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チーム管理局なんだが?

 フィールドに五人が揃う。


 状況確認。

 チーム隆。レフト、隆。ライト、シャルロット。

 チーム管理局。センター、可憐。レフト、赤城。ライト、加賀。

 今回は上条は負傷により離脱。よって、チーム隆は隆とシャルロットの二人になる。

 先行はチーム隆から。


「あなたたち二人だけど本当に大丈夫なの? 圧倒的に不利じゃない」


「ああ、問題ない。なんかいける気がするんだよ」


「……」


 チーム管理局の三人は顔を見合わせていた。

 それは、シャルロットさえも。奇跡とて、毎回起こるわけじゃない。それは隆もわかっているはず。それなのに、そのまま突っ切ろうとしているのがよくわからなかった。

 それもあの自信満々に勝ち誇ったかのような顔。まるでもう勝負が決まったかのような。


 隆さんは一体、何を考えているのでしょうか。


「制限時間は十分。では、先行はチーム隆から。では、試合開始!」


 今回の審判はチーム芳月ガールズを代表して天空城が勤めている。美沙は相変わらず幸せそうな顔をして空を見上げている。昇龍は天空城の横で試合を観戦。

 上条は離れた木陰から見守る。


「もどき、始めてくれ」


「ああ、はい!」


 シャルロットは不安になりながらもサーブを打つ。ボールはしっかりと前に飛んだ。


 その瞬間、赤城が落下地点を予測開始。風の向きや地面の砂の量を計算し、走り出す。


「可憐!」


 そう言って可憐はものすごい跳躍力で飛ぶ。左手を広げ、ボールに強く触れる。


「いきなりだけどいくわよっ!」


 バキュンッ!!


 弾丸の飛ぶような速度で直線距離にまっすぐと落下していく。このボールは隆が止めることは不可能。威力は先程の天空城の威力をほんの少しだけ抑えたくらい。

 本気を出していないため、体力をほとんど使わず、これを何発も連発して打てると考えれば、相当なもの。


 ネットを(また)ぎ、ゴールが決まったかと思われたその時――


 ものすごい速さでボールの下で腕を構えたシャルロット。


「ぐっ……!!」


 両手首で威力を抑えているが、相当きている。人類最強の人間が放つボールがこれほどまでとは……!!

 火花が飛び散り、ものすごい熱気に包まれる。


 バンッ!!


 なんとか打ち返せることができた。


 ボールは向こう側のコートへと飛んでいく。


「加賀っ!!」


 その瞬間にまたしても赤城は動き出し、後ろ方向で守備をしていた加賀にトスをする。

 その高さは七メートルほど。もちろん赤城のことなので、落下地点は計算してある。


 加賀はその数秒後に約四メートルも高く飛び、ボールに強烈なスパイクを入れる。


「必殺、トリックショット!」


「……っ!? いやいやいやいや……」


 その光景に隆の声は(かす)れ始める。

 ボールは釣り糸を上から垂らしているかのようにふわふわと浮き始め、相手のコートに進軍。ぐるぐるとコートを七周ほどしたり、上空約四十メートルほど飛んでいった。もうボールがどこにあるかはわからない。シャルロットも必死に目で追うが、豆粒のように小さいため、どこに落下してくるかわからない。

 今回の戦いで隆以外は全員飛び抜けて運動神経がいいが、加賀に関してはもうそういう次元じゃない。


 明らかにボールの動きがおかしい。突風が吹いているわけでもないのに、勝手にボールが踊り出す。

 どういう原理なのか。


 そして――


「シュートッ……!!」


 加賀は親指で指を鳴らした。その瞬間、ボールは急降下。どこに落ちるのか全く想像つかない。

 シャルロットが目を追った場所。そこは――


「コートの場外……!? いや、ギリギリを狙って……!!」


 シャルロットはコートの場外のラインスレスレのところまで走り出した。そのギリギリのラインにボールが落下しようとしているから。

 全速力で走り、ボールに追いつこうとする。

 これなら間に合う。そう思った。

 しかし――


「と見せかけての――っ!!」


「あ、あれっ!?」


 加賀はボールを操るかのように、鳴らした指からできたチェックポーズの人差し指を右に向けた。

 ボールはそれに従い、右方向にまっすぐと飛んでいく。

 あまりのことにシャルロットは驚愕し、右足で急ブレーキをかけたため、体制を崩す。

 シャルロットはまだ追うことこそできたものの、今からでは間に合わない。

 そしてその方向に隆はいた。


「え!? ちょっと待てちょっと待てちょっと待てちょっと待――ぶほっ……!!」


 隆はボールの方向を向いていたため、正面に激突。

 顔面にボールがぶつかり、隆は倒れてボールも地面に落ちてシュートが決まった。


「イェーイ!」


 パンッ!!!


 三人でハイタッチ。隆は頬を押さえながら立ち上がる。


「お前、絶対インチキしてるだろっ!!」


「してないにえ! 最初に私は言った! 玉の扱いには慣れてるって! ボールが私に共鳴しただけ! にえにえっ!!」


「くっ……!」


 いくら管理局とはいえ、これはどう考えてもおかしい! 常識的に考えて――って、よくよく考えればもう僕らの常識は常識じゃなくなっていたんだった。

 上条や投資業界のあの能力、七不思議怪異の奴ら。常識で考えるのには無理があることの方が最近は多くなってる。

 普通の人間がボール操っててもおかしくないか。


「はあ……」


 大きくため息をつく。ついたところで変わるような状況でないことはわかってはいる。しかし、つかずにはいられなかった。


「どうしますか? これ本当に……」


「……っ!?」


 何かすごい嫌な予感がした。なんだ?

 さっきまでの僕の自信が一気になくなった。

 むしろ、さっきまでのあの妙な自信はなんだったのか。そう思うようになってきた。


「いや、まだだ……! 大丈夫だ……きっとなんとかなるはずなんだ……!」


「そういえば、隆さんのその自信、一体どこからきてるんですか?」


「わからない。さっきからなぜだがわからないが、自分の中で大丈夫っていう感情が強くなってるんだ」


「そう……なんですか」


 隆はこの試合の始まる前から妙な自信に溢れていた。それは隆にもなんなのかが自身もわからない。

 もしかすると、先程一勝したことによって気持ちがかなり慢心しているのだろうか。

 しかし、今はそれがだんだんとなくなってきている。

 あんなボールにどう考えても勝てるわけないだろう。

 その感覚の方が強くなっていた。

 シャルロットも隆の行動に疑問を思っていた。普段の隆なら、自信はあったとしてもあそこまで上がらなかった。何かあるとすれば、本能的なもの。あるいは、直感的な判断。そのように考えていた。


 試合はその後も続く。


 シャルロットはボールを打ち返しても赤城の分析移動の高速シールドで防がる。

 アタッカー、守備ともに優れている可憐の猛攻で隆とシャルロットの体力は削られていく。

 極め付けは、加賀のあのボールを操るようなシュート。



その結果、ついに最悪の事態を招くこととなる。


 残り制限時間、三分五秒。

 チーム隆、零点。チーム管理局、五点。

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