チーム芳月ガールズなんだが?
特別ビーチバレー、ルール確認。
ボールの当たり判定は自由。よって、手や手首以外でもパスやシュートは可能。最初のサーブのみ、通常のルールが適応される。
制限時間は十分の一本勝負。コートチェンジやチーム内のポジションのローテーションはなしとする。
前回の試合の結果、敗者であるチーム芳月ガールズはチーム隆と先に試合を行うこととする。
よって、次の試合はチーム隆VSチーム芳月ガールズとなる。
チーム隆。センターはシャルロット。サイドに隆、上条。
チーム芳月ガールズ。センターは天空城。サイドに昇龍、美沙。
それぞれが位置につく。もどきをセンターにしたのは、やはりその運動神経の良さ。上条でもよかったのだが、上条はもどきの方がセンターに向いていると言った。そこはやはり、上条の考えのあってのことと思い、僕もそれに賛成し、もどきをセンターにした。
もどきも特に反対することなく、やる気満々でセンターに立った。
僕は正面を向き、構えを取る三人を見つめる。
相手チームの三人。
まず一番の問題である天空城。最初のサーブだけでシュートを決めた。あれは相手チームがただ打ち返せなかったのではない。打ち返せなくさせるほどの威力でサーブを打つ。イコールそれはシュートとなる。さっき見ていたからわかるが、あの速度は並大抵の人間の出せる速度ではない。そう、例えるならば音速。
次に厄介なのが昇龍。あいつの放つシュートにはよくわからん竜巻のようなものが漏れなくついてくる。さっきそれは可憐によって普通に飛ばされたが、あれは相手が可憐だから。僕ならば……そうだな、触れただけで微塵切りになっているのではないのか? さらには運動神経も、うちのクラスの女子ではもどきの次にいい。もどきの運動神経こそよくわからんから置いておくとして、あいつの運動神経はアスリート並み。
そして最後に美沙。美沙は天空城と昇龍の二人に比べればそこまで危険視するほどではない。かと思いきや、やつは頭がかなり切れる。学力テストで常に上位にいる。その上、やつのクラスではスポーツテスト女子一位。頭の中でいくつかのパターンをシュミレートし、それを実行する行動力を持つ。あと関係ないが、相手が僕となるといつも炎を燃やし、勝負を仕掛けてくる。前の遊園地の時なんかがいい例だろう。つまり、美沙は全力でくる。もしかすれば、先程の二人よりも危険かもしれない。
「制限時間は十分。では、先行はチーム芳月ガールズから」
今回の審判は可憐。
ボールの先行は相手チームに渡る。持っているのは天空城。
もうお分かりだろう。あの鬼サーブがくるぞ、これ……
静寂の中、六人が構えをとる。両者気合いは引を取らない。実力でいえば、こちらが少し劣っている。
なぜなら……この僕がいるからなっ!!
「では、試合開始!」
その合図とともに、あらかじめ構えていた天空城。
拳とボールがぶつかり、音速となり、こちらのコートへと襲いかかる。
ネットを飛び、コート内に侵入。その矛先はもどきの足元付近。さっきもそうだ。高速かつ、短距離で放たれる。それがあのサーブ。
だが、僕らはそれを一度見ている。そして学んだんだ……!
「ふっ!」
音速を見破り、足で掬い上げるもどき。流石はハイスペック。あの速度を見破れたのは、こいつだからこそできたことだろう。凄まじい反射神経。
しかし、そのボールは速いだけではない。威力も凄まじい。もどきの力でさえ、ボールに抵抗を感じる。
バチバチともどきの素足とボールの間にイナズマが発生する。その間、約五秒。
そして、打ち上げられたのはボールだった。
上空六メートルほど高く舞い、地面に落下していく。
「上条さん!」
「あいよ!」
もどきの合図で上条は高く飛び、四メートルの地点で一回転。
「ふんっ!」
脚を前に伸ばし、脛に思いっきりボールをぶつける。謎の青色の閃光がボールに力を纏い、凄まじい勢いで進軍する。
※なお、上条さんは能力を使用してはおりません。
ネットを超え、天空城のいる場所へボールは向かう。天空城は本家バレー選手のあの構えを取り、手首にボールを当て、上空に力一杯打ち上げる。
「いっつ……!」
上条の一撃が流石に応えたのか、手首を少し抑えている。跳ね返しただけでも相当だろう。能力歯使わずとも、あの能力者である上条の力を跳ね返したもの同然なのだから。ボールは僕らから見て左側に吹き飛んでいく。あのままいけば場外でこちらに得点が入る。
「はい! 妃ちゃんっ!」
そこに現れたのは美沙だった。場外に入らないよう、腕を伸ばし、横にボールを吹き飛ばす。
ボールの向かった先は昇龍。しかし、横に吹き飛ばせば場外には飛ばなくなるものの、ボールは不安定となる。
「任せな! いけるか、天空城!!」
ボールは昇龍の方向へ。そう言って昇龍は、約七十五度の方角へとボールを飛ばす。向かう先は天空城。
「ああ、任せろ!!」
天空城は抑えていた手首を離し、ボールが地をつく前に高く飛び上がった。さらに空中で縦に一回転。
月を描くようなその姿。脚をその回し、一撃を放った。
「天空落としっ!」
天空落とし。あれは確か、以前二宮金次郎像に繰り出した技。踵落としの完全上位互換で、脚の対空時間を感じさせないその技。
あの二宮金次郎像の銅を剥がしたほどの威力。
それが、隕石のようにボールにかかり、降り注いだ。
「はああああっ……!!」
拳を作り、手首で跳ね返そうとするもどき。ボールともどきの手首は接触し、またもや凄まじいイナズマが発生する。
それはもはや、赤色のイナズマに見える。力と力の衝突。そこからさらに風は吹き荒れ、僕らは地面にとどまるのが精一杯。砂は渦を巻き、海の水飛沫が舞い上がる。
――そして決まった。
「きゃあっ……!!」
ズドオオオンッ……!!
ものすごい威力で地面の砂に埋もれる。地は揺れ、砂の形までもが変形し始める。
「もどきっ!」
もどきはあまりの威力に吹き飛び、砂の上に倒れた。
「これで私たちが一点リードだな」
「やったね、空ちゃん!」
「流石だぜ! イェーイ!」
三人はハイタッチをする。
だが、僕ら三人は空いた口が塞がらない。あいつはサーブだけでなく、シュートも確実なものとして打ってくる。それであの管理局の三人と張り合っていたのか。
何より、さっきの戦いからまだ数十分しか経っていないはず。にもかかわらず、あの凄まじい破壊力。
おいおい。これは本格的にやばくなってきたぞ。




