第5章 第1次世界戦争編 E-0014 戦の下準備(東)
1914年 8月21日 陸軍参謀本部
「ロシア大敗!!タンネンベルクロシア軍敗退!!」
駆け込む参謀。参謀たちは騒然とする。
「まずいな…ロシアは援軍を求めてくるだろう…早急に動かせる軍はどこだ!!」
「浦塩の常備第3・朝鮮北部の常備第2両師団動員完了しています」
「旅順・大連の常備第4は青島に2個連隊出しています全力出撃不可能」
「本土は近衛師団以外に優先動員対象の第10・13・14師団は動員可能。」
「では出せるのは近衛と常備計3個師団だけそれでは弱すぎる。」
「ならばあの3個師団を欧州に回すか」
「その3師団は練度が低い。欧州に回しても足手まといになるだけだ。」
「欧州がだめならば青島ならば問題はない。青島の2個常備連隊を戻せば常備第4師団も行けます。」
「穴埋めに青島に1個師団回せ。」
「それならば問題はない。それに練兵になる。」
「空軍に練習機を貸してもらえ。」
「了解。」
1914年 8月22日 浦塩 第3常備師団司令部
「ロシアから派兵の要請があった。東プロイセンのタンネンベルクでロシア軍は大敗した。動員兵力50万内ほぼ半数の25万の戦力を喪失した。動員師団は第3・第2常備師団と第2近衛師団・その他砲兵合わせ合計6万7000」
指揮官が部下に命じる。
「指揮は第2近衛師団の秋山中将だ。我々は鉄道を乗り継ぎロシアに向かうことになる。」
「たった3個師団で?」
「第1陣だ。第2陣として第2・3常備師団それ以降にも増援が送り込まれる予定だ。」
「それでも10万ちょっと…厳しいですね。戦力不足だ。」
同日参謀本部
「ロシアから武器の支援も求めてきている。」
参謀本部では正式に援軍要請が出ても慌てることはなかった。それ以上に武器の供給についての要請が飛び出てきたことがそれ以上の驚きだった。
「今ある旧式の30式歩兵銃をすべて輸出するとして…何丁在庫があるか調べてくれ。練兵用に払い下げたものもあるはずだ。造兵工廠には38式歩兵銃と各種弾薬の全力生産を要請しなくては…」
参謀たちは走る。
輸出していい兵器には条件がある。生産中もしくは自国では旧式化したもしくはでは使わない兵器だ。
といっても
「製造中で輸出可能な兵器はあるか?」
この当時、改史日本で製造されている陸軍兵器(弾薬は省略)
38式歩兵銃
41式歩兵連発銃(モンドラゴン1906の製造設備購入・製造品)
マ式機関銃(マドセン軽機関銃ライセンス生産品)
3年式機関銃
38式野砲(41式騎砲含む)
41式山砲
45式24㎝榴弾砲
各種迫撃砲
が主である。しかし、
「輸出ができないものもある。それに自国向け生産で手一杯だ。」
40式歩兵連発銃(モンドラゴン1906の製造設備購入・製造品)とマ式機関銃(マドセン軽機関銃ライセンス生産品)は原型品を製造するメーカーから製造許可を求める際に販売を禁じられている。そのほかの兵器も国内師団の増設のために国内向けの製造が優先だ。せいぜいこの時点での製造数及び製造能力に余裕のある38式歩兵銃ぐらいしか輸出は困難だろう。
「では倉庫を漁るとしようか。」
棚から在庫を示す本を取り出した。
1914年8月23日 陸軍造兵工廠 倉庫
「書類上残っているが状態に問題はないだろうが、整備については知らんよ」
老人が扉の南京錠をあけながら案内している参謀たちに説明している。
「そんなこと言わずに引き渡しの時には整備をしておいてください。」
扉を開ける兵士の後ろで参謀が苦笑いしながら話す。
「まあ他人が作ったものまで責任は持てんよ。昨日、電報が届き次第、すでに整備できそうな品から整備に入っているよ。」
工廠長の老人が真っ先に入ってゆく。そしてその銃を周りに渡してゆく。
「整備すれば使えそうだな」
手に取ったそれを操作して男はつぶやいた。




