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ローション塗れなんだが?

 可憐と赤城と加賀。この三人は広げたレジャーシートの上に座っていた。サンオイルを今から誰が塗るかについて。もちろん、最終的に全員が塗ることにはなっている。そして、誰が誰に塗るかも重要だと可憐と赤城は考えていた。


「それで誰を最初にする?」


「じゃあここは私が――」


 元気よく満面の笑みで手を挙げる加賀。実際のところ、塗られるだけなら問題ないが……


「「じー」」


「何っでそんな目で見るの!? 塗られる側だよ! 何もできないから!」


「いや、まあそうなんだけど。あなたのことだから何か企んでるんじゃないかって」


 可憐の推理は合っている。しかし、その何かが流石の可憐でもわからない。

 加賀は意地でも可憐と赤城の身体を触ろうとしている。そのためにあらゆる策を頭の中で構成して、何パターンもの行動手段を考えていた。


「それは塗る側なら何かするということですか、加賀」


「ギクっ……! そ〜んなわけないじゃ〜ん! 女の子の身体を触って興奮する女とかそんなやついるの〜! やばすぎるでしょ! あっははははははっ……!!」


「……」


 加賀は本気で言っていた。二人は心の中で同じことを呟いていた。自分のことでしょ……と。加賀の投げた特大ブーメランが返ってくる。

 それが自身にヒットしたが、ノーダメージ。全く気がついていない。


(よし! 誤魔化せた〜! あっぶね〜!!)


 誰に向けてやっているわけでもなく、後ろを振り向いてガッツポーズ。しかしそれも二人に丸見え。

 絶対、何か仕掛けてくると警戒を増すのであった。


「まあいいわ。塗ってあげるから横になりなさい」


「はーい!」


 加賀は振り向き、また手を挙げる。そのままレジャーシートにうつ伏せ寝転がった。塗るのは年長である可憐。


「いいのですか、可憐。何か怪しいですよ、加賀」


「いいのよ。どうせ寝てたら何もできないんだから」


 体制はうつ伏せ。うつ伏せともなれば、管理局幹部、ナンバースリー加賀ですら何もできやしない。

 自慢の怪力の元となる両手も顔の下。目だって(つむ)っている。


 可憐はサンオイルの蓋を開け、手に垂らす。それを加賀の二の腕に優しく乗せた。赤城はそれを目を丸くしながら見て何故かドキドキしていた。

 軽く握るように二の腕を触り、下におろして手先まで満遍なく塗る。


(この子の腕、結構細いのね……いつものあの力の源である腕のはずなのに……)


「ひゃ〜ん! 可憐の手つきいやらし〜! ああ〜ん! そ、そこはらめえ〜!」


「ちょ、ちょっとあんたわざとやってるでしょ! これじゃあ、私があんたにいやらしいことしてるみたいじゃない!」


 わざとらしく棒読みで喘ぎ始める加賀。明らかにからかっている。二の腕をある態度塗り終わると、太ももを塗り始めた。さするように優しい手つきで塗る。

 赤城に比べると加賀は少し肉付きが良い。

 そのため、可憐自身も一瞬だけど触り心地がいいと感じてしまった。でもこれは不可抗力。それがわかっているため、深くは考えなかった。


「いや〜ん! 気持ちいいよ〜! この手つき、虜になっちゃう〜! は〜ん!」


「こ、こらあ!! 私は普通にやってるだけじゃない! やめなさい、加賀!!」


「か、可憐にも……百合属性が……! 可憐の……えっち……!」


 顔を赤らめ、口元を手で隠し、目を(そら)らす赤城。そこら辺の判断ができない赤城は可憐が加賀にいやらしく触っていると思っていた。

 その慌てっぷりを見ているだけでにっこり笑顔の加賀。加賀の狙いはこれだった。


 しかしこれはまだ、加賀の計算高いセクハラ大作戦の序章に過ぎなかった。


「ああ! 違うの、赤城! これは、加賀が勝手に言ってるだけで……! 私は別に……!」


 可憐は慌てて手を止め、あたふたとして赤城に弁解する。これもまた、加賀の狙い。


「可憐の手つき、いやらしくて〜! 私〜、虜になっちゃった〜! もうアレなしじゃ生きていけない身体に〜!」


「紫可憐……何と恐ろしい……! まさか、可憐がそんな人だったとは……」


「違うんだってば、赤城! 私じゃなくて、」


「は〜ん!」


「あんたはいい加減黙りなさいってば! もう怒ったわ……! 何も言わせないくらい、早急に終わらせてあげる……!」


「え、ちょ、待――」



 ――数分後――


 可憐の可憐なるテクニックにより、加賀はローションまみれで撃沈した。その間、あのふざけた喘ぎ声を出す間も無く、その場でしばらく動かなくなった。

 加賀にとっては少し計算外ではあったが、すでにプランJまで考えているため、そちらにプランを移すことにした。可憐の子の行動すらも乗っ取る!


「さあ赤城、いらっしゃい。私が優しく塗ってあげるわ……って、赤城?」


「ガタガタガタガタガタ……!」


 目の前には倒れて動かなくなった(フリをした)加賀。そして、サンオイルを持って笑顔の可憐。可憐に塗られるのが恐ろしく恐怖して震えていた。


「か、可憐がそんなえっちな人だったなんて思いませんでした! 私のこの身体は加賀に全て捧げています!」


「あんた何言ってるのお!?」


「よく言った、赤城! さあ、私が赤城の身体を触――塗ろうじゃないか!」


「本音が漏れてるじゃない!」


 加賀はあっさりと復活。口角が隠しきれず、満面の親父のような笑み。まさしく、この時を待っていたと言わんばかりに。


「お願いします、加賀!」


「おうよ!」


「元々、加賀に濡らさないっていう話じゃなかったっけえ!? ちょ、ちょっと!!」


 油断した可憐の手からサンオイルを奪い取り、ニヤニヤと笑っていた。赤城はうつ伏せに寝転がり、リラックスタイム。もう嫌な展開が想像できた。

 恐ろしいほどの笑顔でローションを出し、手に垂らす。その笑顔は赤城には見えていない。その量は先程可憐が加賀に塗った時の二倍……いや、三倍。


「じゃあ、赤城。塗るね。はあ……はあ……赤城の二の腕柔らけえ〜。もっちもち! ぷにっぷに!」


(だめだ、この子。もう隠す気すらない)


 ちゃんと塗ってはいるが、必要のない揉むという行為までしている。下心丸出しだった。


「うわ〜! て、手が滑って赤城のスク水の中に〜! た、大変だ〜! モミモミ……」


「ひゃんっ……!」


 スク水の中にわざとらしく手を突っ込み、赤城の小さな胸を揉む。加賀自身の態勢も両胸に手を回しているため、明らかにわざと。


「あんたまたわざとやってるでしょ!」


「いや〜! 手が滑ると……モミ……こんな大変な……モミ……ことに……モミモミ……なっちゃうんだね〜!モミモミモミモミ……!!」


「も、もう……! 加賀ったら本当に仕方のない子なんですから……んんっ!」


 しっかりと揉みしだいていく。もう、ずっと見ているけど胸しか揉んでない。それもローションを一種のスパイスだと思って楽しんでいる。


「明らかに意図的に触ってるじゃない! 効果音まで自分でつけちゃってるし! 赤城! あんた騙されてるわよ! この子はただ触りたいだけ! 早く気づいて! 赤城ーーーーーーー!!」




 ――数分後――


「も、もうダメです……き、気持ち良過ぎて……私……」


「いやあ〜! 手が滑りまくった〜! ローションのつけすぎには要注意だね!」


「……」


 結局、赤城は最後まで加賀の目的に気がつくことなく、その場で力尽きた。息を荒くして、身体中ローション(まみ)れ。

 加賀はすっきりして一人でテンション上がった挙句、誰に向けてかわからないウインクと人差し指を立てて「要注意!」と言ってみせた。

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