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幽世のリリン  作者: R09(あるク)
第二章 怨霊編~胎児よ、胎児、湖面はそこだ

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第146話 魔王ベレス・覚醒

 第146話


 崇徳上皇の祟りにより巨人化=祟り神化してしまった葉山ひまり。


 その下腹部。


 子宮の位置あたりで「666」の数字が禍々しく光っている。それはまるで紋章のようであり、公然たるこの世への侮辱のようにも感じられた。


 そのひまりへと向け、人としての意識を、霊長類としての尊厳を、見捨てられてしまったかのようなうつろ顔の北藤翔太ほくとうしょうたがゆっくりと歩き近づいてくる。


 すでに瞳を取り戻したひまりは、自身がなぜか巨大化していることをハッキリと認知していた。浜辺で眠っていて急に目が覚めたかのように、その意識の混濁は、動揺と新聞広告が両立しているような、微妙なバランスの中で、心の夢想と目前の現実を行き来していた。


 着せられているのは巫女衣装。


 胸元で合わせた襟は赤に縁取られ、袴も赤。その上に、崇徳上皇と似た白いほうが羽織られており、赤い紐が胸元で蝶々結びに結ばれている。


 そのほうの腕部分、幅広い裾がマグマの熱から巻き起こる上昇気流でバタバタとはためいている。


 右手には剣。額には冠。前部分にカエデの葉のような先端が3つに別れた細工がなされた冠が張られ、王冠を支える頭の周囲に沿ったリングの部分には、神主の振る大麻おおぬさの棒の先についた紙垂しでが施され、ひらめく。


 額からは長い2本のツノ。この違和感に気づいたのは額をなでる風への違和感であった。それを指でさぐり当てたひまりはツノの存在に驚き、心の奥底で叫んだ。


(なに!? これ……ツノ!?)


 なぜ自分がここにいるのか。自身が巨人化した理由は。そして額にはツノ。真っ黒な水溜りのような困惑が、空の暗雲の黒さと重なり、まるで泥沼のサンドウィッチにもでも挟まれているかのような幻想に襲われる。


 わからないことだらけ。


 それに。


 痛い。


 お腹が。


 下腹部が。


 そこに何者かがいるかのように。


 いや、いる。


 実際にいる。


 動いている。


 蠢いている。


 何かが。


 何者かが……。


「翔太をこれ以上、ここへ近づけてはいけない」


 シャパリュが目つきを変えてそう言った。


「ねえ、ねこちゃん、どうしたの!? センパイも、ひまりちゃんも、一体、何がどうなってこうなってるの!?」


 瑚桃が、巨大ひまりの膝下でシャパリュを振り返る。これに対し。


「“666”……、私、あの数字、知ってる……」


 と美優はつぶやく。瑚桃の手前、敢えて翔太の第三の目の瞳にあった紋章だとは言わなかった。


「うん。そうだ、美優。それがひまりの腹に現れたということは……」


 シャパリュが言いよどむ。


「この子──。つまり、ひまりちゃんが一時的に翔太くんが背負った宿命を引き受けてしまっているというわけ……?」

「察しが良いね、美優。それは、正解に最も近い答えだと思うよ」


 シャパリュの声には珍しく真剣味が宿っていた。


 噴火、マグマ、地獄のような、終末の日のようなその光景。だがシャパリュの魔術により、この辺りのマグマは冷えて黒い岩石と化している。だがそこから10メートル離れた先ではいまだ、マグマが流れ、よどみ、高熱を放ち、熱気を噴き上げ、この地獄が時間的な底なしに続いていることを示していた。


 シャパリュは言う。


「僕の推測はこうだ。この葉山ひまりは、なんらかのきっかけで、翔太の魂の奥底に触れてしまったんだ」

「そんな……いつ?」

「わからない。でもとにかく、この子は人にはない力を持っている。いわゆるこの世の者ではない者を目視できる力だ。だが、そうじゃなかった。この世の者ではない者を見るということは、つまりは魂の在り方を把握できる力だと言い換えることができる。つまり、その気になれば、死んだ人間の魂だけではなく……生きている人間の、つまり他人の魂をいつでも覗き見することができるという、非常に稀な力なんだ」

「それは……私が持つマグスの素質と似たもの?」

「いいや、違うね。こっちはどちらかといえばオカルトだ。君たちの言葉でいえば、霊能力に近いもの。おそらく牛鬼うしおにとの合神も、この子が『カスケード』を通さずして、あの世とこの世を魂レベルで行き来できる存在ゆえに起こった現象だ。つまり、ひまりは生まれつき“怪異”そのものだったわけさ」


 美優も衝撃を受ける。


「怪異、そのもの……」

「とにかく、ひまりは翔太のあの魂の在り方に触れてしまった。美優もある程度は気付いているだろうが、翔太の魂には“666”の数字が刻まれている。ひまりは、そこへ無防備に自身の魂を近づけてしまった。そして、その時、異変が起きた」

「それって」

「わかるだろう。異変、崇徳上皇の身に“666”の宿命が降り掛かったのさ」


 シャパリュの目つきはさらに鋭くなる。


「彼女が住む神社には崇徳上皇も祀られていた。彼女は崇徳上皇の巫女でもあった。日本最大の怨霊である崇徳上皇。いつ復活してもおかしくない崇徳上皇の祟りを、ギリギリのところでせき止めていたのが、ひまりのあの力だったんだろうね。つまり、彼女はダムの役割を果たしていた」


 生まれつき過酷な宿命を背負わせられていたひまり。どれほど辛かっただろう。どれほど苦しい人生を送ってきたのだろう。察することは容易だ。だがそれがいざ、自分のこととなると……。


「そこへ来て、ここ最近の『カスケード』の活性化さ。今、この水城の地は異変を起こしつつある。それは翔太の存在が原因なのか、それとも、あらかじめ決められたことだったのかは僕にはわからない。いずれにせよ、ひまりの中のダムはあふれかけていた。崇徳上皇の祟りもこの世にこぼれ落ちそうになっていた」

「そのひまりちゃんが、翔太くんの魂の“666”に触れてしまったから」

「そうだ。そこで異変が起こった。せき止められていた水が穢されてしまったんだ。僕の言うことがわかるかい、美優。つまり、崇徳上皇の祟りは、そこで“変質”してしまった」


『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』


 シャパリュの言葉が突如、遮られる。


 地獄の釜が開いたかのような奇怪な声が上がる。


 それは大天狗。


 なんと、ぐしゃぐしゃになっていたはずの大天狗が再び立ち上がった。


 時間が逆戻りしたかのようだった。まるで時間という概念が鈍化し、無理やり歯車を逆回転させたかのような怪異がこの地には起こり続けていた。


「なんて生命力だ──!」


 だが、シャパリュの声と同時にデルピュネーが動いていた。そして一撃のもとに。


 槍で大天狗を縦に真っ二つにする。


 それすら、時間が鈍化したこの状況ではまるで軽やかな歌のようだった。早さの違う二つの流れの間に消え去り、そして心に残るノスタルジックな光景がデルピュネーの周囲を漂っていた。


 そのデルピュネーのエメラルドグリーンの瞳が妖しく光る。


 警戒色。


 大天狗の真っ二つに別れたそれぞれの左右の肉体は。


 そのまま姿を変え熱き炎となった。


 いや。それは正確ではない。


 流れ星。


 妖霊星ようれぼし


 二つの流星となった。


 妖霊星ようれぼしは背後から猛スピードで翔太に襲いかかった。


 妖霊星ようれぼしが放つ温度は大気圏突入時の圧縮された空気との摩擦熱で1万℃を軽く超える。


 それも初速から。


 その超高熱を受けて思わずデルピュネーは退かざるを得ない。足元のアスファルト自体が熱で溶けて怪しくなり、彼女の存在をも溶解しようとしたからだ。


「翔太様!」


 飛び退きながらデルピュネーは叫んだ。1万℃以上の高熱が翔太を取り囲んでいる。当然、途端に火だるまになる翔太。周囲の空気もまるで液体のように溶かし、その流れものとも呑み込もうとしてくる。


「翔太くん!!」


 美優が立ち上がり、駆け寄ろうとした。


 その目と鼻の先の空中でシャパリュが立ち塞がった。


「近づくな、美優! この距離でも、あれの温度はヤバイ!」

「でも、でも、翔太くんが……!」

「落ち着くんだ、美優」


 シャパリュはポン、と、美優のおでこに肉球を添えた。


「話しただろ? 妖霊星ようれぼしの温度は1万℃以上」

「どいてシャパリュ!」

「聞くんだ!!」


 シャパリュの強い口調。思わず美優の肩に力が入る。


「いいから聞くんだ。さっき話しただろ? 太陽のコロナの温度を」

「コロナの、温度……」

「そうだ。太陽のコロナの温度は……」


 その時、美優も見た。


 確かに、翔太はその全身が炎に包まれていた。


 だが。


 その背後にある二つの妖霊星ようれぼし


 それは、瞬時に。


 ──消し炭になってしまったのである。


「太陽の大気、コロナの温度は100~300万℃。100倍から300倍だ。つまり、燃やされるのは」


 すうっと翔太を包む炎が消えるのを見ながらシャパリュは言った。


妖霊星ようれぼしのほうさ」


      ※     ※     ※


「ベレス……。一体何があったのだ」


 時は数分、遡る。


 暗雲=『カスケード』の上空で魔王レラージェが言う。


 そのレラージェに顔を向けるベレスの目がますます強く、蒼く、輝く。ためらいをも拒否する強い力が渦巻き、まるで地平線も水平線をも蒼に染め上げ、あおの形に歪めるような、そんな異様なパワーをレラージェは感じた。


 ベレスは焦点が合ってないその蒼い目で、うわ言のように早口でつぶやいた。


「あの2人を近づけてはダメだ。今、あの2人は引き合っている。いや、“666の獣”が葉山ひまりに引き寄せられている。汚染されたまま覚醒寸前の崇徳上皇に“獣”を近づけてはならない。今、太陽神ラーは完全に眠っている。例え偽物であっても、そこへの“666”の汚染を受けたアレからの刺激を受けたら」

「な、何を言ってるのだ、ベレス……?」


 ベレスの周囲に、レラージェでもわかるほどの禍々しいオーラが漂い始めたのがわかった。目視できるほどの強いオーラ。ビリビリとレラージェの体が痺れるほどの。


「“666”を内包した祟り。それがこの世にどんな影響を及ぼすか。その響きは、かなでは、今、変容しつつあるこの世界とあまりにも相性が良すぎる。未来に待ち受ける現実を、こんな所で待っていられない。力の出し惜しみは愚だ。僕はそのことわりをこれから示す。アレを僕は護らなければならない。その為に僕はこの有象無象を今から間引く」


 ベレスを覆うオーラは、やがてこの結界をも揺るがし始めた。夜空が曲がりくねっていく。


「最初の間違いは、フェイクである祟りの残像をこの雲の中で見せられたことだ。あれが崇徳であると誰もが考えていた。だがあれは、影だ。『カスケード』を、単なる雲に見せかける為のフェイクだ。そこまで僕は愚かだったのか。王たるこの僕に向けてそんな幼稚な蒙昧を味あわせてくれるとは……それこそ万死に値する」

「……!」

「最初からこうしておけばよかったんだ。僕は状況を甘く見すぎた。その償いを、今……」


 レラージェはグビリと喉を鳴らす。


「見せる!!!!!!!!!」


 その時だった。


 “あお”の秩序。


 レラージェは見たのだ。


 魔王ベレスの“蒼”の秩序が生み出す巨大な影を。


 まるでヒグマの腕が上下で噛み合っているような不思議な影。未知の獣の顎が開かれたような、その巨大な影。大きなノイズの間には“蒼”が走っていた。黒とあお。蒼の秩序が影をも食らい、これがいかに異様な状態かを色で指し示していた。


 天空のイザナミがまだ叫ぶ。


「許さぬ。我が拝謁はいえつの栄にして、この狼藉ろうぜき、決して許さぬ!」


 血まみれのイザナミがアメノヌボコを構えて襲いかかる。相当な深手だったはずだ。これにはセイテンタイセイも目を丸くした。


「まだ、生きておったのか……」


 さらに蛭子ヒルコからは、祟りのオーラと共にこれまで以上の数の触手が幾何学模様を描きながら飛んできた。まるで高速のシャボン玉の音楽のようなレラージェ地震を上ずらせるような鼓動。


 だがここに来てようやく、レラージェは理解した。


 イザナミも蛭子ヒルコも、実はまだ本当の力を隠していたこと。


 そして気付いた。


 イザナミも蛭子ヒルコも、魔王ベレスを審判に値する、滅ぼす相手として認めたことを。


 つまり。


 イザナミも。


 蛭子ヒルコも、初めて。


 



















 覚醒した──!













 リリンの本気が。


 リリンの怒りが。


 リリンの鉄槌が。


 魔王ベレスと魔王レラージェへ向けて。


 かつてない本気で。


 これまでの枷を外して。


 本当の力が。


 放たれる──!


 これまでとはまったく違う。


 次元が。


 レベルが。


 ここまで。


 日の本のリリンは恐ろしい力を持っていたのか。


『死ねえええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!』


 イザナミが雄叫びを上げた。身構えようとするレラージェ。だが覚醒後のこの2柱のリリンの動きを捉える術はない。


 だが同時に。


「どけええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!」


 ベレスが叫んだ。


 レラージェの視界が、その巨大な、ベレスのオーラから現れた化け物の影に覆われた。


 目の前が妖しき影に、闇に、蒼に、蒼の秩序に、包まれた。まるで目の前で大嵐が吹き荒れているようで何が起こったかわからない。


 わからないが。


 感じた。


 ベレスから生まれたその巨大な影は、覚醒したはずのイザナミと蛭子ヒルコをその巨大すぎる体であっという間に食らいつくし。


 イザナミの結界も、いとも簡単に破壊した。


 矢を放っていた者が突如、戦車と化し、だがそれに怯えるレラージェをあざ笑うかのようにベレスの蒼の秩序は戦車の攻撃力をはるかに凌駕した核爆弾を生んだかのようだった。


 そして。


 その影はレラージェとセイテンタイセイをも吹き飛ばした。とてもその場に留まっていられない。


 それほどの強大過ぎるオーラ。


 ベレスの影はそのまま『カスケード』を呑み込むように暗雲へと飛び込むと。


 蒼の秩序で『カスケード』を融解しながら、猛スピードで下降し。


 そして暗雲を一瞬にして突き抜け。


 気付いた時には葉山ひまりの腹の中に。


 





 スッ……!








 潜り込んでいた。


 この光景にはシャパリュも、デルピュネーも、瑚桃は当然、そして美優も驚いた。


 突如、空を覆う暗雲から、歪な形をした巨大なおぞましい黒と蒼の影が飛び出してきたのだ。


 かと思えば葉山ひまりの体内へ。


 突然現れた異変、怪異、謎のエネルギー。


「い、今のは何……?」


 大地が震え始めた。


 地震だ。


 とても立っていられないほどの揺れ。


 再び近くのアスファルトが噴火する! マグマが飛び出す!


「まさか。ベレス様が、本気を出すなんて」


 シャパリュが驚嘆の声を上げた。


 その大地震の中で。


「え?」


 瑚桃の体が固まる。


「ひまりちゃん?」


 葉山ひまりの姿がどこにもない。声をかけても、何の反応もない。


「嘘だ」


 瑚桃はつぶやいた。


「嘘だ」


 そして心の底から叫んだ。


「嘘だあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」


 その大地震と噴火はわずか数十秒で収まった。再びマグマにあふれた地獄のようなその光景の中、壊滅状態にあった江戸岡交差点の建物のいくつかが崩れ落ちていく。地響きを立て、砂煙を上げながら瓦礫がすべり落ち、粉塵を撒き散らす。


 そんな時、瑚桃にシャパリュが優しく声をかけた。


「瑚桃、安心して」

「……?」

「ちゃんと見てごらん」


 瑚桃はもう一度、ひまりがいたであろうスーパーマーケット跡へ目を向ける。


 巨大化した葉山ひまりがいたその場所には。


 マグマが冷え岩石となり、瓦礫に包まれたその場には。


 ベレス=成宮蒼が立っていた。その腕に元の姿に戻った、葉山ひまりを抱きかかえて。


 次には突如。


『ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!』


 空から何者ともしれぬ誰かの悲鳴が、遅れて響き渡ってきた。


 あまりもの有り得ないいくつもの現象が、時間、風景、物質、視界、幻想、思惑、すべてを超えて、とんでもない早さでこの地を蹂躙した。


 その結果。


 ポツリ。


 ポツリ、と。


 血の雫が垂れてきて。


 一斉にゲリラ豪雨のように、その地を血の雨が襲い狂った。


「遅くなってすまない」


 血の雨に打たれ、ベレスはそう言った。


 瑚桃がへなへなと腰を抜かした。


 そして翔太の方も。


 突如、右目の炎が消え失せ。


 パタリ、と倒れ、血の豪雨の中へと沈んだ。


「翔太くん!!!!!!!!」


 美優が駆け寄る。


 血の雨に打たれ。


 血まみれになり。


 翔太のもとへ駆け寄る。走り寄る。血の雨の中、翔太を抱き起こそうとする。


 一方で、デルピュネーはベレスのほうへと歩み寄っていた。


「大丈夫だったか」


 ベレスが尋ねた。


「大変でしたが」


 とデルピュネーはベレスの到来でうれしそうに言った。


「なんとか」


 続けて。


「これで、終わった……ので、ございましょうか」


 そう、期待を寄せた。


 ベレスは答える。


「ああ」


 ベレスが手を開いて、デルピュネーに見せる。


 そこには胎児が乗せられていた。


“666”の刻印が入った胎児。


 それは今にも生まれ出そうとしていた大怨霊・崇徳上皇。その祟りの象徴。


「終わった」


 ベレスは言う。


 その胎児が。


 その大怨霊復活前兆の卵が。


 ぴくぴくと、哀れに。


 その小さな体を震わせる。


 空と大地が黒と蒼で呪いをかけられ、祟りはまるでその息子のようにベレスの手のひらの上で復活を待ち構えている。


 降り落ちる血の雨の嵐で自らの進路が絶たれたと知りうる暇もなく、崇徳上皇はその復活寸前、魔王ベレスによって。


 大怨霊としての孵化ふかは阻止されていた──。

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