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必殺奥義なんだが?

 ついに、チーム隆VSチーム管理局の最終決戦が始まる……!!


 チーム隆、五点。

 チーム管理局、五点。


 残り時間、二十二秒。


 勝利の女神が微笑むのは……!?


「いくぜ。ダークネス、ゼ、フルブラストッ……!!」


 ダークネス隆の闇を宿いし、漆黒のスパイク。震わせた右腕から出る禍々しい闇。激痛のはずの右手首を左手で力を込めて抑え、右手に充満した闇から放った一撃。

 彼は残り時間二十二秒だから最大限の本気をぶつけたのだ。

 手に(うご)く闇はボールへと流れ込み、ボールは再び闇を宿す。そして、ボールは飛び立った。


 ボールの向かう先はレフト側。今の立ち位置はセンターに可憐、レフトの後ろ側に赤城、ライトの前側に加賀と斜めに並んでいる。

 これはこれまでの彼の行動パターンを見ての配置。

 赤城が動く場合、そのまま直進。加賀が動く場合、そのまま右へ。しかし、どちらも距離があるため、二人は動かない。

 それを瞬時に察知し、抜群のチームワークで可憐は動いた。


「はあああああああっ……!!」


 闇よりも速い加速。可憐も本気だった。砂を踏みしめ、ボールに向かって直進。可憐もこの数分の戦いでかなり疲労している。それでも、自分の出せるベストを尽くした。

 すぐにボールへと辿り着くが、ボールは可憐のちょうど頭上にある。このままではボールを打ち返すどころか、可憐にボールが衝突することに。

 しかし、これも計算のうち。



 瞬時に右足を引いた。


 ドオオオオオンッ……!!


 なんの音なのか。

 激しい爆発音のようなものがビーチ中に響き渡る。無数の闇があたりに散らばり、閃光の如く、直進に進んでいく。ボールはまだ地面には付いていない。


 今ボールが触れているもの、それは――


 ――可憐の右足だった。


「だあああああああっ……!!」


 可憐の身体は今、浮遊している。バク転のような形で月を描くように右足を上段蹴りのさらに上。その勢いに乗り、可憐の身体も前方に百八十度回転。

 ボールは可憐の足の甲に当たり、強烈な上段蹴りにより、ボールが可憐の体を止めている。


「す、すげえ……! 本物だ……!!」


「あれが、可憐さんの力……!!」


 外野の二人、昇龍と天空城は目を丸くして驚愕していた。彼女たち二人も確かに強い。だが、可憐はそれ以上に強い。

 人類最強。これがどういう意味か。この一瞬で全て理解した。


「いけえ、可憐ちゃあああんっ……!! お兄ちゃんをぶっつぶせえええええっ……!!」


 美沙に関してはもう可憐を応援している。普段の美沙ならば、隆を応援するはずだが、今の隆、ダークネス隆は正直好きにはなれない。だからこそ、ぶっ飛ばしてほしい勢いで叫んで全力応援していた。


「これが、人類最強と呼ばれた私の極上のパスよっ……!! 赤城、必殺奥義よっ……!! 全力を注ぎ込むことを許可するわっ……!!」


「御意っ……!!」


 ボールに宿った闇は可憐の蹴りにより、全て剥がれていった。

 その瞬間、可憐は全身の全ての力を右足の甲に一瞬で込め、放つ。


「はあっ……!!」


 可憐の放ったボールは、一直線に赤城の方向へと正確に向かう。


 可憐は百八十度回転した際、赤城の位置を確認。そこから全力の一撃、なおかつ、正確にボールを届けた。


 そして、可憐の言った必殺技とはなんのことなのか。それはのちにわかる。


 赤城は向かってくるボールに特に動揺せず、赤城も目を(つむ)りながら右手を抑えていた。その右手はぎゅっと拳を。

 痛いわけではない。あと、ダークネス隆のような意味でもない。


 ――一瞬の精神集中のようなもの。


 ドオオオオオン……!!


 右腕を下に下ろし、ボールに向けて瞬時に突き上げる。


「はああああああっ……!!」


 赤城の手とボールの間からは火花が飛び散る。ボールは可憐の投げた赤城の方向から向きを変え、上空約七十五度へと方向を変える。ボールはまだ赤城の拳にとどまっている。


「加賀っ……!! 今ですっ……!! ていやっ……!!」


 赤城は先程の可憐のように力を右拳に全て注ぎ込み、勢いよく放ち、ボールは上空へと飛ばされる。


「とうっ……!!」


 さらにチーム管理局のコート全体に大きなクレーターができる。加賀が赤城の合図で空へと飛び立った。上空約七メートル。

 そこへ向かうために地面を勢いよく踏みつけ、全力で自らの体を打ち上げた。


「なんなんだ、この胸騒ぎは……!!」


 ダークネス隆は心臓部を抑え、ボール一点を見つめる。何かやばい予感がしていた。

 それは彼一人の力でなんとかなるものなら問題ないが、どうにも余裕がなく見える。


「こんなこともあろうかと、私たち三人しか知らない必殺技があるのよ……! 三人の全力を込めた、凄まじい一撃のねっ……!!」


 息切れをしながらニヤリとダークネス隆に向けて笑う可憐。


「ぐっ……!!」


 それを聞き、少し焦っていた。あれを防げなければ確実に負ける。残りタイムはもう十二秒しかない。次のターンはない。かと言って、防ぐだけでは引き分け。かなりやばい。


 グルグルグルグル


 加賀は空中で六回回転し、対空時間を長くさせる。加賀の理想のボールのポジションはまだ。

 その間に自分が早く辿り着いてしまった。だから今はその時間稼ぎ。いわば暇つぶし。


「……っ!!」


 そして、その時が訪れる。加賀の直線上に浮かんだボール。それを見て加賀は右足を突き出し、足をピンと伸ばして直進した。


「くらえ、厨二病……!! 必殺奥義、管理局、トリプルアタックウルトラハイパースーパーデラックスアタアアアアアックっ……!!」


 長々しい必殺奥義を放ちながら、流れ星のようにボールと一緒に流れてくる加賀。

 その威力は本物。ここまで可憐、赤城とパスを全力で繋いできた。この二人の力をボールは宿っている。さらに言えば今、加賀の強烈な蹴りにより、加賀の力も加わる。


 この三人の全力の力が宿ったボールを、チーム隆は防がなくてはならない。


「おいおい、やばいだろ、あれ……」


「あの三人の力が宿ったボール。流石の東條隆も防ぐことはできないであろう」


「ありゃ多分、お兄ちゃん瀕死だろうね〜」


 外野の三人もその光景をしっかりと見つめる。ボールには光のような神々しいものがボールの後ろについて回る。あれを食らえばひとたまりもないのは明らかだった。


(あのボールはまずい……! 僕でも分かる……!! 確実に隆じゃ防げない……!!)


 上条もその光景を息を呑んで見ていた。あのボールに宿る凄まじい気迫。

 いくら隆でも防げないと踏んだ上条は隆に向かって叫んだ。


「隆っ!! なんとしてでもそのボールを防げっ……!! このままだと本当にやられるぞ……!!」


 ダークネス隆は後ろを振り返り、上条に言う。


「ふんっ!! この我に防ぐことのできぬボールはないわっ!! 貴様も見ておけ、我が勇姿を……!!」


「ぐっ……!!」


 妙な自信を沸き立たせ、右手首を再び抑え始めた。

 完全に隆が隆でないため、会話がうまく成り立たない。

 あんなことを言っているが、本人もこの危機に気づいているはず。この際、上条には隆でもダークネス隆でもどっちでもよかった。とにかく、あのボールを防ぐのが最優先。


 もう時間がない。


 ……くるっ……!!


「おっらあああああああっ……!!」


 加賀は右足で力強くボールを押し込んだ。そこには全身の全ての力を込められている。

 その反動で加賀はボールから弾かれ、ボールは一人、隆に向かって直進を始める。

 これでボールは三人の全力の力が宿った。


 これで隆が止めることができれば、チーム隆の勝ち。だがもし、隆がそれを止めることができなければ……


「ダークネス、ビ、プロテクトおおおおお……!!」


 ダークネス隆は右腕に力を込め、それを開かせる。前方上に闇を描き出し、隆の目の上は闇で覆われた。

 その奥にはボールがどんどん距離を詰めている。


「ふおあああああああっ……!!」


 右手が震えるほど最大限力を込め、目を見開かせる。そして、さらに勢いよく手を開かせ、前に手を突き出した。


 闇はどんどん横に広がりながら進み、シールドを作る。ボールも負けじと加速を続ける。


 ――そして、その二つはぶつかった。


 バチバチバチバチバチッ……!!


 ネットの真上で起こる凄まじい攻防戦。

 ものすごい勢いでボールは闇の盾にぶつかり、尋常じゃない回転をしながら火花を散らす。

 加賀はその瞬間、地面に足をつけ、ニヤリと笑う。管理局の三人はただ、ボールを見つめることしかできない。

 そしてダークネス隆は、力を込め、シールドを保つことしかできない。


「んっ……!! ぐぐぐぐぐっ……!!」


 隆は押され続け、足跡が奥に広がる。

 それでも威力は少し、また少しと抑えられている。だがこのままでは、彼の魔力が保たない。

 魔力にも限界がある。それはインベストの彼らや上条もそう。ダークネス隆にもまた、その時が来ていた。


「うおおおおおおお……!!」


 隆の震わせる右手からは大量の闇が放出され、全魔力が出される。しかし、魔力切れだけではない。圧倒的な力の差。その点でも彼は押されている。


 闇の盾はみるみるヒビが入り続け、もう限界が来ていた。彼もこれ以上は魔力を注げそうにない。




 ――そして。



 バリイインッ……!!


「っ……!?」


 闇の盾はガラスが割れるような音を鳴らし、砕かれた。あの魔力を打ち壊したのだ、この三人は。

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