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改史 大戦  作者: BT/H
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第5章 第1次世界戦争編 D-0001 火薬庫のバルカン

 D=セルビア戦線。

セルビア戦線…第1次世界大戦のきっかけになったセルビアのあるこの戦域はあまりにも印象が薄い。だがこの戦線は他の戦線よりも凄惨だ。セルビア・中東・西アジア方面は民族虐殺ジェノサイドの連続だ。

 だからこそ語られることはない。戦場で軍人同士が殺しあうのではない。戦わない女子供を含む民間人が大量に殺害される。それがセルビア戦線である。



 1914年7月26日 セルビア戦線オーストリア=ハンガリー帝国軍司令部。

 オーストリア=ハンガリー帝国が対セルビア宣戦布告したのが25日。そしてすぐに軍隊が越境した。

「首都ベオグラード無防備都市宣言を確認。」

「ドナウ川とドリナ川、サバ川を河川防御陣として防衛作戦を敢行する模様です。」

「統合作戦計画の元、部隊を展開しております。作戦計画の可能性の一つにベオグラードの放棄と河川防御陣が存在します。作戦計画に沿って部隊を展開させますか?」

 参謀たちが指揮官のオスカー・ポショレック将軍(改史階級上級大将)に声をかける。

「糞…忌々しい。統合作戦本部の作戦なんぞ…」

「司令!!」

「ロシアやイタリアの動員の可能性もあるのだろ。どうせそれに対応した兵力しか来ないのだろ。」

「はい。第2、5,6軍のみです。他の1、3、4軍はガリシア。イタリア方面への動員は準備段階のみです。しかも第2軍には作戦完了後ロシアの参戦があればただちにガリシア方面へ転戦させる方針とのことです。」

「イタリア方面には要塞陣地があります。イタリア軍ならば少数で抵抗できるでしょう。」

「しかし…ロシアと開戦の際は直ちに第2軍をガリシア戦線に…」

「第2軍が残っているうちに敵を撃破する…それだけだ。」


 1914年7月27日 ウイーン 同盟軍統合作戦本部オーストリアハンガリー方面支部

「ロシア帝国に宣戦布告を確認いたしました。」

「第2軍をガリシア方面に転戦させる場合、いつから移動ができる。」

 オーストリア軍総参謀長フランツ・コンラート・フォン・ヘッツェンドルフが参謀に聞く。

「開戦以前からすでに前線にて編成が開始されており、すでに鉄道部は全力稼働。前線に兵士と物資を送り込んでいます。この上第2軍を帰還させる時間的余裕はありません。それよりも早急にセルビア方面戦線を集結させ、」転戦させるかドイツ外交部の作戦を信じてセルビア軍もしくはモンテネグロ軍を壊滅させることでかの国の参戦を待つだけです。


 1914年7月28日 サラエボ

「いた…あの糞爺だ。」

 サプレッサー付きの小銃をガラス越しに構える。

「全くヨーゼフの奴があいつを釈放すると言い出さなければ…」

 隣で双眼鏡を覗く男は不敬罪を適用されかねない発言をする。ヨーゼフというのはオーストリア=ハンガリー帝国皇帝フランツ・ヨーゼフ1世のことだ。

 直後、鈍い銃声がなる。銃声には聞こえないだが音は出る。目の前で老人の頭がはじけ飛ぶ。

「サプレッサーだけは回収しろ。逃げるぞ。」

 銃から手を離すと手袋をし、先端を回す。ねじになっている先端から部品が外れ、それをもって男たちは走り出す。

 殺された老人は名前をラドミル・プトニクという名だった。


開戦時兵力

オーストリア=ハンガリー帝国 

 総兵力 およそ50万

第2軍 : 第4,7,9軍団

第5軍 : 第8,13軍団

第6軍 : 第15,16軍団

セルビア・モンテネグロ連合軍(モンテネグロ軍はいまだ未着)

 総兵力 34.5+4.5万

第1軍 4個歩兵師団(2個軍団に相当)、1個騎兵師団

第2・3軍 各3.5歩兵師団

モンテネグロ軍 4個歩兵師団(2個軍団に相当、未着)


 1914年8月2日

「第2軍突撃開始。」

 史実よりも10日早く第1ドナウ川渡河作戦が開始された。

「浮橋をかけろ!!河川砲艦と河川モニター支援作戦を開始。」

「組み立て済みの浮橋を直ちに川に流せ!!」

 ドナウ川はかなり水深の深い河である。とても歩兵が飛び込んで泳ぎ切ることはできない。この場合、橋は守備側に大いに有利な戦闘が展開されることになる。守備側は最悪橋を破壊してしまえばいい。攻撃側が橋を越えることができず、結果的に渡河作戦を行うしかなくなる。大河に橋桁付きの橋を急造することは困難であるがために小舟をつなげた浮橋を渡り、対岸に橋頭保を構築。橋頭堡に作った桟橋を利用して物資の輸送を行う。それで渡河作戦の成功である。


 同時 セルビア軍司令部 スメデレヴォ要塞

「墺第2軍進撃を開始。渡河作戦を開始。」

「セルビア軍の河川砲艦、モニター、その他船舶が川を下ってきます。」

「浮橋!!浮橋を曳航しています。」

「モニターの総数は情報通り(・・・・)8隻動員可能艦艇のすべてです。」

 史実よりも早く完成している2隻を含め計8隻の河川モニターは河川付近という限定された領域ながら圧倒的な火力と展開力を有している。

 移動可能な陸軍砲は軽量化のために速射性、威力が低下している。しかし、艦砲はその制約が移動可能な陸軍砲よりも少ないためである。

「浮橋を護衛されます。橋頭堡をつぶせません。」

「敵艦砲の射程外に野戦築城を急げ。敵兵は浮橋を渡ってくるから増加スピードは遅い。今が叩き時だ。架橋妨害は航空隊の爆撃に任せる。スメデレヴォ、ヴェリコ・グラディシュテの都市を死守しろ。急げ。」


 同刻 ヴェリコ・グラディシュテ

 セルビア首都のベオグラードの中立宣言の結果、ベオグラードを軍事拠点として使えなくなったオーストリア=ハンガリー帝国軍は3分の1の戦力を遊兵化させてしまった。もともと、第2軍の攻撃目標はドナウ川沿岸の上流からベオグラード、スメデレヴォ、ヴェリコ・グラディシュテの3つの都市だ。それに3個軍団を1つずつ充て攻略この都市の港湾施設を兵站拠点にドナウ川渡河の橋頭堡を構築する腹積もりだった。

 これは兵站拠点として都市に存在する港湾施設を必要とする以上、この3点以外に上陸した場合、兵站不足のためセルビア軍の逆襲を受けて撤退できずに全滅しかねない。

 しかしベオグラードの中立宣言の結果、1個軍団はベオグラードの攻撃ができなくなり、そのことを予定していたセルビア軍は全戦力をスメデレヴォ、ヴェリコ・グラディシュテに集中。結果的に攻防の戦力比を拮抗させている。

「市民の避難は完了しています。敵側にも民間人収容区画についての使者をすでに送っています。しかし、砲の精度では市民の誤射の恐れがありますので敵の艦砲を防げます。」

「市街地にこもり防衛戦闘開始。特に港湾施設を死守しろ。」


 スメデレヴォ対岸 墺第 第4軍団

「卑怯な…事実上市民を盾に…」

 開戦に伴う謀略など無視して豪参謀はつぶやく。艦砲も墺主力野戦砲も精度が悪く、住民がいない区画を砲撃しようにも避難している区画にも砲弾の誤射が起きてしまう。艦砲では、川の流れの中、精度の良い砲撃はできない。オーストリア軍の野戦砲はドイツ軍と比較し旧式、国力の関係上予算不足で、訓練不足もあり精密な砲撃ができない。ドイツ軍ならば練度、野戦砲の精度ともにぎりぎり砲撃をできる水準だろうが、オーストリアハンガリー帝国軍にはできない。それを考慮に入れての手だ。

「市街地の訓練なんでしたことがない。わが軍の兵士には荷が重いな。」

 指揮官がつぶやく。

「そんなこと言っている場合ではありませんよ!!避難区画はスメデレヴォ要塞付近です。要塞に布陣している砲兵をたたこうにも市民を誤射します!!人間の盾です。」

「渡河に必要な小舟もあれではヴェリコ・グラディシュテまで持ってゆくことはできません。砲兵陣地に狙われます。」

「モニターを集中運用。近距離の砲撃で奴らを短時間でいい沈黙させろ。精度が低くとも接近すれば誤射のリスクをいくらか減らせる。その間にヴェリコ・グラディシュテに向かわせろ。」


 数時間後ヴェリコ・グラディシュテ (第7軍団)

 沿岸の建物を臨時のトーチカとして利用した港湾施設への上陸は不可能だった。そのためにヴェリコ・グラディシュテの下流付近に浮橋を構築。そこから渡河した部隊に陸戦を実施、ヴェリコ・グラディシュテを陥落させる。それが作戦だった。

「スメデレヴォを突破するためにモニターをすべて取られました。川からの砲撃が不可能です。支援砲撃能力の不足から敵砲兵が上陸拠点つぶしのために進出。渡河部隊が打たれています。」

「騎兵1個師団規模の突撃を確認。拠点をつぶされます。」

 こちらも苦戦している。港湾施設を傷つけられない以上港湾都市守備隊への砲撃は不可能。後方を撃とうにも付近には避難区画が存在。誤射リスクが高すぎる。

 モニターによる至近距離の砲撃なら対抗可能だっただろうが、スメデレヴォの河川封鎖を突破するために動員され、こちらにも作戦に乱れを乗じさせている。

「浮橋の到着はまだか!!」

上流から流される浮橋の第1陣はすべてヴェリコ・グラディシュテ攻略の資材だ。それが遅れている。その物資が届き次第、大規模な徳作戦を実施する予定だった。それが遅れている。敵はそれを承知で1か所ずつできた拠点をつぶす。

「渡河作戦を中止してください。」

「対岸の敵を見捨てることになるぞ!!」

「これ以上の犠牲は本攻撃に影響します一時の恥を承知で…」

「撤退支援急げ。徴用砲艦支援しろ。一時的に浮橋を撤去する。兵員をできるだけ回収しろ。」

「了解。」


 数時間後スメデレヴォ要塞

「モニター8隻を確認。」

「兵員を塹壕に退去。砲も退避壕に避難させろ。ヴェリコ・グラディシュテに予備兵力の派遣を司令部に要請。」

 伝令が走る。要塞内の各部署に電話と伝令で命令が伝わる。砲音が少なくなり、しばらくしてなくなる。

「砲撃きます!!」

 モニター艦からの砲撃が中世から存在するスメデレヴォ要塞を襲った。


 ベオグラード正面 第9軍団総司令部

「モニター艦の投入総数の艤装のために今作戦において本国を出港時には木製の偽装をしていた。民間の貨物船に見えるようにな。それを解いたのはベオグラードを通過する直前。そしてスメデレヴォ要塞からの砲撃は8隻目のモニター艦を確認した直後、砲撃がやんだ。口実にできるな。」

「司令どうされました?」

「浮橋の第3派をスメデレヴォに向ける命令を中止。ベオグラードに向けて進軍を開始。」

「司令!!」

「ベオグラードはセルビア軍に対して情報支援を行った。これを中立というわけにはいかない。敵勢都市である。敵の部隊がいないのはただ敵が守備していないだけのことだ。いいな。あとは敵の騎兵隊を警戒するだけだ。とはいっても敵の騎兵隊のほとんどはヴェリコ・グラディシュテにいるがな。」


 アランジェロヴァッツ セルビア軍総司令部

「第1軍からの増援要請です。予備兵力の派遣を!!」

 史実ではとある老人がいたために墺第2軍の陽動を見抜き、自軍左翼から迫る第5・6軍の迎撃に全力を挙げることができた。

 しかしこの世界にはその老人はいない。日露戦争から第1次世界大戦が起きるまでの間、最も多くの戦争が起こり、火薬庫扱いされたバルカン半島という激戦区は諸国の将兵を実戦慣れさせた。そんな領域で名将とされた人物の一人がラドミル・プトニクと言う老将である。第1次世界大戦開戦時点ではすでに露例のため病の中にあり、オーストリア=ハンガリー帝国の帝都ウイーンの病院で療養していた。史実・改史いずれにおいても開戦直後、拘束されたが、オーストリア=ハンガリー帝国皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の騎士道精神により釈放されている。

 だが改史では彼は何者かに暗殺されてしまっている。その影響がここに出ている。

 しかも直後衝撃的な情報が飛び込んでくる。

「ベオグラードに敵軍が侵攻。橋頭堡を築かれます。」

「ベオグラードは中立宣言を出していたはず!!港湾施設を使われるわけがない!!」

「敵第3派の浮橋輸送隊がベオグラードに向けて架橋。ベオグラード付近に軍がいませんので陥落しました。宣言無視の背景にはベオグラードに軍事的協力の嫌疑がかかったことだそうです。情報支援を行ったのではないかとのことです。」

「ベオグラードは3つの港湾施設の中で最も大きな都市だった…防衛も戦闘正面の長さから他と比較して大兵力に有利…だからここで戦わないことでその不利じたいをなくそうとしたのに…」

「理由などどうでもいい。第1軍所属の騎兵師団と予備軍の兵力を直ちにベオグラードに向けろ。敵砲兵の渡河前にベオグラードを奪還しろ!!」

「予備兵力をすべて投入するのですか!!予備兵力が一気になくなってしまえば!!」

「来援するモンテネグロ軍を予備兵力にする。橋頭堡つぶしを優先しろ!!」


セルビア戦線の情報が少なすぎ!!やむなく、自作ストーリーです。

時間をかけたのに自信は皆無です。でも載せないと話が進まないし、時間を費やしたの捨てたくないし…意見どしどしお願いします。

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