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改史 大戦  作者: BT/H
51/83

第5章 第1次世界戦争編 E-0002 青島航空戦

3日間連続更新予定


クリスマスに3タなんて冗談くだらないですがよろしくお願いします

グリニッジ標準時 1914年8月4日 AM0:00 日本時間09:00

青島 沖合 日本軍 第1戦隊 旗艦 伊勢 

 グリニッジ標準時は日本時間よりも9時間早い。現地でもすでに陽は登っている。そしてその時刻は最後通牒の回答期限だった。

「時間です。回答受信の信号ありません。」

「主砲。最大射程。」

「敵の要塞砲の射程には入るな。副砲・速射砲群 敵水雷艇からの砲撃を警戒。」

「砲手!!訓練は十分じゃないんだ訓練のつもりで撃て。」

「各要員退避。特に扶桑と山城には徹底させろ。下手したら海上まで吹き飛ばされるぞ。」

 第1戦隊はこの時点で最新鋭の4隻の戦艦 扶桑、山城、伊勢、日向 史実ではこの時点で完成していない戦艦である。これらの4隻の戦艦は扶桑級として扶桑、山城の2隻、伊勢級として伊勢、日向の2隻が存在している。

 扶桑級戦艦の建造に際し、これまで数年間に行われた国産戦艦の設計及び建造の経験と英国製の金剛型戦艦の設計を組み合わせて建造されている。

 扶桑級は後年欠陥品と称されるが、完成当時は他国の戦艦と比較し遜色ないカタログ性能を有している。これが欠陥品と呼ばれる原因の一つは後年に発生したいくつかの戦いでの戦訓で防御力が低いと判断されたことだ。だが主砲配置に起因する主砲発射時に発生する爆風の影響が大きすぎることと弾薬庫分散リスクの大きさ、操舵性の悪さというあまたの問題点があり、カタログ性能に見えないところはズタボロである。

 伊勢級は本来扶桑級3,4番艦として建造される予定だったが、史実では予算の関係で建造が遅れたため設計が変更され上記問題点の一部特に主砲配置について改良した。この主砲配置は米戦艦ワイオミング級の設計を参考にしたといわれている。

 改史においては予算の遅延は史実より大きくはなかったがワイオミング級の設計と比較し扶桑型の設計が洗練さにかけていたことを考慮に入れ、設計が変更されている。そのため史実よりもワイオミング級に近い主砲配置になっており、史実では後部艦橋が4,5番主砲塔の間にあったのに対し。改史では3番主砲塔艦首側に修正させ、より弾薬庫の集中と主砲射界が良好になっている。

 史実においてこれらの問題点を長期の訓練と改修工事にて解消していたが改史では完成直後ということで十分な訓練を施すことができずわずか数ノットで行動する海上砲台ともいえる運用しかこの時点ではできないと判断されている。

 だが敵射程外から巨砲を敵陣に打ち込むだけならばそれで十分である。日本艦隊が命中を意図していないなら射程ギリギリの命中率が低い領域で打ち込んでもいいのだ。

「主砲弾装填・測敵よし」

「基準砲撃撃て!!」


 龍口沖合12海里 第3戦隊旗艦 河内

「第1戦隊が作戦行動に入りました」

 龍口は青島の北。山東半島を挟んで北側にある港である。史実において神尾光臣中将指揮下の独立第18師団が上陸、拠点とした街である。

 改史においても日本軍はここを上陸拠点に選んだ。しかし上陸に向かった第1陣部隊が違った。常備第4師団所属第4・第10常備歩兵連隊およそ8000名。改史ではただの歩兵師団でも複数の種類があった。常備師団はかつての戦争で手に入れた領土に対し置かれる師団であり、本国から常時定数の9割に及ぶ現役兵(常備兵と兵役最後の6か月の配属が基本) と現地に定数の2割以上に相当する予備役兵(現地民及び移民)が置かれ、即応戦力となる部隊である。国内の即応戦力が東京の近衛3個師団のみであり、横須賀海軍と基地に停泊する軍用艦船(大翔、日昇丸2隻で4000名の輸送能力) 陸軍鉄道部による即応広域輸送網により対応している点を考慮に入れればいかに外地に置かれる兵が多いことがわかる。史実では国内の師団が交代でその任に当たっていたことを考えると、この常備師団の即応力の高さがうかがえる。常備師団が置かれるのは浦塩(常備第1師団)、朝鮮半島(常備第2師団)、樺太(常備第3師団)、旅順・大連(常備第4師団)、台湾(常備第5師団)の5個師団。それぞれおよそ2万名の人員を有する。常備第4師団の根拠地が山東半島に極めて近い旅順・大連であること。国内の歩兵師団が人員充当率の2割を下回るため早急な動員が不可能であるが故、この作戦の先陣に選ばれている。

 その指揮をするは神尾光臣中将。史実通り第18師団長を務め同時にこの青島作戦に動員されることになっていたが、第18師団本隊より先行して現地入りしている。だが第18師団自体は日露戦争後の軍縮において一時的に解体されており、第1次世界大戦開戦に合わせて再建された。むろん、再建計画自体存在していたので早急な再建が可能だった。

「熟練兵はおよそ常備師団からの派遣部隊の8000名そのほか20000名はほぼ新兵。無理はできないな。」

 兵士の練度を推測して神尾光臣中将はつぶやく。

「本国からは新兵器の実戦試験をもやってほしいとの要請で」

「わかっている。新兵器群を時間をかけて準備する。」


 1914年8月4日 青島 上空 日本軍水上偵察機 モーリス・ファルマンMF.7orMF.11 水上偵察機型

「弾着地点修正指示を送れ。」

 第1戦隊の超ド級戦艦4隻が砲撃を敢行している青島上空には8機の飛行機が飛んでいる。水上機母艦 若宮、高崎から各4機発艦した水上機である。この作戦に合わせて無線電信機を搭載して戦艦からの砲撃の着弾観測をしている。

「敵機接近!上からだ!!!」

 僚機が信号弾を上げる。敵に気が付いたことが敵にばれるが、事前の取り決め通りだ。

「着弾観測担当のモ式小型(正確にはモーリス・ファルマン式小型水上機MF.7の水上機型)はそのまま着弾観測を継続!!モ式大型(正確にはモーリス・ファルマン式小型水上機MF.11の水上機型)は応戦する!!」

 編隊最右翼に位置する編隊長は左に位置する僚機に手信号で内容を伝えると同時に

「重量軽減のため爆弾投棄。出力を上げろ!!」

 と後席に伝える。後席の兵士は直ちに手投げ式爆弾を捨て、マドセン軽機関銃を構える。

 その時改史日本史上初の空中戦が開始された


 青島軍港 同刻

 青島要塞内にある軍港に砲弾が降り注いでいる。

「艦隊の出撃命令をください。」

 要塞内の地下司令部で海軍提督に食い下がるは若手の艦長である。

「艦隊の備砲のほとんどは陸揚げしている。砲を失った旧式艦は陥落時の港湾閉塞の準備をしている。この戦いに海軍の出番はない。」

「水雷艇だけでも。」

「水雷艇といってもいるのはS90とタークーだけだ。昼間は自殺行為だ。夜間襲撃にかけろ。」


 青島上空 空中戦

「3番機!!」

 日本の水上機は苦戦している。たった1機のダウぺに。

 ダウぺは上空から逆落としに仕掛けてきた。そして3番機付近を通過。同時に後席搭乗員が煉瓦を投げた。その煉瓦が当たり、3番機はバランスを崩す。

「マドセンで応戦しろ!!打て撃て撃ちまくれ!!」

 日本機はこの時、機内に38式実包仕様のマドセン軽機関銃を持ち込んでいる。デンマーク製のこの軽機関銃は世界初の実用的な軽機関銃とも言え、日本は日露戦争末期に鹵獲した。(ロシアはこの戦争に1250丁を投入。) その小銃はロシア製7.62㎜弾を使用するモデルで試験を行い性能良好につき、捕虜から入手ルートを手に入れ、自国型を導入した。

 生産コストが高いという弱点があるが大々的な採用向けて国産化まで交渉はされているが日本の工作技術に問題が多く、いまだ量産に至っておらず、実質ノックダウン生産である。このような問題点から自国製の軽機関銃開発も進められている。

「卑しき黄色いサルめ誇りはないのか!!」

 マドセン軽機関銃の発砲音を聞いてつぶやくのは独軍パイロットである。

 この発言に関して説明をするならば初期の空中戦について記述しなければならない。

 軍用機の歴史は気球に始まり、固定翼機に至っている。最も初めに行われた利用法は偵察・観測任務であった。自軍の大砲の命中精度を上げるため高いところから敵を見る。敵の動きを早く知るために高いところから見るという発想である。その次が風を利用しての移動手段及び爆撃。1915年ごろまでにそれらの威力が周知されるようになり、妨害を必要とするようになったことを受けて戦闘機が登場するのだ。

 さらに当時、飛行機に乗ることができたのは金のある貴族。彼らは国外にも独自の縁をもち、互いが殺しあうなんて考えてもいなかった。そして単なる趣味で空という夢の舞台に挑むようなものだった。つまりは偵察・移動・爆撃による戦果が脅威として映る前は、敵同士であっても空の上で戦うことはあり得なかったのだ。

 改史日本はそのいずれにも該当しなかった。国外との縁は距離という防壁の前に欧州同士のように深くはなく、さらに貴族といっても貧乏なものも多く、貴族文化としての航空機が存在しなかったこと。そして航空機の導入自体が軍事目的を主体として導入が始められ、パイロットも貴族平民階級を問わず優秀な人材を選んでいたためである。

 そのため比較的早く、空の上での殺し合いを考慮に入れて訓練などを積んでいたのだ。その結果マドセン軽機関銃を導入するという英断をすることができたが、貴族の流儀に反する。殺し合いが忌諱されていたこと、戦ったとしても銃器の持ち込みが不文律で禁止されていたのだ。

 貴族同士の聖なる領域に踏み込んだ劣等人種・異物を持ち込んだこと。そして多くが平民とくれば一部貴族は過敏に反応するのだ。

「ならばこちらも使わせてもらう。」

 と独軍パイロットが懐から出すはただのリボルバー拳銃だった。


 第1戦隊旗艦 伊勢

「観測機が敵航空機と交戦状態にあります。敵はダウべ1機。しかし劣勢。3番機離脱。5,6番機観測を7,8番機に任せ空戦に参加します。」

 この報告は驚愕に値するものである。

「なんだと!!たった1機に!!6機が翻弄されているのか!!」

 と叫ぶのは当然のことであろう。

下駄(フロートのこと)が重量になっている模様ですね。」

 水上機には陸上機にない弱点がある。それは水上機を水上機としているフロートである。その重量と空気抵抗は無視できない。

「だけではないと思います。下駄なしの空軍機同士の模擬戦でもダウべのほうが勝率が高いと聞きます。」

 水上機には水上機の利点があるが、それはこの機体には適用されないものだ。それは滑走距離などが無限に近いという点だ。大きな機体、水上機としての専用設計を持つ機体ならば利点になるが、日本機のモーリス・ファルマンは水上機として開発された機体ではない。陸上機にただフロートをつけただけの機体だ。

 ただでさえ何も重しのない状況でダウべに勝てないのに重しありで勝てるわけがないのだ。

「交戦高度が低下します」

「訓練通りだな。」

 空中戦の特徴としてどんどん高度が低下するという特徴がある。空戦で敵から逃げるときに下方に逃げる。ことが主であるからだ。しかしその影響が何であるかこの時点で考えている者はいなかった。


空戦

「固定はしっかりしているな!!敵が下に行ったときは横回転をして射撃しろ!!」

3番機被弾ののち日本側に被害は出ていない。7,8番機は着弾観測を続行しているために戦闘に参加していないが、他の5機が順次空戦を実施中である。性能で圧倒的に不利でも数の力は偉大だ。それにダウべは数的不利があっても戦わなければならない状況。武器は少数の煉瓦だけ。当然のごとく少しずつ日本側有利に進む。

「地上から機関銃と対空砲!!」

 地上に接近すれば射程に入る。

「2番機より信号弾後席搭乗員負傷!!」

「6番機操縦手、負傷!!両機ともに戦線を離脱します!!」

 信号弾の色と数、その後の行動から1番機操縦手が判断する。

「高度を取るように各機に打電(観測器なので無線電信機を装備している。) する。お前も高度を上げろ!!」

「上昇力はダウべが上ですが!!」

「ダウべが1機にかかりきりになっている間に上がれ!!交代でその役回りになるように機動。まとわりつかれたやつはお前が援護してやれ。」

「了解。」


 第1戦隊後方 第1航空戦隊 旗艦 若宮

「3番機収容完了。」

 先ほど戦線を離脱した3番機は無事回収された。機体の一部に損害があるがパイロットは無事だ。

「2,6番機帰還。搭乗員負傷の模様!!」

「衛生兵急ぎ手配しろ。」

 兵士が甲板を走る。

「6番機が!!」

 6番機は持たなかった前席搭乗員は限界を迎え、機体は船よりもはるかに遠い海域で海面にゆっくりと近づいてゆく。

「6番機墜落!!」

「内火艇を出せ。急いで救助しろ!!」

「2番機は無事着水。」

「衛生兵すぐに乗り移れ!!」

 衛生兵が接舷したタッカーから飛び移る。機体後席にぐったりと横たわる搭乗員の首に手を当てしばらくして若宮に向けて手をクロスさせる。戦死したようだ。

「3番機修理が終わり次第上げろ。急げ。」


 格納庫

「3番機を直すよりも2番機を上げたほうが速そうだ。急いで死体を担ぎ出せ!!急いで穴を防げ!!修理、補給は洋上で行う!!」

 整備班長が望遠鏡で2番機の様子を見てから付近に叫びながら走る。

「タッカーを降ろさせろ!!急げ!!」


 観測機

「機関銃陣地に向けて爆弾を落とせ!!この高度ならば敵の銃弾は当たらないはずだ!!」

 観測員が着弾観測をしながら散発的に手で爆弾を落としてゆく。2番機の戦線復帰のめどが立ったとの報告から観測機部隊の補給を行うために交戦機を交代させるためだ。

「クソ当らない」

「狙って落とせ。確実に命中させろ。ばらまく必要はないぞ。時間はたっぷりある。」


 若宮格納庫

 2番機の修理は若宮艦長からの要請で僚艦高崎の整備班が対応している。

「整備班長。頼みがあります。」

 少尉…

 少尉と呼ばれたのは2番機のパイロットだった男である。(6番機後席搭乗員は生還するも骨折のため戦闘継続困難)

「相棒の仇を取らせてください。」


 独軍ダウべ

「もう武器がありませんよ」

「工具でもぶん投げろ。」

(根比べだ!!どちらが先に離脱するか…)

 この状況では補給のために帰還することだけでも戦局に大きく影響する。

「無理ですよこの状況じゃあ機関銃でも積まないと!!」

「工具ケースの中にメモを入れて地上に落とせ!!離脱援護を地上部隊に任せる。工具投げ終えたら離脱する。」


 1番機

「2番機復帰7,8番機戦闘に参加します。」

 信号弾が再び上がる。

「独機離脱します。」

「弾薬が余っている機体は追撃しろ!!弾薬のない機体は補給のため離脱する。信号弾を上げる。離脱するぞ。」


 若宮

「補給と修理のためにタッカーと内火艇を降ろせ!!」

 空戦は燃料を膨大に喪失させる。弾薬だけでなく燃料も大量に補給する必要がある。

「操縦手の補給も忘れるな!!飯と水も急げ!!」

 そこにはもう一つの戦場が広がっていた・


 7番機

「クソ爆弾が一つでも残っていたら」

 飛行機の弱点は滑走路が必要な点であろう。それは爆弾1発で使い物にならなくなる時もある。手落とし式爆弾ならばすぐに修復されるレベルであろうが。

「目標は敵航空機の破壊だ!!右旋回しつつ機関銃を打ち込め!!」

 2機の飛行機は走る。高度を利用しダウべに食い下がる。しかし直後、それは中断される。

「被弾!!」

「機関銃陣地だ!!退避しろ!!」

「8番機被弾!!」

「高度を上げろ!!」

8番機は被弾した直後、高度を上げることもなく、地上に激突した。


 若宮

「本当に行くのか?少尉」

「ああ。ありがとう。親父さん。」

「8番機が撃墜された。報告によれば機関銃陣地による銃弾の雨だそうだ。生きて帰れんぞ。」

「勝つにはこのタイミングしかない。」

「そうか…」


 ドイツ軍整備班

「機関銃を載せた。結構重いから取り回しが不便だ。いざとなったらこいつを使って外して捨てろ。」

 整備兵が渡すのはスパナだ。用意された機関銃はMG08水冷式重機関銃。先ほどから対空砲火に使用されていた機関銃のうち1丁を流用したものである。

「それが終わったらこれだ。モンドラゴン半自動小銃こいつは連射性の高い小銃だ。司令部連中の一人が持っていた趣味の品だ。そいつに報いるために1機でも落としてやれ。」

 米墨戦争の結果増産を要請されたスイスSIG社はモンドラゴン半自動小銃の量産を始めたが、増産分のほとんどはメキシコにわたらなかった。海上封鎖されていたためにアメリカに鹵獲されてしまったのだ。そのうえメキシコの敗北のよって製造コストの高いモンドラゴンはメキシコから受け取り拒否の判断がされた。メキシコは自国で生産できる小銃に国力を費やすことにし、スパニッシュモーゼル(スペイン生産型モーゼル小銃) のライセンス生産を行う予定だ。

 ではすでに生産されてしまったモンドラゴンや鹵獲品はどうするか?生産企業のSIG社にとって社運を賭けた品である。その結果損失もばかにならない。生産数を削減された影響で1丁当たりのコストは増大。結果的に生産されたドイツモーゼル弾使用の品は試供品として購入された分を除き、すべての小銃をドイツ帝国が購入した結果、ここにモンドラゴン半自動小銃が存在するのだ。そしてアメリカ鹵獲分は民間に放出された。

「生きて帰って…」

 整備班長が言い終わる前に銃撃の音が水を差す。

「単騎侵入!!敵機です!!」

「回せ!!離陸するぞ!!」

「馬鹿!!狙いは機体だ逃げろ!!」

直後、モーリス・ファルマン機後席のあった位置の底から多数の爆弾が一斉に降り注いだ。


50分ほど前 3番機 若宮付近 

 モーリス・ファルマン水上機3号機はカッターに接舷されている。カッターからは整備班長が身を乗り出している

「このひもを引けば爆弾の留め金が外れる。後部座席下に無理やり開けた穴から一斉に投下される。だが試してみたことはないから正常に投下されるかわからん。下手な姿勢で落とすと誘爆しかねない。」

「あまり急な軌道をせず、爆弾投下まで直進すればいい。命中力重視での低空侵入で行く。」

「狙い撃ちにされるぞ。それに爆弾にカバーはない。一発でも当たれば誘爆だ。」

「中国領に侵入して攻撃する。それなら飛行場に近い上に警戒が薄い。」

「わかった。もう止めない。」

「すまん。親父さん。回せぇーー!!」


 ドイツ軍 飛行場

「ああ!!ダウべが!!」

 爆弾がダウべにも命中。木と布でできた飛行機はよく燃える。

「クソ!!」

 ダウべの後席搭乗員が整備班長からモンドラゴン小銃を奪い、空に向ける。

「エーリッヒ狙って打て!!相手は猿だぞ!! 」

10発の銃弾が5秒以内に銃口から飛び出る。ほぼ同時に機関銃陣地からも射撃が開始される。彼は小銃を操る。ベルトに通したカバンからクリップに止められた銃弾2つ計10発を素早く装填。再び銃を空に構え10発放つ。

「クソ逃げられたか!!」

 その10発撃った時点で機影は見えなくなった。


 3号機

「仇はとったぞ!!」

 彼は腹に手を当てる。手には赤いものがこびりついている。

「はは…行くよ。」

 直後、機体は傾く。そして地上に激突した。


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