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隆犯人説なんだが?

 その後しばらくすると、可憐が押した非常用のボタンにより、新月が浴室前に駆けつける。

 たまたま近くを通った女将も合流し、新月と女将で服を探すことに。脱衣所のあちこちを探し回った。物をどかし、探し続ける二人。

 女性陣は着る服がないため、一旦また温泉に入ることに。


「みなさん、ありましたよ〜」


 すると、意外なことに見つかった。

 見つかった場所は洗濯機の奥や、化粧台の奥。ぱっと見じゃわからないところに隠されていた。そこに服も下着も浴衣も。ちょうど全員分。

 女将が丁寧に全員分のを並べ、一旦全員を呼んでそれぞれに確認を取る。


「この浴衣は埃まみれで着れませんね。とりあえずは予備の服を持ってきますので、しばらく待っててください。新月さーん」


「わかりました」


 新月は見つかった浴衣を全て回収した。洗濯機の奥や、化粧台の奥にあったため、埃まみれ。

 そんなものを客に着させるわけにもいかない。


「みなさんの服も、よろしければ私共がお預かりして明日までには洗濯をして返します」


「いいんですか?」


「もちろんです。こうなったのも我々の責任です。ではもうしばらくお待ちください」


 その後新月は全員分の服をカゴに入れて回収した後、新しく浴衣を七着用意して全員に渡す。

「こうなったのも我々の責任」。それは、自分達が沢村さんを呼んでしまったから。そういう解釈なのだろうか?

 全員は温泉から出て各自で着替える。


「おお〜! 浴衣なんて初めて着ました!」


「すごい、ピッタリ!」


「ほほほっ。お気に召したようで何よりです」


 浴衣に着替え、ニコニコする一同。女将も自分の旅館の浴衣を気に入ってもらえて嬉しそうにしている。


「なあ、あんたら。あーしらは風呂で謎の生命体を見た。さらに服まで隠されてた。これも沢村さんの仕業か?」


「はい…….」


「全く、沢村さんも悪戯が過ぎますねえ……」


 少ししんみり気味に言う新月と女将。女将に関してはどこか呆れているように見える。


「あんたらがやったってオチじゃねえよな?」


 鋭い目つきになる昇龍。それもそのはず、女性陣からして服を隠すのが可能な人物はスタッフが一番怪しい。

 疑われるのも無理はない。


「とんでもない! 私共は決して、そのような真似は致しません!」


「……」


 静かになる場。少し気まずい空気にもなり、シーンとなる。

 そんな空気を気を使い、可憐がなんとかしようと前に出る。


「じゃ、じゃあ、部屋に戻ってみんなでゆっくり〜――」


「推理タイム」


「え?」


 しかし、圧倒的に満足していない人物が一人。加賀だった。加賀はさっきからずっと黙り、一人イライラしていた。

 百合空間を謎の生命体によって邪魔され、隆の突然の乱入で怒りが爆発。ずっとイライラしっぱなし。

 しかし、こうなった原因の一つはあの謎の生命体。隆は後。

 といっても隆のことを一番ボコボコにしたのは加賀だが。


「これでまた一つ、怪奇現象が起きた。謎の生命体と隠された服の謎、解いてみせる……」


 そう言って浴衣姿のまま、温泉に一人戻っていった。


「加賀、待ってください」


 それを赤城は追った。


「と、ということなんですが、もう少しここにいてもいいですか?」


 部下二人がまだいないと気が済まないようなので、代わりに可憐が女将に申し訳なさそうに許可を取る。


「ええ、構いません。そういえば、脱衣所の掛け軸まで変わっていましたが、どなたか何か知っていますか?」


「掛け軸? なんのこと?」


 残りの五人は浴室を出て浴室前を確認した。


「左側は女湯のはず……なぜ右側に女湯の掛け軸が」


 右側には女湯の掛け軸が。左側には掛け軸は掛かっていなかった。

 この光景は隆たちが見た頃のものと変わっていない。しかし、女性陣たちが浴室に入った時は二つの掛け軸がちゃんとあり、今とは逆に配置されていた。


「わからないんです。その掛け軸がどこにいったのかも」


「それで隆さんは間違えたんですか」


 シャルロットの言うことは正しい。結果これを見て隆は見間違えた。

 しかし、昇龍は考える。


「いや、逆かもしれねえ」


「逆?」


「東條がこの掛け軸を入れ替えたんだよ」


「「「「「ええ〜!!」」」」


 女将と新月はやっていないと言っている。そうなれば、消去法で残っているのは隆と上条。そのうち、中に入ったのは隆。こうして、隆が真っ先に疑われることになった。

 そして当の本人は――



「とはいえ、ここの温泉は気持ちいいなあ〜」


「そうだね〜。疲れが取れるよ〜」


 上条と一緒に湯にのんびり(つか)かっていた。隆たちの溜まっていた疲労が取れていく。しかし、この疑いによって訪れる悲劇に隆は全く気づいていない。



「東條は過去二回覗きをしてんだよ。一回目は保健室。二回目は修学旅行での風呂」


「か、彼、そんな人間だったの!?」


「ええ!? お兄ちゃん何してんのお!?」


「東條……!」


 隆の普段の学校生活までは知らない可憐と幼馴染である美沙は衝撃を隠すことができなかった。

 天空城に関しては下着の匂いを(かが)がれている。

 屈辱のあまり、拳を握りしめる。


「ここを入れ替えれば覗きの口実ができるとでも考えたんだろ。どうせ、その男湯の掛け軸もこの辺に――」


「ありました、男湯の掛け軸!」


 新月が付近を探していると、男湯の隣に置かれていた段ボールの山の裏に男湯の掛け軸が雑に落ちていた。


「話は全て聞かせてもらったよ……」


 バンッ……!!


 その瞬間、閉まっていた女湯から勢いよく扉を開けて出てくる加賀。


「東條隆……覗きの容疑……正義執行……」


 完全に我を忘れ、瞳に闇を宿す加賀。加賀の今にも再度爆発しそうな怒りは誰にぶつければいいかわからなかったが、こうしてはっきりした。"東條隆だと"。


 しかし、シャルロットだけはちゃんとわかっている。彼がこれまでしてきた覗きは生きるため。覗きをしたり、下着の匂いを嗅がなければバングルが爆発して死亡する。

 だがシャルロットは副業の関係上、言うことができない。

 ただただ、隆のこの後の無事を祈るだけ――


「いやあ、いい湯だったな〜!」


「ほんと! もしかして、もう若返ちゃってたり!?」


「……ッ!?」


 その瞬間、隆と上条が気分良く横並びに出てくる。


 ――加速開始。


「おいおい隆〜! そこはつっこめよ〜! そんな早く若返るわけないだろー! って!」


 上条は横を見る。しかし、先ほどまでいた隆はいつのまにか音もなく姿を消していた。


「隆?」


 上条はあたりを見渡すがいない。いたのは女将と新月。あとは一部の女性陣のみ。

 すると数十メートル先の奥の壁でもたれかかり、誰かが倒れているのが見えた。


「た、たかしいいいっ……!?」


 再び血まみれで顔面ボコボコになる隆。その近くにいた一人の少女。


「おい、私が正義執行管理局だってこと忘れてんじゃねえだろうなあ、この変態野郎!!」


 ボコボコボコボコッ……!!


 加賀のインファイトが隆の身体中を炸裂。


 さらに加賀は胸ぐらを掴み、再び数十メートル先の浴室前まで隆を投げつける。

 隆は床を転がるが、それを休ませない加賀。

 音速の速さで飛ばされた隆に追いつき、再びインファイト炸裂。


「てめえが隠蔽(いんぺい)工作をして掛け軸変えたんだろうがあああああああッ……!!」


「な、なんのこ――ぶほおっ……!! 僕は上条と一緒にずっとい――ぶほおっ……!!」


「ならそいつも共犯じゃおらあああああああッ……!!」


 鳴り止まぬインファイト。加賀の拳は目にも止まらぬ速さで隆の全身を殴りまくる。


「どうしましょう、止めませんと……!」


「くっ……!」


 隆と加賀の間にはものすごい火花が散り、突風が吹き荒れる。シャルロットが止めようと近づくが、ものすごい熱気で近づくことすらできない。

 他の女性陣たちもその熱気に耐えるばかり。


 これまでしてきた過去の出来事や、ここまでのアリバイなどで疑われても仕方のない段階まできている隆。

 こうなるのも無理はない。


「可憐さん、加賀さんをなんとかしてくださ――」


「東條隆が除き魔だったなんて……」


「ええー!!」


 可憐は隆が除き魔だとわかり、頭がいっぱいになっていて考えるどころではなくなっていた。

 彼女は一体、何にショックを受けているのだろうか?


「た、助けて上じょ――」


「だそうだ隆! ここは諦めよう!」


「上条おおおおおおおッ……!! ――ぶはあッ……!!」


 唐突な上条の発言に救いなんてなかった。


「ゴートゥーヘエエエエエエエル……!!」


 加賀はものすごい火力を込め、脅威なる一撃が隆の顔面に振り下ろされる。加賀の怒りは止まることを知らない。

 拳の力だけで言えば、局内でも可憐と争うほど、随一と言ってもいいくらいの力。そんな彼女が本気で顔面に拳を振り下ろせば、骨が砕かれるどころの騒ぎではないだろう。

 ――その時だった。


「あふんっ……」


 突然加賀は倒れ、隆の横に寝転がる。


「加賀! 何をあなたは一人で興奮しているんですか! すみません、うちの加賀が!」


 女湯から一人現れた赤城。

 赤城は興奮気味の加賀の頭をチョップし、停止させた。

 その後は倒れている隆に何度も隆頭を下げて謝罪。


「も、もうちょっと……早く来て……」


 隆もまた、白目を剥いて気絶した。

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