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水着回なんだが?

 海パン一丁で両手を頭の下敷きにしてレジャーシートに寝転がり、太陽を覆い被さるパラソルを見つめる。少し下を見れば、青色の空。さらに下を見れば青色の海。なんという爽快。


 そうだ、いいことを思いついた。シャルロットたんとの新婚旅行、ここにしよう!

 もし、この世界でシャルロットたんと一緒にどこかへ出かけられるのならば、拙者はこの光景をシャルロットたんと見たいでござるな! ムヒヒッ!




「隆様〜!」


「待て待て〜、シャルロットたんは拙者の愛のバインド魔法によって逃げられないのでござるよ〜! あはははは……! あはははは……!」




 拙者は空想の中でシャルロットたんと戯れる。空は青色からオレンジ色の夕焼け空に。波は静かに砂浜を打ち、砂と拙者たちの時間をさらってくれたでござる。

 誰もいないビーチ。そこへ水着姿のシャルロットたんとそれを追いかける拙者。

 最高のシュチュエーションでござる……


「スアマアー……バケイショオン……ムヒッ……」


 口角が上がり、顔がにこやかになる。いつかはシャルロットたんと……そんな日が来ると思うと拙者、心が躍るでござるよ……


 ブンブン。隣で誰かが手を出し、僕の前で振って見せた。


 まさか……!


 それが誰かなんて、顔を見なくてもわかった。この汚れなき、拙者色に染まった美しき手! ああ、ついに現世にも来ることができたでござるか!? 僕は手を振る先の右を向く。さあ、先程の追いかけっこの続きをしようでござるよ、


「シャルロットたん……!!」


「はい! シャルロットです!」


 そのまま音を立てず、に後ろに倒れた。気が抜けた炭酸ってこんな感じなんだ。

 違う、こいつはシャルロットたんではないことは知っているだろう、東條隆! こんなパチモンとシャルロットたんを一緒にするなんて、シャルロットたんとぷらねっと神に失礼ではないか……! 一瞬でも本物のシャルロットたんに見間違えた拙者自身が本当に許せぬ……!!

 シャルロットたん成分を約三ヶ月半、補給していないせいでこんな失態を……! こんな拙者をお許しを……! 創造主、ぷらねっと神……!!


 僕は両手を合わせ、祈りを捧げた。


「それで隆さん! どうですか、この水着! 皆さんと買いに行って選んだんです!」


 軽く背を向け、自慢の水着を隆に見せる。

 ああ、そういえばそんなことを言っていたな。どうやら、一部のリアル女組で数日前、水着を買いに行ったらしい。

 もどきの方を振り向く。


「……っ!?」


 水色の水玉模様の水着。白色のフリフリが付いており、なぜか心臓がドキッとした。また自分の中でシャルロットたんとごちゃごちゃになっている。

 シャルロットたんの水着ではなく、もどきの水着なんだ……! うおおおおおお……


「あの! それで……! 感想を……!」


「似合ってるよ、すごい可愛い」


「……へ?」


 あれ? なんだ、今の。おかしい。もどきにこんなことを言うはずが絶対にない。そんなこと、僕が一番わかっている。なんだ、何かがおかしい。

 まるで、本物のシャルロットたんに話しかけるように言って……


「ああ……! 違うんだ……もどき……!! 今のはそう言う意味ではなくてだな……! ああ、かと言って似合ってないわけでは当然なくってだな……! ――って、もどき?」


「嬉しいです……」


 顔を赤くして言うもどき。目からは小さな涙。なんだ? どうしたんだ、こいつ。


「おい、大丈夫か? ――って、おい!」


 もどきは顔を赤くしながらそのまま海の方へと走っていった。


「なんなんだよ、あいつ……ん?」


 走っていくもどきの体を後ろから見ていると、どこか違和感を感じた。

 もどきの腹部や胸元、太もも。全てに傷跡がない。

 手術痕。僕は今まで手術痕があると思っていた。水着だからラインがよく出てわかるが、もどきのスタイルはシャルロットたんと全く同じである。これは、もどきがなんらかの手術をしてシャルロットたんの身体に合わせたのではないかと思っていた。だが、その痕跡が身体のどこにもない。

 それも傷一つない綺麗な肌。僕が知らないだけで傷跡を見えないようにする高度な技術がこの世にはあるかもしれないが、それを言ってしまえばなんでもあり。


 そのせいで認めたくはないが、シャルロットたんと見間違えてしまったのかもしれない。


 その可能性を潰された今、僕はもどきがシャルロットたんでない可能性をどう証明すればいいんだ……


「どーんっ!」


「いってえ! なんだよ、お前!」


 後ろを向くと、オレンジ色のドレスのような服を着た美沙がいた。これも水着なのだろうか。


「さっきからシャルロットちゃんのこと見てたけど、なんかあったの?」


「いや、あいつってあんな肌綺麗だったんだなって」


「え? 妹をそんな目で見るとか……お兄ちゃん、病院行く?」


「ば、馬鹿……! 違えよ! そういう意味じゃなくってだな……!」


 多分美沙は僕が下心で見ていると勘違いしている。

 このセリフ、どこか昔の美沙を思い出さされる。なんせ、数年前まではあの罵倒ガール美沙だったことだし。


「おい、東條隆。先程、シャルロットさんが泣いているように見えたが、何をした?」


 鬼のような顔付きで上から見下ろし、睨みつける天空城。黒色のシンプルなビキニを着て、真ん中にはピンク色の小さなリボンが飾られているが、顔のせいで全く活かせていない。


「あの、怖いです。というか、僕は何もしてない」


「ほんとかよ。女ってのは繊細なんだぜ」


 黒色のショートパンツに胸元は赤色の水着。ギャルの昇龍にはどこかあっている水着にも思える。昇龍も天空城に続いて現れた。


「繊細ねえ」


 そんなことを言われても、傷つけるような言葉は本当に言っていない。もしかして、口を滑らせて変なことを言ってしまったことをもどきは気にしていたのだろうか。

 あれか、男にはわからない気持ちってやつだな、こりゃ。


「よおし! 私、シャルロットちゃんと遊んでくる! シャルロットちゃーん! 水かけっこしよー!」


 そのままもどきのところへ行き、走っていった。


「では、私たちはどうする?」


「んー、可憐さんたちがスイカ持ってきたって言ってたし、スイカ割りでもするか。天空城、一本勝負どうだ?」


「ああ、構わないぞ。確か、この辺にあるって可憐さんが……あ、あった!」


 そう言って天空城は僕の隣にあるどでかい箱からスイカを二つ取り出し、一つずつ持って二人は海の近くへと行った。冷やしたスイカは何個かあると可憐たちは言っていたし、僕も後でやってみるか。


 あれ? あつら棒は?

 二人の手にはスイカを持っているだけでどちらも棒は持っていなかった。僕の知っているスイカ割りは木の棒を使ってやるやつだと認知していたが、違ったのか?


 そういえば、管理局組の三人がまだ来ていない。あと上条。僕と上条は先に着替えが終わったため、荷物を運んだり、パラソルを開いたりしていたが、それ以降上条は姿を消したまま。まあ、どうせそこら辺のリアル女にナンパでもしてるんだろ。


 それにしてもこの日差し。あったかいし、眠くなってきた。海の楽しみ方は人それぞれ。もどきや美沙みたいに海に入って遊んだり、天空城や昇龍みたいにスイカ割りをするのだって楽しみの一つ。

 じゃあ、このあったかい日差しの中、眠ることも楽しみの一つであろう。


 こうして僕は、穏やかにまったりと太陽の日差しの下、眠るのであった。

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