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幽世のリリン  作者: R09(あるク)
第二章 怨霊編~胎児よ、胎児、湖面はそこだ

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第85話 軒下の亡霊

第85話


 高さ五メートルの石垣が、ほぼ全面、円形に陥没していた。

砕けた石の粉が白く舞い、夜気に石灰の匂いが立つ。


 元崎恵もとざきめぐみ北藤翔太ほくとうしょうたへと放った、「六道掌りくどうしょう」という掌底しょうていの技。


 とても人間のわざとは思えない。

 巨大な鉄球でも叩き込まなければ、こうはならない。


「翔太くんッ!」


 衝撃に抗いながら美優が見たものは。


 石垣に追い詰められた翔太。


 その顔の真横。


 元崎が掌底を叩き込んだのは、翔太の顔面スレスレ数センチの場所だった。


 これに驚いたのは美優だけではない。

 防御の構えを取っていた翔太も、それをゆっくりと解きながら、顔を横に向ける。

 いかにも強靭な、筋肉質の元崎の腕。


 ──元崎の「六道掌」は翔太にではなく、石垣を直接撃っていた。


(外れた……!?)


 元崎へと視線を戻す。

 その元崎の顔、肉体からは、あの「マギカ2nd」の形相はすでにない。

 あの脈打つ血管がすべて肌に浮き出したような奇怪な姿が跡形もなく、少し日に焼けたつるりとした肌に還っていたのだ。


 元崎は動かない。まるでマネキンのように、ピクリともその状態を崩さない。

 そして、ポツリ、と言った。


「外しちゃいました……」

「は?」


 元崎は石垣にめり込んだ自身の手を引き抜いた。ガラガラガラ……。石垣は見る影もなく欠片と砂になって崩れ落ちた。

 石粉がぱら、ぱら、と頬に落ちた。元崎以外、誰もまともに息ができない。


「いやあ。この技を人に使うのは初めてだったもので。私自身もついためらってしまったようです」


 あいも変わらず人を食った笑顔……。


「……手加減したってことか?」

「いえいえ、手加減とはまた違いますね」


 元崎の口調はすっかり穏やかなものに戻っていた。


「つまり私はビビっちゃったんです。喧嘩の勝敗というものは、私が思うに……。私が思うにですよ。相手を殺せるかどうか、その覚悟が決める。つまり、これはどういうことか。外してしまった、それ自体、私が修行不足だった証なんですよ」


 くるりと踵を返し、背中で続ける。


「この勝負――あなたの勝ちです」

「え、お、俺の……勝ち……」

「海野さんにも、怖い思いさせてしまいました。誠に申し訳ありません。大丈夫ですか? お怪我はありませんか?」


 このあまりの意外な展開には、さすがの美優もキョトンとしてしまう。

 どんな怪異が現れてもそれはそれ、事実は事実……と受け止められる美優をもっても想定外だったのだ。


 ついさっきまで、死闘を繰り広げていた相手が。

 命をして闘っていた相手が。

 あっさりと、自分の負けを認めてる。

 これだけの“力”を持つのに。

 翔太を殺せたはずなのに。

 あまつさえ、自分の身を案じてくれているとは、どういうことなのか。


「何……言ってるんですか? 先輩……」

「どうもこうもありませんよ」


 元崎は両手を広げるジェスチャーをして見せる。


「さっきの『六道掌りくどうしょう』を放った時点で、私の神の力(イーナリージア)が尽きてしまいました。さらに言えば、ちょっと力みすぎたからでしょう。私の可愛い“魔術回路”ちゃんが一部、焼き切れてしまったのです。──つまり、私はもう、先ほどのようには戦えません」

「……ふざけるなよ」


 翔太が元崎の背へと一歩踏み出す。


「ここまでしといて、もう戦えない? 自分が負け? めちゃくちゃなんだよ! 支離滅裂すぎて意味不明なんだよ! 先輩。あんた、何考えてんだ?」

「そう、あんまり、いじめないでくださいよ」


 振り返った元崎の顔は困った表情をしている。


「だって、北藤さんはまだ、私と違って、イーナリージアが残っているでしょう? “魔術回路”だって健在です。もし今、北藤さんが全力を出したとしたら、殺されてしまうのは、私の方だと思うんです。だから、敗北宣言。理にかなっていると思いませんか?」


 そのあまりにも能天気なとぼけた口調に、翔太も拍子抜けしてしまう。

 体の力が一気に抜ける。


「まあ、でもこれだけは言えますね。あなたの“魔術回路“は未熟です。太陽神ラーのイーナリージアは確かに強力です。これは世界中の神々の中でもトップクラスの神のエネルギーと言って良い。ですが、使いこなせてません。“マギカ2nd"……。あなたも、その領域までたどり着いているかと一瞬、思いましたが……」

「センパイ、あんた、一体、何者なんだ?」


 太陽神ラーという言葉がハッキリと出た。

 この男はどこまで知っているのか。何を知っているのか。

 そして何のつもりで、翔太を呼び出したのか。

 だが、元崎の回答はあいも変わらず、的を射ないものだった。


「何者って……、元崎恵ですよ。単なる元崎恵。名乗りましたよね、私」

「何を、どこまで知ってるのかって聞いているんですがね、先輩」

「う~ん。まあ、私が“魔術回路”を持ち、そこにさらにイーナリージアを流すことができる。そこから察していただければ幸いなのですが……。でもとにかく、北藤さんの修行の成果。お見事でした。多少、キモも冷やしましたし。ですが、まだまだ。でもそれは、あなたに伸びしろがあるということを意味しています。……さあ、このへんでいいでしょう。私は、これで立ち去ろうと思います」

「何をべらべらとわけのわかんないこと喋ってんのよ!」


 今度は美優が食ってかかった。

 呆れが怒りへと切り替わった。


「あなた、翔太くんを殺そうとしたわよね! 修行の成果を見る? ビビった? ウソだわ。それなら、あそこまでやる必要はなかった。翔太くん、死にかけたのよ。それに何よ、さっきのあの掌底……。あんなの初めて見た。あれ、間違いなく人の力ではありえないわ。“魔術回路”、イーナリージア、それは、あなたが普通の人間ではないことを意味する。あなた、もしかして、何か秘密を……」

「私が、北藤さんを、殺そうとした……?」


 元崎はいかにも、不思議そうな様子で言った。


「おかしいですねえ。あの程度じゃ、北藤さんは殺せないっていう話、私、ベレスさまから聞いていたのですが……」

「ベレス!?」

「あ。あなたがたには、成宮蒼なりみやそうの名を出したほうがいいんでしたっけ?」


 ◆    ◆    ◆


 ──春。『濃霧現象カスケード』によって、海から都市伝説の魔獣『ヒトガタ』が現れた、あの夜。


 その時、美優は気を失っていたが、翔太の記憶にはしっかりと残っている。

 翔太は、成宮蒼なりみやそう=魔王ベレスのめいによって、デルピュネーに、頭から真っ二つにされた。


 だがその時、翔太の背中から現れたのは巨大なハヤブサの翼。

 黒に限りなく近いグレーの羽根。

 それが、肉体を優しく抱きしめられるかのように包み込み。

 体中から抜け落ちた血という血、臓器という臓器、骨、肉がすべて、元に戻った。


 縦に二つに切り裂かれた肉体が、文字通り、再び“くっついた”のだ。

 不死身の力。治癒の力。

 それは、翔太の肉体に宿る太陽神ラー。そしておそらく“666の獣”の力も影響しているだろう。


 痛みはある。

 不死身というだけで、痛いは痛い。

 苦しいは苦しい。


 肉体をどれほど細切れにされたとて。

 蘇る力を与えられている。

 それが逆に地獄の苦しみだ。

 そんな力を、翔太は、持っていた。

 こんな話、どんなに説明しようと誰が信じてくれようか……。


 ◆   ◆   ◆


 もちろん、美優にも心当たりがある。

 栗落花淳つゆりじゅんにさらわれ。

 サバトの悪魔・バフォメットの固有結界の中で。

 北藤翔太ほくとうしょうたは、確実に、“死んだ”。

 殺されたのだ。

 巨大な岩石の雪崩。折れる骨、潰れる肉体。


 それがどうだろう。


 何事もなかったかのように岩石の下から現れたのだ。


 そして、その時に見た、翔太の額の第三の目。

 瞳には「666」の刻印。

 ヨハネの黙示録に記された、“悪魔の数字”──。

 美優の記憶に深く刻み込まれ、時折、フラッシュバックさえ、する。

 同時に手のひらが熱くなる感覚。

 自身の中で何かが目覚めそうな急激な覚醒感。

 悲しみと悲鳴の中で、美優は、確かに自身の心の異変も感じ取っていた。


「…………」


 それぞれがそれぞれの思いにふける。

 だが、その苦い思い出が、美優の脳裏に一つの可能性を引き当てた。

 この人、……翔太くんが死なない……いや、“死ねない”ことを知っていたんだわ──!

 この人は、それも折り込み済みで、この計画を実行した……。


「つまり、これは」


 翔太はまだ混乱のさなかだ。


そうさんが仕組んだことなのか? 知っているのか? 蒼さんは。このことを!」

「いえいえ」


 元崎は微笑んだ。


「私の独断です」

「蒼さんの指示じゃない……?」

「ええ。そうです。まあ何と言いますか……」


 思わず耳を疑ってしまう。まったく分からないことだらけ。

 謎が多すぎる。

 その謎の整理をしている余裕はない。

 そもそも、元崎に関しては、翔太も、美優も、何も知らされてない。


「ぶっちゃけ言いますと、ベレスさまから、これまでのおおよそのあらましは聞いていましたからね。ある程度、全力でやっても問題ないとは、確かに思っていました。いや、逆に全力でやらなければ、どれほど北藤さんが成長したかを見極めるのは難しい」

「見極める……」

「確かに私もまだ、修行中の身です。それもあり、私自身、北藤さん相手にどこまで立ち向かえるのか、それを試す意味もありました」


 元崎はキャッツアイ……ヤンキー特有の例のサングラスをくいっと指で上げる。


「結果、まだ私の方があなたより上。でも良かった。もうすでにそのへんの適当な相手でしたら、北藤さんもそこそこ戦えます。すなわち、正式な戦力として数えることができる。私は、それをどうしても知っておきたかった。だから収穫はあったというものです」

「……どうして、お前がそうさんとつながっている」


 ダラダラ話していても意味はない。

 翔太はいきなり真相へと踏み込んだ。

 だが。


「さあ」


 元崎は答える気がまるでない。


「なんでだと思いますか?」


 逆に聞いてくる。単に笑っただけだった。

 だが、その迫力に翔太はたじろぎそうになった。

 これは……この男の中から感じるこの感覚は……。

 まさか……。いや、考えすぎか……?


「ただ、これだけは確かです。実は、私は、北藤さんの味方です。……いや、それだけでは不十分な説明かもしれませんね」


 元崎は背筋を正して翔太の正面に立ち、こう言った。


「むしろ私は、北藤さんを“まもろう”とする者です」


 そう言うと元崎は去って行った。

 釈然しゃくぜんとしないものばかりを残して。

 翔太の今も引きずる死とほぼ同等の痛みも置いて。


 ──俺を、“まもろう”とする者……!?


 多くの謎を残し、元崎はあっさり二人をあとにした。

 背中越しに、「さよなら」とでも言うかのように、ゆらゆらと手を振りながら……。


 ◆   ◆   ◆


 その数日後──。

 

 葉山ひまりは巫女姿で、自宅である八ノ宮(はちのみや)神社境内で両親の手伝いをしていた。

 その夜は、月が雲に隠れ、星だけが異様に強くまたたいていた。

 なかでも射手座。

 射手座の輝きは強かった。

 拝殿の欄間にかけた影が、風もないのにわずかに揺れる。

 ひまりは氏子が厄落としに持ち込んだ人形や呪われたあれこれを段ボールへ収め、本殿ほんでんへ運ぶところだった。

 紙垂しでが触れ合い、紙の匂いと樟脳が鼻に刺さる。


 八ノ宮神社の歴史は古い。


 平安時代後期に生まれたとされる崇徳上皇すとくじょうこう。その崇徳上皇すとくじょうこうも祀られている。

 幼い頃から天皇として君臨していた崇徳上皇。1156年に朝廷が後白河天皇派と崇徳上皇派に分裂したことにより「保元の乱」が勃発する。


 この後白河天皇の陰謀で崇徳上皇は如意山にょいやまに逃れる。

 しかし結局は、海を越えて四国へと流されてしまう。


『保元物語』によれば、配流後の崇徳上皇は流された場で軟禁。京に戻ることなく崩御。

 その後、崇徳上皇は『大悪霊』『大妖怪』となって日本全土を脅かしたと言われている。


 その崇徳上皇が生前、この地に眠るとされている『八大龍王』を参拝に来たらしい。

 それが、この八ノ宮神社。

 葉山ひまりは、その神社の跡継ぎ娘であり、現在は巫女として、両親の手伝いをしている。


「瀬を早み岩にせかるる滝川の われてもすゑに あはむとぞおもふ……」


 ひまりは百人一首の歌を読む。これは崇徳上皇が詠んだとされる和歌。

 何度か繰り返し、光り輝く射手座の下、ひまりは本殿へと向かっていた。


「瀬を早み岩にせかるる滝川の われてもすゑに あはむとぞおもふ……」


 悲劇の天皇であり、そして日本最大の悪霊である崇徳上皇すとくじょうこう。彼はこの神社で何を想い、何を願って、去っていったのだろう……?


 ひまりはその途中、拝殿はいでん、つまり人々がお賽銭を投げ、願い事をする建物の横を通った。

 社務所の時計は動いているのに、風鈴だけが時間を拒むように鳴らなかった。


 その時である。


 ダンボールの中に入っていた、手毬てまりが、転げ落ちてしまった。


「あ……」


 これは、平家谷へいけだにの、天使像による大量殺戮事件で命を落とした老婆が大切にしていた手毬だと言う。それを厄払いとして預けられていたのだ。


 その手毬は、地面で跳ねると。


 そのまま拝殿の下へと転がって行ってしまった。


「嘘……。やだ……」


 段ボールを地面に置き、ひまりは床下を覗き込む。

 もちろん拝殿の床下は真っ暗。その闇の奥へと、手毬は転がっていく。

 朝になって、ある程度、視界が良くなってから探しても良かった。だがひまりの几帳面な性格上、後回しにすることが出来なかったのだ。


 ひまりは腰を落とし、拝殿の床下へ身を滑らせた。すぐに見つかると思った。懐中電灯も持たないままだったが、ひまりは、闇の中を這い進んでいく。土は乾いているのに、掌にだけ冷たい湿りがまとわりつく。


 ──どこかで女の声が聞こえた気がした。


『どこでしょう……どこでしょう……』


 その声は、確かにそう言っているように聞こえる。


『どこでしょう……どこでしょう……。あの方は、どこでしょう……』


「……!」


 囁きは一人の声なのに、遠近が合わず、耳のすぐ横と社叢しゃそうの奥から同時に聞こえる。

 梁の埃が足形に落ち、そこだけ星明かりを吸った。

 強い霊感を持つひまりでなくとも、気づく、怪異。

 これは……。

 実体化……受肉している!

 そして。











 神とは真逆のものの声──。










 だが、「気づいた」と知られることが非常に危険だということは、過去の経験から分かっている。

 気づかないふりをする。

 冷や汗が滲み出す。

 背筋がぞくぞくと震える。


 知らん顔をして手毬を探し出し、素早くこの場を去るべきか。

 それとも、今すぐ、この床下から這い出るべきか。


 ひまりは迷った。


 迷い、悩んでいたところへ。

 ころころと、闇の底からこちらへ転がってきた。

 跳ねるたび、かすかな子守歌が拝殿の下で鳴った気がした。

 これは……。


(逃げなきゃ……!)


 まずい──!

 脳からくだされる危険信号!

 ひまりはその手毬を持つと方向転換。すぐ床下から脱出しようとした。


 なのに。


 ひまりが、手毬を持って振り返ったその真正面に。

 背を向けたはずなのに。

 今、ひまりの目の前に。














 そこに、ゴスロリの洋装をまとった西洋人の少女がいた──。











 蝋人形のように白い肌。関節の角度だけが、人ではない。

 四つん這いのまま首だけを折るようにこちらへ向け、ささやき続ける。

 口は動かないのに、声だけが床下を這う。


『どこでしょう……、どこでしょう……』


 ひまりはもう進めない。

 さすがに、気づかないふりをし続けるにも、このゴスロリ少女の横をすり抜ける自信は、とてもない。


『どこでしょう……、どこでしょう……。あの方は、どこでしょう……』


 そして、その瞳が、ついに。


 ひまりを捉えた。


(見つかった……!)


 じっとひまりを見る。

 見つけられた。

 自分が何かを知る誰か……つまりひまりを。

 そのゴスロリ少女の怪異は見つけた。


 ひまりは反射で背を返す。

 額に触れた髪が一筋、勝手に逆立った。


 入ってきた方向とは反対方向へ。拝殿の床下の奥の方へと逃げ出す。

 多少、距離はあるが、こちら側へ進んでも床下から逃れることは出来る。

 見つかった可能性が高い以上、まずはここから抜け出すこと。

 どうせ気づかれているんじゃないかと思う。

 自分の力がバレたと確信もしている。


 だが、思った通り、音が聞こえる。


 ──カサ、カサ、カサ、カサ、と。


 乾いた紙の足音。

 ダメだ、追ってくる。

 追ってきている!

 いや、でも……。


 万が一、ひまりの勘違いで、その怪異は別の方向へと去っていったのだとしたら──?


 それはあくまでも「念の為」


 自分の安心を得るための行為だった。

 

 これまでは知らぬ存ぜぬで見て見ぬふりをしてきた。

 今も、それでこの事態を流せるかもしれない。

 そう思ったひまりの目に。

 振り返ったその顔に。


 ──カサカサカサカサ、と。


 人間の関節では出ない速度で、ひまりへ一直線に這い寄ってくる。

 だが土には足跡が残らない。

 瞳孔は針の頭ほどに縮み、瞳だけが時間から外れたように遅れて動いた。

 あっという間に、距離を詰められ……!?


 拝殿の床板が、誰も踏んでいない場所から一枚ずつ沈み、見えない足の重さが天井へと昇っていった。


挿絵(By みてみん)

「八ノ宮神社」…ひまりの実家。八大龍王を祀ってあり、過去に崇徳上皇がこの地に参拝に来たとの伝説がある。

【撮影】愛媛県八幡浜市勘定「宮嶋神社」。広島の宮嶋さまが流れ着いてきたとされる地。過去は女性の立入禁止で、この地区には過去、お産の時に、妊婦は畳一畳分のスペースから出てはいけない、宮嶋様は女性の血を嫌うから、という風習があった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 拝読させて頂きました。 世界感の作りに引き込まれ、圧倒的な描写と擬音に揺られながら展開、テンポの波に飲まれていくような作品でした。 さまざまな要素が盛り込まれ、筆者の文章へのと実験、試行錯…
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