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まだまだ伏線回収なんだが?

「まあそれはそうと隆。あの話題はいつになったら出てくるんだい?」


「あの話題?」


 あれから三人は極兒について考えてそれぞれが沈黙をしていたが、上条がそれを破る。

 あの話題。それは、上条が動かなかった時に起こったこと。この話題に関しては、この場の全員が避けては通らないことだ。


「あの三人だよ! 正義執行管理局! 結局、あの子達はなんなんだよ!」


 何故か少し興奮気味の上条。


「いや、なんなんだよって言われてもなあ。僕が聞きたいくらいだし」


 隆自身もよくわかっていない。命を狙われたかと思えば、同時にピンチな目に遭い、今ではこうして旅行に来ている。

 なんなら、今回車を出してくれたのも可憐。プランを考えたのも可憐。旅館の人と手続きをしたのも可憐。正直、助けられている気がする。


「上条さんが入院したあと、病院に隆さんを襲いに来ました」


「襲いにって……じゃあ、敵!?」


「僕も最初はそう思った。だが、何か違う気がするんだ。目的も教えてくれないし、僕を殺すならとっくにしている。なのに今は一緒に旅行だぞ」


「上条さん、一様聞きますが、投資業界のものではないんですよね?」


「うん。一通り調べたけど、あの子達のデータは無かった。だからそれはない。それに、投資業界の手先なら、隆じゃなくて僕を狙うはず」


「たしかにな」


 投資業界トップが狙っているのは、あくまで上条本人。それで邪魔をするならば、隆を狙うというだけ。

 だが、彼女たち……主に可憐が狙っているのは、上条ではなく、隆の方。

 仮に投資業界のものならば、上条のみを狙うか、上条と隆を狙うはず。そうしないということは、やはり隆に何かあるということだ。


「なんだ?」


 隆の方をじっと鋭い目つきで見つめる上条。


「いや、あの……やっぱり、隆が変なことしたとしか考えられなくなってきた」


「何でそうなるんだよ! 僕はリアル女なんぞ眼中にない!!」


「だって、政府直属なんでしょ。それも女性だけの正義の組織。セクハラをする隆。あー、繋がっちゃった。隆、女性を敵に回すのは紳士のすべきことじゃないよー」


 上条は呆れて後ろに手をつき、頭上の電球を見上げながらため息をつく。

 とはいっても、事故のようなものは何度も起きているが。


「だから違うって! でもまあ、あいつらは多分いいやつだ。だからそんな身構えなくても大丈夫さ」


「私もそう思います。隆さんを狙う以外で考えれば、可憐さんは頼りになるお姉さんって感じですし。赤城さんと加賀さんも妹って感じがします」


 隆やシャルロットからしてみれば、彼女ら三人はもう友達。上条はまだ少し警戒しているみたいだが、上条は隆やシャルロットが彼女達と出会い、その過程で何があったかでそう判断している。

 それなら、自分も二人を信じてみよう。そう思えるようにもなれていた。


「そうか。二人が言うならそうなんだろうね。それなら僕も信じてみようかな。あの三人を」


 三人はそれぞれに、笑顔を見せた。


(……)


 それとは別に、上条にはあの三人のうち、ある人物が気になっていた。




「上条樹。あんた何者なの? 前の七不思議怪異の時、私たちをいち早く守ってくれて敵ではないことはわかる。でも、あの件で何か関係しているのは間違いない。招かなざる客。それはあんたのこと」




 彼女はビーチにいる時、上条の近くに寄り、こう告げた。


 管理局ナンバースリー、加賀。加賀のあの力は凄まじいもの。だがそれよりも評価すべきは、彼女の頭脳。

 馬鹿な発言ばかりして揶揄(からか)ったり、周りを楽しませようとしていたりするが、あの三人の中なら間違いなく地頭の回転が早い。

 今後もしかすれば、彼女は何かの局面で大きく動くかもしれない。


 あいつは……僕と同じ匂いがする。


「それで次は七不思議怪異の話になってくるわけだが、あの時の招かなざる客っていうのはお前なんだよな、上条?」


「そうだろうね、まあ僕の推測が正しければだけど」


 七不思議怪異のピアノが最後に言った言葉。




「この学校には今、人間が九人いマース! そして今いない九人目こそ、我々七不思議怪異にとっては招かねざる参加者なのデース!」




 こう発言していた。確かに最終的には九人になった。だが、なぜ上条にだけ招かなざる客とついていたのか。確かに投資業界たちからすれば上条は敵。でも、この言葉は本当にそれだけなのか?


「僕を除いた八名は全員、なんらかの能力、誰かの能力で連れてこられている。あの時全員が寝巻きだったよね」


 上条を除いた八名は全員、寝巻き。しかし、上条だけなぜか制服のままだった。


「でも僕は寝巻きでもなければ、連れてこられたわけでもない」


「連れてこられたわけではない?」


「僕はあの場に最初からいたんだよ。今の僕の家、あそこだし」


「そういえば、そんなことを言っていたな」


 昇龍たちが見つけた弁当の空は上条のもの。インベストから追い出される形になった上条は住む場所がなく、学校で寝泊まりしていたのだ。


「僕の寝床を知った連中は、あの場に君達八人を招き、それぞれをバラバラの位置に散らばらせた。大方こんなところだろう」


「なんのためなんでしょう……」


「さあね。どうして君達だったのか、なぜあそこに集められたのか、誰の命令で動いたのか、わからないことが多すぎる」


 上条だけが狙いなら、上条だけを狙えばいいだけの話。しかし、他の八名を呼び寄せた。結果として全員無事。どうしてそこまで回りくどいことをする必要があったのだろうか。


「あの時は流石に今みたいに隆やシャルロットちゃんだけじゃなかったから言えなかったけど、あの場でも七不思議怪異の情報は全て僕に筒抜けだったんだ。だから僕は、君達八人が固まっていた時も、校内を探し回って残りの一体を探していた」


「じゃあ、あの時の言葉は本当だったんですね」


 もどきは安心した様子で笑顔になる。それに釣られ、僕の口元も緩くなる。

 上条が情報を共有できるのはまだ僕ら二人しかいない。だからあの場ではああするしかなかったのだ。

 それに、あの時はまだ初対面の管理局三人が投資業界側の人間の可能性だってあった。安易には行動は起こさない。


「で、そういえばなんで僕普通に動けるの?」


 唐突に真顔になり、他人事かのように言い出す上条。


「いや、こっちのセリフだよ!! お前、軌賀との戦闘の後に倒れたはずだろ!?……っと、言いたいところだが、お前のさっきの言葉でもうわかったよ」


「え?」


 軽くボケたつもりが、隆にはその答えがわかっていた。

 いや、隆だけじゃない。その隣にいるシャルロットも。彼らには上条よりも先に、そのか答えにたどり着けていた。


「投資、だろ」


 隆は笑顔で答えた。

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