たち!」
ナースステーションでラップを歌っていた。
「ウェーイ!!」
看護師たちも隆のラップにノリノリだった。
踊り出す看護師、歓喜をあげる看護師。
もはや現場はカオスと化していた。
「ウェーイ!!――じゃないわよ!!あんたたち、いい加減にしなさい!!」
50代ぐらいの看護師が隆を含めた看護師にキレ始める。
だが、誰1人として聞く耳を持つ人はいなかった。
するとそこに、エレベーターで上がって来た見回りの警備員が現れた。
「君たち!そこで何をしているんだね!?」
警備員はその光景に驚きを隠しきれなかった。
「警備員さん!!不審者です!この男を捕まえてください!」
50代ぐらいの看護師は隆を指差した。
隆はそれに気づき、ナースステーションの扉を開けて逃げることにした。
「やばい!!調子に乗り過ぎた……!!」
「たかっしぃーまたね〜!!」
看護師たちは警備員から逃げる隆に手を振り始めた。
「待てえーーー!!」
「ひぃーーーーー!!」
隆は必死で病院内を走り回って逃げる。
果たして隆は屋上に辿り着けるのだろうか。
そして、隆のラップを再び見ることはできるのだろうか。
次回へ続く!




