根は真面目なんだが?
しばらくすると天空城は再び可憐の背後から姿を表した。
そして今度は肩に手を置き――
「ひゃっ!」
「可憐さん……あなたの身体はとても不思議な身体をしています……常人には考えられないような過酷な訓練をしているはずなのに、どこの部分を触っても柔らかい……」
両手を両肩に置き、前に手を回す。可憐の鎖骨の前で両腕をクロスさせ、自分の胸を押し当てて耳元で囁く。
天空城の言っていることは本当だ。可憐はたしかに過酷な訓練をしてきている。しかし、どの部位を触っても柔らかく、筋肉一つないようなとろけるような肌。
一般人ですらそれなりに筋トレなどをすれば、多少は筋肉がつくはずだが、人類最強の彼女には全くそれが見当たらない。
ビーチの時も誰も指摘はしていなかったが、あの時もそうだ。筋肉が全くないように見える。しかし、実力はたしか。
もしかすれば、赤城や加賀も?
彼女らはスク水を着ていたためわからなかったが、実はそうなのではないのだろうか。
そうなれば一体、可憐たちの身体の構造はどうなっているのだろうか?
「よろしければ、私にその身体の仕組み、教えていただけませんか……」
「それは、企業秘み――はああんっ!!」
「……ッ!?」
天空城は少し気が緩み、指に力が抜けて可憐の上乳に小指が当たる。
可憐は弱点にヒットし、またしても色気たっぷりの声が出てしまう。
その声に鍛え上げられてきた反射神経で誰よりもいち早く気づいた天空城は水中に潜り込む。
可憐は自分の胸を右腕で押さえつけ、目を瞑る。
「「「「「……ッ!?」」」」」
他五人の視線が一気に突き刺さる。
「む、胸はダメなんだってば……胸は……」
体がさらに火照りだし、胸が熱くなる。
「可憐さん、さっきから本当にどうしたんですか?」
「私、さっきからすごく変で……シャルロットさん……これ、なんて感覚……?」
体が火照り出すこの感覚が可憐にはよくわかっていなかった。だから遠くにいる、たまたま声をかけてくれたシャルロットに頬を染めながら半間状態で聞く。
「体調不良とかじゃないですか? もしよろしければ、私が――」
「だ、大丈夫……! はあ……はあ……」
息遣いも荒くなり、胸がお湯の中で上下に激しく動く。
「可憐……初めてでわからないんだよね……初めはそうだよ、みんな戸惑うもん……でもそれを知って、みんな大人になっていくんだよ……気持ちよくなっちゃったんだよね……」
「加賀。鼻血出てます」
加賀は何か別の解釈をして右から大量の鼻血を滝のように出す。
「そう、ですか」
シャルロットは心配しつつもよくわからないまま、みんなの方向を向いて再び仲を深める。
そして全員が向こうを向いたころ、天空城は再び可憐の背後から姿を表す。
「すみません、手が滑ってしまいました……それでしたら最後に、お腹を触らせてください……可憐さんの身体を私に教えてください……」
「さ、最後……私が……教える……天空城さんの……ために……」
その瞬間、またしても天空城は水中に潜っていく。
胸の部分でしっかりと可憐の腕が固定されているため、バスタオルが落ちることはない。
しかし、胸しか固定されていない。
つまり――
ガバッ
天空城の胸から下の部分のタオルを一気に剥がす。水中の中で潜っている天空城しか見えていなく、周囲は湯煙で包まれている。
天空城からすれば、腰もおへそも何もかもが丸見え。
両腕を腹部に回し、滑らせるように触らせていく。
おへそを親指で通り過ぎるかのように強さを変えながら何度もなでなで。なでなで。
「も、もう……私……こんなの……! くすぐったい……! ああんっ……! ら、らめえっ……! そ、そこ気持ちいいっ……!!」
足をジタバタさせる可憐。
お腹周りを揉み続け、そして胸の谷間へと指をなぞっていく。しかし、可憐とは胸は触らないと約束した。だから触らない。ただそこに、鍛えていればあるはずのたて線がないことに気が付き、なぞりたくもなった。
もしかしたらなぞっていたら浮き出てくるのではないのか。
自分にはあるのに、なぜ可憐さんはないのか。
天空城も今は頭があまり回っておらず、好奇心のままに触ってしまっているかもしれない。
――そして。
「はあ……!! はあ……!! 私、もう限界……! もうすごい感じちゃって……! ら、らめっ……!! らめえええええええっ……!!」
「へ、へ、へっぷしょいっ……!!」
その瞬間、加賀がものすごいでかい声でくしゃみをした。
「きゃあっ……!!」
「……ッ!?」
その声にびっくりし、跳ね上がる可憐。
そしてそれに釣られ、水中にいた天空城もびっくりし、右手が右胸を思いっきり鷲掴みしてしまった。
その瞬間、勢いよく後ろに跳ねる可憐。
――そして天空城にとっては最悪なことに、そのまま水上に引き摺り出されてしまった。
「ああっ……!! らめっ……!らめらめらめっ……!! そこ触っちゃらめなの〜……! ああんっ……!」
「す、すみません……! そんなつもりはなくって……! お腹だけで満足しようとしていただけで……!! ……ッ!?」
天空城はようやく状況に気づき、後ろをそっと振り返る。
そこには可憐な胸を鷲掴みしている天空城が……
「……え……?」
「て、天空城……さんっ?」
「な、なにやってんだ……あんた……」
「天空城さんも、そういう趣味が……」
「ぶはあああああああッ……!!」
全員が驚愕の光景を目の当たりにして驚く。加賀に関しては百合が大好きなため、致死量に達するほどの鼻血を出して後ろの石に頭をつけて倒れた。
「ち、違うんだ……! そういう意味じゃない……! 誤解しないでくれ……! ほ、本当なんだーーーーーーーッ!!」
――しばらくして、結局七人は固まってお風呂に入ることにした。
天空城はある程度事情を話した。
天空城自身、百合属性などは一切なく、下心のかけらもない。
ただただ可憐の素晴らしい身体で勉強がしたかった。そしてそれは今、このタイミングがベストと踏んだそうだ。
「そういうことで、私は風紀委員でもあり格闘家。可憐さんの身体で勉強がしたかっただけなんだ……!」
それを必死に訴える天空城。
その発言がまた、新たな被害を生み――
「可憐の身体で……勉強っ……!? ぶはあああッ……!!」
「あ〜もう、加賀ちゃんだけは耳を傾けちゃダメ。また血が」
加賀はお風呂場の石の上で寝転がりながら休んでいる。
妄想が豊かになり、またしても大量の鼻血。さらには吐血を繰り返す。それを看病する美沙。さらにはそれを心配そうに見つめる赤城。
「なんだ、風紀委員だから勉強したのか〜! それは納得だぜ!」
「天空城さんは風紀委員でもありますし、隠したがるのも無理はありません。恥ずかしかったんですね」
「ふ、風紀委員って……便利な言葉なのね……」
誰一人天空城を責めたりはしなかった。根は真面目な彼女だからこそ、言えないことだってある。だからこそ、可憐もそのことがわかっていた。いや、一番彼女のことをわかっていたのは可憐だったのかもしれない。
「天空城さん、勉強になった……?」
「……はい! ありがとうございました!」
「ぶはあっ……!!」
「加賀ーーーーーーーッ!!」
これにて一段落。
しかし、第二の怪奇現象はすぐそこまできていた。
沢村さんは既に、次の行動に出ている。
旅館内を探索する隆と上条。そして今、お風呂場に女性陣七人。次はどこに姿を表すか。
"沢村さんはすでに準備はできている。"
"「……ふっふっふっ……」"




